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ドラクエ3
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先進国の中でも、とりわけ低いといわれている日本のオーガニック食品普及率。ヨーロッパでは学校や病院はもちろん刑務所にまで有機食材が浸透しつつあるなか、なぜ日本では今なお「意識が高い人のモノ」というイメージが強いのだろう。国内外のオーガニック食品事情に詳しい愛知学院大学准教授・関根佳恵さん(農業経済学)と、日本オーガニック検査員協会(JOIA)設立者で現監事である水野葉子さんのお二人と原因を探り、理想の未来の姿を考えた。 農地面積も購買金額も「周回遅れ」の日本 ――最初に前提を確認したいのですが、日本は先進国の中でもオーガニック食品の普及が遅れているのでしょうか。それは、どれほどなのでしょうか。 関根 はい。残念ながら、さまざまな点で遅れていると言わざるをえない状況です。まず、農地面積に占める有機栽培の割合を比較してみると、日本で有機JASを取得している農地は全体の0.2%。JASの認証は取得
料理研究家の小林まさみさん・まさるさんは、嫁と舅という関係でありながら、それぞれがお互いの調理アシスタントという、ちょっと変わった間柄の二人だ。テレビや雑誌の仕事で多忙なまさみさんを応援しようと手伝い始めたまさるさんは、今や84歳で料理本の出版やテレビ出演までこなす。一体なぜ、二人は一緒に料理の仕事をするようになったのか。どうやって良好な関係を保っているのか。そこには、シニアと子ども世代がうまく付き合っていくヒントがありそうだ。 見るに見かねて「俺、手伝おうか?」と ――まさるさんは70歳でまさみさんのアシスタントになったそうですね。まさみさんがお願いされたんですか? 小林まさみ(以下、まさみ) そもそもの始まりは、私自身が料理愛好家の平野レミさんのアシスタントをしていたときのことです。テレビの仕事の裏方で、餃子100個分の仕込みとかを家でやらなくちゃいけなくて、定年で家にいたお義父さんに
何気ない会話のなかでつい「男の子なんだから」「女の子なのに」といった言葉を使ってしまうことはないだろうか。世界的にも「ジェンダーギャップ」が大きいとされる日本[1]。今の社会に根深く存在する性別による偏見や不平等、いわゆるジェンダーバイアス[2]を次世代に引き継がないために、私たちはどう考え、どう行動すべきなのか。性暴力やセクシャルハラスメントにかかわる案件を多く担当し、2人の男の子を育てる母でもある弁護士の太田啓子さんに話を聞いた。 子どもたちの日常には、ジェンダーバイアスがたくさん ――2020年、『これからの男の子たちへ 「男らしさ」から自由になるためのレッスン』を出版されました。どんな思いで、この本を書かれたのですか? 太田 私には中学1年生と小学校4年生の息子がいます。私自身は三姉妹で育ったのであまり意識することはなかったのですが、息子たちを育てるなかで気になったのは、周囲の大人
江戸時代から「八丁味噌」を造り続けてきた岡崎の老舗2社が、八丁味噌を名乗れなくなる事態に直面している。GI(地理的表示)保護制度により、「八丁味噌」の定義が変えられてしまった。実情を知れば、納得できないことばかり。2社を応援する7万筆以上の署名と声が国に届いたのか、農林水産省が2社の主張を棄却すべきという裁決案に「待った!」がかかった。その報告とさらなる問題提起が行われた2019年11月「しあわせの経済」国際フォーラム2019(※1)のトークセッションをのぞいてみた。 ※1:「しあわせの経済」国際フォーラム2019 老舗を排除するGI登録は、本末転倒!? 「しあわせの経済」国際フォーラム2019で、作家・島村菜津さん、「本場の本物ブランド推進機構」(※2)事務局長・二瓶徹さん、株式会社まるや八丁味噌代表取締役・浅井信太郎さんによるトークセッションが行われた。 トークセッションの会場のようす
