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ドラクエ3
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祈るような姿で、大統領トランプ(当時)の演説を聴く男性(2017年) 2024年アメリカ大統領選を前に中西部ラストベルト(さび付いた工業地帯)を回る取材で、第1部はペンシルベニア州から、第2部はオハイオ州から伝えた。最終回の今回(第3部)は、せっかくオハイオ州まで来たのだから、さらに4時間ほど運転して、もう一つの激戦州ミシガン州まで行ってみた。
1. 幣原発案説という神話 日本国憲法第九条が憲法の条文でよく知られていることに異論はない。憲法第九条をめぐる研究も憲法学や国際政治学等の観点から数多く発表されてきた。これからも、憲法第九条をめぐる議論が尽きることはないだろう。 憲法第九条については数多くの論点が存在しているが、中でも、誰の手によって作り出されたのかという点は、多くの論者が議論を交わしてきた。他の憲法の条文について、発案者をめぐる議論がほとんど存在しない中で、憲法第九条はこの発案者をめぐる議論が重要な論点として扱われてきたのである。憲法第九条という平和主義と戦争放棄を謳うこの条文が、アメリカから押しつけられたのか日本の内在的な動機の中で生まれたのかという差異が、憲法そのものの正当性を左右すると見なされてきたことの証左だろう。
ロシアによるウクライナ全面侵略の開始から2年半以上が経過するなか、日本はウクライナに対して人道支援や復旧・復興支援を継続的に行ってきた。だが日本政府によるウクライナ支援は、その全体像が非常に掴みにくいことも事実である。このため日本の支援を巡る議論においては、実態が正確に把握されないままに「やりすぎだ」、逆に「もっと出来るはずだ」という印象論が先行しがちである。 本稿では、日本にウクライナ支援の国際的な位置づけについて概説したうえで[2]、日本の支援の特徴や特筆すべき支援について紹介する。そのうえで、日本が今後のウクライナ支援を考える上で、考察すべきはなにかという点にも踏み込んでみたい。とりわけ本稿では、日本のウクライナ支援が資金や物資等の物質面に留まらず、ウクライナが求める和平と戦争終結のための条件である「平和の公式」への賛同を明確にしつつ、ウクライナ支援継続と拡大のための国際的な会議の開
はじめに 2022年2月24日、ロシアは、北京冬五輪閉会直後にウクライナに侵攻した。このロシアの侵攻に対して、国内外で様々な考察がなされており、当初はプーチン大統領の健康・精神状態に関するものから、北大西洋条約機構(NATO)東方拡大がプーチン大統領を刺激したため、今回のウクライナ侵攻は米国や西側の責任であるという論調まで様々ある。また、2014年のロシアによるクリミア併合からの流れで今般の侵攻を分析するものが多くある。 一方、ロシアが他の主権国家に軍事侵攻したのは今回が初めてではない。2014年のクリミア併合よりもさらに6年遡る2008年、ロシアは、旧ソ連圏のジョージアに侵攻した。このロシアによるジョージア侵攻(ジョージア紛争) は、今回のウクライナ侵攻を考える上で、きわめて示唆に富む。なぜなら、ジョージアとウクライナの歴史は重なる部分が少なく無く、また、ジョージア紛争は、ソビエト連邦(
1990年以降、ソ連/ロシアは核実験を実施していない。また、ソ連が保有していたセミパラチンスクとノーヴァヤ・ゼムリャーの2大核実験場のうち、前者はソ連崩壊直前に閉鎖され、その後はカザフスタンの独立によってロシアの管轄を離れた。 これに対してノーヴァヤ・ゼムリャー核実験場は、依然としてロシア国防省第12総局(12GUMO)の管理下に置かれている。核爆発を伴う実験が1990年から実施されていないことは前述のとおりであるが、核弾頭の信頼性を確認するための未臨界実験等に使用されてきた。また、2019年には何らかの核エネルギー反応を伴う実験が行われた可能性を米国政府は指摘しているほか、原子力巡航ミサイル「ブレヴェストニク」の発射試験場もノーヴァヤ・ゼムリャー島に置かれている。 さらに2024年夏以降、一部の核実験用坑道付近において、内部から排土を搬出する動きが観察されるようになった。特に9月時点に撮
