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中東情勢
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ごく最近、会社法のある教科書を読んでいて、「ナカリセバ価格」という文字が目に飛び込んできた。問題となっているのは、組織再編等における反対株主からの株式買取請求権が行使された際の当該株式の買取価格たるべき公正な価格についての議論である。私は、この言葉はその教科書独特の言い回しだと思っていたら、なんと、その後ごく最近買取請求に関する最高裁の判例が登場し、この「ナカリセバ価格」という言葉が使われていたのには驚いた。私は知らなかったが、おそらく、会社法の専門家の間では普通に使われている言葉なのであろう。 旧法時代は、買取価格について、「決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格」としていたのを、新法で単に「公正な価格」と改正し、その趣旨はシナジー効果を見込むべきであるからだとされている。しかし、シナジー効果が生じないような組織再編の場合の公正な価格は、結局旧法同様に、組織再編がなければ有すべき公正
先週の投稿に引き続き、高プロに関してもう一言。 先日、高度プロフェッショナル(高プロ)制度による労働について、その撤回権を認める修正を加えた上で、働き方改革関連法案が衆議院の厚生労働委員会で可決がされた。衆議院本会議での採決は明日であろうか。 この、撤回に関する修正条項の内容を、衆議院のホームページで確認することができた。が、その内容を見て、少々驚きを禁じ得なかった。 マスコミ報道などでは、いかにも高プロでの労働が始まっても、その労働者の意思でいつでも撤回できるかの如くの報道に感じたが、修正案は、撤回に関する手続は高プロ導入の際の労使委員会の議決において定めることになっている。 この規定ぶりだと、どのような場合にどのようにして撤回できるのかは、労使委員会において定めることになりそうである。そうすると、その定め方如何によっては、労働者の意思でいつでも撤回できるというわけではない可能性も十分に
民事執行法81条に関する法定地上権で、最近、おもしろい判例が登場した。 事案を単純化すると、次のような事案である。 債権者が債務者所有の建物のみに仮差押えをかけた後、本執行に移行した事案で、仮差押えの登記がなされた時には建物とその敷地の所有者は同一であったが、本執行移行時には土地は贈与された後で、土地と建物の所有者が違っていたという事案である。この場合に民事執行法81条所定の法定地上権が成立するか否か、である。 民事執行法81条の法定地上権の成立要件は、土地と建物が債務者の所有に属する場合で、その土地または建物に差押えがなされ、競売により所有者を異にするに至ったことが必要である。 上記事案を愚直にこれに当てはめると、本執行時である差押えの登記時は、土地の所有者は債務者ではなくなっているので、法定地上権は成立しないという解釈もありえそうである。現実に、つい先日の判例の原審はそのように判断した
昨年末に、おもしろい事件の相談を受けた。翻訳権10年留保に関する問題である。 著作権の一内容として、翻訳権がある。著作権者以外の者が無断で著作物を翻訳してはいけないのである。ところがこれには一つ例外がある。それが翻訳権10年留保といわれる問題である。翻訳に関する事柄なので、特に問題となるのは海外著作の小説などの外国言語の著作物を日本語に翻訳することであろう。
以上は、あくまでも会社法の改正に限っての問題である。 何を言いたいかというと、会社法上は以上のような方法で発行できるようになるとしても、上場会社が募集株式を発行する場合、金融商品取引法上の「募集」に該当する可能性があり、有価証券届出書の届出の必要性が生じる可能性がある。税制上の問題も当然残る。なので、会社法のみを意識したのでは、片手落ちになってしまうのである。 現状でいうと、例えば、取締役の報酬として上場株式そのものを何の条件もなく付与しようとすると、付与総額が1億円を超える限り、有価証券届出書の届出が必要になってくるはずである。届出が免除されるためには、一定の期間、市場で売却できないような措置をとる必要があるらしい。なので、その仕組みを構築するのに結構工夫がいる。課税の繰り延べについても、今のところ従前通り要件は厳しい。 今後、これらも改正されるのか否かについても、注意する必要があるのか
