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金価格が急騰し、ドル建てでも円建てでも史上最高価格の更新が続いている。その価格はまだ上がるとの指摘もあるが、なぜこれほどまでに追い風が吹いているのだろうか。 米国の経済史学者ハロルド・ジェイムズが、金の歴史的な意味を振り返りながら、現在の金価格上昇の理由を解き明かす。 「安定」のための金 最近、金価格が高騰している。これが象徴するのは、世界秩序の変化と、紛争と不確実性の新時代の到来だ。各国政府と中央銀行は長い間、この貴金属を通貨の安定と経済の安全保障のための潜在的な源泉と見なしてきたが、今回も例外ではない。国際通貨システムのなかで金が再び脚光を浴びているのだ。 いまから50年以上前、リチャード・ニクソン米大統領が金ドル本位制を廃止し、金ドル交換を停止した。そうして貴金属との引き換えが約束されない不換紙幣の新時代が始まった。 しかしいま、分散型台帳技術やブロックチェーンなどの新しいテクノロジ
米ハーバード大学の政治哲学者マイケル・サンデルは2001年末、思いがけない招待状を受け取った。生命倫理に関する問題を取り扱う諮問機関「大統領生命倫理評議会」への参加を要請されたのだ。サンデルは生命倫理の専門家ではなかったが、遺伝子操作、クローン技術、幹細胞研究など、大きな道徳的課題をもたらす新興分野を考察するというアイデアに心引かれた。 そして、これらのテーマをその有名な講義を通じて追究し続け、特に興味を引かれた問題だった遺伝子増強(エンハンスメント)に関する著作『完全な人間を目指さなくてもよい理由-遺伝子操作とエンハンスメントの倫理-』を出版した。この中で、サンデルは現在も未解決となっている倫理的なジレンマに関し、その知性と鋭さで切り込んでいる。また、この本では『実力も運のうち 能力主義は正義か? 』などの後に出版した著作でも展開した正義や民主主義、共同体、能力主義に関するサンデルの考え
チョコレートの原材料であるカカオ豆の国際価格が急騰し、2024年4月には過去最高値を更新した。5月以降、相場は調整を深めているが、今後カカオ豆の価格は再び上昇するのか。また、そもそもなぜ、カカオ豆の価格は急騰したのだろうか。その理由を探ると、世界的なインフレとは関係のない理由が浮かびあがってきた。 カカオ豆が史上最高値に上昇した理由 2024年3月初頭。イースターまで1ヵ月を切り、欧米では甘党の消費者たちがチョコレートに思いを馳せはじめる頃だ。英国だけでも、この時期にはミルクチョコレートエッグが何千万個も売れる。だが、2024年のチョコレート価格は例年になく高まることが予想されており、しかもその原因は、市場における既存のインフレ圧力とはほぼ無関係だ。 むしろ、ここ数ヵ月のカカオ価格の容赦ない上昇が価格を押し上げているようだ。カカオ豆の価格は史上最高額まで急騰し、ニューヨークのカカオ豆先物価
英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのマリアナ・マッツカート教授らは、コンサルティング業界は不当に莫大な経済的利益を得ていると指摘する。それはなぜなのか、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が解説する。 衰退するコンサル業界 私は以前、米国の大手出版社で働いていた。当時は「ドットコム革命」の渦中にあり、読者の減少と収益の低下が課題となっていた。そこで同社幹部は大手経営コンサルティング企業と契約し、何をなすべきか分析を依頼した。 数ヵ月にわたって会議が続き、数100万ドルが支払われた。しかし、そうして提案されたシナリオは明らかに不充分だった。賢者たちによるそのアドバイスに従っても、読者をつなぎとめることも、雑誌を救うこともできなかったのだ。 さらに他の要因もあり、私はずっと経営コンサルティングに対して懐疑的だった。まず「正しく数値化できれば、適切に対応できる」というアプローチでは、たくさんのもの
