トルコにおいてクルドの独立を掲げて武装闘争を行ってきたことで知られるクルディスタン労働者党(PKK、トルコおよび欧米でテロ組織に認定)とその影響下にある人民民主党(HDP)は、イラクのクルディスタン地域政府(KRG)による住民投票に異を唱えてきた。これらPKK勢力は、同様の目標を掲げるKRGの独立への動きになぜ反対したのか。直接の契機は、PKKのシリアにおける事実上の下部組織が勢力を拡大、全クルド地域での主導権を巡りKRGのマスード・バルザーニ大統領と確執していることにある(PKKの事実上の下部組織とは、民主統一党〔PYD〕とその軍事部門である人民防衛隊〔YPG〕である)。 ただしPKKとバルザーニ大統領との確執はすでにシリア内戦前から起きている。その理由は第1に、バルザーニ大統領がこれまでトルコと協調的な関係にあり、トルコによるKRG領内でのPKK攻撃も容認してきたことである。第2に、バ