私が見る限り、監査等委員会設置会社と従前の監査役会設置会社との大きな点での違いは、既に述べた3つだけである。その他細かい点はまだよく見てないが、仮に第3の相違点があまり機能しないとすると、単に「監査役会」を「監査等委員会」に置き換えてることを前提に考えれば、大きな間違いはないのではないかと思う。 その上で、監査役会設置会社との目立った違いを考えると、監査等委員会の委員は「監査役」ではなく「取締役」であることと、取締役(監査委員会の委員も含めて)の任期の点だけということになりそうである。 この、「監査等委員会設置会社」の仕組みは、今回の改正の目玉の一つとされているが、以上のように監査役会設置会社とそれ程大きく違う仕組みとは思えない仕組みだとすると、以前のブログでも述べたように、海外の目から見た場合の「監査役」という仕組みのわかりにくさの解消ということそのものが主眼なのでしかないのかもしれない
既に述べたように、二人が致死量の毒を盛った場合は、「p1がなければqなし」にはならないし、「p2がなければqなし」ともならない。裏が成立しないのである。これは、私に言わせれば、数学論理的に、「命題」に対する「裏」が必ずしも真ではないことに由来するものと思っており、「裏」からの説明の限界(あるいは不十分さ)の現れなのである。 ではどうするか。 「pなければqなし」という条件式を、次のような言葉に置き換えてみたらどうか。つまり、 「qなしとするにはpがあってはならない」 あるいは 「現に生じたqという人の死を避けるには、pという行為があってはならない」 という条件式に置き換えるのである。 もっと簡単に言えば「qなければpなし」ということであり、上記条件式は、これを因果関係的にわかりやすく表現したものである。実はこの表現は、「pなければqなし」という表現に対して「逆」の関係にあり、もっと言えば、
相対効で説明すると,詐害行為取消権を行使された結果,受益者や転得者は,債務者から取得した財産を失う結果になるにもかかわらず,その効力は当事者限りと説明することから,買主である受益者,転得者は,売主に対して追脱担保責任を追及することができないなどと,まことしやかに説明されることがある。しかし,それが本当に妥当だろうか。悪意の受益者,転得者は,詐害行為取消権を行使された結果,譲り受けた不動産等の財産を現に失うのである。いくら相対効だと言ってみても,財産を失う羽目になる受益者,転得者が到底納得できる話ではないはずである。相対効だとしても,受益者や転得者から債務者に対して不当利得返還請求権があるとも説明される場合があるが,債務者は無資力だからこそ,詐害行為取消権の行使が可能なのである。その債務者に対して不当利得返還請求権があったとしても,ほとんどの場合,空手形のようなものである。 絶対効だとすれば
詐害行為取消権に関する続きです。 不動産の廉価売却を例にする。債務者Bが受益者Cに不動産を二束三文の廉価で売却し,C名義の登記がなされたところ,これをBに対する債権者Aが詐害行為を理由に売買の取消しを求めて訴え,勝訴したとする。実務的には,その判決では,売買の取消と,所有権移転登記の抹消が宣言されることになり(AのBに対する金銭の支払いを求める訴えも併合提起し,同じ判決で同時にBに対する債務名義を得ておく場合も,実務的には多い),この判決に基づき,C名義となった登記をB名義に戻し,その上でB名義に戻った不動産をAが差し押さえることになる。これは,詐害行為取消訴訟の実務で,もっとも典型的な例だと思われる。 この事例の,どこで相対効理論が生かされているのであろうか。よくいわれることであるが,受益者名義の登記を債務者名義に戻してしまう以上,絶対的効力を認めたのと大して変わらないはずである。強いて
詐害行為取消権の法的性質について,教科書のレベルでは,形成権説,請求権説,折衷説の争いがあり,判例,通説は折衷説であると説明される。そして,条文上は「法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。」となっているだけであるにもかかわらず,折衷説の中身については,詐害行為たる法律行為を取り消す権利だけでなく,逸失した財産を取り戻す権利まで詐害行為取消権の中身として説明されている(もっとも,だからこそ,折衷説なのではあるが。)。しかも,分かりにくいことに,取消しの効果は取消権者(債権者)と受益者,転得者との間の相対的な効力でしかないという。そのため,現に詐害行為を行った債務者に対しては,取消しの効力が及ばないというのである。 この「折衷説+相対効」は,多くの批判がありながらも,明治時代から現在に至るまでの確定判例であり,今さらさらにこれを批判してみたとしても,どうなるわけでもないであろう。が,
こうした問題は、区画整理における賦課金の問題に限ったことではない。 例えば、土地や建物に対して課税される固定資産税の納税義務者は、1月1日現在の登記上の名義人に課税される。これは地方税法で決まっている。そのため、不動産の売買が年末ぎりぎりに行われ、登記が1月1日に間に合わないような場合、固定資産税は1月1日現在の登記名義人に課税される以上、売主に課税されるということになる。しかし、実体は登記手続が間に合わないと言うだけのことであって、真の所有者は買主に既に移転しているのである。それでも法律上は売主に対して固定資産税が賦課される。 この場合に、売主から買主に対して賦課された固定資産税相当額の返還を求めることができるかどうかは、地方税法には何も規定していない。 しかし、なぜ登記名義人が納税義務者となっているかを考えると、それは単に課税庁の便宜のためでしかないことは、容易に理解できるはずである。