著しく高齢化が進む日本の水産業。人手不足が深刻な状況のなか、漁師を目指す女性の姿も見られるが、古くからの男社会が彼女たちの参入を難しくしているという。英「ガーディアン」紙が岩手県で取材した。 岡田真由美(49)は最後にひと振りして、水をたっぷり吸った重いロープを太平洋へ繰り出した。午後の強風で海面に白波が立つなか、夫の薫省(くにあき・54)が船室を出て船べり越しに目を凝らす。そして、最後に投入した幼生カキの稚貝が所定の位置まで下りたことを確認した。このカキが成長すると、東北地方の太平洋岸一帯の代名詞といえる大振りな身の高級食材となる。 3年前、岡田薫省は勤務していた旅行会社を辞め、妻の真由美とともに東京から500キロ北の岩手県大船渡市三陸町の小規模集落、泊(とまり)へ移住した。彼は以前から、漁師として一本立ちすることを夢見ていた。真由美は夫の夢を応援したが、彼女自身も海への憧れがあった。
イスラエル・パレスチナで二国家解決が実現する可能性はまだ残っているのだろうか。どのような条件が整えば、二国家解決は実行できるものになるのか。まずは希望を持てそうなことから書く。 それはイスラエルにもパレスチナにも、市民たちによる平和運動があり、それらの市民運動が粘り強く、想像力を働かせながら、平和的かつ民主的な解決を訴えていることだ。残念ながら、こうした市民運動は少数派なので、国外からの強力な支援なしに運動の目標を達成できる見込みは薄い。 状況を打開するためにも、そろそろEUと米国が言行不一致をやめるべきときがきているといえる。イスラエルの輸出の約7割は、米国と欧州に向かっている。だから西側諸国が二国家解決を本当に支持しているなら、イスラエル政府に制裁を科すべきなのだ。なぜならイスラエル政府は、入植活動や弾圧活動を続けたり、パレスチナの国家承認に反対したりしており、平和につながりうる可能性
自民党派閥の政治資金裏金パーティー問題など、これまで数々の政治スクープを他紙に先駆けて報じてきた「しんぶん赤旗」に英誌「エコノミスト」が注目。その一方で権力におもねり、政治の責任を追求しようとしない日本の大手メディアの姿勢に疑問を投げかける。 日本では2024年1月に通常国会が召集されて以来、主にあるひとつの問題が議論されつづけてきた。 政権与党たる自民党の汚職スキャンダルだ。 2023年末、政治資金を集める目的で開かれていた会費制パーティーの収入を報告書に記載せず脱税したとして、検察は複数の自民党派閥への捜査を開始した。 すでに会計士や議員などを含む自民党関係者が起訴されており、同年12月には閣僚4人、副大臣5人が更迭された。 2024年4月には岸田文雄首相が自民党の重鎮2人である塩谷立元文部科学相と、世耕弘成前参院幹事長を離党勧告するなど、39人の党員を処分した。 日本を揺るがすこの政
ニューアルバムを発表したジョン・ボン・ジョヴィ。62歳となった彼が、これまでのキャリアや結婚生活、そして後悔について英「ガーディアン」紙に語った。 1982年、ニューヨークの録音スタジオで働いていたジョン・ボン・ジョヴィは、休み時間に『夜明けのランナウェイ』という楽曲を録音した。レコード会社に持ち込んでは、片っ端から断られたが、あるラジオDJから無契約バンドのコンペに出すよう勧められ、優勝した。しばらくしてから、車でニュージャージー州セアビルの実家へ向かっていたときのことを、ボン・ジョヴィはこう振り返る。 「ひとりきりの車内で、初めてラジオで『夜明けのランナウェイ』を聴いたんだ。両サイドのウィンドウを下げて、車を飛ばしたくなったよ。警察に止められたら『ほら、このラジオの曲は俺が作ったんだぜ』って言えるから、そうなればいいと思っていた」 ひとりきりで、カーラジオをつけて車を飛ばす。ボン・ジョ
