世界の常識からかけ離れた日本の「人質司法」 あらためて記すまでもないだろうが、逮捕、起訴されても容疑を否認すれば保釈がなかなか受けられず、時に数カ月、あるいは年単位での勾留を強いられてしまう現状は、検察や警察が保釈などをエサに「自白」を迫り、冤罪の温床にもなっていると長年指摘されてきた。 これについては、一人の元出版人の動きが各メディアでも大きく取りあげられた。東京五輪のスポンサー選定をめぐる贈賄容疑で東京地検特捜部に逮捕、起訴された出版大手KADOKAWAの元会長、角川歴彦が2024年6月に起こした国家賠償請求訴訟である。 逮捕当時、角川は79歳という高齢だったうえ、心臓などに重大な持病も抱えていた。にもかかわらず、取り調べで容疑を否認すると保釈請求は検察の異議を受けて幾度も却下され、実に226日間も東京・小菅の東京拘置所に勾留され続けた。 その間に体重は激減し、新型コロナにも感染し、一