アメリカではオーガニック市場が毎年3割増の勢いで伸びている。その背景の一つにあるのが、遺伝子組換え食品に対する消費者の不信感の高まりだ。市民団体「マムズ・アクロス・アメリカ」は、全米各地の母親たちをつなぎ、遺伝子組換え食品にNOを唱えるムーブメントをつくり出してきた。2017年3月に来日した創立者のゼン・ハニーカットさんは、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」主催の学習会で、日本の母親たちにも行動を呼びかけた。 アレルギー反応で生死をさまよった息子 ――ゼン・ハニーカットさんは、3人の男の子の母親。自身は食べ物によるアレルギーと無縁で育ったのに、息子たち全員に何らかのアレルギーがあると分かったときは、とてもショックだったという。 ゼン 息子の一人は、感謝祭のディナーに入っていたピーカン(クルミの一種)が原因でアレルギー反応を起こし、生死をさまよったことがあります。アメリカでは毎年多
70年間、軍隊を持たずに非武装・中立を貫いてきたコスタリカ。世界有数の危険地帯に位置しながら、国の予算を軍事ではなく、社会福祉や教育、環境保全に投じてきた。人々の幸福感や環境の豊かさを尺度とする「地球幸福度指数」の世界ランキングでは、何度も1位に輝いている。ドキュメンタリー映画『コスタリカの奇跡 ~積極的平和国家のつくり方』は、そんなコスタリカの歴史と今を描いた作品だ。コスタリカの姿に、私たちは何を学べるのか。同作監督の二人に聞いた。 国家予算も資源も少ないコスタリカ人が「幸せ」な理由 ――本作は、マシュー・エディーさん、マイケル・ドレリングさんのお二人による共同監督作品です。社会学者であるお二人が、なぜコスタリカをテーマに映画を作ろうと思ったのですか? マシュー・エディー(以下、マシュー) 最初にコスタリカに興味をもったきっかけは、イギリスのシンクタンク、ニュー・エコノミクス財団(NEF
シリーズ7回目となった、「今日からできる台所術」。ごはん大好きな編集部の高橋と山川はこの日、新米を持って食文化史研究家・魚柄仁之助さんの元を訪れた。「新米をもっとおいしく食べたい!」という二人に、魚柄さんが差し出した意外な鍋とは……? 土鍋や高級炊飯器がなくても、大丈夫。大事なのは、道具より炊き方 「一年に一度の実りの季節。魚柄さん、わたし、最高においしい新米が食べたいんです!」(山川) 「近ごろは、プレミアムな炊飯器も売ってるけれど、なかなか手が出ないので、ぜひ……」(高橋) そんな二人の声を聞き、魚柄さんは早速台所へ。「はいはい、お気持ち分かりました。じゃ、この鍋でおこげの入ったおいし~い新米、炊いていただきましょ!」と、どこの家庭にもありそうなガラスのふたの両手鍋を二人に差し出した。 「こ、こんな普通の鍋で……!?」 「こういう鍋ならうちにも、うちの実家にもあります!」 ふた付きのも
食文化史研究家・魚柄仁之助さんの手ほどきにより、前回「いわしの手開き」を身につけた編集部の若手、高橋と小林の二人。「さらなる料理のスキルと知恵を身に付けたい!」と、再び魚柄さんのもとを訪れた。肌寒い秋の風が吹き始めたこの日、魚柄さんが二人に差し出したものとは……? 具だくさんの豚汁が、5分の加熱で完成 「まあ、まずはこの一杯で温まって。話はそれから、それから」。食文化史研究家・魚柄仁之助さんが差し出したのは、豚肉、根菜、豆など具材たっぷりの一杯の豚汁。 写真=坂本博和(写真工房坂本) 「わ、味がしみていておいしい!」(高橋) 「具だくさんで、栄養満点ですね。寒くなるとこういう料理を食べたいんだけど、忙しくてつい遠ざかってしまって……」(小林) おいしい料理は、とかく手間と時間がかかるもの。温かな煮込み料理が食べたいけれど、忙しい日々に追われて「じっくり・コトコト」なんてできない――。高橋や
