朝日新聞の政治記者から鳩山一郎首相秘書官に就任した、ジャーナリストから政治家に「転向」した若宮小太郎を父に持ち、現在は朝日新聞で緒方竹虎(緒方もまた政治家に転向し、大東亜戦争中は国務大臣を務めた「戦犯」である)と同じく「主筆」として君臨する若宮啓文は『週刊朝日』10月26日号の緊急連載「ハシシタ 奴の本性」をどのように読んだのだろうか。今回の一連の騒動を通じて、何よりも私は若宮の言論人としての見解を聞きたいと思った。若宮は長野支局に勤務していた1970年代に県版に長野県の被差別部落をルポする長期連載を行い、これを『ルポ現代の被差別部落』として一冊に纏めて刊行している。若宮は、ここで実名にこだわることで、また地図までも示すことで、部落差別の実態を厳しく告発している。そんな若宮であればこそ、今回の問題に無関心でいられるはずはないだろうし、このことに一行を触れずに頬かむりを決め込むのだとしたら、