林博史『戦後平和主義を問い直す―戦犯裁判、憲法九条、 東アジア関係をめぐって』かもがわ出版、2008年 「はじめに」より 2008年8月にこの本を刊行しました。そのなかの「はじめに」の一部をここに紹介します。ちょうど映画「私は貝になりたい」の公開が始めるときであり、それに関する個所を掲載します。これほどでたらめな映画が、あたかも良心的な映画であるかのように何十年にもわたってくりかえし制作、放映されているところに、日本の戦後平和主義の欠陥が象徴的に示されているように思います。できれば、この本全体を読んでいただければ幸いです。 2008.11.15記 はじめに 一九四五年の敗戦を契機として、その後、今日にいたるまで日本は自らが戦争を仕掛けることをしてこなかったですし、直接の戦闘に参加することもしてきませんでした。残念ながら後者については事実上、戦争に参加していると言えるのですが、直接、武