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児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ処罰法」という)について、ここ数年、児童ポルノの単純所持を新たに処罰する改正案をめぐって論議が行われていた。 2014年5月23日、自民、公明、日本維新の会、結いの党の五党は、罰則適用の猶予期間を一年と定めること修正をすることで、自民、公明、日本維新の会が国会に提出し継続審議になっていた改正案に大筋合意したと報道されている。 この合意により、早ければ今通常国会において、児童ポルノ処罰法改正案が成立する見込みとなった。 これまで、児童ポルノ処罰法では、児童ポルノの提供又は公衆陳列の目的での所持又は電磁的記録の保管は処罰されていたが(同法7条4項)、それ以外の目的での所持・保管は罰せられていなかった。 従来、これを「単純所持」と呼び、単純所持を処罰すべきかどうかが議論されてきた。諸外国では単純所持も処罰されてい
盗聴法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律。以下「通信傍受法」という。)は、国民の多くが反対する中、自民党政権時代に、連立を組んでいた公明党からの提案で、当初の政府案を大幅に修正して、1999年に国会で成立した。その後、警察からは、使い勝手が悪いとして改正をしたいという声が出されたが、なかなか現実のものとはならなかった。 自民党政権の小泉首相時代に新設された犯罪対策閣僚会議において、2003年12月に採択された「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」の中で、「組織犯罪に対する有効な捜査手法等の活用・検討」において、「組織犯罪に対し、あらゆる捜査手法等を積極的に活用するとともに、通信傍受、おとり捜査、コントロールド・デリバリー、潜入捜査等の高度な捜査技術・捜査手法、犯罪収益規制の拡大を具体的に研究し、その導入・活用に向けた制度や捜査運営の在り方を検討する。」と述べ、ここで、盗聴(通信傍受)
東京地裁刑事第17部(登石郁郎裁判長)は、小沢一郎氏の資金管理団体である「陸山会」の土地購入を巡り、元秘書3人が政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた事件(大久保被告については西松建設事件を含んでいる)の判決で、3人の被告人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。 この陸山会事件においては、石川議員が、東京第五検察審査会での一度目の起訴相当決議の後の検察の再捜査の際に再度の任意の事情聴取の際に、検察 官の取調べ状況をICレコーダーで隠し撮りしていた内容を証拠請求したり、公判において出廷した取調べ担当検察官の証言から無理な取調べをしていたことが 明らかとなっていたところ、東京地裁は、2011年6月30日、検察側が請求した元秘書の供述調書計38通のうち、石川被告分10通と元私設秘書の池田被 告分の2通について「威圧的な取り調べや利益誘導があった」と任意性を否定し、不採用とすることを決定するとと
従来、所在不明の被疑者を逮捕する目的で、被疑者の使用している携帯電話について、携帯電話会社のシステム端末を操作して、その所在位置を探索するために、捜査機関から検証許可状の発付が請求され、裁判官が審査の上、検証許可状を発付し、それを携帯電話会社に呈示し、基地局情報による位置情報が、携帯電話会社から捜査機関に提供されていた。その精度は、都心部では、およそ半径500メートル程度の範囲だと言われている(池田弥生「携帯電話の位置探索のための令状請求」判例タイムズ1097号27頁以下)。 通信については、通信傍受法(盗聴法)による傍受令状が必要となるが、位置情報は通信ではないということで、検証許可状で可能と解されていたのである。 今回、2011年8月1日から、総務省が、「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン及び解説の改正案に対する意見募集」をしている(八月末日で募集は終了)。 これは、
