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第11回 フカフカの土が世界を救う!? 学校では教えてくれない「土」のはなし(1) 2019.04.12更新 なんだか当たり前に足元にあって、地味で、取り立てて興味を持つこともない・・・そんな存在「土」。農業でもやっていない限り、特に「土」について考えたり、学んだりする機会もないかもしれません。 『ミシマ社の雑誌 ちゃぶ台』でお百姓さんを取材したり、発酵について取材したりしてきたミシマ社ですが、ご多分に漏れず土についてはほとんど知らないことばかり。 そんななかで、ある著者さんから興味深いを話を聞きました。 「農家さんを訪ねたときに、フカフカのお布団みたいな畑の土があって、寝転んでみたらめちゃくちゃ気持ちよかった」 そんな土があったら、ぼくも寝てみたい・・・!! 俄然、土に興味が湧いてきたミシマ社メンバーが偶然にも出会ったのが、藤井一至先生の『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて
第11回 フカフカの土が世界を救う!? 学校では教えてくれない「土」のはなし(2) 2019.04.13更新 今日は昨日に引き続き、土の研究者・藤井一至先生インタビューです。 人間と土の、歴史的な深い深いつながりの話から、ちょっとワケありな日本の土の話へ。ウンコとフカフカの土のお布団がもたらす、思わぬ効用も明らかに!? <前編はコチラ> 文・池畑索季、写真・須賀紘也 藤井一至(ふじいかずみち) 土の研究者。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員。 1981年富山県生まれ。京都大学農学研究科博士課程修了。博士(農学)。 京都大学研究員、日本学術振興会特別研究員を経て、現職。カナダ極北の永久凍土からインドネシアの熱帯雨林までスコップ片手に世界各地、日本の津々浦々を飛び回り、土の成り立ちと持続的な利用方法を研究している。 第1回日本生態学会奨励賞(鈴木賞)、第33回日本土壌
第7回 香山哲さんインタビュー「生活を大切にする漫画を描く」(後編) 2022.07.18更新 今回の「本屋さんと私」は、漫画家の香山哲(かやまてつ)さんのインタビューをお届けします。 香山さんの代表作は、ドイツでの移住者としての暮らしを描いた漫画『ベルリンうわの空』。この作品を読んだとき、私(編集チーム・角)は、こんな漫画には出会ったことがない! と衝撃を受けました。 スーパーでの買い物も、日々のちょっとした会話も、貧困や差別の問題も、なんとなく心惹かれてしまう雑貨や街角の張り紙も、いち生活者の目線から地続きに描かれていきます。また、街の人びとはみんな、人とも動物とも植物ともいえないような不思議な姿をしています。 そんな香山さんの絵や言葉に触れると、社会の豊かさと困難を考えるきっかけが生まれるとともに、自分の弱さや好きなことを大切にして生活しよう、という感覚がじわ〜っと染み込んでくるので
第7回 香山哲さんインタビュー「生活を大切にする漫画を描く」(前編) 2022.07.17更新 今回の「本屋さんと私」は、漫画家の香山哲(かやまてつ)さんのインタビューをお届けします。 香山さんの代表作は、ドイツでの移住者としての暮らしを描いた漫画『ベルリンうわの空』。この作品を読んだとき、私(編集チーム・角)は、こんな漫画には出会ったことがない! と衝撃を受けました。 スーパーでの買い物も、日々のちょっとした会話も、貧困や差別の問題も、なんとなく心惹かれてしまう雑貨や街角の張り紙も、いち生活者の目線から地続きに描かれていきます。また、街の人びとはみんな、人とも動物とも植物ともいえないような不思議な姿をしています。 そんな香山さんの絵や言葉に触れると、社会の豊かさと困難を考えるきっかけが生まれるとともに、自分の弱さや好きなことを大切にして生活しよう、という感覚がじわ〜っと染み込んでくるので