メッカのカーバ神殿の周囲を回る巡礼者たち Photo: Issam Rimawi / Anadolu / Getty Images 灼熱のなかの巡礼 イスラム教の五行の一つで、財力と体力のあるイスラム教徒が一生に一度はおこなわなければならないとされている、サウジアラビアのメッカへの大巡礼「ハッジ」。その日程はイスラム暦によって決定され、2024年は6月14日から19日だった。公式には、約180万人が世界各国からメッカを訪れたとされる。 この時期は、サウジアラビアの灼熱の夏にあたる。特に今年は強い熱波に襲われ、サウジアラビアの国立気象センターによると、この期間のメッカの最高気温は51.8度にまで達したという。 その暑さのため、今年のハッジでは大量の死者が出てしまった。AFP通信は6月20日に、死者が1000人を超えたと発表したが、いまだ収容先や消息がわからない「行方不明者」も多く、全容はわか
本稿は社会心理学者ジョナサン・ハイトの未邦訳書『The Anxious Generation(不安な世代)』の抜粋である。第一回はこちらから。 スマートフォンによる多くの弊害 Z世代の幼少期に訪れたSNSやスマホがもたらした弊害はメンタルヘルスの域を超えている。社会的な不器用さや自己肯定感の低下、座りっぱなしの子供時代などに加え、ここでは、さらに3つの弊害を紹介しよう。 注意力の分断、学習の中断 前頭前皮質が充分に発達した大人にとっても、コンピュータを前にして作業を続けるのは難しい。思春期の子供が宿題をしようとコンピュータの前に座るのは、もっと難しい。彼らはおそらく、タスクに集中しようという内発的動機づけが弱いのだろう。 子供たちは前頭前野が未発達であるゆえ、アプリを提供する企業にとっては、共感や娯楽で彼らを誘い出すのは簡単なのだ。 若者たちは、楽しみが多く、労力の少ないデジタル体験の可能
ChatGPTほどまだ浸透してはいないかもしれない。だが、ソフトバンクも提携を発表し、じわじわとその勢力を拡大するスタートアップ企業「Perplexity(パープレキシティ)」。彼らが生み出した「回答エンジン」は、インターネットの検索システム自体を変えてしまうのだろうか。 ある日突然、グーグルの検索エンジンに取って代わるアプリケーションが出現したら──。これまでなら突飛な仮説でしかなかっただろう。だが、生成AIの新時代において、こうした仮説はますます現実味を帯びてきている。 もちろん、この技術を実質的に発明したと言える巨大企業グーグルは、まだ始まったばかりのAI戦争において、反撃するための資本と頭脳のリソースを充分有している。しかし、OpenAI(オープンAI)による「ChatGPT」のような対話エージェントの普及は、グーグルの主要な糧である「グーグル検索」を揺るがしつつある。何千ものスタ
仏ボルドー近郊サン=テミリオンにあるグラン・クリュのワイナリーで、なぜか醤油が醸造されているという。仏高級紙「ル・モンド」が、その意外な組み合わせの理由を取材──。 発酵させ、櫂(かい)入れをし、圧搾し、樽で熟成させる。醤油の醸造家とワインの醸造家の仕事に、共通点は少なくない。 とはいえ、そこからフランスのサン=テミリオンのワイナリーと日本醤油の発祥の地とされる湯浅という小さな町を結びつけてしまう発想の飛躍は、なかなか出てくるものではない。 フランス人のアドリアン・ダヴィッド・ボーリューとマディナ・ケールの夫妻が成し遂げたのは、まさにそんな発想の飛躍だといえる。夫妻は、サン=テミリオンにある名高いワイナリー「シャトー・クーテ」の共同オーナーだ。いまその酒蔵でメイド・イン・フランスの醤油が作られ、売り出されている。 もっとも、フランスで初めて醤油の醸造に取り組んだのがこの夫妻というわけではな