「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(いわゆるコンピュータ監視法案)は、2011年6月16日の参議院法務委員会の質疑を経て採決され、同月17日の参議院本会議で可決・成立した。公布後20日以内に施行される。 この法律制定直後から、児童ポルノの単純所持処罰規定を新設するための「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案」(自民党、公明党の議員立法)の今国会での審議入りが話題になった。 これは、自民党、公明党が、法務委員会に理事会でこの法案の審議入りを求めたもので、民主党の対応が注目された。 かつて、単純所持処罰をめぐっては、自民党・公明党に対抗して、野党時代の民主党が民主党案を作って対抗していたことがあったが、その後、三党で 協議して合意していた。ただ、その後、民主党に政権交代し、一時社民党と連立を組んでおり、社民党が
「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(いわゆるコンピュータ監視法案)が、2011年5月25日に衆議院法務委員会で審議入りし、与党議員による質疑が行われ、同月27日には野党議員による質疑が行われた。 同月31日には参考人質疑が行われるとともに、総括的な質疑が行われた後、採決が行われる予定である。その後、衆議院本会議で可決されて参議院に送付され、その後、参議院法務委員会での審議がなされ、会期末までにはこの法案が成立する見込みである。 この法案は、サイバー犯罪条約を批准するために提案されているものであり、国会においては既に2004年4月21日にこの条約の批准を承認する旨の決議をしており、今回の法案成立後には速やかに批准されることになっている。 しかしながら、サイバー犯罪条約は、プライバシーや通信の秘密に対する重大な制約となる危険性が大きい内容であり、コンピュータに関
村木厚子・厚労省元局長に対する無罪事件や、それに絡んで明らかとなった前田・元主任検事のFD改ざんに関する証拠隠滅事件や、大坪・元大阪地検特捜部長や佐賀・元副部長の犯人隠避事件を契機として、2010年10月、当時の柳田法務大臣が私的諮問機関として「検察の在り方検討会議」を立ち上げ、14人の委員により、2010年11月10日から2011年3月28日まで計14回に渡って議論し、3月31日の第15回会議において、「検察の再生のために」と題する提言をまとめ、法務大臣に提出するとともに公表した。 同検討会議においては、検察官の使命や倫理、人事・教育、検察の組織とチェック体制についても一通り議論されたが、同検討会議の議論の中心とな り、もっとも時間をかけて議論されたのは、検察における捜査・公判の在り方であり、なかんずく、この機会に密室での取調べを打破するために、取調べの全過程の可視化(録画・録音)を直ち
法務省は、「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(以下「コンピュータ監視法案」という)を提出すべく、民主党に対して働きかけていたが、2011年2月26日の民主党法務部門会議において了承され、早ければ3月4日にも閣議決定されて国会に上程される予定である。 この法案は、何度も上程されては廃案となった悪名高い共謀罪法案から、国連越境犯罪防止条約の国内法化である共謀罪、マネーロンダリング罪の前提犯罪の拡大、証人等買収罪などの部分を除外して提出しようとするものである。 今回、法務省は、事前に日弁連の意見を聞き、従前提出していた法案に一部修正を施した上で法案提出する意向を民主党に伝え、これが了承されたものである。 この法案の中心部分は、サイバー犯罪条約の国内法化のためのものである。先月号でも述べたが、サイバー犯罪条約(Convention on Cybercrime)は、欧
共謀罪法案は廃案になってもう上程されることはないと思っていたら、民主党政権は、共謀罪法案から、国連越境犯罪防止条約の国内法化である共謀罪、マネーロンダリング罪の前提犯罪の拡大、証人等買収罪などの部分を除外して、通常国会に再提出する方針を決めた。 共謀罪法案というのは、元々、強制執行妨害罪などの改正案に、国連越境犯罪防止条約の国内法化のための共謀罪等の新設等が加わり、その後、サイ バー犯罪条約の国内法化のための刑法・刑事訴訟法の改正案が加わり、「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正 する法律案」として、2004年2月に国会に上程されて以降、衆議院解散後に、何度も提出し直された法案であった。 しかしながら、共謀罪の新設に対しては、市民による強い反対を受け、国会でも激しい論戦が交わされた。 この経緯や日弁連の意見を踏まえ、2009年の衆議院議員選挙の際の
