◇「心のケア」など支援強化を 難民保護のあり方を定めた難民条約に日本が加入し、母国の政治的迫害などから逃れた難民を受け入れ始めて、約30年になる。だが日本に逃れた難民のその後を取材すると、心の病を患い、日本社会から孤立して暮らす多くの人々がいた。日本が“難民鎖国”との汚名を返上し、さらなる「開国」を軌道に乗せるには、難民の「心のケア」や社会適応策の充実を含めた支援体制の抜本的見直しが不可欠だと思う。 ◇3人の難民が心を病んで自殺 前橋市郊外の小高い丘を切り開いた共同生活施設「あかつきの村」。カトリック関連法人が運営する村には、居住棟や作業棟、倉庫などが並び、重い精神疾患を抱えたベトナム難民5人が日本人支援者らとともに暮らしている。 その1人、トゥアンさん(仮名、46歳)には極度の対人恐怖があり、6畳大のプレハブ建屋に1人で寝起きする。唯一心を許された女性職員が食事や散歩などの世話をする。ト