歴史学者の藤原辰史さんと数学者の伊原康隆さんによる、往復書簡の連載です。伊原さんから藤原さんへの前回の便りはこちらから。 今回は、歴史学者が現在の出来事をどうとらえるか、そのおりにどう歴史を学び直すのかについてのお話をさせてください。歴史学の営みは、単に過去の事実を学ぶのではなく、過去を通じて現在を理解しようとする試みでもあることは、よく言われる通りです。今回、ロシアがウクライナに侵攻したという衝撃的な事実を前に、私たちはどう頭を整理できるのか。歴史学をはじめ人文学の知はこのようなときに、悪い意味にも良い意味にも、威力を発揮します。悪い意味、というのは、歴史の歪曲と国威発揚と「非国民」の確定のために用いること、良い意味というのは、過去の愚行の背景を知り、現在に生かすために用いること、と取っていただいてかまいません。 この問題が起こる前にウクライナ情勢について私が考えたことは、『毎日新聞』(
第16回 『みゃーこ湯のトタンくん』刊行記念・スケラッコさんインタビュー(前編) 2021.12.24更新 12月10日に発刊となった、スケラッコさんによる銭湯ネコマンガ『みゃーこ湯のトタンくん』。Web連載時から「かわいすぎる」「銭湯に行きたくなる」と話題でしたが、満を辞して書籍化! 描き下ろしも盛りだくさんな一冊になりました(1〜4話試し読みはこちら)。 記憶をなくした青年・ハラが目を覚ますと、そこはネコの街。銭湯「みゃーこ湯」を営むトタンに拾われて、銭湯見習いをすることになるハラと、店主・トタン、そしてみゃーこ湯の常連さん(みんなネコ)との日々の物語は、寒〜い冬の日をほっとあたためてくれること間違いなし。 滋賀県・膳所にある銭湯「都湯」が監修を担当しているので、銭湯の水って毎日入れ替えてるの? 番台に立つ以外は何しているの? という「銭湯のお仕事」も読んでいるうちに学べます(都湯は「
第8回 句読点(出雲) 2021.11.16更新 2021年の10月、島根県出雲市の本町商店街に、古書と新刊を扱う書店・句読点さんがオープンしました。お店をやられているのは、ともに20代の嶋田和史さんと栗原晴子さん。 栗原さんは以前大阪の書店にお勤めで、ミシマ社はそのときからお世話になっていました。 おふたりが若くして書店をはじめられた経緯や、「句読点」という店名に込められた思いなどをぜひうかがってみたいと思い、オープンしてまもない11月はじめにオンラインでインタビューさせていただきました。 出雲は空が広くて気持ちがいい ――嶋田さんは埼玉県ご出身で、栗原さんは大阪府ご出身とうかがいました。なぜ出雲という地で書店を始めようと思ったのですか? 嶋田 京都の大学に通っていた学生時代に一人旅にはまっていて、日本全国をまわっていたんです。そのときに訪れた土地のひとつが出雲でした。ちょうど就活や進路
第3回 素朴な声は届かない? 2021.10.13更新 これまでの経緯を簡単に記す。 2021年7月9日、「北山エリア整備計画」に関して京都府の職員の方とヒアリングの場をもった。私の思いはこのようなものであった。 「日本最古の植物園は世界に誇れる多様な植物などの生態系がいる空間。今後も、公園化せず、植物園としてあって欲しい。その角地のスペースにアリーナをつくったり商業施設をつくったりする案があるが、住民はそうした「消費」の場所は望んでいない。それより、子どもたちがお金を使わずとも、普段づかいできるような空間が欲しい。たとえば図書館とか」 こうした場に初めて出席した私は、思いをストレートにぶつけた。結果は剣もほろろ。「白紙にすることはできないですね。もう、通ったことなので」。この一言にむざむざと腹を立ててしまう。あとで気づくのだが、何でもかんでも反対を唱える「そっちの人」と見做されたようだ。
