北海道で8人が死亡した、白菜の浅漬けによる腸管出血性大腸菌O(オー)157の集団食中毒。漬物での食中毒に驚いた人は多いが、原因の浅漬けは調味液に漬けただけのもので、いわゆる伝統的な漬物とは異なる。発酵や塩分濃度が高い伝統的な漬物では、これまでこうした食中毒は起きていない。再発防止には、事業者・消費者ともに「なぜ浅漬けで食中毒が起きたのか」といった食中毒のリスクを理解することが大切だ。(平沢裕子) ◇減塩志向も影響? 伝統的な漬物は、塩分や発酵によって雑菌や大腸菌などの増殖が抑えられることもあり、保存性が高い。一方、今回の食中毒の原因となった浅漬けは野菜を調味液に漬けただけで、塩分濃度が低く、発酵もしていない。 食品衛生コンサルタントの西村雅宏さんは「昔は、浅漬けといえど塩分濃度が高く、細菌の影響を受けにくかった。今は消費者の減塩志向もあり、塩分濃度が低い
民事再生法の適用を申請し、記者会見で頭を下げる岩井食品の岩井憲雄社長(手前)ら=札幌市中央区で2012年10月10日、梅田麻衣子撮影 白菜の浅漬けを感染源とする病原性大腸菌O157の集団食中毒で、浅漬けを製造した「岩井食品」(札幌市西区)が10日、記者会見し、札幌地裁に民事再生法の適用を申請して保全命令を受けたと発表した。現時点の負債総額は損害賠償の約2億2700万円で、代理弁護士は「あくまで被害弁償のための申請。弁償が終われば解散する」としている。【山下智恵、小川祐希】 集団食中毒の発症者は道内外の169人(うち8人死亡)で、同社によると、連絡先が分かる84人への賠償試算が約2億2700万円に上るという。残る85人や取引企業分も含めると、負債総額は大幅に増えるとみられる。所有資産は約1億7500万円あり、同社は取引企業より被害者への賠償を最優先するという。「被害者に会社として説明し、話し
■死者8人に ■複数工程、汚染リスク 野菜が汚染されるリスクは、工程のさまざまな部分に潜んでいた――。白菜の浅漬けによる腸管出血性大腸菌O(オー)157の集団食中毒で、札幌市保健所は28日、浅漬けを製造した岩井食品(札幌市西区)での再現試験に基づく最終報告をまとめた。具体的な汚染源の特定はできなかったが、消毒の不備や従業員の衛生意識の低さなど、製造過程に食中毒の原因があったと指摘した。 ■保健所が最終報告 今月7、8日の再現試験では、食中毒の原因となった浅漬けを製造した7月末と同じ状況をつくり調査を進めた。別の漬物用のキャベツ約260キロを消毒後、同じ樽(たる)で白菜を通常の2倍の約400キロ消毒するなどした。 この日、道との食中毒合同対策会議で発表された報告によると、従業員は消毒液を目分量で入れ、塩素濃度が落ちても液を足さずに消毒を繰り返していた。開始時に250〜210ppmだ
O157による集団食中毒で、感染源となった浅漬けを製造した岩井食品=札幌市西区で2012年8月15日、貝塚太一撮影 7人が死亡した北海道の病原性大腸菌O157による集団食中毒で、札幌市保健所は25日、発生源となった岩井食品(札幌市西区)の浅漬け「白菜きりづけ」に使われた野菜の流通ルートをほぼ特定した。白菜とキュウリ、ニンジンの3種類で、岩井食品以外の入荷先では食中毒などが起きていないことから、同社の製造工程に原因があった可能性がさらに高まった。市保健所は感染源となった浅漬けの漬け込み日当日(7月28日)の再現実験を行い、原因の特定を急ぐ方針。 市保健所は、岩井食品が7月23〜28日に仕入れた白菜約3トン、キュウリ約600キロ、ニンジン約100キロの流通ルートを調査。この結果オホーツク、十勝、胆振管内など複数の農協や団体が出荷した野菜が使われていたことが判明。集荷した札幌市中央卸売市場の卸売
