橋下徹大阪市長は、体罰問題が起きた市立桜宮高校体育系2科の入試を中止させる方針を打ち出したが、本末転倒の措置と言わざるをえない。 橋下氏はまた、市教委が中止を拒否すれば入試関連の「予算執行権を行使する」とも述べたが、威圧的で乱暴すぎはしないか。入試まであと1カ月しかない。受験生はじめ、在校生や保護者からも反対の声が強い。早急に撤回すべきだ。 桜宮高ではバスケットボール部の顧問から体罰を受けた主将だった男子生徒が自殺した。体罰は常態化しており、他の部でも行われていた。 市教委と学校も、1年以上も前に情報が寄せられながら、生徒から聞き取りもしないおざなりな調査で「体罰はなかった」と結論付けていた。身内に甘い黙認・隠蔽(いんぺい)体質が悲劇を招いたといえる。 橋下氏が「体罰を止められなかった学校の伝統を断ち切る」として改革に大ナタを振るうのは当然だ。ただし、この時期になっての入試中止にはやはり無