第80回 『くらしのアナキズム』(松村圭一郎 著)「はじめに」を公開! 2021.09.16更新 こんにちは。ミシマガ編集部です。 今月、文化人類学者の松村圭一郎さんによる、著書『くらしのアナキズム』を刊行します。ミシマ社からは、『うしろめたさの人類学』以来、4年ぶりとなる松村さんの新刊です。 「国ってなんのためにあるのか? ほんとうに必要なのか」 この問いを出発点に、だれもがとらわれている前提を問いなおし、ふつうの生活者が持っている、埋もれた潜在力をほりおこす。自分たちの生活を、自分たちの手で立て直していくための知見が詰まった一冊です。 本日は、9月24日(金)のリアル書店先行発売に先立ち、『くらしのアナキズム』より「はじめに」を公開いたします。刊行記念イベントも予定しておりますので、ぜひご注目ください。 はじめに 国家と出会う 国ってなんのためにあるのか? ほんとうに必要なのか。 「国
第3回 ギリギリのところで 2021.06.23更新 研究室でパソコンの画面を覗き込み、東京オリンピック・パラリンピック(以下東京五輪)に関連するニュースを追いかける日々が続いている。 僕が勤める大学では、対面授業は実技や演習などの限られた科目のみに限定され、講義の大半をオンラインで行っている。クラブ活動も、県の要請を受けて、全国大会を控えるなどの条件を満たした部のみ許可されているため、学生とはほとんど顔を合わさない。さらに教職員はテレワークと時間差勤務を実施しており、キャンパスには人気がなく閑散とした雰囲気が漂っている。 新型コロナウイルスの感染が広がる前は、キャンパス内を移動中に職場の同僚とすれ違うことも多く、よく立ち話をした。それがたとえ挨拶程度ではあっても、言葉を交わすだけでなんとなく気分が上向いたものだ。 話し終えてその場をあとにしながら、「なんか疲れてる様子だったな、そういえば
第16回 「学習権」をめぐる対話〜森田真生・瀬戸昌宣 2021.04.29更新 2020年春。新型ウィルスの感染拡大により、全国の学校が一斉休校しました。学びが「不要不急」のように扱われる前代未聞の事態。この状況を前にして、独立研究者として長年「未来の学び」を考えてきた森田真生さんと、実際に未来の教育を実践している瀬戸昌宣さんが、「学校」という枠組みにとらわれない学びの可能性を探るべく、この「学びの未来」プロジェクトはスタートしました。(これまでの歩みの詳細はこちら) そしてこの1年間、毎週のラジオ、月に1度の座談会で対話を重ねるなかで、学びの未来を拓くためのキーワードとして「学習権」が浮かび上がってきました。本日は3月28日に開催した「学びの未来座談会」より「学習権」、「学校という場が果たすべき働き」についての対話の一部を掲載いたします。 気候変動や新型ウィルスの感染拡大など環境が大きく
「一冊!取引所」とは? 書店と出版社をつなぐ、クラウド型受発注プラットフォーム。 株式会社カランタが運営し、ミシマ社は共同開発として関わっているサービスです。 一冊!取引所はこちら コロナ禍で加速した「DX」 皆さんこんにちは。「一冊!取引所」のワタナベです。 さて皆さま、突然ですが、「DX」という略語を聞いたことはあるでしょうか? 「DX」は、「デジタルトランスフォーメーション」の略です。ウィキペディアによると、この用語は、 "2004年にスウェーデンのウメオ大学教授のエリック・ストルターマンが提唱した。ストルターマンは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義" した、とあります。この考え方がDXという概念のはじまりとされています。 「提唱」だなんて大げさな。なんだか当たり前のことを言っているだけに聞こえます。ですが、DXとは、単に「デジタル化」とか「IT
