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末期がん治療や美容効果などをうたう自由診療に医学的根拠がないとして、消費者機構日本が9月10日、都内でクリニックを営む医療法人に対して、インターネット上での広告を差し止めるよう求める訴訟を東京地裁に提起した。同機構が景品表示上の優良誤認表示を根拠に医療広告の差し止め請求訴訟を起こすのは初めて。弁護士の宮城朗理事は「エビデンスが存在しないか不十分な未確立医療は、ネット上に無数存在しており、今後も取り組みを強化したい。自由診療はなぜか行政の規制が非常に甘く、ほとんど野放しの状況と捉えている」と訴えた。本提訴は、社会問題として提起し、行政の取り組みを引き出す狙いもある。...
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京都大学大学院医学研究科教授の西浦博氏は4月14日、日本内科学会総会・講演会のシンポジウムで3年間にわたる新型コロナウイルス感染症への対応の中で何が明らかとなってきたのかを振り返り、「数理モデルに基づくリアルタイム分析によると、ワクチン接種の直接的な効果によって第5波では1万8622人の死亡を防ぐことができた」と説明。仮にワクチン接種が存在していなかった場合を想定すると、「2021年8月時点で6300万人が感染し、そのうち36万人が死亡していた可能性がある」とのデータを提示した。こうしたデータを踏まえ、西浦氏は「ワクチン接種は生物学的な作用としての直接効果だけでなく、集団レベルで感染機会を減らすことによる間接効果も大きい。予防接種が全く実施されなかった仮定のシナリオと比較して、死亡は97%減少したと推定される」と強調した。...
前回に引き続き、クラスター対策班でのエピソードです。実は、クラスター対策班や専門家会議、そして政府・行政組織は一枚岩であったわけではありません。今回は、そんな裏話と愚痴を書かせてもらおうと思います。...
京都大学大学院の西浦博教授が10月7日、甲府市で開催された第81回公衆衛生学会総会で新型コロナウイルス感染症の中長期のリスク分析について講演を行った。...
オピニオン 2022年9月4日 (日) 山梨大学学長 島田眞路、同大医学部附属病院医療の質・安全管理部特任教授 荒神裕之 一般社団法人日本感染症学会と公益社団法人日本化学療法学会は9月2日、両学会の理事長の連名で「新型コロナウイルス感染症における喫緊の課題と解決策に関する提言」を厚生労働大臣に提出した 1)。提言の核心は、現在、薬事・食品衛生審議会で議論されている国産の新型コロナウイルス感染症治療薬ゾコーバ錠125mgを早期に緊急承認することを求める内容であるが、島田は薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会の委員として、今回の提言の内容は到底、看過できず、提言を行った2つの学会に対して、大きな懸念を抱いている。...
東京都足立区の柳原病院で自身が執刀した女性患者に対してわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつ罪で逮捕・起訴され、1審無罪、2審有罪となった男性外科医に対する上告審判決が2月18日、最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)で開かれた。三浦裁判長は懲役2年を命じた2審・東京高裁判決を破棄し、同高裁に差し戻す判決を言い渡した。...
スペシャル企画 2021年12月29日 (水) 聞き手・まとめ:小川洋輔、高橋直純(m3.com編集部)
スペシャル企画 2021年12月26日 (日) 聞き手・まとめ:小川洋輔、高橋直純(m3.com編集部) 2021年も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡って専門家組織の存在が注目を集める年となった。秋以降は感染状況が改善したことで、行動緩和などwithコロナを見据えた施策が進むなど、専門家の役割も変化している。そんな中、クラスター対策班を支えてきた京都大の古瀬祐気・特定准教授(感染症学)は、今後の感染のシミュレーションや医療逼迫の予測ツールを作成し、政府新型コロナウイルス感染症対策分科会の議論を支えてきた。専門家の果たす役割や今後の見通しについて聞いた(2021年12月11日にオンラインでインタビュー。全3回の連載)。...