最高検察庁は、2010年12月24日、村木事件を検証した「いわゆる厚労省元局長無罪事件における捜査・公判活動の問題点等について」と題する報告書を発表した。 2010年11月、法務大臣の私的諮問会議である「検察の在り方検討会議」が設けられ、検察改革について議論を始めているが、2011年1月から、最高検のこの報告書を基にして、週1回のペースで議論していくことになっている。 私は、2010年11月15日、大林検事総長から、元裁判官である安廣文夫氏、元特捜検事である高井康行氏とともに、日弁連推薦により検証アドバイザーに 任命された。最高検の報告書案について第三者の立場から忌憚のない意見を述べることをその職務とし、関係する刑事記録のほか検察の内部文書や最高検による 調査によって作成された各種の報告書を閲読することが許された。12月24日夕方には東京高裁内司法記者クラブで会見にも応じた(朝日新聞201
民主党の小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」が2004年に土地を購入した際、小沢氏の手持ち資金4億円を原資としながら、同年、2005年、 2007年分の収支報告書に虚偽の記載をしたなどとして、東京地検特捜部による強制捜査が実施され、衆議院議員石川知裕氏ら元秘書3人が起訴された。 東京地検特捜部は、2010年2月に小沢氏を不起訴処分(嫌疑不十分)としたが、小沢氏を告発した 市民団体が不服として、検察審査会に審査を申し立てた。これを受理した東京第五検察審査会は、2010年4月、「起訴相当」を議決した。その後、東京地検 特捜部は小沢氏と元秘書らを再聴取したうえで、「新証拠が得られなかった」 として、2010年5月に、改めて小沢氏を不起訴としたため、東京第五検察審査会が第2段階の審査を進めていたが、2010年10月4日に起訴議決をした ことが公表された。 これによって、全国で4件目(既に、兵庫で2件
最高裁判所において、刑事事件について注目すべき判決が言い渡された。 2002年に大阪市で起きた殺人放火事件について、間接事実を総合して被告人を有罪と認定した第1審の大阪地裁は無期懲役を言い渡し、第2審の大阪高等裁判所は死刑判決を言い渡していた事件について、最高裁判所第三小法廷は、2010年4月27日、第1審の無期懲役及び第2審の死刑判決をいずれも破棄して大阪地裁に差し戻した。 この事件においては、被告人が一貫して犯行を否認し、事件と被告人を直接結びつける証拠がない中で、有罪の決め手となったのは検察側が積み上げた情況証拠だけだった。 最高裁第三小法廷は、「情況証拠によって認められる間接事実中に、被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは、少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が含まれていることを要するものというべきである」と述べた上で、本件について、「この点を
2010年4月27日、衆議院法務委員会で、殺人罪等の重大事件についての公訴時効を廃止し、それ以外の犯罪についても公訴時効期間を大幅に延長する刑事訴訟法等の一部改正案が可決され、その後、本会議に緊急上程されて、衆議院本会議で可決・成立した。 この法案は参議院先議だったが、わずか1ヶ月足らずの審議で成立させられ、同日、公布され施行された。 2009年1月から、法務省が省内に「凶悪・重大事件に関する公訴時効の在り方関する省内勉強会」を立ち上げ、同年3月には中間報告(論点整理)を行い、同年7月15日には最終意見書「凶悪・重大事件の公訴時効の在り方について~制度見直しの方向性~」を発表し、そこで、殺人罪などの重大な生命侵害犯について公訴時効の廃止と、それ以外の罪についても公訴時効の延長を求めた。 これは、自民党・公明党政権下のことであったが、その後の衆議院選挙で民主党が勝利し、民主党に政権交代した後
東京都知事である石原慎太郎は、東京都議会に対して、「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案」(以下「青少年健全育成条例改正案」という)と「インターネット端末利用営業の規制に関する条例案」(以下「ネットカフェ等規制条例案」という)を提出し、東京都議会において審議が始まっている。 青少年健全育成条例改正案は、フィルタリングの利用と児童ポルノ関係の規制の拡大強化を図る点に特徴があり、ネットカフェ等規制条例案は、いわゆるネットカフェについて、利用者の本人確認等を求めて規制を強化する内容であるが、いずれも全国の都道府県にはない規制を新たに導入しようとするものであり、問題が多い条例案である。 青少年健全育成条例改正案は、青少年がインターネットを利用して被害に遭うことを防止するために、フィルタリングサービスを利用することを求める内容となっている。しかしながら、現在のフィルタリング技術
