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VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つのキーワードから頭文字を取った造語で、「ブーカ」と読みます。変化が激しく、あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が発生する将来予測が困難な状態を指します。 4つのキーワードはそれぞれ、次のようなことを表しています。 Volatility(変動性)とは「変動が激しく、今後起こる変化が予測不可能な状態」Uncertainty(不確実性)とは「不確実なことが多く、何が起こるか分からない状態」Complexity(複雑性)は「多様な物事が複雑に絡み合うため、シンプルな解決策を導き出すことが困難な状態」Ambiguity(曖昧性)とは「発生した問題の原因が明確にならず、はっきりとした解決方法が見出せない状態」現在はまさにVUCAの時代で、
「心理的安全性(psychological safety)」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。 組織行動学を研究するエドモンドソンが1999年に提唱した心理学用語で、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義しています。メンバー同士の関係性で「このチーム内では、メンバーの発言や指摘によって人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要なポイントです。 心理的安全性が高い状況であれば、質問やアイディアを提案しても受け止めてもらえると信じることができ、思いついたアイディアや考えを率直に発言することができます。 例えば、旧来の手法への提言や革新的なアイディアについてオープンに話し合える雰囲気がある組織は、心理的安全性が高いといえるでしょう。 Googleが「生産性が高いチームは心
新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みのなかで、社内外問わずオンライン会議の実施が一気に増えたと聞きます。 今では「オンライン会議ってどうやるの?」と多くの人が右往左往していた初期の頃が嘘のように、日常的に行われるようになりました。タスクを明確にする、ファシリテーターを設けるといった基本ルールも浸透し、違和感なく業務が進められる手応えを感じている方が多いのではないでしょうか。 しかし、日常化するなかで、物足りなさやオンライン会議の限界を感じる人も増えてきているように思います。そこで今回は、弊社と一緒にさまざまな組織のインナーコミュニケーションのお手伝いをしている、株式会社リクルート インナーコミュニケーション推進グループの田中達也氏、長縄美紀氏から、オンライン会議で、新しいアイディアを生み出していくための「共創」コミュニケーションの方法についてお話をいただきました。ちょっとしたやり方とマ
軽井沢の老舗温泉旅館から、日本各地で多様なリゾート施設を運営するユニーク企業に変貌した星野リゾート。その裏にあるのが、星野佳路代表が推進する「常識破り」の経営手法だ。しかし同社の急成長を見ると、その「常識」の方が間違っていたのかもしれない。 「大企業病にならない 組織における自律と規律」について、グループ人事 ユニットディレクターの小金井成子氏にお話を伺った。 目次 3階層のフラットな組織 誰にでもチャンスがある! ディレクターは立候補制 フロントから調理まで 社員は1人4役を目指す 正しい価値観が「上司」になれば大企業病は発症しない 3階層のフラットな組織 フラットな組織構造で知られる星野リゾート。34のリゾート・旅館施設の運営を行う、正社員だけで約2000名の中堅企業となっているが、各施設の総支配人、その下にあるユニットと称した機能別部門の長であるユニットディレクター(UD)、それにプ
ワーク・エンゲージメントの対義語に、「バーンアウト(燃え尽き症候群)」がある。日本では1980年代から徐々に広まってきた概念だが、まだ十分に知られていない部分も大きい。そこで、日本でバーンアウトの心理学を研究してきた久保真人氏に詳しくお話を伺った。 バーンアウトは失恋によく似ている 米国でバーンアウトという現象が注目され始めたのは、1970年代中期以降のことです。日本では、1983年にフロイデンバーガー『バーン・アウトシンドローム』が翻訳されたことで知られるようになりましたが、それ以降もしばらく大きな話題にはなりませんでした。 私は1990年代の初めに、田尾雅夫先生と共に看護師の集団離職とバーンアウトの関係を研究して以来、バーンアウトを研究テーマの1つにしてきました。その頃から、看護師や教員のバーンアウトが少しずつ注目を集めだしました。 バーンアウトの定義は実は難しいのですが、私自身は、「