姫路城の入場料を、海外からの観光客であるかないかで分けて設定したいという姫路市長の発言をうけ、米紙「ワシントン・ポスト」が海外の識者らの見解を紹介している。 日本の兵庫県にある姫路城を訪れる外国人観光客はまもなく、国内の観光客の6倍も入場料を払わねばならなくなるかもしれない。押し寄せる観光客の波と、海外からの観光客にとってはやや魅力的すぎる円安に、姫路市長が対処しようとしているのだ。 ユネスコ世界遺産にも登録されている姫路城の入場料は現在、18歳以上なら誰でも1000円だ。 6月16日に姫路市で開かれた国際会議で清元秀泰市長は、その入場料について「外国の人は30ドル払っていただいて市民は5ドルぐらいにしたい」と発言。その収益は城の補修・維持に充てるつもりだという。 観光客がもっとお金を落とせばよいという話ではない 観光税は真新しいものではない。国外からの観光客を対象にした割増料金は、宿泊料
スマホ中心の子供時代がもたらす代償 デバイスの中で消えゆく時間 米国の思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソローは1854年、簡素な暮らしに関する著作『森の生活:ウォールデン』のなかで、次のように書いている。 「ものの値段とは、それと引き換えに直ちにまたは長期にわたって要求される人生の量のことである」 これはのちに経済学者が「選択の機会費用」と呼ぶものの洗練された表現だ。つまり一度、お金と時間を何かに費やしたことで、もうできないすべてのことを指す。 だからこそ、子供の1日のうち、どれだけの時間がデバイスに費やされているかを把握するのは重要なのだ。 その数字は信じがたい。ギャロップの最近のデータによると、米国の10代がTikTokやYouTubeなどSNSで過ごす時間だけで1日約5時間に上る。 これに、スマホをはじめとするスクリーンデバイスにおけるその他の活動を加えると、1日平均7時間から9時間に
子供の数が減っている層 しかしながら、出生率の問題はもっと複雑なものだ。大部分の原因は、ベッカーの理論が示唆するような、働く人の習慣の変化によるものではなく、若い女性があまり子供を産まなくなったということにある。 1960年代、米国の女性は平均3.6人の子供を産んでいたが、2023年には1.6人だった。驚くべきことに、30歳以上の女性のほうがより多くの子供を産んでいる。産む子供の数が減っているのは若い女性だけなのだ。 さらに、出生率の低下は若い世代のなかでも10代に特徴的である。米国全体の出生率の低下は、半分以上が19歳以下の女性がほとんど出産しなくなったことによって説明できる。だが、そうした出産のうち3分の1は無計画な出産であり、大部分は低所得の女性によるものだ。 プリンストン大学の社会学者であるキャサリン・エディンは、1990年代から貧困層の女性へのインタビューをおこなっている。彼女は
寿司は日本料理を代表する食べ物のひとつだが、いなり寿司はまだそれほど知られていないかもしれない。だが、とある漫画をきっかけにいなり寿司を知ったフランスのジャーナリストが、黄金色の料理を求めて街へ出る──。 どうしても食べたい、いなり寿司 私が初めていなり寿司と出会ったのは、片目に傷をもつ、むっつりした大将の店でのことだ。 このやくざな男の店はやくざな場末の食堂で、そもそもお品書きには豚汁と酒しかない。足音を立てずに店に入るも、そこで食べているものが好きになるかどうか、そのときはまだ確信がもてていなかった。 十代だった頃の私は、むさぼるように漫画を読んでいた。だが、そんなものは真面目に読むようなものじゃないよという大人たちの警告を聞き、大きくなるにつれて漫画から遠ざかっていた。 どうしてこんな話をするかというと、東京のいかがわしい界隈にあるこの謎めいた食堂というのは、実はページ上に存在する飯