司法改革の一環として検察審査会法が改正されたが、その目玉として、検察審査会が起訴相当議決をし、それに対して検察官が不起訴にし た場合でも、検察審査会が再度起訴相当と判断した場合には起訴されることになる制度が導入され、2009年5月21日から施行されていた。 明石歩道橋事故については、神戸地検が、2002年12月に、明石警察署の警察官5人を起訴したが(現在、最高裁 での審理中)、元署長と副署長の2人を嫌疑不十分として不起訴処分にしていた。 遺族が不起訴になった2人について検察審査会に申し立て、過去に2度、検察審査会が「起訴相当」を議決したが、神戸地検は結論を変えなかった(元署長はその後死亡)。 改正検察審査会が施行された後、遺族は改めて検察審査会に申し立て、神戸の検察審査会は「起訴相当」議決をしたが、神戸地検が2009年9月に不 起訴処分にしたことを受けて、神戸第二検察審査会は、2010年1
2009年5月21日に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が施行されて、裁判員裁判が始まった。2009年は「裁判員裁判」元年だったと言えよう。そこで、2009年の裁判員裁判の実施から見えてきた問題点について振り返ってみたい。 2008年中に、既に100件以上の裁判員裁判が実施され、判決が言い渡されている。 2009年に実施された裁判員裁判は、公訴事実を認めた上で量刑だけが争われる事件がほとんどであった。 共同通信のまとめによると、裁判員裁判で実刑を言い渡された被告人110人の判決と検察官の求刑を比較すると、平均は79%で、従来の相場とされる「求刑の8掛け」になっているが、求刑の90%以上が20人、求刑の半分以下が6人であり、判決にはばらつきが大きいことが指摘されている(2009年12月20日付共同通信ニュース)。 例えば、介護疲れで配偶者を殺した事案や、親族内の事件など、裁判員になった
民主党は、先の衆院選マニフェスト(政権公約)において、「警察、検察等での被疑者取り調べの全過程についてビデオ録画等による可視化を図り、公正で透明性の高い刑事司法への改革を行います。」と述べ、「取り調べでの自白の強要による冤罪を防止するため、裁判で自白の任意性について争いになった際に検証できるよう、取り調べの全過程を録音・録画することを捜査当局に義務付ける」ことなどを述べていた。 しかしながら、政権交代後、取調べの可視化は期待した程には進展していない。 これは、中井洽国家公安委員長が、就任会見以来、「一方的な可視化だけでは済まない」と述べて、おとり捜査や司法取引などの導入を併せて検討していく必要があるとの認識を示し、「捜査当局には(共犯者や余罪の)摘発率を上げる武器を持たさないといけない」などと述べていることと関係がある。まさに、閣内不統一である。 法務省は、取調可視化について、千葉景子法相
2009年10月19日、最高裁判所第二小法廷(中川了滋裁判長)は、大阪市内のホテルで警護役の組員二人に拳銃を所持させていたとして、銃刀法違反(共同所持)の罪に問われた山口組の元若頭補佐の被告人について、被告人を無罪としていた第一審、第二審の判決を破棄し、審理を大阪地裁に差し戻す判決を言い渡した(共同通信の記事)。 最高裁判所の先例としては、山口組の六代目組長が銃刀法違反(共同所持)の罪に問われた事件で、東京地裁、東京高裁で有罪判決が出され、2003年5月1日、最高裁判所が、弁護人の上告を棄却して確定した事件(スワット事件)が有名である。 この事件では、暴力団組長である被告人が、自己のボディガードらのけん銃等の所持について直接指示を下さなくても、これを確定的に認識しながら認 容し、ボディガードらと行動を共にしていたことなどの事情の下においては、被告人は拳銃所持の共謀共同正犯の罪責を負うと判断
三重県名張市で1961年に、農薬入りぶどう酒を飲んだ5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」(以下「名張事件」)について死刑判決が確定していた死刑囚が再審を請求していたが、その第7次再審請求審において、4月5日、名古屋高等裁判所(小出〓一裁判長、〓は金へんに享)は、「自白の信用性には重大な疑問があり、確定判決の有罪認定は合理的な疑いが生じている」として再審開始を決定した(東京新聞の記事)。 この事件は、逮捕された被疑者が捜査段階では自白していたが、公判段階で否認に転じ、津地方裁判所は、1964年12月に無罪を言い渡した。しかし、検察官が控訴し、名古屋高等裁判所が1969年9月に、無罪判決を破棄し、逆転の死刑判決を下し、最高裁判所も1972年6月に上告を棄却し、死刑が確定していた。 その後、死刑囚側は再審請求を繰り返したが、第6次請求までは認められず、弁護団が第7次請求をしていた。 死刑囚に再審