レジリエンス(resilience)とは、「回復力」「弾性(しなやかさ)」を意味する英単語です。「レジリエントな」と形容される人物は、困難な問題、危機的な状況、ストレスといった要素に遭遇しても、すぐに立ち直ることができます。もともとは物体の弾性を表す言葉ですが、それが心の回復力(精神的な強さの指標の一つ)を説明するものとして使われるようになりました。 仕事をする上で「心が折れる」「逆境に負けそう」といった経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。どんなにやりがいのある仕事でも、大なり小なりのストレスを感じることになります。重要なことは、ストレスが降りかかったときにどのように自分の心をマネジメントしていくかです。 とりわけ社会デビューしたての新入社員は、ストレスや逆境への耐性がありません。そのため、心が簡単に折れてしまい、「3年目の退職」といった人事の頭を悩ませる決断に至ってしまうこ
2019年9月、元リクルート専務取締役・大沢武志の著書『心理学的経営』(PHP研究所)を素材に人・組織観を議論する、経営者・事業責任者向けの特別イベント「『心理学的経営』から人・組織づくりを考える」を開催しました。ナビゲーターは、弊社の前・代表取締役社長であり、現・リクルートワークス研究所副所長の奥本英宏です。 大沢武志は、リクルートの創業者・江副浩正と同じく東京大学教育学部で心理学を学び、リクルート創業メンバーの1人でした。また、弊社の前身である、株式会社人事測定研究所の代表取締役を務め、多くの学生が受けるSPIを開発した人物でもあります。その大沢の『心理学的経営』に書かれているのは、リクルート創業期を支えた人材・組織開発思想にほかなりません。本イベントは1カ月前に満席となり、当日は成長企業の経営者20名にご参加いただきました。奥本はここで、リクルートらしさを育んだ「心理学的経営」につい
「働く」意味合いは、社会によって異なります。懸命に働くことをよしとする社会もあれば、働くことをなるべく避ける社会もあります。それらを相対化して眺めてみることで、働く意味合いを深く考えることができます。 相対的に考える方法として、日本とは異なる社会、つまり地理的に離れている国から考える方法と現代ではない時代の社会から考える方法がありますが、手始めに、地理的にも、歴史的にも、極端に異なる社会から見ていきましょう。 狩猟採集民社会です※1。 目次 狩猟採集民の労働時間は短い 狩猟採集民は平等社会 狩猟採集民の労働時間は短い 狩猟採集民社会において、「働く」という概念は、私たちが持っている概念とは異なります。現代日本においても家事や育児、地域活動などの無償労働も「働く」という概念で考える人がいるように、ある狩猟採集民では、日常生活ならびに宗教的な活動をすべてひっくるめて「働く」という概念で捉えてい
職場におけるソーシャル・サポートを考えるにあたって、参考にしたい企業の1つがGoogleだ。「効果的なチームを作るためには、心理的安全性が圧倒的に重要だ」といち早く語り、心理的安全性のムーブメントを巻き起こしたこの会社は、どのような職場を作っているのか。Google 合同会社 人事部長 谷本美穂氏にお話を伺った。 目次 効果的なチームを作る上で重要な心理的安全性 本社CEOの意思決定に触れ意見する機会を頻繁に得られる 社内のホットワードはリスペクト 本音で語り合うことで、壮大な目標を達成することができる コーヒーを飲みながら1on1で対話する文化が根づいている 効果的なチームを作る上で重要な心理的安全性 「チームの心理的安全性」という概念を提唱したのは、ハーバード・ビジネススクールで組織行動学を研究するエイミー・C・エドモンドソン氏だ。しかし、それを一躍有名にしたのはGoogleである。G
いま、労働環境の改善、いわゆる「働き方改革」が国と産業を挙げたテーマとなっています。 2019年4月には「働き方改革関連法案」の一部が施行されますが、そもそも「働き方改革」とは何か、何を目指して、何に取り組んでいけばいいのか、よく分からないという方も多くいらっしゃると思います。 そこで本稿では、「働き方改革」のいまさら聞けない基本情報から、独自の調査や取材記事をもとに考察した今後のトレンドまで、まとめて解説します。 目次 1.働き方改革とは? 2.なぜ働き方改革に取り組まなければならないのか。その社会的背景 3.働き方改革に対する政府の動き 4.「働き方改革」への、企業の目的と手応え 5.企業が抱える働き方改革の課題 6.企業の「働き方改革」:生産性/柔軟化/多様化 の42施策 7.働き方改革の成功事例 8.働き方改革に関するリクルートマネジメントソリューションズでの取組みのご紹介 9.働
