『強欲資本主義の時代とその終焉』 著者:森岡孝二 発行:2010/4/15 販売元:桜井書店 表題が暗示しているように、「時代の終焉」は新たな「時代の開幕」を告げている。 主に1980年代以降の30年間の資本主義世界と日本経済の動態をトータルに検証した本作品は、経済学の専門家・研究者にとどまらない幅広い読者層に届くよう編まれた警世・エールの書だ。 論理と各種統計データから錯綜しあう多様な問題群を正確に分析し、その経済社会的含意を深く汲み取る著者のコア・メッセージは、楽観論でも悲観論でもない。「人間らしく働く」ことがいかに困難な時代に突入しているかを直視し、「まともな雇用・賃金・労働時間」の三要素の統合からなる 「ディーセントワーク(decent work)」 ― 著者は「まともな仕事・働き方」と訳出 ― の実現をめざす政策提言は、万人にストレートに響くのではないか。静かなる良識で説く経済学