【寧波(ねいは)中国浙江(せっこう)省・隅俊之】化学工場の建設に反対する住民の抗議活動が続く浙江省寧波市で28日、市政府が化学工場事業計画の撤廃に追い込まれた。抗議活動が1週間連続で発生する異例の事態となり、同日には約5000人規模に膨れ上がるなど市政府として抗しきれなくなったためだ。共産党大会開幕を11月8日に控える中、経済発展の「ひずみ」は次期指導部にも重い課題となりそうだ。 寧波市庁舎前では約2000人が集結し、「PX(パラキシレン)事業は寧波から出て行け」などと書いた横断幕を掲げて抗議。沿道の市民も加わり約3000人が市内中心部をデモ行進した。警察が横断幕を奪い取ると、デモ隊は「返せ」などと警察を罵倒し、デモの続行を容認させた。少なくとも2人が拘束された。 市庁舎前の抗議活動に参加した女性(24)は「中国メディアはこの問題をほとんど報じない。デモに参加するのは怖いが、自分たちが生き