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東日本の被災地のケースでは、収集にあたる施設の「立地」も問題となる。特に岩手県立図書館がある盛岡市は沿岸のどこともほぼ100㌔以上離れており、気仙両市からは車で片道2時間ほどかかる。 被災施設ではまだ人手や保管場所の面で困難も多い。それだけに、震災資料活用特命課長の澤口さんが「『県立はすべて持っている』という状態を目指したい」と話す通り、同館が収集における〝旗艦〟的役割を果たすことに異論はない。 一方で沿岸住民の利便性を考えれば、やはりすぐ身近にも資料はそろっているべきだろう。それも各地域の特性に沿った形でだ。 陸前高田市立図書館の副主幹・長谷川敬子さんは、「地域図書館は『地元でないと入手しにくい資料』をしっかり集める必要がある」と話す。たとえば町内会や老人クラブ発行の会報など、部数も少ない冊子等である。 また、長谷川さんは「震災後に出た物だけでなく『震災前の風景』を写した観光パン
「震災文庫」について調べ始めた時、まず非常に驚かされたことがある。同文庫の公開が、阪神淡路大震災の発生した平成7年の10月にはもう始まっていたという点だ。 発災からわずか9カ月。それも、被災地の中心に近い神戸市灘区にある大学で、だ。同大では職員と学生あわせて41人が犠牲となった。建物が無事とはいえ、書架の転倒、倒壊などによる被害は甚大。区内ではガスや水道が1~3カ月にわたり復旧しなかったという。そんな中で1月30日から図書館業務を再開し、4月には資料収集が開始されたというのだ。 「きっかけは、外部の方から『今回の地震に関する資料を網羅的に閲覧できる場所はないか』と問い合わせされたことだったそうです」と、電子図書館係の小村さんが教えてくれた。 これを受けた同大は「地震に関する資料の収集・整理・保管、そして一般公開にあたることが、被災地にある大学の責務」と判断。当時司書として勤務していた
三宮駅前の百貨店・そごう神戸店。大地震で崩れ落ちたという当時の状況を説明されても、とうとう具体的なイメージはわかなかった。 「今では想像できないですね…」と答えつつ、ああこの感覚にはよくよく覚えがあるなと考えていた。ただし、このときとは逆の立場からだ。 発災当時を知らない人、かつての町の姿を見たことがない人に、被害状況や以前の市街地の様子を説明しようと試みたとき、誰もが一度は〝この感覚〟を味わったことがあると思う。 目の前に跡形もないものを想像するというのは、大変困難な作業だ。「ここに○○があったんですよ」「ここではこういうことが起きたんです」。どれほど言葉を尽くしても「伝わった」気がしない…そう感じるむなしさ。 では、戦争にしろ災害にしろ、現場に居合わせなかった者、後世に生きる者が、そのときの状況を知ろうと思った場合、よすがにするものといえば何だろう。▽経験者による語り▽原爆ドー
陸前高田市は20日に行われた市議会全員協議会で、高田地区の中心市街地再生の核となる大型商業施設内に、図書館を設置する方向で検討を進めていることを明らかにした。商業施設、図書館双方の来訪増につなげ、市街地の活性化を図る考え。市は新規事業者の参画も見据えた商業施設整備に向け、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金(津波立地補助金)の導入を図るべく「市まちなか再生計画」の策定を進める。 東日本大震災により、市内では高田町にあった図書館、博物館、市民会館、市民体育館、野球場など多くの社会教育施設が被災。図書館と博物館、中央公民館、体育館は併設の形で整備されていた。現在図書館は、竹駒地区コミセン隣接地に構えた仮設施設で図書貸し出しなどのサービスを行っている。 被災後、市は施政方針演述などで「市立図書館、博物館を併設した市民文化会館」との整備構想を掲げてきた。この日の全員協議会で山田市雄教
県は、震災被災者向け仮設住宅、みなし仮設住宅の入居状況をまとめた。それによると、昨年12月31日現在、県内では仮設住宅、みなし仮設住宅合わせて1万2800戸に計2万8841人が暮らしている。 内訳は仮設住宅が1万371戸、2万2534人、民間賃貸住宅、公営住宅等のみなし仮設が2429戸、6307人。 このうち、大船渡市では1691戸(仮設住宅1338戸、みなし仮設873戸)に3838人(仮設住宅2965人、みなし仮設873人)、陸前高田市では1802戸(同1695戸、同107戸)に4479人(同4178人、同301人)、住田町では62戸(同55戸、同7戸)に152人(同131人、同21人)が入居している。 気仙3市町の合計数は3555戸、8469人。戸数で県内全体の27・8%、入居人数で29・3%をそれぞれ占める。 県内各市町村の仮設住宅等への入居者数では、釜石市の6173人が最高
