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アメリカ大統領選
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田原総一朗です。 新型コロナウイルス問題が、 世界中を危機に陥れている。 安倍首相は、ついに4月7日、 7都府県に 「緊急事態宣言」を出した。 僕は、10日に首相官邸を訪れ、 安倍首相に会った。 「緊急事態宣言が非常に遅れた。 なぜこんなに遅れたのか。 財務省が強い反対をしていたというが、 それほど反対したのか」と、 僕は率直に聞いた。 安倍首相は、 「そうではない」と言った。 実は「ほとんどの閣僚が、 緊急事態宣言に反対していた」という。 その理由は、 日本の財政問題にあった。 半年ばかり前までは、 日本の主なメディアはすべて、 「日本の財政は先進国で最悪にある。 長期債務は1100兆円以上、GDP比200%、 このままでは、日本の財政は、 数年で破綻する」 と強調していた。 こうした財政の厳しさは 当然閣僚も認識しており、 「コロナウイルス問題で、 数十兆円もの財政出動をするなんてとん
今年も、新入社員誕生の季節がやってきた。新入社員諸君には、希望もあるだろうし、不安もあることだろう。僕にも、そんな時代があった。 小説家を目指していた当時の僕は、大学の夜間部で学びながら、昼間は日本交通公社で働いた。現在のJTBだ。一生懸命やっているつもりなのだが、僕は度を超えて不器用だった。切符切りがまともにできないのだ。それでも、なんとか昼間の仕事をこなし、小説を書いては文学賞に応募していた。結果は、さんざんなものだった。 ちょうどその頃、同世代の石原慎太郎さんが、華々しく文壇デビューした。彼の『太陽の季節』を読んだ後は、しばらく呆然としてしまった。その石原さんのほかにもう一人、かなわないと感じた人物がいる。大江健三郎さんだ。二人の作品に圧倒された。僕は、小説家への夢を断念した。 大学を卒業した僕は、NHKや朝日新聞といったマスコミの入社試験を受けたが、ことごとく落ちた。11社目、よう
経営不振に陥っている「シャープ」が台湾の大手電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」の傘下で再建を目指すことになりそうだ。一方、不正会計問題で揺れる東芝は、2016年3月期連結決算の純損益で、赤字額が7100億円に拡大する見通しだ。 シャープ、東芝はともに日本を代表する電機メーカーである。その2社が、ここまで転落してしまったのは、なぜなのか。 いろいろな理由があるのだろう。だが、ひとつはっきりといえることがある。どちらも大企業になってしまった。「守り」に入ってしまったのだ。 僕は、多くの経営者に取材してきた。パナソニックの松下幸之助、ホンダの本田宗一郎、ソニーの盛田昭夫、京セラの稲盛和夫……。みな創業者であった。彼らはゼロからスタートしたし、当時の日本もゼロからのスタートだったのだ。失うものはなかった。だから「攻めの経営」になった。 以前、松下幸之助さんを取材した際、僕は「部下を役員などに抜擢
9月19日、安保法制法案が参議院で可決された。この法案に反対する人びとが国会前に押し寄せ、2万人ともいわれる大規模なデモとなった。 その前日の18日の夜、僕も国会前に行ってみた。法案可決の直前、集まった若者たちが、どれくらい熱狂しているのかをこの目で見たいと思ったからだ。ところが、国会前に集まっていた若者たちは、いい意味で「クール」だった。空腹を覚えれば自由に食事に行く。遅い時間になると、集まっていた高校生たちに「早く帰れ」と帰宅を促している。ニュースで報じられていたような絶叫ばかりではなく、落ち着いた空気が、そこにあった。 25日深夜の「朝まで生テレビ!」は、「激論! 安保国会・若者デモ・民主主義」をテーマに放送した。今回、若者デモの中心となっているSEALDs(シールズ)の創始メンバー、奥田愛基さんと諏訪原健さんの二人にも討論に参加してもらった。「SEALDs」とは、「自由で民主的な日