昨日、債権法改正に関する弁護士会主催の研修会が、霞ヶ関にある弁護士会館で行われた。 研修会の前半は、法制審議会の委員である学者による講演であった。 冒頭でまず、債務不履行に基づく損害賠償についての説明があったのだが、その説明では、債務不履行責任につき、「責めに帰すべき事由」という言葉を残した、そのためいろいろと噂されているような過失責任主義を放棄するようなことはない、安心してほしい、という説明があった。そして、昨日の講演を聴いた中での私の理解では、「契約の趣旨に照らして」とは、その過失の内容を、契約の趣旨に照らして判断することを意味するのだという。 なるほど、分かったような説明である。 しかし、中間試案の概要では、「『責めに帰すべき事由』という文言を維持して、債務不履行の原因につき債務者がそのリスクを負担すべきだったと評価できるか否かによって免責の可否を判断する旨をしめすものとしている。」
法改正によってリスク引受責任のような考え方を導入しようというのであれば、正々堂々と民法(債権法)改正検討委員会で用いられていたような「契約により引き受けていなかった事由」として改正案を提示すべきであり、従来、帰責性と解釈されていた「責めに帰することのできない事由」という文言をそのまま使って、ただ枕句言葉を付けただけで、リスク引受責任と解釈すると言ったようなごまかしは、ずるいというほかはない。 いや、ずるいと言うだけの問題ではない。 『「責めに帰すべき」何々』という法律文言は、民法だけでなく、結構いっぱいある。総務省が運営するホームページである電子政府の総合窓口に、法令データ提供システムというのがあるが、その法令用語検索で「責めに帰すべき」という文言で検索すると、25年3月1日時点でのデータに基づくが、何と76件もの法令が検索できる。現行民法も当然そのうちの一つなのだが、これらの文言は、おそ
2年前にパブリックコメントが行われた中間的な論点整理の段階では、「債務者の責めに帰すべき事由」についての意味や規定のあり方が検討事項とされ、その解説の中で、「契約により引き受けていない事由」という文言に変えることが示唆されていたところであった。 ちなみに、この「契約により引き受けていない事由」は、法制審議会での審議が始まる前の、「民法(債権法)改正検討委員会」なる場で、帰責性に変えるべき文言として議論されていた文言であり、帰責性という過失責任を前提としたものから、帰責性を問題としない「リスクの引受責任」という概念に変更することが議論されていたところであった。中間的な論点整理はこれを引き継ぐことが示唆されていたのである。 以上のような経過の中、その後の法制審議会の議論において、結局はこの「契約により引き受けていない事由」という文言を使わずに、「債務者の責めに帰することのできない事由」という従
例えば、一審において仮執行宣言付判決で敗訴した被告側が、上訴をすると同時に担保を提供して強制執行停止の決定を得たものの、結局上訴も棄却され敗訴判決が確定した場合、担保はどうなるか。 この事例で、まず、そもそも原告側では、強制執行が停止されたことによる損害賠償請求権を有することを確認する確定判決(あるいは、上記判旨で言えば、供託金還付請求権を有することを確認する確定判決)に基づいて還付請求権を行使でき、そうなれば、担保を取り消すことはできない。 他方で、訴訟の完結後、原告側が権利行使をしていない場合どうなるか。 この場合、担保を提供した被告側で、裁判所に対し、一定期間内に権利行使するよう催告の申立をし、原告がこの期間内に権利行使をしないときは、担保取消に同意したものと見なされ、担保取消決定がなされる。これは民事訴訟法79条3項に定める担保取消の手続である。いわゆる、権利行使催告による担保取消
まず一つは、一般的に、担保のための供託金還付請求権をどのようにして行使できるかという点に絡む。ここで重要なのは、本件判例の事案が、執行停止のための担保の事案だということと、二つ目として供託者が更生会社になっているという点である。 判旨は、一つ目の問題点として被供託者が供託金還付請求権を有することを確認する確定判決の謄本を供託物払渡請求書に添付することによって供託金の還付を受けることができるという。そして、二つ目の問題点として誰を相手として供託金還付請求権確認訴訟を提起するかというと、管財人を被告とした訴訟だという。ただ、一つ目の問題点と二つ目の問題点は、絡み合っている部分もあるかもしれない。私は、一つ目の問題点を重視している。 そもそも、裁判上の担保が提供された場合の権利行使方法について、民事訴訟法には何も規定はない。 この点、原則規定である訴訟費用の担保に対する権利行使方法についていえば