官公庁や多くの民間事業所の平成27年仕事始めとなった5日、年頭あいさつの場となる新年交賀会が気仙2市1町でそれぞれ催された。各界からの出席者たちは本格復興に向けて歩みを進めた昨年を振り返りながら、ふるさと再生と一層の発展へ決意も新たにした。 ◇大船渡市…450人が抱負語らう 大船渡市の新年交賀会(市、大船渡商工会議所など主催)は、大船渡町の大船渡プラザホテルで開かれた。出席者たちは復旧・復興のさらなる前進への努力を誓い合った。 会には叙勲者の会の「清風会」会員をはじめ、行政や民間事業所、各種団体などの代表者ら約450人が出席。震災犠牲者らへの黙とうをささげ、崎山恵美子市各種女性団体連絡協議会長が開会を告げた。 国家斉唱に続き年頭のあいさつに立った戸田公明市長は、「今年は本格復興への正念場」として、被災跡地の利活用や持続的な産業振興といった取り組みへの意欲を示し、「市民の意見を真摯(し
交流人口拡大などを図ろうと、陸前高田市観光物産協会(金野靖彦会長)内に本年度設立された「まるごとりくぜんたかた協議会」は今月から、土地区画整理事業に伴う高台造成の一環で整備されたベルトコンベヤーを見学できるツアー受付を始めた。有料だが、参加者には造成で生じた土砂とヒマワリ種が入ったガラス瓶のおみやげも。被災地のまちづくりの様子を観光メニュー化し、収入の一部を復興に活用する取り組みは珍しく、今後の活動が注目される。 同協議会は交流人口増加を図ることで市の地域活性化につなげようと、陸前高田ならではの魅力を生かした地域滞在型プログラム事業を構築。農漁業体験にとどまらず、復興の歩みから学び取る企業研修の調整など、多様な切り口から充実化を図っている。 高田松原地区で震災後、来訪者の注目を集め続けるのは「奇跡の一本松」。現在も間近で見上げる姿が多く見られるが、今年春に気仙川に架けられた土砂搬送用の
東京都台東区にある東京国立博物館(東博)で来年1月14日(水)から3月15日(日)まで、特別展「3・11大津波と文化財の再生」が開催されることが決まった。陸前高田市立博物館で所蔵し、東日本大震災による被災後に修復・返還された文化財などが展示される。これまでの成果と現状を紹介し、早期復興へ多くの関係者が手を取り合って進めてきた被災文化財再生への取り組みを発信する。 震災により、市内では市立博物館、図書館、海と貝のミュージアム、埋蔵文化財保管庫にあった文化財合わせて約56万点が被災した。平成23年4月に「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会(レスキュー委員会)」が発足。全国の博物館などが参加した文化財の救出活動を経て、現在までに15万点の安定化処理が行われた。 海水損からの対応には、未確立な部分が多いとされる。津波により海底のヘドロ、さまざまな雑菌類、海水に含まれる塩類などにまみれて
陸前高田市と古本買取業の㈱バリューブックス(中村大樹代表取締役、本社東京都)が古本買取金を市立図書館再建費に充てる事業を立ち上げ、今月で2年を迎えた。5月末時点の累計で122万冊を超える書籍が届き、寄付金額は2100万円を突破。同社の予想を上回る好実績で推移しているほか、取り組みを通じ竹駒町にある現図書館の蔵書充実につながる波及効果も生まれた。同社などでは今後の継続的な取り組みに意欲を見せている。 高田町字砂畑地内にあった蔵書約8万冊の図書館は、東日本大震災で全壊。現在は竹駒地区コミセン脇に仮設施設を設置し、約3万冊の蔵書がある。本設再建までには時間がかかる中、完成まで保管する寄贈図書スペース確保までは追いつかず、図書による支援申し出には応じられない状況が続いていた。 バリューブックス社は平成19年に設立し、長野県内に倉庫を構える。買い取った中古本をインターネット上で販売するだけでなく