先日の衆議院憲法審査会で「珍事」が起きた。出席した憲法学者3人全員が、集団的自衛権を行使可能にする、新たな安全保障関連法案について、「憲法違反」との見解を示したのだ。 野党推薦の学者が「違憲」というのはわかる。だが、早大教授の長谷部恭男さんは、与党自民党の推薦だ。その長谷部さんまで、違憲との見解を出したのだから、「珍事」以外のなんでもない。そのあたりの人選は、自民党の「脇の甘さ」が出たとしかいいようがない。 しかし、はからずもこのような事態に至った以上、自民党はいま一度、しっかりと「憲法」に向き合うべきだ、と僕は思う。そもそも、1955年に結党されたときの自民党の綱領は、「自主憲法の制定」であった。現在の憲法は、アメリカの占領下で制定されたものだ。そして、日本を占領統治していたGHQが、日本の弱体化を狙った。これは歴史的事実である。 そもそもアメリカも、独立した日本がいずれ自主憲法を制定す
5月の「朝まで生テレビ!」は、米軍の普天間基地の辺野古移設をめぐって政府と沖縄県が真っ向から対立する問題を取り上げ、現地・沖縄のスタジオから緊急生討論をした。沖縄在住のジャーナリスト、政治家、経営者にも出演していただいた。 たとえば、建設予定の辺野古基地は普天間基地の「移転」などという小規模なレベルではない。実質、「新基地」建設というべきものであること。また、いわゆる「抑止力」も非常にあいまいな言葉であること。限られた時間のなかで、そのような点にまで話がおよんだ。突っ込んだ議論ができたと思っている。 いま多くの日本人は、沖縄のことをもっとよく考えなければならない、と僕は感じている。ご存じのように、普天間基地移設問題はこじれにこじれている。沖縄県知事の翁長雄志さんは、国と真っ向から対抗しているからだ。 沖縄の人たちは、米軍基地が沖縄に集中していることについて非常に怒っている。辺野古移設にも怒
先日、僕が司会をしている「朝まで生テレビ!」で、ISILについて、とことん議論をした。ISILとは、「イラクとレバントのイスラム国」の頭文字をつなげたもの。いわゆるイスラム過激派組織「イスラム国」のことだ。 彼らは日本人を人質にとって、死刑囚との身柄交換などを要求、脅迫をしていた。そして非常に残念なことに、結果はたいへん厳しいものとなった。 この事件が日本の外交姿勢につきつけた問題は、非常に大きい。昨年から自国民が人質になっていることを知りながら、なぜ安倍首相は中東を訪問したのか。なぜイスラエルであのような演説をしたのか。政府の足をひっぱらないように、野党も追及しなかったが、これらの疑問点は、いずれしっかりと検証されるべきだろう。 いうまでもなく国際政治は、実に複雑でデリケートである。今回の人質事件に関していえば、たとえ難民への人道的な支援のために資金を出すのだとしても、それらの国と戦闘状
僕が若かった頃のことだ。「国を、社会を変えたい」という志を持つ若者がたくさんいた。彼らは、革命を目指して学生運動に燃え、ジャーナリストや物書きになる、というのが常であった。しかし、いまの若者は、昔と比べだいぶ変わってきていると、最近感じるのだ。 そのような志を持ついまの若い世代は、何が違うのか。まず彼らは、起業することで、つまりはビジネスを通して、社会を変えようと考えている。もちろん適正な収益は目指す。だが、がむしゃらに稼ぐのではなく、社会全体の利益を重視するのだ。ソーシャルビジネスである。 その先駆けは、駒崎弘樹さんだろう。彼は、NPO「フローレンス」の代表だ。フローレンスでは、一般の保育園があずかってくれない、病気になった子どもをあずかる「病児保育」をおこなっている。 なぜ、そんなことを始めたのか。ベビーシッターの会社に勤務していた駒崎さんの母から、お得意さんが会社をクビになった話を聞
