橋下徹大阪市長が提唱する「大阪都」構想を実現するための法案が衆院で審議入りした。 民主、自民、公明など与野党7会派が共同提出しており、今国会で成立する見通しだ。 だが、構想の実現によって、どのように大阪が活性化し、住民サービスが向上するのかは、いまだに見えてこない。橋下氏は構想が「強い大阪」にどう結びつくのかを明確にする必要がある。 法案は既存の政令市などを東京23区のような「特別区」に再編できるようにする内容だ。区長や区議が選挙で選ばれ、区ごとの予算編成も可能となる。地方自治の選択肢が広がる意義はある。 与野党が「橋下氏率いる大阪維新の会を次期衆院選で敵にしたくない」という政治的思惑で法案提出を急いだ結果、問題点や疑問点は詰められないまま残った。 最大の問題点は、特別区への再編によって、むしろ行政や議会の肥大化につながる恐れがあることだ。「大阪都」構想は府市二重行政の解消が大きな目的だ。