「生きているということ いま生きているということ」というフレーズは、ふだん詩に触れる機会がなくても、多くの人が知っていることだろう。詩人・谷川俊太郎さんの代表作の一つ「生きる」だ。この詩から新たに生まれた絵本『生きる』(2017年、福音館書店)は、すでに5版を重ねている。1971年に発表されたこの詩が今なお愛され続け、人々に求められるのはなぜか。本や言葉に関する執筆を行うライター・永江朗さんが、谷川さんと絵本の担当編集者に聞いた。 完成していない、ほころびがある詩だから、読んだ人が入ってきてくれた 永江朗(以下、永江) 絵本『生きる』は、谷川さんの詩と岡本よしろうさんの絵で構成されています。この詩「生きる」は、1971年に出た詩集『うつむく青年』に収録されていますから、書かれたのは60年代後半。半世紀にもわたって愛され続けている詩です。 谷川俊太郎(以下、谷川) 自分としては、そんなによく
身の回りはきれいに保つほうが、気持ちいい。分かってはいるものの、なかなか腰が上がらない。その割りに新しい洗剤が発売されるとつい手が出て、家の中はボトルだらけ……。「そんなかたにおすすめの掃除術がありますよ」と話すのは、合成洗剤を使わない「ナチュラルクリーニング」の普及に力を入れている本橋ひろえさん。かつて薬品会社で洗剤開発を手掛け、掃除嫌いも自認する本橋さんがすすめる、安心・時短、しかも経済的なナチュラルクリーニングとは? 酸素系漂白剤で排水口の汚れもにおいもすっきり! ――本橋さんの『ナチュラルおそうじ大全』(主婦の友社)を拝見し、早速、わが家のキッチンの排水口を酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)でつけおき洗いしてみました。つけておくだけで、力を入れてこすらなくても、ヌルヌルしていた汚れがきれいに取れて、さっぱりしました。 本橋 それはよかったです。排水口は少し複雑な構造ですから、掃除しに
ドラマやバラエティー番組など多方面で活躍する俳優の東ちづるさん。ライフワークとして25年以上、平和活動やボランティア活動にも取り組んでいる。「平和であることと、一人一人が自分らしく生きられることはつながっている」と東さん。その幅広い活動の原点にあるのは、出身地・広島で受けた平和教育、そしてドイツ国際平和村での出会いだった。 8月が近づくと心がざわざわする ――東さんは広島のご出身ですが、子どものころから平和について学ぶ機会は多かったのでしょうか? 東 広島では当たり前のように平和教育を受けて育ちました。平和教育=過去の戦争を学ぶこと。学校だけではなく、物心ついたときから家でも祖父母や親と戦争の話を普通にしていたんですよ。「今でもゴオオッという飛行機の音が聞こえるとビクッとする」と祖母が言っていたのを覚えています。 小学校では、原爆を経験した語り部さんが授業に来てくれました。遠足で広島平和記
健康な体作りのカギは、筋肉維持とごはん食。「キンニク先生」こと森谷敏夫教授に聞く、パワフルに生きる秘訣とは? バランスのいい食事と適度な運動は、健康な体づくりに欠かせません。そのヒントになるのが、糖質と筋肉の切っても切れない関係。食事と運動に関する疑問やメカニズムについて、応用生理学とスポーツ医学が専門の京都大学名誉教授・森谷敏夫さんに話をうががいました。 2024年10月14日 食と農 どんな犬にも、安心して散歩ができる幸せを。イエロードッグプロジェクトから見つける、地域と人とつながるヒント 「イエロードッグプロジェクト」という、さまざまな事情で散歩がしづらい犬たちを助けるための活動が広がっています。散歩中の犬が黄色いリボンをつけていたら、「近寄らないで」のサイン。犬と暮らしている人も、暮らしていない人も、地域のみんなで作る思いやりの形があります。 2024年09月30日 暮らしと社会