僕は今年80歳になる。毎週土曜にBS朝日「激論!クロスファイア」、月に一度、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」の司会をしている。また、ラジオ番組は週に2本あり、雑誌の連載は6本、ネット連載は3本ある。そのほか、単発のテレビ出演や講演もあり、僕の手帳はいつも真っ黒だ。 「その歳で、なぜそんなに元気なのですか」と、よく聞かれる。そんなとき僕はいつも、「悩まないこと」と答えている。もちろん、日々迷うことはある。いろいろと考え込むこともある。けれど夜になれば、悩んでも仕方ないと寝てしまうのだ。だから、失敗しても引きずらない。済んでしまったことを、くよくよ悩んでも仕方ないからだ。 ぼくは、特別な健康法なんてしてはいない。ただ、しいていえば、たっぷり7時間睡眠をとるようにしている。そして、好きなことしかしない。このふたつだけは、心がけている。人間、ストレスが一番体に悪いのだ。 以前、人に頼まれて、オーケス
先日、僕の番組「激論!クロスファイア」で、冨山和彦さんと話をした。冨山さんは、産業再生機構で数多くの企業の再生支援をした。いまは、経営共創基盤のCEOとして活躍する、腕利きの経営コンサルタントだ。 冨山さんの話で印象に残ったことは、「『大企業と中小企業』という分け方は、日本の実態にもはや合わない」ということである。そして、これからは、「『グローバル企業とローカル企業』を分けて考えるべきだ」と述べていた。 「グローバル企業」とはその名の通り、世界を市場としている企業だ。トヨタ、パナソニック、ソニーなど、誰もが知っている会社である。一方、「ローカル企業」とは、国内、なかでもほとんどが一定の地域で活動している企業のことだ。デパートやコンビニなどの小売業、観光業や金融もほとんどがここに入る。 つまり、日本の企業のほとんどがローカル企業なのだ。その割合はグローバル3割、ローカル7割だと冨山さんはいう
検事の郷原信郎さんは、僕がとても信頼する弁護士のひとりだ。彼は、由良秀之というペンネームで、小説も書いている。『司法記者』という小説だが、検察の内情を描いたものだ。この小説がいまWOWOWで、「トクソウ」という連続ドラマになり、話題になっている。その郷原さんが、僕の番組に出演してくれた。 僕は、ロッキード事件やリクルート事件、ライブドア事件などを取材してきた。その取材をとおして、検察、とくに特捜部の怖さを知ったつもりだ。しかし今回、郷原さんに話を聞いて、改めて「正義」という言葉に酔って突っ走る検察の怖さ、そして、それを煽るマスコミの危なさを感じたのだった。 たとえば事件を目の前にして、まず検察の上層部が、事件の「ストーリー」を描く。もちろん、捜査にとりかかるために、「仮説」をたてることは必要だ。しかし、その「ストーリー」に、何が何でも合わせようとしてしまうのだ。そのため、しばしば強引な捜査
僕の母校、早稲田大学には、大隈塾という、僕が塾長をつとめる講座がある。第一線のジャーナリストたちとともに、 「21世紀のリーダー、あるいは世界で活躍する日本人」の育成を目標として、各界の著名人を招き、学生たちを交えてディスカッションしている。とても贅沢な授業だ。 先日、家入一真さんにこの大隈塾へ来てもらった。彼が今年の1月、東京都知事選に出馬したことは、みなさんの記憶にも新しいだろう。そのとき家入さんは35歳。候補者の中でもっとも若かった。 じつは家入さんは、中学2年生のときから引きこもりだったそうだ。高校卒業後に就職したものの、「まともに働けなかった」という。 だが、そこからが彼のすごいところだ。インターネット関連の会社を起こして、最年少で株式上場したのだ。29歳のときのことである。そして、十数億円という資産を得たそうだが、カフェ経営等々で、結局すっからかんになってしまう。 このような経