個人の価値観や働き方の多様化にともない、「個を生かすマネジメント」に対する経営上の必然性が高まりつつある。そのようななか、人材開発・組織開発施策の1つとして、1on1ミーティングへの注目が高まっている。実際、ヤフーの取り組みがベストプラクティスとして共有されて以降、新たに1on1ミーティングの導入を開始した企業は枚挙に暇がない。一方で、日常的な運用を担う現場と歩調が合わず、なかなかうまくいかないケースも散見され始めている。本稿では、これまで約100社以上の企業で1on1ミーティングの導入や活用推進をお手伝いし、複数の導入企業へのヒアリングをするなかで得た知見をもとに、1on1ミーティングが注目されている背景ならびに導入の際に留意すべきポイントを中心に考察していきたい。 目次 1on1ミーティングとは? 1on1ミーティングがなぜ注目されているのか? 1on1ミーティングの取り組みはどのよう
経営学の分野から注目を浴びる「社会構成主義」という思想と、それに基づいて対話により問題を“解消”する「ナラティヴ・アプローチ」。この分野の第一人者である埼玉大学大学院の宇田川元一准教授をお迎えし、2冊の参考図書を用いて自主研究会を行っています。 前回は、組織をつくる「対話」についての理解を深め、現場での実践へつなげていくためのヒントを探りました。今回のテーマは、対話から生まれる「生成的イメージ」についてです。生成的イメージとはどのようなことを意味しているのか、それが組織開発にどのようにつながるのか、実際の企業の事例などを通じて考察します。 目次 「マネジメント」の意味するところは1つではない 生成的とは「見えていないものを見えるようにする」こと 我々は気づかないうちに何かしらの問いを投げかけられている 「生成的イメージ」を導く良質な問いとはどういうものか 〈今回の参加者〉 ※五十音順 宇田
企業経営を取り巻く環境は年々複雑さを増し、答えのないVUCAワールドの到来を多くの方が肌で感じていると思います。時代の変化、市場・産業の変化は構造的なものであり、目の前の課題を右から左へ解決していくだけでは、新しい未来が拓けそうもない。もしかしたら、何かを根本的に変えなくてはいけないのではないか──。 そんななか、経営学の分野から注目を浴びているのが、「社会構成主義」という思想と、それに基づいて対話により問題を“解消”する「ナラティヴ・アプローチ」です。 この分野の第一人者である埼玉大学大学院の宇田川元一准教授をお迎えし、2冊の参考図書を用いて、本格的な自主研究会を行いました。 本記事では、「真に組織が変わる」ことを考え実践してきた人事責任者の方々と共に学んだ、全4回の自主研究会の第1回の模様をレポートします。 目次 現実は多元的である 対話により問題を“解消”する「ナラティヴ・アプローチ
社員の離職は、組織全体のモチベーションの低下、技能の蓄積や継承の停滞、離職者に投資していた採用、教育コストの損失などの影響を企業に与えるといわれている。まして将来を嘱望された若手・中堅社員の離職であればなおさら影響が大きい。 離職というテーマの場合、3年目以内の早期離職について扱われることは比較的多いが、本稿では、若手・中堅社員の離職について考える理論的枠組みを提供すべく、関連する先行研究や調査結果について紹介したい。 目次 企業人が離職する理由 早期離職と組織社会化 早期離職との違い キャリア発達理論の変化と個人のキャリア観 組織コミットメントと離職 個人のキャリア観の変化から見る組織コミットメントのあり方の変化 企業人が離職する理由 まず、一般的に企業人が離職する理由にはどのようなものがあるのだろうか。平成29年雇用動向調査の、転職入職者が前職を辞めた理由によると、「定年・契約期間の満
近年、私たちが行ったマネジメント(に関する)研究を6つのテーマでまとめ直した『マネジメント人材育成ブック』より、第5章は、「経営幹部が就任後に行うべきこと」として、「経営幹部の就任後行動の研究」の成果を中心にお知らせします。 はじめに、架空の会社・X食品の新任営業マネジャー(加藤洋介)と、社内の誰かが対話する「ストーリー」がついています。 それぞれの章の研究成果を受けた内容となっておりますので、本文の導入として気軽にお読みください。 また、メルマガ会員の方は『マネジメント人材育成ブック』全体のPDFをダウンロードいただけます。ご興味のある方は、ぜひそちらもご覧ください。 目次 第5話 新任マネジャー、事業部長と話す 新組織をいきなり任されて 独りで苦労することが多い「経営幹部」を応援したい 組織・メンバーから十分に信頼を得た上で 本質的な改革を進めるのが鉄則 第5話 新任マネジャー、事業部