握りこぶし大の味噌玉。熟成に時間がかかるが、その分、味噌の味が深まる(写真提供=まるや) GIとは、「神戸ビーフ」「夕張メロン」のように、「地域名+一般名称」の形(※2)で商品の原産地を特定する表示。もともとヨーロッパで始まった制度で、地域との強い結びつきによって生まれる農産品に対し、その品質にお墨付きを与え、食文化やそれを支える環境、作り手を国内外で保護することを目的とする。 基準を満たした産品にのみ使用が許可されるGIマーク(画像=農林水産省提供) ※1:愛知県内43社の味噌・醤油メーカーで組織。 ※2:「すんき」のように一部例外あり。 「排除ではない」と農水大臣は言うが…… 日本でGI制度がスタートした直後、「八丁味噌」という名称で先に申請したのは、実はカクキューとまるやで組織する「八丁味噌協同組合(以下、八丁組合)」のほうだった。遅れをとる形になった県組合の申請は意見書扱いだったと
「種子法(主要農作物種子法)」といわれても、ピンとこない人が多いかもしれない。一般にはあまり知られていないが、戦後の日本で、コメや大豆、麦などの種子の安定供給を支えてきた法律だ。この法律が突如、廃止されることになった。今年2月に廃止法が閣議決定され、4月には可決、成立。種子法は来年4月1日に廃止される。なぜ廃止されたのか。私たちの食や農業は大丈夫なのか。ご自身も採種農家の生まれという龍谷大学経済学部教授・西川芳昭さんに聞いた。 コメや麦の安定供給を縁の下で支えてきた「種子法」 ――今回、突然廃止されることが決まった種子法(主要農作物種子法)ですが、そもそもどんな法律なのか教えてください。 西川 専門的な法律なので、名前も聞いたことがないという人が多いでしょう。種子法は、コメや麦、大豆といった主要作物について、優良な種子の安定的な生産と普及を“国が果たすべき役割”と定めている法律です。種子の
日本でもっとも消費量が多い果物といえば「バナナ」(※1)。好まれる理由には、健康的なイメージや手ごろな価格などが挙げられ、スーパーの売り場では、たくさんのブランドを目にする。日本に輸入されるバナナの8割はフィリピン産だが、どのように作られているのかを知る機会は少ない。私たちの食卓にバナナが届くまでに、何が起きているのか。フィリピン・ミンダナオ島から「生産者の状況について知ってほしい」と来日した二人に話を聞いた。 ※1:総務省統計局調べ。 ある日、地域の人たちが助けを求めに来た ――ミンダナオ島は、フィリピンバナナの主要産地だと聞きました。ということは、日本で私たちが食べているバナナの多くもミンダナオ島から来ているのですね。 チンキー・ペリーニョゴリェ(以下、チンキー) はい。ミンダナオ島はフィリピンで2番目に大きい島で、土地の約3分の1が農業に利用されています。フィリピン全体の輸出用作物の
2016年11月に公開された大ヒット映画『この世界の片隅に』。209万人を超える観客動員数もさることながら、今日まで1日も途切れることなく上映が続いている(※)という事実が、この作品の強い求心力を物語っている。第2次世界大戦前後の広島県・呉を舞台に淡々とつづられる人々の「普通の暮らし」が、なぜこれほどまでに心をつかむのか。終戦の日を前に、監督・片渕須直さんに本作を通して伝えたかった思いを聞いた。 ※2018年7月3日現在 日常の中にあるはかなさや、かけがえのなさをすくい上げたかった ――本作は、いわゆる「戦争映画」とは一線を画し、ごはんを食べたり家事をしたりという普通の人々の日々の営みが丁寧に描き込まれていることが高く評価されています。監督はなぜこのような表現法をとられたのですか? 片渕 生活を主軸にした、生活を描く映画を作ることが僕にはいつも目標でした。 アニメーションというのは空想的な
