◇戦争が生む人間の狂気 「同胞への虐殺、知ってほしい」 1945年8月の終戦直後、樺太(からふと)(サハリン)の瑞穂(みずほ)村で、日本人が幼児を含む朝鮮人27人を虐殺したとされる事件が起きた。この事件についてロシア人作家が執筆した「樺太・瑞穂村の悲劇」が、初めて国内で翻訳・出版された。本では、67年前に樺太の小さな農村であった惨劇を通し、戦争という極限に置かれた人間の「狂気」が、生々しく記されている。【西嶋正法】 著者はサハリン在住のノンフィクション作家、コンスタンチン・ガポネンコ氏で、93年にロシア語で刊行された。これを山口県下関市在住の在日2世、徐満洙(ソマンス)さん(65)と北海道大学の井上紘一名誉教授が翻訳。花乱社(本社・福岡市)と、韓国の出版社「民俗苑」が7月に共同出版した。