ティール組織なら本来の目的に100%のエネルギーを注ぎ込み、少人数で大きなことを成し遂げることが可能です。 ティール組織とはいま世界中で生まれ始めている 「新たな組織モデル」のこと 「ティール組織」を知らない方が多いと思いますので、まず簡単に説明していただけないでしょうか。 詳しくは『ティール組織』(英治出版)を読んでいただけたらと思うのですが、ごく簡単に言えば、ティール組織とは、いま世界中で生まれ始めている新たな組織モデルのことです。『ティール組織』の著者、フレデリック・ラルーによれば、これまでの人類の組織形態は、力と恐怖によって支配する「衝動型(レッド)」から始まって、教会や軍隊のように規則・規律・規範によって階層構造を作る「順応型(アンバー)」、多国籍企業をはじめ現代の企業の多くが採用する「達成型(オレンジ)」、多様性と平等と文化を重視するコミュニティ型組織の「多元型(グリーン)」と
連載・コラム 【連載】 “なぜ大人は若者から学べないのか?(オトマナ)プロジェクト” 第4回 加藤洋平氏×中竹竜二氏・桑原正義 私たちはこのたび、中竹竜二氏(日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター/株式会社チームボックス 代表取締役CEO)と共同で、“なぜ大人は若者から学べないのか?(オトマナ)プロジェクト”を発足しました。時代の変化にともない、学び直し、特に「異質からの学び」が重要視されるなか、「大人が若者から学ぶにはどうすればよいか」を明らかにすることを目的とした研究プロジェクトです。 若者の価値観は、大人(年長者)の価値観よりも新しい時代を捉えたものであり、大人にとっては、新たな視点の獲得や学びに大いにつながります。しかし、大人は若者から学ぶことが必ずしも上手ではありません。そこで、「なぜ大人は若者から学べないのか、どうすれば学べるのか」を掘り下げ、「異質からの学び」のポ
伸び盛りのIT・ネット系企業の人事の方々は、同じような悩みや課題をもっているのではないか。それなら、悩みを打ち明け合い、解決策を共有するとよいのではないか。こうした仮説のもと、私たちは2016年8月からIT・ネット系企業と共に人・組織を考える研究会“IT Management Journey”をスタートしました。毎回、参加する人事の皆さんが気になっているテーマについて話し合っています。本記事では、8回目「どのように経営理念を浸透させていけばよいのか?」について議論した内容の一部をご紹介します。 目次 千差万別の理念浸透施策を共有する 経営理念への「共感」や「内省」を促す 「わかちあう場を耕す」ことが最も重要 理念を体現するための制度とは? 千差万別の理念浸透施策を共有する 組織を拡大していく過程で、多くの企業は経営理念を浸透させる必要が出てきます。 しかし、その取り組みの意義やタイミングな
自分らしいと思える状態を、人は幸福だと感じる。そもそも、「自分らしい」とはいったいどういうことなのだろうか。自分らしくない状態が続く場合、私たちはそれに対してどう対処すべきなのか。心理学博士で臨床心理、認知行動療法にも詳しい国立精神・神経医療研究センターの伊藤正哉氏にお話を伺った。 目次 AuthenticityとIdentity は違う 「自分らしさ」は Authenticity 年齢を重ねるにしたがい自分らしさの要素も社会的に 「本来感」は変化する 人間の「成長」と深い関係が 重要なのは感情を認めつつ、自分が決めること AuthenticityとIdentity は違う 「自分らしさ」は Authenticity 「自分らしさ」に興味をもったのは10年以上前です。心理学の分野では当時、もっぱら「self-esteem:自尊心、自尊感情」をもつことの重要性が指摘されていました。とはいえ自
調査概要 2016年12月、「自社に人事評価制度がある」と回答した20代~40代の正社員(管理職を除く)を対象に、人事評価制度に対する意識調査を行った。調査の際は、従業員規模や、職種が偏らないよう調整を行った。 8割は人事評価を重視 半数は制度に不満を感じる まず、そもそも働く個人は、自分の人事評価の結果をどの程度重視しているのだろうか。「自分の人事評価をどの程度重視しているか」という設問に対しては、約8割が「重視」(「とても重視」「重視」「どちらかといえば重視」の選択率の合計)と回答した(図表2)。 しかし、「現在の人事評価制度に対して満足しているか」との質問に「満足している」(「とても満足」「満足」「どちらかといえば満足」合計)と回答したのは約半数にとどまる結果となった(図表3)。なお、職種別に比較すると、営業系の満足群の割合が最も高く、6割程度が満足していた。 不満の理由はあいまいさ
