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農産物や水産物の産地偽装が後を絶ちません。つい先頃も、熊本県産と偽装されたアサリが大きな問題になりました。そこには、消費者を騙すという問題の他に、国産品が先細っていくという問題もあります。どうすれば産地偽装をなくすことができるのか、考える必要があります。 熊本県産アサリの産地偽装問題 2022年1月、テレビ局が熊本県産アサリの産地偽装問題を報道したことがきっかけで、農水省が調査に動くなど、大きな問題になりました。 アサリのDNAを調べた結果、熊本県産と表示されたアサリの、実に97%は熊本県産ではないことがわかりました。 水産物は、獲った水域か水揚げ港の都道府県名などを産地として表示する決まりです。輸入物の場合は、原産国を産地と表示します。 ただし、養殖物を複数の場所で畜養した場合は、最も長い期間畜養した場所を産地として表示することになっています。それは、「長いところルール」と呼ばれています
近年、国際的に漁業資源保護の意識が高まっています。しかし、漁業規制を定めても各国間で温度差があり、なかなか守られないのが実情です。その中で、EUでは共通漁業政策(CFP)が上手く運用されていると言われます。EUの政策とはどういうもので、それは、なぜ成功しているのでしょう。 漁業資源を保護するためには各国の合意が必要 日本人にとって、サンマは秋を代表する味覚のひとつです。ところが、ここ数年、不漁が続いているという報道に触れ、不安に思っている人も多いのではないでしょうか。 不漁の理由は大きくふたつあり、ひとつは、温暖化の影響で海水温が変わり、サンマの回遊ルートが変わったことと言われます。つまり、日本近海にサンマが来なくなったのです。CO2などの温暖化ガスの排出問題は、漁業にも影響を与えているのです。 もうひとつは、サンマの国際的な漁業規制がまとまらず、いわば、獲り放題の状態になっていることです
>>英語版はこちら(English) 台湾は世界で最も親日的な国だと言われます。そのためか、日本からの観光客が非常に多い国です。でも、日本が統治した歴史があるのに、なぜ親日的なのでしょうか。台湾の観光に関する情報は溢れているのに、それ以外の情報が少なく、日本人は台湾に対する理解が不足していると言います。 台湾の先住民はオーストロネシア語族 1月11日に、台湾の総統選挙があり、民進党の蔡英文が再選されたことは、日本でも大きく報道されました。それは、中台統一を目指す中国に対する、台湾の人たちの明確な拒否の表れであったからです。 でも、日本では、その背景や意義についてあまり知られていないように感じられます。 もう少し理解を深めることで、日本にとって最も身近な国のひとつである台湾の魅力が、もっとわかってくるのではないかと思います。 江戸時代までは、日本は台湾を高砂国と呼んでいました。 その関係は古
歴史資料には真贋論争が起こることがあります。弥生時代に、日本の国王が中国の皇帝から授かったといわれる「漢委奴國王」金印もそのひとつです。そこで、いま実際にある金印という資料そのものを詳細に検討し、確かな情報を提供する研究が、本学の教授によって行われました。 「漢委奴國王」金印は江戸時代に作られたのか? 「漢委奴國王」金印は、日本史の教科書に必ず登場するので、多くの人によく知られた歴史資料だと思います。 そもそも、AD1世紀から3世紀にかけて中国を治めた後漢の時代の出来事を記した「後漢書」の中に、建武中元二年(西暦57年)に、日本(倭)の奴という国から貢ぎ物を持った使いが来た、という内容の記載があります。 それに対して、ときの光武帝は印綬を授けたとあります。印とは、はんこのことで、綬とははんこに通す紐のことです。 つまり、弥生時代の日本人が中国まで行き、皇帝と交渉したということで、これは、日
>>英語版はこちら(English)いま、私たちの周りには発酵食品がたくさんあります。味噌や醤油をはじめ、納豆や漬物、ヨーグルトやチーズなど。発酵食品は世界中の国、民族にありますが、そのなかでも、日本の発酵食品の文化は豊かだと言います。さらに、発酵食品をもたらしてくれる微生物を食品以外の分野にも応用していく技術が研究されています。 食べ物を保存したいという思いから始まった発酵食品づくり 発酵とはなにかと言うと、一般には、食材にカビや細菌などの微生物が生えて、その食材をより美味しくすることだと思われていますが、専門用語としての「発酵」の定義は、微生物が酸素を使わずに有機物を分解してエネルギーを得る反応のことです。 しかし、一般の人々は、食材を熟成して美味しくなることが発酵で、臭くなると腐っているとか、腐敗と言いますね。それは人間の都合による区別であり、微生物の活動としては何ら変わりありません
