Jobsは一言でいうなら、美しい機械を作る人だった。造作が美しく、動作が美しかった。しかもその美しさは常にある種の衝撃を伴っていた。コンピューターの宿命で三年もするとスペック的に不足が出て買い替えることになる訳だが、今まで使っていた機械の美しさに対する未練と、買い替えるであろう機械の美しさへの飢えで引き裂かれるのは、毎回、この上ない快感だった。 macのユーザーはよく信者と呼ばれる訳だが、少なくとも私の場合、macへの傾倒は宗教的というよりは美的なものだった。その美しさはいつでもごく単純なものではあったが、macの単純な美しさに他のどのメーカーも到達できないところからすれば、おそらく、単純に美しい機械を作るのは余程難しいことなのだろう。 素晴らしい機械をありがとう、Mr. Jobs。