執筆者 森田 満樹 九州大学農学部卒業後、食品会社研究所、業界誌、民間調査会社等を経て、現在はフリーの消費生活コンサルタント、ライター。 食の安全・考 森田 満樹 2012年8月24日 金曜日 キーワード:メディア 食中毒 札幌市内の食品メーカー、岩井食品の浅漬け「白菜きりづけ」による腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒は、8月23日現在で患者が100名を超え、死者7名が報告されている。問題の浅漬けは7月28日に漬け込まれ、29日以降に出荷された消費期限8月2・3・4日の製品だ。今週に入っても新たな患者が報告されており、北海道も札幌市も毎日のように情報を更新している。 最初の発症者は、高齢者施設で8月1日にこれを食べたお年寄りたちで、早い人では3日に発症している。8日に最初の死者が出て、11日に道と市が「食中毒疑いの発生について」として、高齢者施設10か所で100名ちかいO157の患者がで
■O157集団感染 市販の浅漬けを原因とする腸管出血性大腸菌O(オー)157集団感染の影響で、主原料の白菜が受難だ。卸売価格は半値ほどに落ち込み、道外の主産地でも取引停止などの影響が出始めた。また、宿泊先のホテルで浅漬けを食べた客から新たに患者が確認され、発症者は計113人となった。 北海道の白菜出荷量は全国4位(2010年産)。出荷は7〜10月で、特に夏は長野に次ぐ産地だが、札幌市中央卸売市場の青果卸売り「札幌ホクレン青果」によると、集団感染の報道前は1箱600〜700円だった価格が、最近は半値ほどに落ち込んでいる。 もともと8月は1年で最も白菜の需要が落ちる時期で、需要を支えてきたのが浅漬けなどの加工品だった。その浅漬けの売り上げが急減。「一気に需給バランスが崩れた」(担当者)という。 影響は道内にとどまらない。東北から九州まで、夏場の出荷を担う長野県。JA全農長野の担当者は、
■濃度調整「従業員の判断」 白菜の浅漬けによる腸管出血性大腸菌O(オー)157の集団食中毒で、製造業者の岩井食品(札幌市西区)が15日、記者会見を開き、原料の白菜が消毒不足だった可能性を認めた。商品を扱っていたスーパーやホテルは対応に追われ、消費者や同業者にも戸惑いが広がっている。 ■漬物製造業者が謝罪 食中毒の原因となった白菜の浅漬け「白菜きりづけ」を製造した岩井食品の岩井憲雄社長は記者会見の冒頭、「数人が亡くなられ、多数の方が健康被害を受けられ、心からおわびします」と陳謝した。 市保健所などによると、汚染源となった漬物は特売対策などのため通常の倍の量を一度に作ったが、消毒する際の塩素濃度が低くなり殺菌が不十分だった可能性がある。この点について同社は、これまでも同様のケースで問題はなかったとした上で、「結果として、菌に汚染された漬物を出したことは消毒を含め十分ではなかった」との認
「札幌でO157が集団で発生している、どうやら食中毒らしい。」 そんなニュースがメディアで流れたのは8月13日でした。そして、昨日、14日には原因食材が特定されたと札幌保健所のホームページで情報が公開されました。 公開された資料では、8月7日(火)に老健施設で下痢症を訴える入所者が探知された、とあります。複数の施設から同様の報告が相次ぎ、保健所が調査を行い、「はくさい浅漬け」が原因食材と特定されました。 札幌保健所が公開した情報はこちらです。(PDFファイル) 「おかしい」と最初に気づくのは、医療現場で働く医師や医療者です。今回の事例においても、札幌で診療をしている医師たちが「下痢症例の異常な集積」を感じ、保健所に直接相談されていました。その一人は米国で疫学を学んだ医師でした。患者さんに一番近い所にいる医師が、「保健所に相談してみよう。」と行動を取る、このセンス。医療と公衆衛生のGood
