科学技術研究 悪用のリスクは軽視できない(3月19日付・読売社説) 最先端の科学研究がテロなどに悪用される恐れはないか――。 日米欧の研究者によるインフルエンザウイルス研究を契機に、科学技術の負の側面について、国際的な論議が広がっている。 こうした安全保障上の問題について、日本の科学界はこれまで鈍感だった。政府と専門家が、本格的に議論する機会としたい。 問題となった研究は、強毒性の鳥インフルエンザウイルスに関するものだ。通常は鳥同士で感染するが、日米、欧の研究グループが昨年、それぞれウイルスの遺伝子を操作して、人を含む哺乳類にも感染しやすい新型を作った。 今の鳥インフルエンザでも、2003年以降、世界で約600人が感染し、うち6割が死亡している。これが人同士で感染する新型に変われば被害は甚大だ。その監視に役立てるのが目的だった。 ワクチンや治療薬の開発に結びつく、重要な研究でもある。 研究