なぜ成長が必要かと言えばそんなことは当たり前だという人も多いだろうが、日本はもう十分に豊かなのだから、成長よりも分配を考えた方が良いという人も多い。効率を上げるためにあくせくしたり、寝食を惜しんで新製品を開発したり、人々を厳しい競争にさらすようなことは止めた方が良いというのである。だが、成長しないで良いという人も、現在の豊かさは維持できることが前提になっている。もう豊かだから成長しないで良いというのはそういう意味だ。しかし、効率を上げたり、新製品を開発したりしないで、現在の豊かさを守ることができるだろうか。昨日と同じことをしていては現在の豊かさも守れない。そうなってしまう2つの理由がある。 高齢化すれば貧しくなる 第1は、日本が高齢化することである。高齢化するとは、働く人が少なくなって、働けない人が多くなるということである。すると、総人口に対して働く人が少なくなるのだから、働く人一人当たり