イスラエルの軍事占領下に置かれ続けているパレスチナ。自治権が認められているはずにもかかわらず、イスラエル軍による不法な抑圧状況が続き、人々の生活は厳しさを増している。こうした状況を背景に、生協パルシステムではパレスチナの人々を支援するため、オリーブオイルを扱ってきた。しかし、そのオリーブオイルの出荷団体の職員が、2017年5月にイスラエル軍によって突然逮捕・拘禁されるという事態も起きている。現地は一体どんな状況なのか。国連職員としてパレスチナに赴任した経験を持ち、自らを“人権野郎”と呼ぶ人権問題の専門家・髙橋宗瑠さんに伺った。 今も「占領下」にあるパレスチナ ――髙橋さんは、2009年から2014年まで、国連人権高等弁務官事務所のパレスチナ事務所に赴任されていました。まず、そこではどんな活動をされていたのか教えてください。 髙橋 私がパレスチナ事務所に赴任したのは2009年3月で、2008
世界のうなぎの約7割を消費している日本人。香ばしいうなぎの蒲焼は日本の夏の風物詩となっていますが、近年は季節を問わず店頭に並び、牛丼チェーン店のメニューにも登場しています。しかし、ニホンウナギは漁獲量が激減し、養殖に必要な稚魚(シラスウナギ)を確保するのさえむずかしくなっています。うなぎの食文化と資源問題。その行方は、私たち消費者の行動にもかかっています。 ニホンウナギ減少、3つの要因 今、うなぎの将来が危ぶまれるニュースが関心を集めています。政府機関や科学者らで作る「国際自然保護連合」(IUCN)は2014年6月12日、ニホンウナギを絶滅危惧種に指定。日本の環境省も2013年2月、同様にニホンウナギを絶滅危惧種に指定しました(※1)。指定の理由は、主要河川における天然うなぎの漁獲量の減少。1960年代には3000トン台を記録することもあった天然うなぎの漁獲量が、今では10分の1以下に落ち
学校に居場所がないなど、さまざまな生きづらさを抱える子どもたち。そうしたなか、一本のドキュメンタリー映画に共感の輪が広がっている。大阪市立大空小学校の日常を追った『みんなの学校』だ。大空小では、発達障がいの子も、知的障がいの子も、みんな同じ教室で学ぶ。しかも、不登校の子は誰もいない。それは「奇跡の学校」なのか。初代校長の木村泰子さんが伝え続ける、「みんなの学校」の真意とは。 「サポーター」という存在 ――映画『みんなの学校』のポスターやチラシには「出演 大空小学校のみんな」と書かれています。これは「子どもたち」ということですよね。 木村 子どもはもちろん、パブリック(公立)な学校は、地域住民みんなのものなんです。そこに「保護者」「近所の人」という区別はなく、大空では「保護者」ではなく「サポーター」と呼んでいます。「できるときに、できる人が、無理なく、楽しく」学校に関わることを目ざしています
「ごく普通の」国家が、日々の生活に知らぬ間に忍び込み、人々の行動や考え方をだんだんと支配するようになる――。フランスの寓話『茶色の朝』に描かれたこの世界について、「私たちと無縁ではありません」と語るのは、本書の日本語版にメッセージを寄せた哲学者・高橋哲哉さん(東京大学大学院教授)だ。共謀罪の成立や憲法改正に向けた議論が進む中、「思考停止になっていると、日本も“真っ茶色”になりかねませんよ」と警告する。 「茶色」が広がっていくのをやり過ごしてしまった“俺” 20年前にフランスで刊行されベストセラーとなった『茶色の朝』は、「茶色以外のペットは処分するように」という法律を皮切りに、“俺”と友人シャルリーの身の回りで次々に「茶色」以外の存在が認められなくなっていく物語だ。 なに色だって猫にはかわりないのに、とは思うが、なんとかして問題を解決しなきゃならんというなら、茶色以外の猫をとりのぞく制度にす
