準天頂衛星「みちびき」は、米のGPS(全地球測位システム)を補完する初の国産測位衛星として産業や防災への幅広い利用が期待される。政府はH2Aロケットの実績を基に、衛星の開発・打ち上げ・運用を海外に売り込む構想を「新成長戦略」に盛り込んでおり、今回の成功で衛星ビジネス参入に弾みがつきそうだ。しかし2号機以降の続行を含め、長期的な戦略は不透明だ。 みちびきは順調にいけば年末から101社58件の利用実験が始まる。携帯電話に専用の小型アンテナを挿入するだけで、従来のGPSの精度が大幅に高まり、道路の左右どちら側の歩道にいるかさえ地図上で判別できるようになる。 だが、みちびきが機能を発揮するには最低3基が不可欠。当初の官民共同開発が頓挫した影響で、2号機以降は未定のままだ。政府は続行の可否について結論を来夏までに出す方針だが、3基体制にはさらに約700億円が必要となる見通し。宇宙航空研究開発機構(J