オハイオ州北東部では民家や工場の廃屋が目立つ。人通りのほとんどない工場跡地で撮影中、通りかかった車の白人運転手から大声で「get the fuck out of here(とっとと失せろ)!」とすごまれ、一眼レフカメラの露出を調整する間もなかった(2024年7月7日撮影) 2024年アメリカ大統領選を前に中西部ラストベルト(さび付いた工業地帯)を回る取材はオハイオ州の北東部に入った。第2部はこのエリアの政界関係者の話を伝える。新聞社のニューヨーク支局員だった筆者が2015年以降、時にはアパートに住み込んで継続取材してきた地域だ。今回は夏季休暇を利用して7月にレンタカーで回った。前半ではオハイオ州マホニング郡ヤングスタウン(Youngstown)を、後半では隣接するトランブル郡ウォーレン(Warren)を訪れる。 ここは、かつては製鉄業や製造業が盛んで、高校卒業後にまじめに働けば、誰もがミド
前大統領トランプへの支持を呼びかける選挙用ヤードサイン。遠くに雨雲が見えた 2024年アメリカ大統領選は、9月2日のレーバー・デー(労働者の日)を経て、いよいよ最終盤に突入した。前大統領トランプの暗殺未遂事件、現職大統領バイデンの電撃撤退、副大統領ハリスの継承と支持率の急伸など、連日の大ニュースに追われ、現地で取材する日本の記者も目の回る日々を送っていることだろう。 全米の選挙集会に足を運ぶ。飛行機で拠点空港まで移動し、そこからレンタカーでアメリカ大陸を走り回る。睡眠時間を削りながら、毎週のように1千キロを移動している記者もいるかもしれない。 それだけ取材に回っても、少なくなりがちなのが地方発の情報だ。候補者の取材で地方を転戦しても、じっくり取材して回るほどの時間は確保できない。そこで今回は3回に分けて、選挙戦の行方を左右するとみられている中西部ラストベルト(さび付いた工業地帯)の政界関係
2024年1月1日付で、国末憲人氏(前・朝日新聞論説委員)が、東京大学先端科学技術研究センター・グローバルセキュリティ・宗教分野の特任教授に就任しました。 国末憲人氏は、1987年に朝日新聞社に入社して以来、世界各地の紛争やテロリズム、あるいはポピュリズムの政治に関して先駆的な報道を積み重ね、日本を代表する国際報道記者としての評価を築いてきました。その著作は多くありますが、昨年10月には『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)をまとめています。経歴と業績の抜粋は国末氏のプロフィール欄に記載されています。 国末氏は、2023年7月以来、朝日新聞論説委員としての業務の傍、客員上級研究員として東大先端研の調査研究事業に関与してきましたが、2024年1月より、特任教授として常勤で加わることになりました。 国末氏の加入により、東大先端研グローバルセキュリティ・宗教分野およびそれが実施する研
2023年12月1日付けで、ROLESの共同代表である小泉悠氏が、東京大学先端科学技術研究センターの専任の准教授に昇格しました。 小泉悠氏は2019年3月1日に東京大学先端科学技術研究センター特任助教(グローバルセキュリティ・宗教分野)に就任し、2020年からROLESを池内恵教授と共同で立ち上げ、運営の飛躍的拡大に貢献するなど、特異な業績を数多く挙げ、2022年1月1日には専任講師(グローバルセキュリティ・宗教分野)に着任しました。 小泉氏はこのたび、独立准教授(*理系分野におけるいわゆるPI資格を持つ)として独立し、先端研の専任教員の共通ルールを適用し、改めて10年の任期が付されました(2022年1月1日の専任講師着任時点から起算して10年となる2031年12月31日までの任期)。 独立准教授としての小泉悠氏の新たな活躍が期待されます。 小泉准教授は当分の間、先端研内の「先端学領域」に