本稿は社会心理学者ジョナサン・ハイトの未邦訳書『The Anxious Generation(不安な世代)』の抜粋である。第一回はこちらから。 バーチャルな世界が二つの波で押し寄せる デジタルの恩恵を受けたミレニアル世代 現在、若者の生活を支配するインターネットには二つの波があった。第一波は、ミレニアル世代にほとんど被害を与えることはなかった。だが第二波は、Z世代をまるごと飲み込んだ。 第一波は1990年代、ダイアルアップ接続によるインターネットアクセスとともに訪れる。これはパソコンを、ワープロと単純なゲーム以上のことができる機械に変えた。2003年には米国の家庭の55%が(低速な)インターネット接続可能なパソコンを所有するようになる。 この第一波では、思春期の若者のうつ症状や孤独、その他のメンタルヘルスにかかわる問題の増加は見られない。それどころか、むしろやや減少する。 インターネットへ
7月4日に投開票がおこなわれる英国の総選挙に、かつてない候補者が出馬している。その名も「AI Steve(AIスティーブ)」、人工知能の政治家だ。 「格言にもある通り、政治は政治家に任せておくには重大すぎる問題だ。イングランド南部のビジネスマンが、英国総選挙で初のAI国会議員として立候補するという斬新な解決策を提案しているのは、このためかもしれない」と英紙「ガーディアン」は報じている。 AIスティーブを作ったのは、AI音声企業「ニューラル・ボイス」の会長であるスティーブ・エンダコット(59)だ。エンダコットの政党「スマーターUK」は、選挙管理委員会の都合によって登録が間に合わなかったため、AIスティーブは無所属で立候補することになる。 「すべての有権者と話せる」候補者 AIスティーブは、エンダコットの姿や声を再現したアバターだ。有権者はAIスティーブに24時間いつでも意見を伝え、質問をし、
ジョナサン・ハイトはニューヨーク大学教授で社会心理学を研究する。2022年、同氏が米誌「アトランティック」に寄稿した記事「アメリカ社会がこの10年で桁外れにバカになった理由」は米国内で大きな反響を呼び、バラク・オバマやジェフ・ベゾスは人々に一読を促した。 本稿はジョナサン・ハイトの『The Anxious Generation(不安な世代)』からの抜粋(全5編)である。 遊びと自立の衰退 脳に「爆発的な成長期」がある理由 ヒトの脳は、ほかの霊長類のそれに比べて格段に大きく、ヒトの子供時代もまた、極端に長い。大きな脳が特定の文化のなかで順応するには、充分な時間が必要だからだ。 ヒトの子供の脳の大きさは6歳くらいまでにすでに大人の脳の90%くらいに達する。そして、続く10~15年間で、規範やさまざまな社会的スキルを習得していく。 脳の発達はときに「経験期待型」だといわれる。特定の経験をすると期
世界に広がる少子化 30年ほど前、東アジア諸国の政府には、女性が身体的に妊娠可能な年齢になったことを喜ぶ理由があった。当時、韓国では、女性がそれまでと同じように行動すれば、出生率が平均1.7人まで下がると見積もられていた。1970年には、出生率は4.5人だったにもかかわらずだ。 東アジア全体で、政治家たちは10代の妊娠を劇的に減少させることに成功した。この一世代のうちに、出生率は驚くほどうまく減少した。だが、それはあまりにもうまくいきすぎた。出生率はいまなお下がり続けているのだ。 現在、妊娠可能な年齢の韓国人女性が、上の世代と同じように行動したと仮定した場合、生涯に産む子供の数は、0.7人だと見積もられている。 2006年以降、韓国政府はGDPの1%に相当する、およそ2700億ドル(約42兆円)を少子化対策に費やしている。それは子供がいる世帯への減税やマタニティケア、さらには政府後援のお見
米国と中国の対立に雪解けの兆しが見えないなか、その板挟みになっているのが日本企業だ。この二大市場のどちらかを選択せざるを得なくなれば、「日本企業の復活は危うくなる」と英経済誌が報じている。 日本企業がこれほど好調なのは1980年代以来だ。利益率は過去10年ほどで倍増し、配当や自社株買いによる株主還元額も同じく倍増した。株主の利益を尊重するコーポレートガバナンス改革を機に、海外投資家が再び日本に戻っている。 数十年間低迷していた日経平均株価は、過去1年で25%上昇。今年2月には、バブル崩壊直前の1989年に記録した史上最高値を更新した。 こうした好業績は、過去35年間に起きた「日本株式会社」の変化を反映している。株式市場の暴落と高齢化による国内経済の低迷に直面した日本の大手メーカーは、この数十年、成長を海外に求めてきた。日本メーカーの海外子会社の売上高は、1996年は総売上高のわずか7%だっ