利他への関心の高まり コロナ危機によって「利他」への関心が高まっています。 マスクをすること、行動を自粛すること、ステイホームすること――――。これらは自分がコロナウイルスにかからないための防御策である以上に、自分が無症状のまま感染している可能性を踏まえて、他者に感染を広めないための行為でもあります。 いまの私の体力に自信があり、感染しても「たいしたことはない」と思っても、街角ですれ違う人の中には、疾患を抱えている人が大勢いるでしょう。恐怖心を抱きながらも、電車に乗って病院に検診に通う妊婦もいる。通院が不可欠な高齢者もいます。一人暮らしの高齢者は、自分で買い物にも行かなければならなりません。感染すると命にかかわる人たちとの協同で成り立っている社会の一員として、自分は利己的な振る舞いをしていていいのか。そんなことが一人一人に問われています。 ロンドン大学教授のグラハム・メドレイ(Graham
この連載が本になりました! 『みゃーこ湯のトタンくん』 スケラッコ(著) ネコの街の銭湯「みゃーこ湯」を営む店主・トタンと、街で唯一の人間・ハラさん。銭湯のお客さんは......みんなネコ! 風呂掃除して薪で湯を沸かし、今日も明日も商売繁盛。 そんな銭湯での日々のおはなし。 定価:1,500円(税別) A5判160ページ、ISBN:978-4-909394-61-3 装丁:佐藤亜沙美 発刊:2021年12月10日(電子書籍同時リリース) ◎描き下ろしも盛りだくさん! ぜひ書籍でおたのしみください。 スケラッコ (すけらっこ) 京都在住。漫画家、イラストレーター。銭湯では電気風呂と水風呂が好き。 著書に『盆の国』『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』(以上、リイド社)、『バー・オクトパス』(竹書房)、絵本『マツオとまいにちおまつりの町』(亜紀書房)など。 「みゃーこ湯のトタンくん」銭湯監修:
第2回 アナーキーな相互扶助(伊藤亜紗) 2020.09.17更新 答えを手放す。 さいきん読んだ文章 (※)のなかで、ブレディみかこさんが、アナキズムの話をされていたことを思い出しました。ケアっておそらく本質的にアナーキーなことなんでしょうね。 ※ブレディみかこ×栗原康「コロナ禍と"クソどうでもいい仕事"について」『文學界』10月号、文藝春秋、212-222頁 ブレディさんがあげていたのは、英国がロックダウンしたときの相互扶助の光景でした。ブレディさんの住むブライトンでは、一人暮らしのお年寄りや自主隔離している人に食品を届けるネットワークを作るから電話をしてください、と連絡先が書かれたチラシが郵便受けに入っていたり、自宅の壁にチラシを貼ったりしている人がいたそうです。アナキズムというと、暴動を起こして一切合切破壊するようなイメージがありますが、相互扶助のために勝手に立ち上がるという顔もあ
第72回 胸痛む夏 2020.08.05更新 都内の大学の教員をやっているので、2020年春から、否応なしに、オンライン授業に移行した。オンライン授業など、それまで、やったことがあるはずがない。大学の教育は、対面の教育にこだわり続けていたのだし、とりわけ私の勤務先の小さな女子大は、現実はどうであれ、少人数教育にこだわり続けてきた。自分自身の「学生と会う」ことへのこだわりも大きかった。対面で学生と出会う時間、そこでのやり取り、そこでの共時性、そこでの言葉も介在しないようなひと時、そういうものが、全て大学での教育であり、自らの研究室は、そのための重要な場を提供していた。 新型コロナ・パンデミックとともに、そのような当たり前の時間と場は、はかない夢だったように消えてしまった。自分の研究室に入ることができなくなるなんて、考えたこともなかったが、入れなくなってもう5カ月になる。やったこともない、慣れ
第1回 土井善晴先生×中島岳志先生「一汁一菜と利他」(1) 2020.07.27更新 2020年6月20日、MSLive!にて、土井善晴先生と中島岳志先生のオンライン対談が行われました。料理研究家と政治学者、そんなお二人のあいだでどんなお話が繰り広げられるのか、一見、想像がつきづらいかと思います。ですが、自分たちの足元からの地続きの未来を考えるとき、中島先生が最近研究のテーマに据えられている『利他』と料理・食事のあいだには、大切なつながりがあることが、対話を通して明らかになっていったのでした。 今回の特集では前半と後半の2回にわけて、そんなお二人のお話の一部をお届けします。 自然−作る人−食べる人という関係 中島 私たちはいま、コロナの経験によって、環境や自然の問題に本格的に直面しています。私は、私たちの日常と自然の関係を考えるときに、台所という場所の重要性がこれから大きな問題になるのでは
