わたしたち人間の知能や性格は、どこまで生まれつきなのか。『心はどこまで進化したのか』(河出書房新社)の著者で、進化生物学者の河田雅圭さんは「学力や性格など、人のさまざまな性質の違いの半分近くが、ゲノム配列の違いで説明できるようになっている」という。作家の橘玲さん、行動遺伝学者の安藤寿康さんとの鼎談を紹介する――。(第1回) 橘:これまで日本の人文科学・社会科学は人間の心理や行動が遺伝・進化の影響を受けていることをタブー視して認めず、子育てや教育のような環境のみで語ることを「政治的に正しい(ポリティカリー・コレクト)」としてきました。 河田さんのような進化生物学の立場では、人間や社会を自然科学に基礎づけることは当然でしょうが、人文系の人たちの認識が変わってきたという印象はありますか? 河田(進化生物学者):多くの人文系の分野では、そもそも人間の心の性質の多くが遺伝的影響を受けて進化した、とい