2009年8月3日から、東京地方裁判所(秋葉康弘裁判長)において、殺人被告事件について全国で第1号の裁判員裁判が実施され、同年6日、懲役15年(求刑懲役16年)の刑を言い渡した。 また、同年8月11日から、さいたま地方裁判所裁(田村真裁判長)において、殺人未遂被告事件について全国で第2号の裁判員裁判が実施され、同年12日、懲役4年6月(求刑懲役六年)の刑を言い渡した。 2009年9月には既に15件の裁判員裁判が予定されているが、全国第1号と第2号の裁判員裁判の実施を通して、その問題点が浮き彫りになってきた。 まず、第1に、裁判員選任のあり方である。 裁判員の選任にあたって、性差や年齢差はほとんど考慮されないことが明らかとなった。 すなわち、第1号事件では、選任時には6人中5人が女性であり、年齢差もそれほどなかった。女性の裁判員の1人は途中で体調不良のための欠席し、男性の補 充裁判員が裁判員
公訴時効については、2004年4月19日から7月30日までに法制審議会刑事法(凶悪・重大犯罪)部会が開かれて審議され、死刑に当たる罪についての公訴時効を、それまでの15年から25年に延長するなどの改正案が諮問され、同年秋の臨時国会で刑事訴訟法改正案(刑訴法250条の改正)が可決・成立し、2005年1月1日以降に発生する犯罪について新たな公訴時効が適用されている。 ところが、それからまだ数年しか経過していないにもかかわらず、昨年の秋以降、被害者遺族の中から公訴時効の撤廃を求める運動が起こり、2009年2月28日には、国内外の16事件の遺族20人が参加して、「宙(そら)の会」を結成し、時効制度の撤廃・停止の実現などを求める運動を開始し、マスコミでも大きく取り上げられた。 法務省は、2009年1月から、「凶悪・重大犯罪の公訴時効の在り方に関する省内勉強会」を開催し、同年3月末に中間とりまとめを行
政府は、戦後60年間続けてきた外国人登録制度を廃止し、「新たな在留管理制度」と「外国人住民台帳制度」を創設しようとして、今通常国会に「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案」を上程している。 「新たな在留管理制度」は、これまで地方自治体が行っていた外国人登録制度を廃止して、在留管理を国(法務省)に一元化して管理しようとするものであるが、その対象は在留資格をもつ中長期在留者だけに限定されており、短期滞在者や特別永住者は除外されることになっている。 他方、住民サービスのために地方自治体には「外国人住民台帳」が設けられることになるが、中長期在留者や特別永住者のほか、一時庇護許可者や仮滞在許可者が対象となることになっている。 問題は、いずれの制度も、いわゆる非正規滞在者、すなわち、オーバーステイ(不法滞在者
裁判員裁判を導入する「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(以下「裁判員法」という)は2009年5月21日から施行される予定である【5月21日から施行されている】。 裁判員制度に批判的な超党派の国会議員でつくる「裁判員制度を問い直す議員連盟」は、議員立法で「施行時期は法律で別途定める日まで延期」するこ とを内容とする凍結法案を、5月の連休明けにも提出する方針を決めているが、これによって裁判員制度が凍結される可能性は低いと言わざるを得ず、今のとこ ろ、裁判員制度が実施されることは避けられない見通しである。 この制度には色々な問題点や欠陥があるが、ここでは、特に制度設計として大きな誤りを犯したと考えられる点について、改めて指摘しておきたい。 第1には、責任能力が争われる刑事事件を対象にした点である。 裁判員法は、裁判員裁判の対象事件を、死刑又は無期刑に当 たる罪と短期1年以上で故意の犯罪行為
一昨年の2007年に全国の裁判所で言い渡された死刑判決は46件という多数でピークを迎えたが、昨年の2008年に言い渡された死刑判決は27件で、一昨年より19件少なく、死刑判決の増加傾向が止まったと考えられていた。 ところが、今年に入って、全国の裁判所で言い渡される死刑判決がハイペースで続いている。2009年3月の第3週には3日続けて死刑判決が言い渡された(香川県坂出市の3人殺害事件、兵庫県姫路市の2人殺害事件、愛知県名古屋市の1人を殺害した「闇サイト」事件)。 その後も、架空請求詐欺グループ内の仲間割れから4人を監禁・暴行死させた事件について、第1審の東京地裁の無期懲役判決を破棄して東京高裁(長岡哲次裁判長)が死刑判決を言い渡したり(2009年3月19日)、埼玉・本庄の夫婦殺害事件について第1審のさいたま地裁の無期懲役判決を破棄して東京高裁(若原正樹裁判長)が死刑判決を言い渡す(2009年
