サミュエル・ボウルズ, ハーバート・ギンタス『協力する種:制度と心の共進化』竹澤正哲, 大槻久, 高橋伸幸, 稲葉美里, 波多野礼佳訳, NTT出版, 2017. 人間における「協力行動」の発生を理論的に検証するという試み。最後通牒ゲーム(この邦訳では「最後通告ゲーム」と表記)などの実験結果や文化人類学など実証研究への参照はあるが、基本的には協力行動を促す遺伝子が優勢となる理論モデルの検討に頁が割かれている。延々と数式を展開しての説明が続くので、読むのはかなりしんどい。最初に訳者解説を読んだほうがよいだろう。原書はA cooperative species: Human reciprocity and its evolution (Princeton University Press, 2011.)。 結論としては「内集団びいきの利他主義は進化しうる」ということのようだ。無差別な利他主義者