インドネシアで発生した暴動で、邦人退避に備え、シンガポールに向かう航空自衛隊のC130輸送機。実際には退避活動を行うことはなかった=平成10年5月、愛知県・小牧基地 「小日本(シャオリーベン)(日本人の蔑称)を殺し尽くせ」「東京を血で洗え」 沖縄県・尖閣諸島の国有化を機に中国全土に広がった9月の反日デモ。過激なプラカードの言葉にあおられるかのように一部が暴徒化し、日系のデパートや自動車販売店を襲撃、上海では邦人に負傷者も出た。 「実際に『殺せ』といわれる恐怖感は、現地にいる者にしか分からない」 中国での勤務経験が長い大手商社幹部はこう漏らす。中国各地に事務所を置くこの商社は、国有化と同時に暴動発生を予想。出張自粛や公共交通機関の利用中止を指示する一方、安全情報の収集に追われた。 中国では2005(平成17)年4月にも、小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝を理由にデモが起きた。だが、商社幹部