人間が恐怖や不安に打ち勝ち、新しい出来事に挑戦するには心のよりどころが必要になる。心理学では「セキュアベース(安全基地)」という。幼児にとっては母親がまさにそれにあたる。組織における心理的安全性も「安全基地が確保された状態」といえるかもしれない。アメリカでリーダーシップとチームワークの研究を行ってきた早稲田大学の村瀬准教授に話を伺った。 目次 心理的安全性は shared cognition(認知共有)から生まれる 余計なことはするな 上司の一言が現場を壊した 日本とアメリカで文化の違いが存在する 心理的安全性を高めるには人間同士が触れ合える場を 心理的安全性は shared cognition(認知共有)から生まれる 組織がうまく機能するためには、メンバーが思いや価値観、考え方を共有していなければなりません。その共有されたものが組織の文化に、マナーに、そして仕事の作法に転換します。そうし
「心理的安全性」という言葉が普及したのは最近のことであるが、そのなじみやすいコンセプトは多くのビジネスパーソンの共感を得やすいのではないだろうか。 本調査では、職場での「心理的安全性」の必要性や効能についての従業員の意識を調査すると共に、心理的安全性を構成する要素が何に影響を受けているかを明らかにすることを試みた。 目次 調査概要 「心理的安全性」を知っているか 「心理的安全性」は必要か 「心理的安全性」が必要な職務の特徴とは 「心理的安全性」はチームの成果につながるのか 「心理的安全性」を作るためには おわりに- 調査概要 調査対象は、3名以上のメンバーがいる部・課・チームを率いる立場にある人とした。部・課などの定常組織に限らず、プロジェクト・チームも対象としているため、管理職層だけでなく条件を満たす一般社員層も対象に含んでいる。調査の概要については図表1を参照されたい。 「心理的安全性
「職場での『心理的安全性』に関する実態調査」の実施概要は下表のとおりです。 調査概要 調査結果サマリー 今回実施した調査の結果から、以下のような実態を確認することができました。 ●「心理的安全性」という言葉について、約4分の1が「内容の詳細までよく知っている・だいたいの意味を知っている」と答えた一方、「聞いたことがない・知らない」という人は5割弱 ●「心理的安全性」について、チームのメンバーそれぞれが「自分の考えや感情を安心して気兼ねなく発言できる雰囲気」という定義を行い、「心理的安全性」という言葉を知らない人も含めて、その必要性について確認したところ、「必要である」「やや必要である」が7割強、「どちらともいえない」が約2割、「あまり必要でない」「必要でない」が5%強 ●心理的安全性が必要な理由としては、「業務上、情報共有が必要である」「多様な意見や活発な議論によって新しいものを生み出す必
激しい競争にさらされる今日のビジネス環境下では、学習や変化、革新などによって組織は常に成長することが求められている。組織の成長と関連する変数として、「心理的安全性」という概念が注目されている。 心理的安全性が高まることで、組織成員は、既存のやり方への疑問や新しいアイディアを、評価を気にせず発言するようになるため、その結果として個人や組織の学習や革新が進むことが期待される。ここ20年ほどの研究では、こういった仮説を支持する結果が、数多く報告されている。またグーグル社が自社のプロジェクトチームの成功に関連する要因を探った研究で、最も影響があったのが心理的安全性であったことを発表したことで、この概念の魅力は広く知られることとなった。 本稿では、これまでの実証研究から明らかになった心理的安全性の要因と効用を紹介しながら、今後の研究課題についても考えてみたい。 目次 「心理的安全性」の定義 心理的安
「ジョブ・クラフティング」は、「働く上での自分らしさ」を考えるときに欠かせない概念の1つだ。組織と個人の関係を長年研究し、ジョブ・クラフティングにも詳しい高尾義明氏に、ジョブ・クラフティングの定義や思想的・社会的背景、組織がジョブ・クラフティングを促す際のポイントなどを伺った。 目次 ジョブ・クラフティングとは 一人ひとりが仕事の意味を 見つけた方がよい時代になった 役割と自分らしさを両立して ワーク・エンゲージメントを高める ジョブ・クラフティングしやすい 環境を作ることならできる ジョブ・クラフティングとは 「ジョブ・クラフティング」は、2001年に生まれた割と新しい概念で、「ジョブ・デザイン」と比較すると分かりやすいと思います。 1970年代頃から、従業員のモチベーションを高めるために、人事や上司が従業員の仕事を計画的にデザインし、働く個人に仕事の意味を感じてもらおうとする施策が広ま
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