出土した「天平二年」と紀年銘のある木簡=下関市教委提供 奈良時代に流通した国内最古級の貨幣「和同開珎(わどうかいちん)」の造幣所の一つ、長門鋳銭(じゅぜん)所跡(国指定史跡、山口県下関市)の隣接地から、造幣所の稼働時期を裏付ける年代が記された木簡が出土した。同市教委の発表によると、木簡が鋳銭遺物とともに見つかるのは全国でも初めてで、文献でしかわからなかった造幣所の場所と稼働時期を裏付ける資料として、専門家は「日本の貨幣史上では画期的」としている。 市教委によると、木簡は全長220.5ミリ、最大幅10ミリで、「天平二年五月四日主□□部車万呂」(□は判読不能)と推定できるという。地表下85〜140センチの地層で縦に割れた状態で見つかった。同じ地層には貨幣を造る際に使った鋳型などもあったことから、市教委の担当者は「730(天平2)年時点にこの場所で鋳造されていたと確証づけられる」と話す。