先月の「朝まで生テレビ!」は、「激論!“安倍教育改革”」をテーマに、日本の教育の未来を徹底的に話し合った。番組では語り切れなかったことをここで言っておきたい。 日本の教育には、2つの大きな課題があると僕は思っている。ひとつは「道徳」、もうひとつは「人材の育成」についてだ。 僕が子どものころには、「教育勅語」というものがあった。教育勅語は、大日本帝国憲法が発布された1年後の1890年に発表された。当時の「正義と倫理」を詰め込んだものといっていいだろう。明治国家の外側は憲法、内側は教育勅語だった、と僕は思っている。 戦前の子どもたちは、みな学校で教育勅語を暗記させられた。いまでも僕は暗唱することができる。「朕(ちん)惟(おも)うに我が皇祖皇宗國を始むる」から始まって、「父母ニ孝ニ、兄弟(けいてい)ニ友ニ、夫婦相和シ、朋友相信シ」とくる。父母には孝行し、兄弟は仲よく、夫婦むつまじく、友だちは信じ
新しい東京都知事が誕生した。選挙が終わった僕の感想は、やはり舛添要一さんだったか、という印象だった。世論調査でリードしていたからとか、自公の応援があったから、ということだけが理由ではない。実は「朝まで生テレビ!」で僕は主要候補と議論している。 細川護煕さんの票が伸びなかったことも、納得できる。当選したら困ったことになったと思うのではないかと、細川さんの話を聞いたときに、僕は感じたのだ。細川さんにとって都知事選は、都知事になるための戦いではなく、「脱原発運動」の場であった。応援していた小泉純一郎さんも同じだ。僕には、そのように思えて仕方がなかった。小泉さんとのツーショットの映像を、テレビであれだけ流してもらえたのだから、アピールとして十分だったのだろう。 そういう意味で、前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児さんに対しても同じ印象だ。「朝まで生テレビ!」で僕は宇都宮さんに、「脱原発という点で一致
国家安全保障会議の設置、それに関連した特定秘密保護法の制定……。安倍政権は、着々と安全保障体制を築いている。しかし、日本が諸外国に比べて、まだまだ安全保障の面が甘いことは間違いない。特に情報面、つまりは「サイバー戦争」に対して、日本は無防備といっていいほどなのだ。 では、この「サイバー戦争」とは、どのようなものか。東大名誉教授の月尾嘉男さんにとことん話を聞いた。 「サイバー戦争」では、コンピュータ・システムやインターネットを利用し、目標のコンピュータやネットワークに侵入し、データを盗んだり、改竄あるいは破壊したり、攪乱したりする。そして敵のシステムを機能不全に追い込む。恐ろしいことに、敵のシステムに侵入し、必要な情報を盗んでも、プロはまったく痕跡を残さないのだ。 原理的には、インターネットにつながっているコンピュータなら必ず侵入できる。実際、世界ではたびたびサイバー攻撃が起きている。200
江田憲司さんら議員15名が、「みんなの党」を離党した。もともと江田さんは、「みんなの党」代表の渡辺喜美さんとうまくいっておらず、8月には幹事長を解任されている。「みんなの党」の中に溜まっていたマグマが、特定秘密保護法案への対応をきっかけに噴出した、ということだろう。もちろん、5名以上の国会議員が所属する政党に交付される政党助成金の算出の基準が1月1日だという理由も大きいだろう。 江田さんは「既得権益を打破する会」という、勉強会を立ち上げた。12月10日の設立総会には52人の議員が集まった。民主党の細野豪志さん、日本維新の会の松野頼久さんらも参加した。そのため、「野党再編」と見出しを打った新聞もあった。 新党結成の可能性は、あるだろう。だが、細野さんが民主党を離れるとは考えがたい。野党の大きな流れになるかは疑問だと僕は思う。何より「柱」がないのだ。会の名前は「既得権益を打破」だが、具体的に何