コメント欄に「オックスフォード研究」と書かれたら要注意 「オックスフォード研究」というフレーズが、TikTokなどのソーシャルメディア上で、アジア系女性、特に白人男性とデートをしたり恋愛関係にある女性たちを揶揄するために使われている。 英紙「ガーディアン」によれば、白人男性とのデートや恋愛について投稿するアジア系女性の投稿のコメント欄に「オックスフォード研究」という奇妙な書き込みが出てくるようになったのは「2023年の春頃から」。 通常「オックスフォード研究」というフレーズは、英国のオックスフォード大学での学術研究を指す。
9歳で独学でプログラミングを学ぶ 6月20日に告示日を迎える東京都知事選。そこで、ひとりの天才エンジニアの出馬が注目を集めている。 名前は安野貴博。6月6日の記者会見で立候補の意を表明すると、各界から反響が続出し、一躍注目候補に躍り出た。 なかでも熱いメッセージを寄せたのが、台湾の元デジタル担当大臣、オードリー・タンだ。 タンは2016年、35歳の若さで入閣したエンジニア出身の天才閣僚。タンのデジタル政策と強いリーダーシップで、台湾は見事なコロナ対応をおこない、「日本にオードリー・タンがいればなあ」と嘆く声が多く挙がったことは記憶に新しい。 タンは出馬の構想を語る安野に「彼の考えるデジタル民主主義がすごく好きだ。安野氏は『私たちは良い方向に変われる』と言っている」と大きな期待を寄せた。 デジタル民主主義とは、政治や行政をデジタル技術の力でより身近な存在にするとともに、多様でより良い社会を目
怒鳴りたくはないのに、怒鳴らないと子供が言うことを聞いてくれない──そんな悩みを抱える親たちに、専門家たちがアドバイス。怒鳴らないために親自身が理解しておくべきこと、そしていまから実践できるコミュニケーションのコツとは? なぜ怒鳴ってしまうのか? どんなに穏やかで、前向きで、つねに子供と向き合うことができている親でも、わが子を怒鳴ってしまうときがある。子供が許容できない行動をしたり、言いつけを守らなかったりした場合はとくにそうだ。 しかし、子供を大声で怒鳴れば、ほとんどの場合、声を荒げた本人も子供も、嫌な気持ちになってしまう。そのため、親たちは効果的なコミュニケーション方法を模索している。 「怒鳴るという行為はほとんどの場合、子供の振る舞いに対する反応というより、もっと深いところにある何かへの反応だと認識するだけでも、自身の行動を変える助けになります。ストレスを感じている場面ではとくに」
子供たちのスマホ依存と、ソーシャルメディアの影響によるメンタルヘルスの悪化が世界中で問題視されている。子供たちを守るための方法についてさまざまな議論がなされており、厳しい使用制限を訴えるジョナサン・ハイトの主張についても、「クーリエ・ジャポン」では伝えてきた。 しかし、それとは異なる主張をする専門家もいる。英国政府にアドバイスを重ねてきたソニア・リビングストン教授に、子供たちをデジタル環境のなかでどう守ればいいのか、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が聞いた。 分裂しがちな「子供のスマホ依存」への対処法 子供のスマートフォン利用に関する議論は、両極端にわかれがちだ。 一方は、テクノロジーによって壊れやすくなった世代に着目する。彼らが重視するのは、ソーシャルメディアがメンタルヘルスの悪化の原因になっているという研究だ。彼らの主張する解決策は、米国の社会心理学者ジョナサン・ハイトによって示されて
