博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回は、名古屋のローカルフード、あんかけスパゲッティについてでした。 今回は、ご当地「ではない」場所で残るローカルフードから、その料理の本質が逆に浮き彫りになるかも……?というお話です。 ローカルフード周圏論③ 民俗学者・柳田國男が提唱した「方言周圏論」という仮説があります。これは、かつて文化的中心地で話されていた言葉が時代と共に同心円上に伝わっていき、より古い形が外側に残る、という説です。例えば南九州と東北で共通の方言が、今は失われたかつての「京ことば」をルーツに持つものだった、というような例があります。 僕は、食べ物に関してもこれと似たような現象が起こることがあるのではないかと考えています。さすがに方言のように軌跡を辿ることは難しそうですが、ある地方で生まれた食べ物が別の地域にもたらされ、いつしか発祥地