「国家として感染症の危機管理を直視することができず、また、残念ながら感染症疫学者の育成不足という国策の誤りのツケを払わされることになった」 新型コロナウイルス感染症への我が国の対応を、「まえがき」でこう振り返る書、『感染症疫学のためのデータ分析入門』(金芳堂)が10月、上梓された。著者は、京都大学大学院教授の西浦博氏が率いる研究室のメンバーだ。同大大学院医学研究科の社会健康医学系専攻の専門職大学院課程のコア科目「感染症疫学」の教育内容に準拠して執筆した入門書にあたる。 「感染症データとの向き合い方を根本的に変える書を目指している」と語る西浦氏に、本書上梓の狙いのほか、新型コロナをめぐる昨今の情勢についてお聞きした(2021年11月5日にインタビュー。全6回の連載。情勢を鑑み、Vol.5から連載開始)。...
京都大学大学院教授の西浦博氏らは、東京都や大阪府の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の実効再生産数(Rt)は、レストラン、カフェ、ショッピングセンター、テーマパークなど、行楽の行き先となりやすい場所への人の移動と関係するとのデータを公表した。駅や公園、職場への移動とも関係し、これらの増減が最近の新規感染者数の減少につながっていると、西浦氏は見る。...
武田/モデルナ製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)用ワクチン2回目を接種後に37.5度以上の発熱を経験する人の割合は、国内ではファイザー製の2回目接種後よりも高い可能性があると分かった。順天堂大学医学部臨床研究・治験センター客員教授の伊藤澄信氏が代表研究者を務める「COVID-19用ワクチンに関するコホート調査」の経過報告が示唆している。 ただ他の専門家からは、対象者が自衛隊員が大半で男性が94.7%を占めるほか、「被接種者の筋肉量や、労働環境の違いが影響している可能性もある」(宮川政昭・日本医師会常任理事)との意見が出るなど、単純比較はできないとの見方もあった(資料は厚生労働省ホームページの「資料3」)。同コホート調査で武田/モデルナ製に関する情報収集している対象は約1万人。国立病院機構17病院、地域医療機能推進機構6病院、自衛隊9施設が協力している。 同調査では、接種後7日
予防接種行政はワクチン開発・供給、制度の整備、国民への情報提供が重要な柱となる。1990年代からこれら3点に携わり、慈恵医大小児科から1997年に国立感染症研究所感染症情報センター室長に転じ、2000年に同センター長に就任以降、行政に関与するだけでなく幅広い情報提供活動で行政と国民を繋ぐ役目を果たしてきたのが岡部信彦氏だ。岡部氏に平成の予防接種行政を振り返っていただいた(2018年12月19日にインタビュー。全4回の連載)。 岡部氏 ――平成の予防接種行政を振り返ると、まず「予防接種禍訴訟」がありました。 昭和の後半から、定期接種の予防接種では複数の問題が重なっていました。1970年代から問題となった「種痘禍問題」です。天然痘は日本においては1955年以降には発生がなくなりましたが、天然痘ワクチン(種痘)は続けられてきました。海外から侵入の可能性はあったためです。WHO(世界保健機関)は1
【序文】 皆様よくご存じの通り大阪府での新型コロナウイルス感染症感染者数が急増しており、医療体制に大きな影響を与えております。4月20日に大阪府は緊急事態宣言の発出を政府に要請しました。私は新型コロナウイルス感染症に関しては全く専門家ではありませんが、今回がん専門病院である当院(大阪府立病院機構大阪国際がんセンター、500床)でも新型コロナウイルス感染症重症者を受け入れることになったこともあり、大阪での感染状況など含めて記事を書かせていただきました。 これまで当院で積極的な受け入れを行ってこなかった理由としては、がんセンター特有の患者の易感染性と重症化のリスクのためでした。当センターは血液内科に関しては現在では西日本では最大規模の同種造血幹細胞移植施設となっており、移植以外にも化学療法に伴う免疫不全患者や、血液内科以外でも他院ではできないような大手術(頭頸部、食道、肝胆膵)後の患者が多数で
医療にまつわる気になるトピックスを、インフルエンサー医師 インヴェスドクターが鋭く解説する連載「インヴェスドクターが斬る、バズニュース!」。臨床の第一線で医療に向き合い続ける勤務医ならではの“現場目線”で旬な話題にメスを入れます。前回は退院できない変異株患者と第4波到来がテーマでしたが、今回のテーマは……?...
