藤原辰史、『カブラの冬 第一次世界大戦期ドイツの飢餓と民衆』、人文書院(「レクチャー 第一次世界大戦を考える」) 昨年から刊行されはじめた人文書院の「レクチャー 第一次世界大戦を考える」シリーズ、どういうわけか地元の大型書店では現物を拝むことができず、ただでさえ積ん読の在庫に不自由していないということもあってずるずるとそのままになっていたのだが、この度ようやく『カブラの冬』を読むことができた。想像していたよりずいぶんと薄い(150ページほど)本で、そのため店頭で見落としていたのかもしれない。このシリーズは京大人文科学研究所の共同研究班、「第一次世界大戦の総合的研究に向けて」(後、「第一次世界大戦の総合的研究」と改称)のメンバーが執筆者となっており、「これまでの研究活動の中間的な成果報告」であると同時に「第一次世界大戦をめぐって問題化されるさまざまなテーマを平易に概説することを趣旨とする」、