実は、現行民事訴訟法は平成8年に全面改正となっているが、改正前の旧民事訴訟法113条では、「供託したる金銭……の上に質権者と同一の権利を有する」と規定されていた。このような規定ぶりだと、供託金還付請求権は債権質と見ざるを得ない可能性が高くなり、会社更生法上は更生担保権としか解釈し得ない可能性が高くなる。ところが、現行民事訴訟法77条は、単に「他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。」と規定するのみで、意識的に質権構成を除外しているといえるのである。 しかし、では現行法上、供託金還付請求権を行使することによる優先弁済が受けられることの法的性質についてどうなのかというと、教科書レベルではよく分からないし、これまでこの点が問題となることがおそらくなかったであろうから、意識する必要もなかったのであろう。 これを会社更生法上は203条2項の「更生会社と共に債務を負担する者に対して有する権利」の問
ところで、これら裁判上の担保の法的性質に関して非常に重要と思われる最高裁の判例が登場した。 事案は、仮執行宣言付判決に対して、執行停止のために供託の方法で担保を提供した事案である。担保提供した会社が会社更生法の適用となって更生会社となったが、債権者側は、仮執行宣言付判決の内容たる権利については更生債権としての届出をしたものの、執行停止の担保として提供した供託金で担保される損害賠償請求権については、何ら届出なかったという。そのため、更生計画認可決定の確定により、損害賠償請求権は失権したたために、担保の事由が消滅したとして、更生会社が担保取消の申立をしたという事案である。 原決定は、損害賠償請求権は更生担保権であるが、届出のない更生担保権は更生計画認可決定の確定で失権するため、担保の事由が消滅したとして担保取消決定をしたのに対し、最高裁は、これを破棄して担保取消の申立を却下した。 最高裁が何と
広い意味で民事訴訟の手続の中で、担保の提供が必要となる場面がいくつかある。 担保の提供に関する民事訴訟法上の基本規定は、訴訟費用の担保に関する民事訴訟法75条以下である。この規定は、他の法令によって訴えの提起について担保を立てる必要がある場合に準用され(民事訴訟法81条)、具体的には会社の組織に関する訴えにおける担保(会社法836条)がある。 ほかに仮執行宣言の際の担保(民事訴訟法259条1項、2項、控訴審判決においては同法310条但書、少額訴訟においては同法376条1項)、仮執行免脱宣言における担保(同条3項)、執行停止の裁判における担保(同法403条)、民事執行法上の担保(民事執行法15条)、民事保全における担保(民事保全法4条)がある。これらの担保についても、訴訟費用の担保の規定が準用されている。そのため、訴訟費用の担保に関する規定は、広い意味での民事訴訟の手続における担保提供の基本
先般、親しくさせて頂いている民法学者から聞いたのだが、債権法改正の中間試案に関して、債務不履行に基づく損害賠償請求に関する部分の解説がおかしいというのである。要は、損害賠償の免責事由として、「債務者の責めに帰することのできない事由」というのが規定されているのだが、その解説が、リスクの引受責任を意味すると解説しているというのである。 そこで、中間試案の概要の該当部分を見ると、確かに、『同条後段の「責めに帰すべき事由」という文言を維持して,債務不履行の原因につき債務者がそのリスクを負担すべきだったと評価できるか否かによって免責の可否を判断する旨を示すものとしている。』という解説になっている。ちなみに、『同条後段』とは、現行民法415条後段を意味している。 さらに補足説明を見ると、「債務者の責めに帰することのできない事由」との文言に対する修飾語として、「契約の趣旨に照らして」という枕詞を入れるこ
自民党は、今週中にでも内閣不信任案を衆議院に提出するのだろうか。これが可決されたら、総理に解散を進言すると公言する政府関係者もいる。 ところで、もしそうなると、現行の定数配分のまま選挙するのだろうか。 前回の衆議院選挙については、一票の価値の平等について、つい最近、最高裁がいわゆる違憲状態判決を言い渡した。それにもかかわらず、このまま解散総選挙となると、違憲状態の定数配分に従って選挙を行うことになる。そのようなことが望ましいはずがない。 もちろん、内閣と国会の連携と均衡を考えた場合、定数が是正されていないという理由で衆議院による内閣不信任や、対抗手段としての衆議院の解散権限を制限することが正しいとは思わない。しかし、だからこそ、早急な定数配分の見直しをすべきだと思うのだが、マスコミ報道を見てる限り、定数是正に向けた表だった動きはないようである。 震災の被災地域においては、地方選挙も延期にな
