それで昔を思い出すことがあったので、ちょっと書いてみることにした。 俺がまだ大学生だった頃の話で、その日は雨模様が変わって急にどしゃ降りみたいに振り出した。 俺は傘を持っていたから問題なかったんだけど、駅を出て少し歩くと向こうから歩いてくる女性が居た。 女性は傘を持ってなくて、大雨の中をびしょ濡れになって歩いてて、俺は思わず彼女のもとへ行って自分の傘をさした。 どうしてそんなことをしたのか。 元々俺は人見知りだし、人と関わるのがそれほど得意な方でもない。だからあのときの行為は咄嗟に取ったもので、無意識にそうしていたというのが多分一番正しいと思う。何より大雨に打たれながら歩く人をそのまま見過ごすことができなかった。本当にただそれだけのことだったと思う。 女性は当然驚いて「え?」って感じで俺を見つめてきて、気まずかった。俺も慌ててしまって、しどろもどろになりながらも大雨の中を傘もささないで歩い