第6回 「こどもとおとなのサマースクール 2020」開催のごあいさつ&チケットのご案内 2020.07.07更新 みなさま、こんにちは。ミシマ社の三島邦弘です。 今年の夏、念願のサマースクールを開講することにしました。 もとをたどれば2年前、周防大島でサマースクール(プレ)をおこないました(詳しくは「ちゃぶ台」Vol.3をご覧いただければ幸いです)。とはいえ、当時は一般の方々へ開いたかたちではありませんでした。昨年は多忙を理由に断念。このままいけば、今年も「ない」まま流されていたかもしれません。 が、今年はなんとしても、開催しよう。しなければいけない、と思うに至りました。 本年4月、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、全国で緊急事態宣言、自粛要請が出されました。ほとんどの学校も休校となりました。6月に入り、学校は再開されたものの、マスク着用を強いられ、子ども同士の「ふれあい」すら困難な
第13回 中島岳志さんインタビュー いまの政治のこと、教えてください。(1) 2020.03.02更新 このままじゃ絶対によくない。 いまの日本の政治に対してそう直感しても、これからを考えるための気持ちと思考の拠り所がない。近ごろの国政、地方政治、それぞれの状況を背景に、数年に1度やってくる選挙を終えるとたびたび浮かぶこの心象。2月初頭に行われた京都市長選の直後にも同じことを思いました。 「投票に行ったって結局何も変わらないじゃないか」正直、そう思ってしまう自分もいる。一方で、「自分たちの手で、自分たちの生活、自分たちの時代をつくる――」ミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』の創刊号の帯に掲げたこの言葉を諦めきれない自分もいる。 国の政治に希望はあるの? いまの状況を変えるには、何をしたらいいの? 素朴な疑問に向き合うためには、詳しい人に聞きに行こう。ということで、政治学者の中島岳志さんにお話をうかが
現在、世界中で脅威の広がる新型コロナウィルス感染。日本では、「先手で対応する」とのA首相の言葉が喜劇であってほしいと思わざるをえないほど、「後手」および「誤手」の連続。一例に事欠かないが、2月19日クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客を「ソフト隔離」することなく下船させ、専用バスなどの手配もなく、そのまま帰宅させてしまう。二週間ほど前の検査で「陰性」だったことだけを根拠に。当然のように、その後、下船客から陽性患者が出ている。 こうした愚策が、なぜおこなわれるのか? どうして、これほど頻発するのか? 『ちゃぶ台』Vol.5の「編集後記」で記した通りの事態ーー「何かが起こったら、機能停止。予想できない事態に直面したら、思考停止。それは、機能不全の上層部の判断を仰ぎながら仕事をすることを常とした結果」。ーーが日々、進行しているとしか思えません。本号では、「実態として無政府状態になっている
第79回 一冊!取引所、はじめます。 2020.02.26更新 元日更新の「ミシマ社の話」で、システム開発をしている話を書きました。ありがたいことに、著者の方々、出版社の方、書店さんはじめ多くの方々から、応援してます、感動した、などと身にあまるお言葉を頂戴しました。 そうした声を励みに、この1カ月半、粛々と開発を進めておりましたが、ついに告知を開始し、仮サイトをオープンしました。 こちらから説明書のような冊子をご覧いただけるようになっています。そのなかに「一冊!宣言」という文章(前回の「自分の足元から少しずつ」を短くし、加筆・修正したもの)を掲載しました。 今回は、そのなかの一文について、もうすこし詳しく書きたく思います。 自分たちにとって本当に必要なシステムを開発していくことしか、中小企業の仕事改革などありえないと思います。 と、その前に、このシステムを本格スタートするにあたり、新会社を