1881年、台頭する社会主義の圧力を受け、保守派のドイツ帝国宰相オットー・フォン・ビスマルクは、左派勢力への譲歩として老年保険制度を提案した。彼の定めた定年は70歳。その時の平均寿命は? およそ40歳である。 この政策が施行されてまもなくフォン・ビスマルクは宰相を辞任するが、彼の遺産は受け継がれ、ドイツの老年保険制度(1916年に定年が65歳にまで引き下げられた)は多くの国々にとっての模範となった。ルーズベルト米国大統領が1935年に定めた社会保障法でも、国としての定年基準はやはり65歳とされた。だが、その年齢まで存命する米国人は全体の60%にも満たなかった。 というわけで、米国にしろほかの国にしろ、国が基準として設けた定年には多少なりとも政治的なペテンが含まれている。それはあくまで象徴的な施しとして始まったのであり、老年まで元気に生き延びることのできた一部の幸運な人だけが、その恩恵を被る
日経平均株価は3月上旬に初の4万円を突破したものの、その後の値動きは停滞気味だ。欧米投資家による中国への投資が減ったことで日本市場への注目も高まったが、今後、日本の株価は上がっていくのか。外国人投資家が今後の日本株をどう見ているのかについて、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が数々の投資家から話を聞いた。 市場最高価格を更新した日経平均株価 2024年2月下旬、日本最大の証券会社である野村證券は、東京の金融街の中心にある本社に記者を招き入れるという極めて異例の措置をとった。社員たちは記者たちを、静かな熱気に包まれたL字型の株式トレーディング・フロアの奥へと案内した。 日本の主要株で構成される日経平均株価は1月から力強い上昇を続け、メディアや一般人がその変化を追いかけていた。特にその日は特別で、バブルのピークだった1989年の史上最高値を更新しようとしていたのだ。 歴史的な記録が破られると、ト
たたききゅうりとアボカドと海老のサラダ 作り方 1 きゅうりは両端を切り落とし、めん棒やすりこぎで軽くたたいて亀裂を入れ、食べやすい大きさに手で割る(断面がでこぼこになることで、ドレッシングがなじみやすくなる)。 2 水切り用ボウルに1のきゅうりを入れ、塩と砂糖であえる。15〜30分おき、途中で2回ほど混ぜながら、きゅうりの水分を出す。 3 その間に、中くらいのボウルにしょうゆ大さじ1、オリーブ油、ごま油小さじ2、食べるラー油を合わせておく。 4 海老を調理する。大きなフライパンを中火にかけ、海老、水大さじ1、残りのしょうゆ大さじ1とごま油小さじ1を合わせる。ふたをして、海老に火が通ってピンク色になるまで3〜4分蒸し焼きにする。水分が足りないようなら、途中で水を大さじ1ずつ加える。3のドレッシングが入ったボウルに移してよくあえる。 5 アボカドの種を取って皮をむき、約1.3cm大に切る。別
英語の本が幅をきかせるオランダの書店 最近、ヨーロッパでは現地で出版される翻訳版を避け、米国や英国で出版された英語版を購入する読者が増えていると、米「ニューヨーク・タイムズ」紙が報じている。この傾向は、英語が堪能なスカンジナビア諸国やオランダ、そして世界最大の出版市場の一つであるドイツで顕著だ。 こうした国々や米国と英国の出版社は、翻訳本の市場が縮小し、海外で出版する機会が減ることを懸念している。海外で販売される英語の書籍は、米国や英国の出版社が輸出用に印刷した安いペーパーバックが一般的だ。これらは米国で販売されているハードカバーよりも安価であり、またドイツのような国では、最低価格を守らなければならない翻訳書よりもずっと安く値段が設定される。 また、英語書籍が主流になれば、著者にも打撃を与えかねないとニューヨーク・タイムズは指摘する。大御所の作品はほかの言語に翻訳され続けても、中堅作家の本
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