陸前高田市矢作町の市立博物館(旧生出小学校、本多文人館長)内で設置が進められていた仮設収蔵庫は、今後本格的な保管利用が始まる。東日本大震災で被災し、安定化処理が行われてきた文化財を一定の温度・湿度下で収蔵するための施設。海水損からの対応には未確立な部分が多いとされるが、震災前の歴史や風土、文化などを伝える「陸前高田の宝」を未来永劫受け継いでいくため、同館では収蔵庫による管理にも万全を期す。 大津波襲来などにより、市内では市立博物館、図書館、海と貝のミュージアム、埋蔵文化財保管庫にあった文化財合わせて約41万点が被災。約31万点を被災地から回収し、同館をはじめ各地で汚れを取り除いたり塩分を抜くといった安定化処理が進められている。 旧生出小校舎は浸水を免れた内陸部にあるが、年間を通して湿度が高く、冬でもカビが発生しやすい環境という。安定化処理などを終えた資料を長期的に保管するには難しさがあ
東日本大震災から2年5カ月が経つ今なお、多くのがれきが北米太平洋西海岸に流れ着いていることに驚愕した。今月上旬、震災関連の映画を制作しているというカナダのスタッフが、日本から漂着した品々やサンプル写真を持参し本紙を訪れた。「思い出の品を持ち主に返してあげたい」。その思いに少しでも協力できれば、と思った。 恵比寿さまの置物や寄せ書きしたバレーボール、名前入りのビーチサンダル…。これらは、津波で流され、米国やカナダの太平洋岸に漂着したものだ。 震災後、北米沿岸に日本語で寄せ書きしたボールが流れ着き、拾い主から元の所有者に返還されるという〝美談〟がマスコミに取り上げられたが、次々と漂流物が着き始めると、〝国境なきがれき〟の処理問題は深刻化した。 一方で、自分たちが住む北米まで震災がれきが漂着するというニュースを知った人たちが、震災がれきや漂着ごみを清掃するボランティア活動を継続的に行ってい
大船渡市三陸町越喜来字仲崎浜にある中野遺跡で、県文化振興事業団埋蔵文化財センター(渡邉和男所長)による現地説明会が3日に行われた。同遺跡では約4200年前にあたる縄文時代中期の大集落跡が発見されており、地元住民らが50棟近くの竪穴住居跡などを見学。調査から浮かび上がった当時の生活風景などに思いを巡らせ、郷土の歴史に理解を深めていた。 同遺跡は、崎浜小学校近くの標高90㍍ほどの高台斜面にある。同センターによる現地調査は、防災集団移転促進事業(防集)での高台移転を前に進めているもので、昨年10月から開始。説明会は約9000平方㍍を調べた現状を移転予定者らに見てもらおうと行われた。 地元住民ら約100人が参加。はじめに計46棟見つかった竪穴住居や住居の中で火をたく「複式炉(ふくしきろ)」、「石囲炉(いしがこいろ)」などを見て回った。 住居跡が重なっているケースもみられ、同センターの担当者は
大船渡市社会福祉協議会が洗浄しているがれきから回収された写真の枚数が、1日までに40万枚を突破した。震災から2年2カ月が経過したが、回収後にいまだ持ち主の元へ返っていない写真も多く、同市社協では本年度内にすべての写真を持ち主のもとへ返還したいと、熱心に作業を続けている。 同市社協では震災から1カ月後の4月から、がれき撤去作業中に回収された写真の洗浄、展示、返却を行っている。 回収された写真は泥や油、カビ、損傷を受けて拾得されたものがほとんど。アルバムに貼ってある写真たちは、一枚一枚外してから洗浄し、束になってくっついてしまっている写真は時間をかけてゆっくりとはがしていく。 一枚ずつ手洗いした写真を干し、その後は「結婚式」「赤ちゃん」「幼児」「お祭り」などといったジャンルに仕分けして、発見された地域ごとに展示している。 今回、40万枚目の洗浄を行ったのは、ボランティアの月岡祐子さん(
陸前高田市竹駒町に建てられた仮設市立図書館(伊藤真基館長)の開館式は1日に行われ、一般に向けた運営を開始した。図書館建設の関係者がオープニングセレモニーに参加し、「地域発展の一助になるように」と願いを込めた。 図書館はおよそ50平方㍍の木造平屋建て。同町コミュニティセンターの敷地内に、今年9月に北海道の団体「北海道ブックシェアリング」(荒井宏明代表)や札幌大学の協力で建てられた。 同団体は、東日本大震災後に被災地へ本を介した支援活動を行っており、宮城県石巻市では昨年、復興支援図書センターの開設を実現。 今年は本県で、津波により市立図書館が全壊する被害を受けた陸前高田での支援をと同市へ声をかけ、生涯学習課と連携した。 同図書館では遠野市文化センターなどを通じ、全国からの支援で集まった書籍が1万3000冊ほど保管されている。オープン初日の棚に収まった蔵書数はおよそ4000冊。大人向けの