公開会社の定義(会社法2条5号)にいたっては、明らかにおかしいといわざるを得ないと思うのである。 公開会社の定義を一言で言えば、「非公開会社でないもの」と、裏から規定されているので、非常にわかりにくくなっている。では、この「裏」に当たる非公開会社とは何か。教科書では一般に、全株式譲渡制限会社が非公開会社であり、従って、「表」にあたる公開会社は一部でも譲渡制限のない株式を発行している株式会社であれば、すべて公開会社であると説明される。 しかし、会社法2条5号の「裏」の方を良く読んでもらいたい。「裏」の方に「『全部又は一部』の株式が譲渡制限株式の定款の定め」と読めるではないか。つまり、一部譲渡制限株式を発行する会社は、非公開会社であると、会社法2条5号には書いてあるように読めるのである。私の読み方に間違いはないと思うが、いかがであろうか。 私の指摘どおりだとすれば、これは立法のミスである。立法
会社法における定義規定においても、?と思うものがあり、こちらの方は、害もありそうなのである。 まずは、それほど害のなさそうなものとして、「会社」そのものの定義である。 会社法2条1号では、会社とは、「株式会社、合名会社、合資会社、合同会社をいう。」となっている。この定義は、いままでの私の議論からすると、確かに「会社」の要件を「定義」としているので、論理的ではある。が、定義として非常に無内容なものとなっている。 旧商法における会社の定義は、会社とは商行為をなすを業とする目的を持って設立した社団をいう(旧商法52条1項)、ということであった。そして、この会社は、合名会社、合資会社、株式会社の三種類とするとして(旧商法53条)、会社の種類は会社の定義を要件論的にさらに絞り込む意味しか持たせていなかった。この絞り込みのための規定が、新法では「定義」になってしまったのである。 おそらく、民事会社とい
破産管財人の定義(破産法2条12号)も同じような側面がある。このことも、保全管理人の定義(破産法2条13号)と比べれば、一目瞭然である。破産管財人の要件論としての定義は、破産手続開始決定により裁判所が破産管財人として選任した者、というような表現になるはずである。破産法2条12号は、効果を説明しているだけである。 結局、財団債権や破産管財人のような定義規定を設けるならば、定義規定として規律するよりは、旧破産法のように別条文として効果を規定する方が素直のような気がするのである。 もっとも、法律論は、数学的厳密性を要求されるわけではないので、「定義」を何が重要なのかという点から説明し、そのために効果面から説明したからといって、ことさらに何か「害」があるわけではないであろうし、仮に定義規定を設けるとすれば、財団債権の定義や破産管財人の定義のような、実際の制定法のような定義をしたくなる気持ちも、全く
まずは、破産法における財団債権の定義である(破産法2条7号)。「破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう。」とある。新破産法制定時にこの条文を見て、私はやや違和感を覚えた。なぜなら、この定義内容は、どう考えても、本来の意味での「定義」ではないからである。 「定義」であるとすれば、その意味は一義的でなければならず、法律論的にいえば、定義される言葉(すなわち「財団債権」)の構成要件でなければならないはずなのである。別の言い方をすれば、「定義」は、定義される言葉の「要件」か「効果」かといわれれば、当然「要件」でなければならない。ところが、この財団債権の定義は、「効果」を説明したものである。 このことは、破産債権の定義(破産法2条5号)と比較すれば、私の述べていることの意味がわかるはずである。仮に、破産債権の定義を財団債権の定義と同じように定義するとすれば、例えば、「
私が定義規定で一番問題としたいのが、「社債」の定義(会社法2条23号)である。 旧法時代には、社債についての定義規定は存在せず、一般には「公衆に対する起債によって生じた株式会社に対する金銭債権であって、有価証券が発行されるもの」というような定義で説明されていたと思う。新法では全く違っており、会社法2条23号では、「この法律の規定により会社が行う割り当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第676条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。」となっている。 この規定の意味であるが、立法者としては、まず「会社」が行うものであることから、外国会社が発行する債権(債券?)は「社債」ではないこと、さらに会社法676条の規定が適用されることを前提としているので、外国法を準拠法として発行する債権(債券?)は、たとえ会社が発行するものであっても「社債」ではないことを、意識
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