第35回 『モヤモヤの正体』刊行記念 尹雄大さんの正体(1) 2020.01.29更新 こんにちは。ミシマガ編集部です。 明日1月30日に、尹雄大さんによる『モヤモヤの正体――迷惑とワガママの呪いを解く』を刊行します。多くの人がわだかまりを感じるような出来事について、そのモヤモヤした気持ちの正体をていねいに探ります。はじめに言っておきますが、本の中に書かれていることは、わかりやすい問題解決のためのノウハウでもなければ、ある出来事を善し悪しでスパっと判断することもしていません。複雑なものは複雑なままに、白黒つけられないところにとどまる足腰の強さを手に入れるためのリハビリの一冊です。 『モヤモヤの正体――迷惑とワガママの呪いを解く』尹雄大(ミシマ社) さて、今日の特集テーマはタイトルにもある通り、この本の著者である尹雄大さんについて。何度も何度も原稿のやりとりを重ね、ついに校了を迎えた日。担当
第78回 自分の足元から少しずつーー「思いっきり当事者」として 2020.01.01更新 あけましておめでとうございます。 本年が皆さまにとりまして豊かな一年でありますように。そう祈念して、この文章を記したく思います。 * 「自分たちの手で 自分たちの生活 自分たちの時代をつくる」 2015年10月、この言葉を掲げて、ミシマ社初の雑誌「ちゃぶ台」は創刊しました。以来、年に一度の刊行を重ね、昨年10月にVol.5「宗教×政治」号を出しました。 最新号を「宗教×政治」号とした理由は、端的に言えば、このままではいけない、という抜き差しならない思いがあったからです。全方位にわたって、このままではいけない。放っておいたら、自分たちの生活が根こそぎ崩されてしまう。5年前に「ちゃぶ台」を創刊したときより、はるかに強い危機意識が自分のなかでありました。 何がこのままではいけないか? 大きくは、気候危機、環
第26回 クモのイト 刊行記念特集(1) 中田兼介先生インタビュー 2019.09.17更新 来週木曜日、9月26日に、ミシマ社の新刊『クモのイト』が発刊されます。 『クモのイト』中田兼介(ミシマ社) 身近だけど、意外と知らないクモ。 ・網は毎日張り直している ・クモは自分で張った糸を食べてリサイクルする ・メスに食べられないようにプレゼントを渡すオスがいる ...etc そんな知られざるクモの魅力が詰まった『クモのイト』。 (ご予約はこちらから!) 刊行記念特集の第一弾は、著者中田兼介先生のインタビューです。 中田先生の遍歴、そして知られざる「クモ研究者」の世界について伺いました。 (中田先生が、みなさまから寄せられたクモについての質問に答える連載、「クモ博士に聞いてみよう!」はこちらからどうぞ!!) アリからクモへ ーー 今日は最初に、そもそも中田先生はなぜクモを研究されているのか、お
第16回 好きな人に告白することは迷惑だ 2019.08.18更新 2年ほど前、私の主催したインタビューの技法に関するワークショップを終えた後、参加者のみなさんとカフェでコーヒーを飲んでいた時のことです。経緯は失念しましたが、大学院生の男性が他の参加者に尋ねられ、「これまで誰とも付き合った経験がない」と答えていました。打ち解けた雰囲気の中でそれなりの親密さがもたらした展開でそうした話題になったのでしょう。隣にいた女性が「付き合いたいとは思わないの?」と尋ねます。 すると彼はこう答えました。 「好きな人がいても告白するのは相手に迷惑かなと思うんですよ」 え? と驚き、口元に運んだカップを一旦テーブルに置いたものの、すぐさま「なるほどそうか。わからないでもないな」という得心が訪れました。発言を聞いた私と同世代の女性は、彼の言動に覇気のなさを見て取ったのでしょう。憤慨に近いような納得しかねる表情
