卒業式の国歌斉唱の際、東京都教育委員会の通達に基づき教職員に起立斉唱を命じた校長の職務命令について、最高裁が「思想、良心を直ちに制約するものではない」などとし、合憲の初判断を示した。 同様の訴訟は各地の裁判所で争われているが、最高裁判決として決着した意義は大きい。教育現場の正常化の大きな一歩と評価したい。 提訴したのは都立高校の元教諭で、平成16年春の卒業式に起立しなかったため戒告処分を受けた。これがもとで退職後の再雇用が認められず、都に損害賠償を求めていた。 都教委は15年秋から、教職員に対し、卒業式や入学式の国歌斉唱で国旗に向かって起立して斉唱するよう通達し、校長が職務命令を出している。しかし従わずに懲戒処分などを受け、処分取り消しなどを求める訴訟が20件以上、係争中だという。 不起立の教師側は「思想、良心の自由を保障した憲法19条に反する」などと主張している。これに対し19年、国歌斉