12月6日、特定秘密保護法案が先日の衆議院に続き、参議院でも可決された。そこで、改めてこの特定秘密保護法について話をしたい。 先月11月29日の「朝まで生テレビ!」は、特定秘密保護法案を取り上げて激論をした。法案への反対側は、青木理さん、長谷川幸洋さん、江川紹子さん、手嶋龍一さんなど、ジャーナリストたちが揃った。一方、与党側は元防衛庁長官の中谷元さん、総理大臣補佐官の磯崎陽輔さんが出演した。彼は、今回の法案の直接担当者だ。 番組では、この法案に反対する側から、次のような意見が出た。「チェック機関がない」「対象分野が曖昧」「恣意的な運用が可能」「取材が実質規制される」。対する政府側は、「そんなことはあり得ない」と答えていた。僕の考えは、この法律は必要だが、法案自体に不備があるというものだ。 司会という立場から、中谷、磯崎両議員を一歩引いて見ていると、決して「国民を騙そう」とか、「ごまかそう」
僕はいま、あることで、日本がたいへん危ういと感じている。「特定秘密保護法案」だ。安倍内閣が閣議決定し、おそらく今国会で成立することになるだろう。 第一次安倍内閣の頃から、安倍首相はこの法律を制定したがっていた。それは、なぜか。「スパイ防止法」の類(たぐい)の法律は、いま、日本にはない。世界の主要国のなかで、そういう法律がない国は日本ぐらいのものだろう。だから、アメリカに言わせれば、「そんな国では、たとえ同盟国であっても、怖くて重要機密を共有できない」というわけだ。 たとえば、国家公務員が重要な機密を漏らす、つまり守秘義務に反したとする。アメリカでは最高で死刑に処せられる。ところが、日本では最高でも懲役1年、50万円の罰金が課されるのみだ。だが、特定秘密保護法案が成立すれば、最高で懲役10年と刑が厳しくなるのだ。おそらくアメリカからの要請もあっただろう。安倍政権が、この法律の成立を急ぐ気持ち
僕は若い人たちと話をするのが大好きだ。母校早稲田大学に「大隈塾」という講座を作って、学生たちととことん討論もしている。テレビ番組で30代の若者を集めたこともあるし、小学校や中学校に講演にも行く。彼らの、しばりのない鋭い意見を聞くことを心から楽しいと感じている。 先月の「朝まで生テレビ!」では、「雇用と若者」をテーマに話し合った。いわゆるブラック企業、契約社員などの問題について、徹底的に議論した。僕が若かった頃に比べて、日本は豊かになったはずだ。だが、現代の若者たちには、昭和の時代とは質の違う問題が山積みになっているようだ。そこで、参考にはならないかもしれないが、僕の、仕事にまつわる昔話をしたいと思う。 実は僕は、子供の頃、小説家になりたかった。野球小説を書いたこともある。その夢はずっと持ち続けていて、小説家になるならばやはり「早稲田」だと滋賀から上京して、夜間の早稲田大学第二文学部に入学し
今年も8月を迎えた。この8月は、多くの日本人にとってやはり「終戦の月」である。日本が終戦した当時11歳だった僕にとってこの8月は、それまで信じていたものが、見事にすべて覆される、という強烈な体験をしたときだった。だからこそ、7月27日に公開された映画『終戦のエンペラー』を、深い思いを持って見たのだ。 話は、日本がポツダム宣言を受諾し、無条件降伏したところから始まる。そして、ダグラス・マッカーサーを最高司令官とするアメリカ軍が、日本に乗り込んでくる。マッカーサー元帥の任務は、日本を占領することであった。さらにいえば、占領という名の国家管理を行なって、日本を「民主主義国」として独立させようとしたのだ。 そのためには、「戦争責任者」たちを逮捕して、連合国の裁判で裁くことが必要であった。そこで問題となったのが、昭和天皇を「戦犯」に含めるべきかどうかだった。そこでマッカーサー元帥は、ボナー・フェラー
7月4日、参議院選挙が公示された。第2次安倍晋三内閣発足後、初の大型国政選挙だ。21日の投開票に向けて17日間の熱い選挙戦が始まった。僕は現在の時点で、すでにすべての党の党首に話を聞いた。なかでも印象的だったのは、「日本維新の会」共同代表の橋下徹さんと、「生活の党」代表の小沢一郎さんだ。 橋下さんは、正直言ってとても参っているようだった。慰安婦発言に対して、メディアからの大批判、さらに共同代表である石原慎太郎さんからも責任を問われた。その挙句に東京都議会選で敗北。打たれ強い彼にとってさえも、よほど大変な状況が続いたということだろう。 一方の小沢さんは、人を口説く天才だ。かつて、新生党代表幹事だった小沢さんは、日本新党、新党さきがけ、公明党、日本社会党などとの連立を謀った。反自民連合を作り、細川護煕内閣を樹立させたのである。そのため自民党は、第一党でありながら野に下ることになる。小沢さんの胆