長い連休のあいだ、やらなければいけないことにまったく取りかからず、やらなくてもいいことばかり片付けたので、連休最終日にはやり切った感のやり残した感が半端なかった。 というSNSの投稿を見た街の大先輩(バッキー井上さん)が、「それでええやん」とコメントをくれた。ほんまにそうやな、とすとんと落ちた。 どうしてわたしは、こう、いつも「正しさ」を間違えてしまうのだろう。休みの日というのは、「やらなくてもいいこと」をするための時間なのだ。間違ってなかった(きっぱり)。 そんなわけで、やや飛び石ではあったけれど、休みの間は、チョモランマのごとくそびえ立つ積読山を崩したり、ゆく年くる年的な改元の喧騒を横目に粛々と掃除にいそしみ、ぎゅうぎゅうにモノを詰め込んだ押入れをひっくり返して捨てたりあげたり売ったりしつつ、日が暮れたら撮り溜めていたドキュメンタリー番組の録画を再生しながら、キンキンに冷えた安っすい泡
第11回 恥と恐怖 2019.03.21更新 小学校6年生のとき、家庭科の授業で枕カバーを作り、そこに刺繍を施すという課題が出されました。その頃の私は城の石垣や楽焼、尾形光琳の燕子花図といった古の文物に魅せられていて、それらの絵を好んで描くのを趣味としていました。当然ながら枕カバーの刺繍に選んだ題材はと言えば、屋島の戦いにおいて汀に馬を進め、平家方の船にかざされた扇に向けて矢をつがえる那須与一というシブいものでした。それほどレベルの高い刺繍ではなかったでしょうけれども、内心満足のいく出来映えでした。 後日、授業の終わりに担任が提出した課題を一人ひとりに返し始めました。私の番になると、彼女はカバーを広げて衆目にさらした上で、「なんやこれ。わけわからん」と言い放ったのです。 その教員は今なら懲戒処分を受けるような人物で、少しでも気に入らない発言を生徒がすると職員室に引きこもり、全員が謝りに行か
第73回 これからの出版社とこれからの書店 2019.02.27更新 今年に入って、書店をとりまく動きが活発だ。 なかでも次の三つを個人的に特筆したい(最後のひとつは、かなりの痛みをともなっている)。 ひとつは、青山ブックセンターの店長山下さんの「出版します」宣言。書店である青山ブックセンターが、書籍を発刊し、自社で販売すると発表した。 二つ目は、アマゾンの「買い切り直仕入れ」方針の発表。出版取次を介さず出版社から直接買い入れ、返品しないやり方進める、と打ち出した。 最後のひとつは、一月下旬に突然倒産した大阪の名店「天牛堺書店」の倒産。 ひとつは「書店発出版」、ひとつは「中抜き取引」、ひとつは「倒産」。一見、別物に思える三つだが、この三者を串刺しにする共通点が実はある。業界に深く根ざす構造的な問題がそれだ。 出版社-書店間の「不平等条約」。 近頃、はっきりとこう思うようになってきた。出版社
第2回 町屋良平さんインタビュー 言語的凝縮を解き放つ(2) 2019.01.15更新 『しき』町屋良平(河出書房新社) 昨年読んだ一冊の小説に、鮮烈な印象を受けました。 町屋良平さんの『しき』。 高校二年生の青春が描かれている、にもかかわらず、読んでいるうちに、いい歳をした自分の体内に、彼らの体感が再現されるような、不思議な感覚。 作中、「きもちがのびやかになる。ひろやか~になる。」という一節が出てくるのですが、まさに、この作品を読んで、そんな気持ちになりました。 その後の最新作「1R1分34秒」が芥川賞候補にもなっている町屋良平さんに、『しき』について、小説を書くことについて、そして本屋さんについて、うかがいました。 ■前編の記事はこちら (聞き手、構成:星野友里、写真:須賀紘也) 直感で「こう」と思ったことが、そんなに間違ってないことが大事 ―― 最初は物語に引っ張られるように読んだ
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