山中伸弥京都大教授のノーベル賞授賞式のニュースに、何度か胸がジーンときた。ひとつは式典に母親の美奈子さんを伴っていたことである。81歳の美奈子さんは大雪と氷点下のストックホルムに着いたあと、ホテルで体調を整え、息子の晴れ舞台に臨んだという。 ▼美奈子さんは亡き夫、つまり山中さんの父親の形見の時計を身につけていた。父親の影響で医学を目指した山中さんにとって妻の知佳さんを含め、家族の力が大きかったことの証しだ。授賞式の後「母親が最後まで式に参加してくれたことが何よりうれしかった」と話していた。 ▼もうひとつ、山中さんは受章したばかりの文化勲章を胸に出席した。ノーベル賞に決まったときには「日の丸の支援がなければ、受賞できなかった」と語った。今回の授賞式にあたっても「日の丸を背負った学者として臨みたい」と、胸を張っていたそうだ。 ▼それだけに胸の文化勲章は日本人としての誇りにあふれているように見え