>>英語版はこちら(English) 日本では1990年代後半以降、出版市場の縮小が続き、出版不況と言われています。その要因として、人々の活字離れや、電子書籍の台頭、図書館の本の貸し出しなどが指摘されますが、本当にそうなのでしょうか。むしろ、再販売価格維持制度をはじめとする出版産業の制度や慣習に問題がある、という指摘があります。 国によって異なる再販売価格維持制度 日本の出版市場は年々減少し続けています。紙の出版物の販売額は1996年をピークに、最近では、その半分にまで落ち込んでいます。 一方、アメリカやヨーロッパの国々の出版市場は、90年代以降も堅調に推移し、近年、縮小が見られるものの、日本ほどの減少ではありません。 日本と各国の出版産業の違いとして、まず、挙げられるのが、再販売価格維持制度です。 日本では、書籍カバーに価格が印刷されていますが、スーパーで売られている日用品などの本体に価
>>英語版はこちら(English) 消費税が10%に上がりましたが、それまでの間、軽減税率や還元ポイント導入の議論が盛んに行われました。しかし、財政学の観点からいえば、軽減税率は非常に非効率な制度です。なぜ、軽減税率の議論が盛んだったのか、それは、税本来の議論が尽くされず、その意義が見失われているからです。 税金の制度を決めるのは民主主義 国の税金の課税制度や使い途は、国会で審議されて決められることは、誰もが知っています。ところが、税金は強制的に徴収されるだけで、自分とは関係のないところに使われていると、私たちは思いがちです。 それは、日本では、「財政民主主義」がきちんと機能していないからかもしれません。 一般に、「量入制出」という言葉があります。「入るを量りて、出づるを制す」という意味で、例えば、毎月入る給料を考えて、その範囲内で支出しよう、ということです。 しかし、財政では、「量出制
最近、うつ病が増えているといわれます。事実、厚生労働省の調査によると、気分障害患者数は1996年には43.3万人でしたが、2008年には104.1万人になっています。うつ病は自殺に至るケースもあります。自分にうつ病の疑いを感じたとき、どのように対処すれば良いのでしょうか。 早めに援助を求めることは立派な能力 私は、本学駿河台キャンパスのアカデミーコモンにある心理臨床センターで、センター長を務めています。当センターでは、一般の方々の心の健康に関する悩みや相談をお受けしていますが、最近、うつ状態になり、やる気が出ないというビジネスパーソンの相談が増えています。 うつ病には様々な要因がありますが、まじめで責任感の強いタイプの方ほど罹りやすい傾向があります。このようなタイプの方は、仕事がうまくいかないときに、「自分が悪い」、「自分のせいだ」と思い、問題を一人で抱え込み、自分の力で何とかしようと頑張
草案を起草したGHQのメンバーは、日本の憲法研究会案を参照していた 憲法改正を主張する政党や政治団体等が改憲にこだわる理由のひとつは、日本国憲法が、第二次世界大戦後に日本を占領した連合国軍最高司令官総司令部(いわゆるGHQ)による「押しつけ憲法」だから、ということです。実は、1945年8月にポツダム宣言を受諾した後も、当時の日本政府は大日本帝国憲法(明治憲法)の基本原理(天皇主権、権力集中、基本的人権の否認)を変更する意図はありませんでした。それを知ったマッカーサーは、GHQの民政局のメンバーに指示して1946年2月初旬に憲法草案を起草させました。これをもとに、日本政府との交渉の末でき上がったのが大日本帝国憲法改正草案です。同年6月から帝国議会で議論をして、同年11月3日に日本国憲法が制定され、1947年5月3日から施行されました。 このような過程をみると、確かに「押しつけ憲法」のように感
近年、アメリカなどで増えているゲーテッド・コミュニティは、日本では、富裕層が集まって住む地域をフェンスなどで囲い、社会と隔絶したコミュニティと批判的に捉えられがちです。しかし、むしろ、これからの日本社会に必要なエリア・マネジメントのスタイルのひとつであるというのです。ゲーテッド・コミュニティの本質とは何なのか、そして、そこにはどんな可能性があるのでしょう。 ゲーテッド・コミュニティを欲しているのは富裕層ではなく中間層 「ゲーテッド・コミュニティ」のイメージ ゲーテッド・コミュニティとは、300とか500、場合によっては1000ほどの住宅のある地域を外部からアクセスできないようにフェンスなどで囲み、ゲートで、このコミュニティの居住者および、居住者から許された人しか出入りできないように制限する仕組みのコミュニティを指します。アメリカに多くありますが、中国、フィリピン、あるいは中南米などでも増え
いま、「ネット依存症」が問題になっているといいます。以前から、ネットに夢中になり、仕事や家事、勉強などに手につかないことが問題視されていましたが、それだけでなく、人の脳の構造に影響を与えているといいます。それは、どういうことでしょうか。 SNSなどへの投稿がきっかけで増長する「自己愛性パーソナリティ障害」 いまや、スマートフォンなどの携帯通信機器が普及し、持ち歩いていない人はほとんどいないのではないでしょうか。電車の中では多くの人がスマートフォンを操作しているし、スマートフォンを見つめたまま街を歩く人も少なくありません。S.タークルの『一緒にいてもスマホ』(青土社,2017年)によれば、それは日本に限ったことではなく、いま、アメリカではphubbing(ファビング)という言葉が広まっているそうで、スマートフォンに気を取られ、目の前にいる人を無視する行為を言うのだそうです。彼らはスマートフォ