東京保険医協会・勤務医委員会主催の「乳腺外科医裁判・上告趣意書学習会」が1月9日、都内で開催され、被告の男性外科医の主任弁護人である高野隆氏は、男性外科医に逆転有罪判決を言い渡した2020年7月13日の東京高裁判決について、憲法および判例違反という手続き的な問題、「著しく正義に反する事実誤認」が複数あることを説明、「楽観視はできないが、最高裁での無罪確定を目指して全力を尽くす」と力強く語った。「この事件を有罪にしてしまうと、この国の医療の現場に大きなダメージを与える。皆さんがこの裁判に注目するのは心強い」とも述べ、継続的な支援を呼びかけた。 東京都足立区の柳原病院で自身が執刀した女性患者に対してわいせつな行為をしたとして、男性外科医が準強制わいせつ罪で逮捕・起訴された事件で、東京高裁は2020年7月13日、逆転有罪判決を言い渡した。男性外科医は判決を不服として上告。高野弁護士ら弁護団は20
はじめに 1月21日にJournal of Clinical Medicineに掲載され、報道でも取り上げられた私たちの研究〔Anzai & Nishiura(2021)〕について、明治大学の飯田泰之さんと経済産業研究所の中田大悟さんの2人からSNSを通じて実名でコメントをいただきました(元論文は、こちら)。SNSでは科学的議論以外に飛び火しない建設的な議論をすることが難しいですし、今私は緊急事態宣言下のデータ分析で大変多忙にしています。論文の作法としても、SNSは場外戦のようになってしまいます。ただし、日本で期せずして、一定以上に報道が広がりましたのでSNSで話題になりました。このまま放置するよりも、私が詳細を広くお返事した方が、物事が正常に進むと思って以下を執筆することとしました。 最初に申し上げますが、今回の私たちが発表した(疫学研究領域ではエビデンスレベルが低いと言われる)記述疫学
インタビュー 2021年1月21日 (木) 星野桃代(m3.com編集部)、橋本佳子(m3.com編集長) HPVワクチンの定期接種を逃した2000~2003年度生まれの女子の中で、子宮頸がんの罹患増加は約1万7000人、死亡者の増加は約4000人になる可能性がある――。 大阪大学大学院医学系研究科のグループが2020年9月、オンラインジャーナル「Scientific Reports」で公開した論文の推計結果だ。タイトルは「Potential for cervical cancer incidence and death resulting from Japan’s current policy of prolonged suspension of its governmental recommendation of the HPV vaccine」。論文では、今も定期接種の最終年齢である
政府が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、1月8日からの緊急事態宣言の発出を予定する中、京都大学大学院教授の西浦博氏が、東京都の新規感染者数を1日100人を切るまで減少させるには、2020年4月の緊急事態宣言時と同等レベルの効果があっても2月25日までかかるとのシミュレーションをまとめた。他方、現状の対策のまま推移すれば2月末までには1日3553人、今回の緊急事態宣言で想定される飲食店等への弱い対策のみでは2月末になっても1日1000人を下回らず、1カ月では緊急事態宣言は終わらない可能性が高いという結果だ。この資料は、1月6日の厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで構成員に提示されたが、会合後、回収された。 1月5日の新型コロナウイルス感染症対策分科会の「提言」では、▽緊急事態宣言の期間を通して、可及的速やかにステージⅢ相当にまで下げる、▽さらに
がんの患者団体である一般社団法人全国がん患者団体連合会が12月30日、緊急オンラインディスカッション「コロナ下の日本のがん診療・米国のがん診療」を開催し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で、がん専門病院でもコロナ病院を設けるなど厳しい対応を迫られているほか、医療者が精神的に追い込まれている実態などを話し合った。 がん研有明病院(東京都江東区、686床)は日本のトップクラスのがん専門病院だが、12月24日から1病棟40人の患者を他病棟にうつして、COVID-19患者の受け入れを始めた。同病院副院長・乳腺センター長・感染症科部長の大野真司氏は、現時点ではがん診療を制限していないものの、COVID-19対応にスタッフを充てたことから、がん診療の担当部署の負担も増したとし、今後さらに感染拡大が進んだ場合の影響を懸念した。「もし欧米並みの感染拡大が起きたら、今でも大変なのにいっ
厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの第14回(11月19日)会議で、資料3(参考資料)として、内閣官房・内閣府が作成した資料(題:「航空旅客数と感染者数の増加には統計的な因果関係は確認できない」)が公開された(資料は、厚労省のホームページ)。 この参考資料は、以下に記すようにアドバイザリーボード会議では明示的に出すべきでないという議論があったものである。会議資料として公開されたのは事実であるが、まるでこの資料をアドバイザリーボードが認めたと捉えられることは同組織の信頼あるいは科学的な分析能力を毀損しかねないものであると認識している。そこで、私自身が疫学専門家の一人として、GoToトラベルと感染の間の因果関係についてどう考えているのかを整理しつつ以下に説明したい。 【因果関係の分類】 そもそもGoToトラベルキャンペーンと感染の拡大の間の因果関係はいくつかに分類して
京都大学医学研究科がん免疫総合研究センター緊急シンポジウム「新型コロナウイルス感染対策におけるPCR検査の利点と課題〜感染制御と社会経済を両立した健康で豊かな社会を取り戻すために〜」が10月5日、オンラインで開催され、PCR検査の在り方をめぐって、濃厚接触者か否かなどを問わず「安心」のためにどこまで検査対象を広げるか、京大の2人の教授の間で激論が交わされた。 2人の教授とは、京大医学系研究科環境衛生学教授の西浦博氏と、主催者であるがん免疫総合研究センター・センター長で、京大特別教授を務める本庶佑氏。 西浦氏は、濃厚接触者であるか否かなどで事前確率(検査前に考えられる陽性率)および感染制御への効果が異なってくることから、PCR検査を効率的に行うためには、検査対象者を検討することが必要だとし、「盲目のマススクリーニング単体は、感染制御に効率的でない」と指摘した。 これに対して本庶氏は、プール方
政府の新型コロナウイルス対策感染症分科会は8月24日、現在、指定感染症として「2類相当」の措置などが取られている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の位置づけについて論点を整理すると決定した(『COVID-19「2類相当措置」の是非検討へ、分科会』参照)。現状の措置で感じている苦労や見直しの必要性について、m3.com意識調査で医療従事者に尋ねたところ、7割弱の医師が「2類相当措置の見直しは必要」と考えていることが分かった。 Q.2類相当などの措置が取られている現在の運用を見直す必要があると思いますか。 医師の66.7%が「見直すべきだ」と回答し、「見直す必要はない」の15.8%を大きく上回った。この傾向は、その他の職種でも大きくは変わらなかった。 Q.見直す必要があると考える項目を全て選んでください。【複数選択可】 医師の回答では、「無症状感染者の入院措置(自宅療養等含む)」が5
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の重要な柱である改正新型インフルエンザ等対策特別措置法では、主に各都道府県の知事に外出自粛や休業を要請する権限があるとされており、医療現場に近い対策も都道府県単位で行われている。m3.com編集部は7月31日から8月5日までの間、m3.com医師会員に対して、勤務先医療機関がある都道府県の新型コロナ対応についての調査を実施、7338人の回答を得た。 知事のリーダーシップを聞いたところ、地元自治体の医師による評価が最も高かった知事は鳥取県の平井伸治氏、最も評価が低いのは石川県の谷本正憲氏だった。 ※都道府県ごとの詳細記事は後日掲載します。 Q 3~4月の勤務先の都道府県知事のCOVID-19対応に関する施策、リーダーシップに対する評価を、 1(全く評価しない)~5(非常に評価する)の5段階で教えてください。 敬称略。※鹿児島県の三反園氏は7月1
京都大学大学院医学研究科教授の西浦博氏は、8月9日都内で開催された第117回日本内科学会講演会の緊急シンポジウム「新型コロナウイルス感染症―疫学・対策から臨床・治療まで(2)―」で、「第1波、第2波の疫学データ分析」をテーマにオンラインで講演。第2波対応の反省点として、実効再生産数(Rt)が1を上回った時点で、「1回逆戻り」をさせる施策を実施してこなかったことを挙げた。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の3月以降の全国および東京都など地域別の実効再生産数の推移を提示し、全国レベルで見ても、5月末頃から実効再生産数が1を超えるようになったと説明。「第2波で反省点があるとすれば、海外ではモニタリングをし、実効再生産数が1を上回った期間が続くと、いろいろな接触、移動、会合するスペースを止めて、1回逆戻りさせる。日本ではそれが行われてこなかった」と指摘した。 ただし、今の東京の実効再生
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