「竹中平蔵」という人物は、実に興味深い。小泉純一郎内閣は、日本経済に溜りに溜まっていた不良債権という膿を出し切った。だから、小泉政権の後半は、GDPは増え、失業率の低下、税収の増加によって財政再建の道筋がほの見えたのだ。その立役者が竹中さんだった。 ところが、小泉さんの政治的手腕を評価する声はあっても、なぜか竹中さんへの賞賛はなかった。それどころか、逆に「竹中さんの規制緩和で格差が広がった」といった否定的な報道がなされた。経済学者やエコノミスト、マスコミにとって、竹中さんは叩きやすい「サンドバッグ」なのだ。 けれど、その竹中さんの手腕を、安倍晋三首相は熟知している。安倍さんは小泉内閣で官房長官を務め、竹中さんの働きを間近で見ていたからだ。 アベノミクスの成否は、安倍さんのいう「アベノミクス」の3本目の矢である「成長戦略」が成功するかどうかにかかっている。バブル崩壊以後の「失われた20年」か
ゴールデンウィークは終わったが、 依然として安倍政権の好調は続いている。 安倍晋三首相はロシアに続き、 中東を訪問、大成功に終わった。 経済も、株価は1万4000円を越え、 円安傾向も持続……。 好材料ばかりのようだ。 ただ、その好調の安倍内閣に、 アメリカ、イギリス両国から 鋭い矢が飛んできた。 アメリカの『ワシントン・ポスト』が 4月26日、安倍首相を 強く批判する社説を掲載したのだ。 「侵略の定義は国際的にも定まっていない」 と安倍首相が述べたことについて、 歴史を直視していないと批判、 さらに、経済政策の成果も台なしにしかねない、 という懸念も示している。 イギリスの『フィナンシャル・タイムズ』も 4月29日の社説で批判を展開。 安倍首相の靖国神社への供物奉納、 そして、歴史をめぐる発言に対し、 「支持率の高さを受け、本性をのぞかせた」 と述べ、経済政策に集中すべきだと 苦言を呈し
日本国内の自殺者数の増加が近年いっそう問題になっている。平成21年には、自殺者数が3万2345人に達した。その後やや減少したものの、昨年も2万7858人と、いまなお年間3万人近くの人が自ら命を絶っている。 こうした現象は、日本人の宗教的な死生観によるところもある、と僕は思う。キリスト教では、自殺は「罪」である。それに対して、日本で広がる多くの仏教的な教えでは、善い行いをしていれば「極楽浄土」に行けると解釈している人が多いようだ。だから、どうしようもない状況に陥ったときに「死んで楽になる」という発想を持ちやすい。日本人に「自殺」が多いのは、宗教的背景もあるのだろう。 僕自身は、死にたいと思ったことは一度もない。僕は悩み続けることができないのだろう。問題が起きてしまっても失敗しても、「どうにかなる」と考えてしまう。いくら悩んでも、何も変わらないと思っているのだ。 そんな考えをもつ僕だからこそ、
1979年から11年間の長きにわたり、イギリスの首相を務めた、マーガレット・サッチャーさんが4月8日に亡くなられた。ご冥福をお祈りします。 僕は、サッチャーさんにインタビューしたことがある。彼女は、「鉄の女」という異名にたがわず、非常に率直な発言をする方だった。最も印象に残っているのは、「私には後悔という言葉はない」とはっきり言い切った言葉だ。 サッチャーさんの最大の業績は、「イギリス病」を荒療治するため、サッチャリズムと呼ばれる大胆な改革を推進したことだろう。当時のイギリスは、「ゆりかごから墓場まで」という言葉に象徴される、手厚い社会保障政策を行っていた。こうした政策は、財政にとって重すぎる負担となっていた。そのうえ、手厚い社会保障は国民に「甘え」を生じさせる。その結果、経済は低迷していた。イギリスは病んでいたのだ。 そこでサッチャーさんは、「まずは国民一人一人の自助が必要」という方針を