いま、普天間基地の移転問題などで揺れている沖縄県には、日本全国の米軍専用施設・区域の約70%が集中しています。大きな負担であることは間違いありません。しかし、その分、国から他の都道府県とは別枠で約3,000億円の沖縄振興予算が上乗せされているとか、沖縄県経済は米軍基地に依存していると言われることもあります。果たして本当にそうなのか、客観的データを基に沖縄県の経済や財政を見ることで、正しい判断をすることができるようになります。 人口一人当たり行政サービスは低コストで実施されている 沖縄県財政を考えるにあたっては、まず、国と地方の財政関係を理解しなければなりません。沖縄県に限らず、すべての地方自治体(都道府県、市町村)に対して国から様々な補助金が交付されていることはご存じだと思います。国の予算の約3割が地方交付税、国庫支出金などとして、各地方自治体に交付されています。そのうち、地方交付税は毎年
先端の研究力、個を強くする教育、世界へ向かう人材。様々な切り口から情報を発信し、明治大学と社会を繋げるサイト – Meiji.net(メイジネット)
TPP(環太平洋経済連携協定)は、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目指した多角的なルールづくりだ。実際は、参加国のGDPの約9割を占める日本とアメリカの妥結内容が他国にも大きな影響を与える。現在、日米の交渉はコメを含む農産品と自動車の関税が争点になっているが、実はその一方で著作権などの知的財産という隠れた重要事項も入っている。国益がぶつかり合う知的財産の問題。著作権の問題をテーマに現状と今後を探った。 著作権問題は「親告罪」の日本 ――TPP交渉項目の中に、著作権をめぐる重要な問題が含まれると指摘されています。それはどういったものか、ご専門の立場から解説をお願いします。 私は著作権法制度を研究対象の一つとしています。最初に理解してもらいたいのは、日本においては、著作権侵害の刑事事件は親告罪であるということです。著作権侵害に対しては、損害賠償などを求める民事事件と、処罰を求める刑事事件
2015年4月1日、日本で初めて東京都渋谷区で「同性パートナーシップ条例(同性カップル条例、正式名称:渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例)」が施行された。これは、同性カップルに「結婚に相当する関係」を認め、証明書を発行するものだ。これまで同性カップルは、日常の生活で不当な扱いを受けてきたが、国際的な人権擁護の流れも受け、ようやく対等なスタートラインに立てたといえる。しかし、一方で根強い反対意見も多い。日本の国際化の今後を占う本条例の意義を探った。 反対運動と結び付く日本の伝統的価値観 ――4月1日、渋谷区が同性のカップルに「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行する新たな条例が成立しました。まず、先生のご見解をお聞かせください。 同性愛の話は、昨年2月から8月まで週刊東洋経済で連載していた「日本人の価値観」で取り上げたことがあります。「同性パートナーシップ条例」は、あく
はじまりは、少女マンガ 私は子供の頃からマンガを、特に少女マンガを浴びるように読んできました。4歳の時からですから、これほど少女マンガを読み続けてきた人はあまりいないのではないでしょうか。大学卒業後は書籍編集者の仕事に就きましたが、外からの依頼に応じて少女マンガを題材とした評論を書くようになると、そこから女性のセクシャリティや価値観の変遷が見えてくることに気が付きました。 たとえば、恋愛観の変化を例にとれば、そもそも恋愛というものが少女マンガで描かれるようになった60年代後半から現在に至るまでの少女マンガの世界の変化は、「性と愛と結婚の三位一体」という“ロマンティック・イデオロギー”が崩れていく過程であったといえます。たとえばかつて少女マンガで描かれる恋愛は、外国人の女の子が主人公で、恋愛は幸福な結婚へと至る道、というイメージでした。「愛する人は生涯ただ一人」の世界です。でも時代が下ってく
「70点」を目指す経済政策 私はマクロ経済政策の計量的分析を研究対象としている。マクロ経済学は、経済主体の最小単位である家計(消費者)、生産者である企業などを分析対象とするミクロ経済学とあわせて、経済理論の核となる部分である。国民所得や失業率、インフレーション、貿易収支など、経済全体に共通するマクロ経済変数の決定と変動に注目し、適切な経済指標、望ましい経済政策等、一国経済全体を考察するのが主な研究分野だ。 マクロ経済学に限らず、現代の社会科学の前提となるのが、実証分析であり検証可能性である。つまり、理論的仮説をデータや経験で確認すること、それによって理論の取捨選択を行うことが出来ることが「研究」であるための条件となっている。極端に言ってしまえば、理論だけであれば何とでも言える。たとえば税金を上げれば景気が良くなるということを理論化することも、悪くなるというモデルを作ることも簡単だ。経済政策
アメリカで感じた「世界」は一部に過ぎないと、カザフスタンで思い知った 加藤 言人 明治大学 政治経済学部 講師
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