記者会見の冒頭で謝罪する岩井食品の岩井憲雄社長(中央)ら=札幌市中央区で2012年8月15日、貝塚太一撮影 北海道内の高齢者施設で病原性大腸菌O157に集団感染し、2人が死亡した問題で、原因の白菜の浅漬け「白菜きりづけ」を製造した「岩井食品」(札幌市西区)は15日、同市内で記者会見し、野菜の消毒液の濃度測定を徹底していなかったことを明らかにした。札幌市保健所は08年、食材の殺菌が不十分として同社を指導し、同社は改善したと回答していた。市は、通常の約2倍の野菜を消毒液に入れたことで濃度が薄まったことが感染の原因とみており、詳しい経緯を調べている。 市保健所によると、08年10月の定期検査で、同社商品の細菌数が市の定める基準値を超えたため、改善を指導。同社は09年1月、消毒液の濃度を測定し、一定の濃度を下回らないようにするなどの改善報告書を提出した。 しかし、同社によると、濃度を一定に保つため
札幌市 保健福祉局 保健所 食の安全推進課 011-622-5170 〒060-0042 札幌市中央区大通西19丁目 WEST19ビル3階 FAX:011-622-5177 問い合せフォーム:https://www.city.sapporo.jp/php/faq/form.php 品名:白菜きりづけ 消費期限:12.8.2、12.8.3 【高齢者施設以外の販売先】 ※最終販売者が判明しているもの ※札幌市内分 ●消費期限:12.8.2 産直生鮮市場 ふしこ店(札幌市東区伏古9条4丁目3-1) 9kg 産直生鮮市場 北郷店(札幌市白石区北郷4条4丁目22-1) 10kg 産直生鮮市場 月寒店(札幌市豊平区月寒中央通2丁目1-15) 6kg 産直生鮮市場 平岡店(札幌市清田区平岡7条3丁目18番45号) 6kg ジェイ・アール生鮮市場 新川店(札幌市北区新川2条1丁
北海道で起きている病原性大腸菌O157の集団感染で、札幌市は14日、同市西区の「岩井食品」(岩井憲雄社長)が製造した白菜の浅漬け「白菜きりづけ」が原因の食中毒と断定し、同社を営業禁止処分とした。スーパーやホテルなど道内約50カ所に納入されており、市には新たな発症者の報告が寄せられるなど被害は拡大している。 市は発症者が出た5施設で7月23日〜8月5日に提供された食材を調査。5施設で1日に出た問題の浅漬け3検体中2検体からO157を検出した。患者の便のO157と遺伝子が同じで、同社従業員2人からも検出。原材料が汚染源の可能性があるとみて同社への納入ルートも調べる。 問題の浅漬けは7月28日に白菜・キュウリ・ニンジンを漬け込み始め、30日に出荷(消費期限8月3日)。特注があったため通常の2倍作り殺菌の塩素が薄まった可能性もあるという。市外で集団感染が発生した5施設中4施設でも出されていた。 同
北海道の高齢者施設の100人以上が症状を訴え、女性2人が死亡した腸管出血性大腸菌O157の集団感染で、札幌市は14日、同市西区の岩井食品が製造した白菜の浅漬けが原因の食中毒だったと発表した。 浅漬けは、症状を訴えた入所者がいる札幌市内の5施設を含む、道内の高齢者施設やスーパー、ホテルなど50カ所で流通。市は岩井食品を14日から営業禁止処分にした。 道などによると、札幌、江別、苫小牧、千歳の4保健所管内の10の高齢者施設で、3日から症状を訴える入所者が出た。11、12日には、札幌市内の2施設に入所していた100歳代と80歳代の女性2人が死亡した。14日までの発症者は死亡した2人を含め102人で、うち77人が入院した。 市は11日にO157で死亡した市内の4歳の女児と集団感染との関連も調べている。
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