もう、われわれの世代には酒もない。いや、正確にいえば、酒はある。しかし、酒を飲んで昔のように人生を忘れることができなくなった。 歳をとるというのは、妙なものである。 若いころには、酒を飲めば翌朝には多少の二日酔いを残しながらも、それで済んだ。それが四十を越すころになると、酒は翌日の身体に借金を残すようになる。飲んでいるあいだは愉快でも、翌朝になると、その愉快さの利子まで取り立てられる。 しかも酒は高くなった。 氷河期世代のITエンジニアにとって、酒代というのは、若いころのような小銭ではない。給料が特別に増えたわけでもなく、将来に対する不安だけは年齢とともに増えている。その不安を消すための酒にまで金を払わねばならない。 そして、もっと始末が悪いのは、酔っているときでさえ不安から逃れられないことである。 「あのとき、ああしていれば」 「自分たちは本当はもっとできたはずだ」 「悪かったのは自分で