私たちが口にするほとんどの食べ物は、もとを辿れば1粒の「たね」から生まれたもの。ところがいま、世界で売買されている種子のうちのなんと75%が、5つの多国籍企業に所有されていることをご存知ですか? それらの企業は、遺伝子組換え技術と特許を利用して種子を私有化しつつあるという見方さえあります。いま、見えないところで「たね」に何が起きているのか――インドの環境活動家ヴァンダナ・シヴァさんは、「グローバリズムや工業的農業は、たねをお金儲けの道具のように扱っている。たねを、企業による独占や支配から守らねばなりません」と訴えています。 「健全なたねが十分にあれば、食糧不足が起こるはずはない」 「『たね』は、サンスクリット語やヒンディー語で『ビジャ』と言います。生命の源、という意味です。小さな1粒のたねの中に、生命のすべての可能性が詰まっているのです」 柔和な表情で「たね」を語るヴァンダナさんは、カナダ
昔から、日本人が当たり前のように食べつないできたみそ。「みそは医者いらず」など、健康と結びつけたことわざも少なくない。発酵学の第一人者・東京農業大学名誉教授の小泉武夫さんは、食に関する著作が100冊以上あり、「発酵仮面」のあだ名がつくほどの大の“発酵食好き”だ。なぜ、みそはそんなにすごいのか、ご自身の食体験や最近注目されている科学的な知見も含めて語っていただいた。 「みそ汁を飲むと、からだが喜んでいるのがわかるね」 ――全国の大学で学生を指導し、講演や執筆、メディアへの登場と大活躍されていて、さぞやお忙しいでしょうに、肌つやがよく声にも張りがあって、失礼ながら御年73歳にはとても見えませんね。 小泉 そうでしょ。自分でも若いと思いますよ(笑)。これは、まさしく、みそ汁と納豆のおかげです。何十年と毎日みそ汁を飲んでいますからね。たまに飲みそびれていると、何か不安な感じになる。何か足りないよっ
子育てに追われて時間がとれない、仕事で疲れて料理する気になれない、一人分を作るのは面倒……。「食べること」が大切だとわかっていても、おろそかになってしまいがちな毎日の料理。そんななか、台所に立つ人を楽にしたいと『一汁一菜でよいという提案』という本を書いたのが、テレビや雑誌でもおなじみの料理研究家・土井善晴さんだ。家庭料理の研究の末に行きついた“一汁一菜”とはどんな食事スタイルなのか、土井さんに聞いた。 基本の形さえもっていれば、食事作りに悩むことはない ――ご著書のなかで、「お料理を作るのがたいへんと感じている人に読んで欲しいのです」という最初の1行がとても印象的です。どんな想いで、この本を書かれたのですか? 土井 何か、私の周りにいる人たちが皆、「毎日の食事作りが大変だ」と訴えるんです。どうしてそんなに大変なのかというのが私にすれば疑問だったわけですが、いろいろ聞いてみると、仕事で帰りが
5万キロにも及ぶ人類大移動の道のり「グレートジャーニー」を人力のみで遡った関野吉晴さん。その関野さんが教鞭をとる武蔵野美術大学の課外ゼミがドキュメンタリー映画になった。タイトルは『カレーライスを一から作る』。野菜やスパイスを種から育て、米を作り、鳥を飼い、海水を煮詰めて塩をとる。食器やスプーンまで手作りだ。一体、何のために? “探検家が憧れる探検家”関野さんが、カレー作りを通して学生たちに伝えたかった想いを聞いた。 カレーライス作りも“探検”だ ――関野さんといえば、10年もの歳月をかけて南米大陸から東アフリカまでを人力のみで旅したり、アマゾンの先住民の村に通ったり、手作りのカヌーでインドネシアから沖縄まで航海したりと、壮大なスケールで世界を巡る探検家というイメージがあります。今回のテーマが「カレーライス作り」というのが意外だったのですが……。 関野 僕自身、どこかに行くばかりが「探検」だ
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