3月27日の朝8時ごろ、僕の携帯電話が鳴った。電話に出ると、声の主がこう答えた。「ホリエです、ホリエタカフミです」。寝起きでぼーっとしていたが、思いがけない声を聞いて、いっぺんに目が覚めた。いや、そんなはずはない。「堀江さんは、まだ長野の刑務所にいるはずじゃないか」。咄嗟にそう聞くと、彼は答えた。「さっき仮釈放になりました」。声は心もちはずんでいるように感じた。堀江さんは仮釈放されたその足で、僕にいちばんに電話をしてくれたのだ。刑期は11月までだったが、7か月も早く仮釈放になったという。 僕は、2011年6月に堀江さんが収監される直前に対談していた。その対談は『ホリエモンの最後の言葉』として出版している。その本の中で僕は、「出所するときは必ず迎えに行く」と堀江さんと約束していた。そのときが、思っていたよりもずっと早くやってきたのだ。「いや、本当によかった」。僕は心からそう言って、早々の再会
3月25日、広島高裁で画期的な判決が出た。昨年12月の衆院選での選挙の無効を求めた訴訟で、「無効である」という判決を出したのだ。 衆院選の「1票の格差」は、この20年間、最大で2倍台で推移している。2009年の衆院選挙は、最大で2.30倍だった。この「1票の格差」に対して、2011年、最高裁で「違憲状態」という判決が出ている。「違憲状態」とは、憲法が要求する平等に反する状態にあるが、是正に必要な合理的期間は超えていないということだ。ところが昨年12月の衆院選の「1票の格差」は、最大2.43倍になっていた。 この格差での選挙は「無効だ」と司法が判断したのだ。「違憲状態」「違憲」という判決がこれまでも出ていた。だが、選挙そのものを「無効」としたのは初めてのことだ。司法が一歩踏み込んだ、と言えるだろう。裁判長は筏津(いかだつ)順子さんだ。やはり女性のほうがしがらみがなく思い切りがよいのかな、など
僕はいま、入院している。 そのことをツイッターに書いたところ、多くの人にお見舞いの言葉をいただいた。 改めてここで御礼を申し上げます。ありがとうございます。 僕の身の上に起きたことを簡単に話します。 2月23日夕方、近所で転んで、救急車で病院に運ばれた。どうも「食あたり」だったらしい。 入院してからずっと点滴を続けていて、ここ数日でだいぶ回復してきた。 27日には病室でラジオの収録もしたし、翌日は一時外出でラジオ出演もしてきた。 もうそろそろ退院できるだろう。 先週の2月22日金曜日は、月1度の「朝まで生テレビ!」の日だった。 実は、その数日前から僕は調子が悪かった。 会食をした後、帰宅して寝ようとすると吐き気が止まらず眠れない、そんな日があった。 それにもかかわらず僕は、帯広、熊本、沖縄、大阪、青森と、日本全国を飛び回っていたのだ。 そして22日のことだ。「朝まで生テレビ!」の放送が始ま
「秋元康」という人物は、僕にとって長い間、謎の人物だった。 テレビの構成作家出身であり、作詞家として手がけた作品はなんと4千曲以上あるそうだ。 チャート1位80曲以上という記録は、歴代の作詞家で1位を誇る。 売り上げ総数は4500万枚で、これは歴代3位だという。 これだけでも「おばけ」だが、さらに脚本も書き、映画も撮り、小説も漫画原作もある。 そして何よりAKB48グループの総合プロデューサーだ。 秋元さんが「大作家」であることは間違いないが、僕が知っている「作家」と彼の活動は まったく違う。 作家というのは、個人の表現活動に徹する存在だ。 だが、秋元さんはAKB48という女の子の集団を世に送り出し、社会現象まで 生み出しているのだ。 「秋元康」とは、いったいどんな男なのか? 謎を見つけたら近づいてみたくなるのが僕の習性である。 たまたま同じ整骨院に通っているという縁もあり、早速、僕は秋元
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