民主党政権の混乱がやっと終わったと思ったら、今度は自民党の(昔のように)何もしない政治が始まった。最初は力を入れていた「大胆な金融緩和」に効果がないと知った首相は、増税による「景気の腰折れ」を防ぐと称して、昔のバラマキ公共事業に回帰してしまった。来年度予算は、シーリングもなしだ。 このような民主政治の前提とする「国家の主権者は合理的な個人であり、彼らの民意を正確に集計して政治に反映させる」という論理はフィクションである、と著者は断定する。実際の政治は、自律性も合理性もないできそこないの個人が付和雷同して決めるものであり、民主政治は危険な統治機構である。 さらに危険なのは、「人権」や「平等」を求めて、自分たちの正義を社会に押しつけようとする大衆人である。彼らはその人権なるものが「神から与えられた」神聖で不可侵の自然権だと主張し、このような信仰にもとづいてフランス革命が行なわれ、多数派からなる
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