本提言の問題意識 本提言は、日本の新たな『国家安全保障戦略』策定に資することを目的として、東京大学先端科学技術研究センター内に設置された創発戦略研究オープンラボ(ROLES)がまとめたものである。 日本で初めて『国家安全保障戦略』が策定されたのは第二次安倍政権下の2013年のことであり、それから9年が経過した。この間、日本を取り巻く安全保障環境が激変したことは今更述べるまでもないだろう。中国の軍事的台頭と米中対立はさらに加速しつつあり、朝鮮半島情勢は依然として緊張を孕んでいる。さらに2014年にはロシアによる第一次ウクライナ侵攻が、2022年には第二次ウクライナ侵攻が勃発した。 こうした情勢の変化を踏まえるとき、我が国の安全保障政策が大きな見直しを迫られていることは言を俟たない。 基本的な考え方 まず念頭に置かねばならないのは、国家間の大規模な軍事紛争は安全保障上の脅威として現実に排除でき
ウイリアム・ジェームズ "British Grand Strategy in the Age of American Hegemony (アメリカの覇権の時代における英国の大戦略)" 刊行記念ウェビナー
安倍元首相の外交・安全保障政策における「遺産」について、ギブール・ドラモット・仏国立東洋言語文化学院(INALCO)准教授に、ROLES Commentary No. 7として「安倍元首相の『遺産』を考える:日本の外交・安全保障政策に残したもの」を日本語で寄稿していただきました。 ドラモットINALCO准教授は、2021年10月から1年間の任期で、先端研を推薦部局として東京大学東京カレッジ客員准教授にオンライン着任し、2022年7月から8月にかけて来日して、東大先端研グローバルセキュリティ・宗教分野の客員研究員や、東京大学公共政策大学院非常勤講師として、研究・教育活動を行なっています。 共編著The Abe Legacyを昨年11月に刊行したばかりのドラモット先生が来日した期間に、奇しくも安倍元首相の暗殺事件が発生しました。ROLESでは事件を受けて、ドラモット先生に安倍元首相の「遺産」を
世界中の首脳からのメッセージに示されたように、安倍晋三元首相の外交政策に対する国際的評価は高い。5月に安倍元首相に対するインタビュー を行ったイギリスのThe Economist誌は、安倍氏が日本の『チャンピオン』だったと書いた。まさに安倍氏は、特に防衛、安全保障の面で、それまでの日本の総理大臣にとって想像されなかったことを達成した。2006年に初めて総理大臣に就任し、わずか一年で辞任した時、安倍氏が今後も日本政治で指導的な立場を続けていくことができるかどうか、疑いを持たれた。しかし不十分に終わった第一次安倍政権の1年間も、2012年に政権の座に復帰して行ったことへの助走期間となった。自国のための戦略的なビジョンを持ち、それを実現するために必要な勢力を持った人物は、それまでの日本政治にほとんどいなかった。安倍元首相は、世界の日本に対する見方と、逆に日本の世界に対する見方を変えた。 安倍氏の
2022年1月1日付で、東京大学先端科学技術研究センター専任講師(グローバルセキュリティ・宗教分野)として、小泉悠氏が着任しました。 小泉悠氏は2019年3月に東京大学先端科学技術研究センター・グローバルセキュリティ・宗教分野の特任助教として着任して以来、複数の単著を刊行し、2019年12月には『「帝国」ロシアの地政学』(東京堂出版)でサントリー学芸賞(社会・風俗部門 )を受賞するなど、多くの成果を挙げ、評価を得てきました。 小泉氏はプロジェクト担当の特任助教として、外交・安全保障調査研究補助金事業の受託と実施を担当し、ROLESの設立と運営に尽力してきました。国際交流では、モスクワ国際関係大学(MGIMO)と部局間協定の締結に漕ぎ着けるなど、多くの活動実績を有する小泉氏ですが、今後は、専任講師として、先端研そして東大の教育と研究の組織的な運営にも一端を担っていくことになります。
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