長野の善光寺といえば、宗派にこだわらず、だれにでも門戸を開く「おおらかさ」で知られている。善光寺に参詣した芭蕉にも「月影や四門四宗もただ一つ」の句があった。 ▼26日に行われる北京五輪の聖火リレーの機会を利用して、ぜひこの「寛容」の精神を、長野から世界に発信してほしいと願っていた。きのうの記者会見で、五輪開催支持をあらためて表明したダライ・ラマ14世の考えにも、合っているはずだ。 ▼しかし、中国政府は、チベット弾圧の正当性を主張するだけで、聞く耳を持とうとしない。国威発揚のための聖火リレーも、強行を続けるかまえだ。中国の常識が、世界の非常識になっていることを、どうしても認めたくないのなら仕方がない。各地の抗議行動は激しくなりこそすれ、収まることはないだろう。 ▼それにしても、お国柄が出るものだ。パリのシャンゼリゼ大通りでは、金髪の少年がいきなりバス停の屋根の上に飛び乗って、チベットの大型旗