東京都江東区のマンションで会社員の女性が殺害されてバラバラにされた事件について、殺人、死体遺棄などの罪に問われた被告人について、2009年2月18日、東京地裁(平出喜一裁判長)は、無期懲役判決を言い渡した。 この事件は、被害者一名の事件であったが、検察官は死刑を求刑し、その公判審理においても検察官の立証方法は従来とは大きく異なり、裁判員裁判を強く意識し、それを先取りしたものとして、マスコミでも大きく報道された。 そこで、今後の刑事裁判のあり方を考える上で極めて重要であると考えられるこの事件について振り返ってみたい。 まず、この事件は、公判前整理手続を実施して争点・証拠を整理した上で、2009年1月13日の初公判から計6日間の連日的開廷により、集中的に審理した。 被告人が事実を争っていなかったとはいえ、死刑求刑がされる事件の審理としては極めて短い期間で審理が行われた。 もちろん、裁判員制度が
被害者やその遺族等が、刑事裁判に直接参加して、証人尋問や被告人質問を行う被害者参加制度が、2008年12月1日から施行されており、被害者参加による刑事裁判の公判が始まっている。 2009年1月23日には、東京地方裁判所で、被害者参加による2件の刑事裁判の公判が開かれた。1件は自動車運転過失致死被告事件、もう1件は恐喝未遂、傷害被告事件だった(私は後者の事件を傍聴した)。 前者の事件を傍聴した方から聞いた話によると、前者の事件では、被害者参加人として法廷に出席したのが2人(被害者の妻と兄)、被害者参加弁護士が3人で、さらに傍聴席で関係者として6人が傍聴したという。 そして、心情に関する意見陳述(旧来から認められていた意見陳述制度)は被害者の母親が行い、被告人質問は被害者の兄が行い、弁論としての意見陳述(新たに認められた意見陳述制度)は被害者の妻が行った。 被告人質問の際に、被害者参加人である
2008年9月21日のお昼過ぎころ、千葉県東金市の道路脇で、全裸で倒れている5歳の保育園児が発見されて病院に搬送されたが、死亡が確認された。 この事件について、しばらく犯人が見つからない状況が続いていたが、千葉県警東金警察署の捜査本部は、同年12月6日朝から、現場近くに住む若い男性に任意同行を求め、死体遺棄容疑で事情聴取を始め、その男性の自宅の捜索も行い、その男性を死体遺棄容疑の被疑者として逮捕した。 その男性は、被害者の衣服などが入れられて捨てられていたレジ袋がみつかったマンションに住んでいる男性だった。 逮捕後の警察の記者会見においては、被疑者が精神発達遅滞と診断されていることから、記者発表資料では匿名としたが、事案の重大性を考慮するとして、口頭で実名を明らかにしたという。 そのため、マスコミは、被疑者について、実名報道主義に基づき、住所、氏名、年齢及び顔写真を大きく報道した。テレビで
1981年にアメリカのロサンゼルスで発生した銃撃事件(いわゆる「ロス疑惑」事件)についての逮捕状に基づいて、2008年2月、サイパンに旅行中の三浦和義さんが突然に拘束された。 以後、サイパンでの移送裁判や人身保護請求裁判などで、アメリカへの移送に抵抗しつつ、ロサンゼルスでの逮捕状無効の申立てを行い、殺人罪と殺人の共謀罪の二つの訴因による逮捕状の有効性を徹底的に争っていた。 ロサンゼルス郡地裁は、2008年9月26日、殺人容疑の逮捕状を無効とするとともに、殺人の共謀罪での訴追を有効とする決定を下した。この決定を受けて、2008年10月10日、三浦さんはサイパンからロサンゼルスへ移送され、ロス市警の留置場に収容された。2008年10月14日には罪状認否の手続がロス郡地裁に出頭する予定となっていた。 ところが、収容後あまり時間が経たない内に、「自殺」を図ったとして病院に搬送されて死亡が確認された
共謀罪法案のことは、世間ではほとんどもう終わったものと認識されていると思われるが、今年の通常国会においても、廃案になったのではなく、継続審議となっている。 東京都内でG8司法・内務大臣会議が2008年6月11日から13日まで開催され、その総括宣言の「国際組織犯罪に対抗するユニバーサル・ネットワークの構築」の項目の中で、「国際組織犯罪及び国際テロは、全世界的な取組を必要とする全世界的な課題である。G8のみならず、世界中の国が、これらとより効果的に取り組むための普遍的な法的文書――すなわち国際組織犯罪防止条約及び付属議定書、国連腐敗防止条約、13のテロ防止関連条約及び付属議定書、サイバー犯罪条約――を批准し、全面的に実施することが不可欠である。我々は、これらの批准及び実施を促進する上で、G8のリーダーシップが重要であることを、改めて確認する。」との内容が盛り込まれている。議長国である日本が、共
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