映画『2001年宇宙の旅』に出てきたコンピューターは名前を「ハル=HAL」という。感情と意思を持ち、宇宙船の運航を制御するだけでは飽きたらず、やがて人間の支配をももくろむようになる◆アルファベットを1文字ずつ後ろにずらすと、「IBM」に変わる。IBMに象徴されるコンピューター万能社会への警告が秘められた命名ともいわれた◆原作者のアーサー・クラークは小説の続編『2010年宇宙の旅』でHALを作りだした科学者の口を借り、「くだらんことを!」と否定しているが、命名の通説も捨てがたい◆書籍100万冊分の知識を蓄えたIBMのスーパーコンピューターが米国のテレビ番組で人間のクイズ王2人を破り、あちらのメディアは大変な騒ぎらしい。タイム誌の特集記事には、人間の意識がコンピューターに移植され、肉体が滅んでも意識は「永遠の命」を保つようになるシナリオも紹介されたという◆どんなに賢くても、理性では人間様にかな