東日本大震災で被災し、陸前高田市竹駒町のコミュニティセンター敷地内で再開の準備を進めていた同市立図書館が、1日の午前10時に開館する。あくまでも「仮設」でありこぢんまりとした造りながら、すぐ市民の役に立つ実用書などを豊富にそろえ、ほっと和める〝ゆとりの時間〟を提供していく。 この仮設図書館はログハウス式の素朴な建物で、今年9月に完成。北海道の団体「ブックシェアリング」(荒井宏明代表)が建設に協力した。木の香り漂う館内は、断熱材の効果もありじんわりと暖かだ。 臨時職員も含めたスタッフ9人は現在、開館へ向け大わらわ。棚を手作りしたり、貸し出し業務のシミュレーションを行うなど、再開を待ち望んだ市民を迎え入れるための準備が進む。 全国から寄贈され、蔵書として登録した約1万3000冊のうち、館内には4000冊ほどを開架。図書館車運行中に要望が多かったという野菜づくりやガーデニング、料理、手芸と
住田町世田米の㈲松田林業(松田成輝社長)や陸前高田青年会議所は21日、同町世田米字城内で木質バイオマス(燃料用チップ)の製造実演会を開催した。同社を中心に、岩手大学、国、県、町と連携して地元の山からエネルギーを生むシステムを構築しようと、25年度からの事業化を目指しているもの。間伐材をチップ状に切削する機械の実演が行われ、参加者らは新たな林業の可能性や木質バイオマスを考える機会とした。 山の手入れによって生じる間伐材の活用法の一つに、木質バイオマスエネルギーがある。同社は間伐材を使って木質バイオマスを普及させ、最終的には地元の山で地元のエネルギーをまかなおうと提案。社内の「森のエネルギー事業部」、大学、官公庁などと連携した事業化に向け、準備を進めている。事業費は1億5000万円。 来年度からは宮城県気仙沼市の事業所に対し、燃料用チップの生産と供給を行う計画。チップ化には半年から1年にわ
JR大船渡線の復旧に向けJR東日本と協議を続けている陸前高田市は、高田町内における路線を、今後整備する盛り土面の下に設ける方向で調整している現状を明らかにした。盛り土上への移設も検討したが、交差する幹線道路整備などに難しさが生じるという。米崎町から小友町までの路線のあり方は、防潮堤整備も関係することから、具体案は示されていない。沿線首長らが鉄路復旧までの公共交通確保策を協議する会議は7月13日(金)に初開催を予定している。 JR大船渡線に関する市当局の対応は、15日に開催された市議会三陸縦貫道等整備促進特別委員会の場で示された。議員に対し、菊池満夫企画部長が現段階でのJRとの協議内容や、昨年10月以降の経過などを説明した。 高田町内における路線は当初、盛り土によってかさ上げした市街地に線路を移設する方向で調整を続けていた。昨年まとめた震災復興計画のイメージ図でも、海面から5㍍以上の高さ
平成23年(2011)が暮れようとしている。今年は3月に東日本大震災が発生。巨大津波に襲われた東北地方では太平洋沿岸の自治体が壊滅的な被害を受け、気仙でも多くの尊い命が奪われた。振り返れば、あまりにも厳しい現実ばかりが思い起こされるが、震災後、日本、世界の各地から被災地に寄せられた有形無形の支援に「絆」の大切さを再確認させられた1年でもあった。震災の苦難に耐え、復興への確かな歩みを刻み始めた気仙。犠牲者の鎮魂と被災地の再生を願いつつ、この1年の出来事を追った。(文中年齢は当時) 【1月】 ◇各分野で地道な活動を続ける個人や団体を顕彰する第38回東海社会文化賞を陸前高田古文書研究会、住田三弦会、陸前高田市広田町の田谷浜清掃活動の3団体が受賞。 ◇大船渡市三陸町の越喜来小、崎浜小、甫嶺小の3校、平成24年4月に統合することを確認。 ◇県による「津付ダム検証に係る関係住民の意見を聴く会」
陸前高田市竹駒町のコミュニティセンター敷地内に26日(土)、トレーラーハウスを利用した陸前高田こども図書館「ちいさいおうち」がオープンする。震災後から開設準備を進めてきた盛岡市のNPO法人・うれし野こども図書室(高橋美知子理事長)の分館として同法人が運営を担い、気仙の子どもたちが安らげる〝知の広場〟づくりを目指す。 開設の発端は、被災後の陸前高田・大船渡を訪れた高橋理事長が、避難所や学校で子どもたちに読み聞かせする中、「状況が少し落ち着いたら、ゆったりと本を読める空間が求められる」と痛感したことから。陸前高田市教委に設置を申し出、財団へ助成を申請するなど奔走し、気仙初となる〝親子と児童生徒のための図書館〟オープンが決まった。 同館の専任司書を務めるのは、大船渡市大船渡町の吉田佳織さん(31)。同市と一関市の市立図書館で合わせて8年間の司書経験があり、気仙両市のおはなしサークルにも所属。
東日本大震災の大津波によって庁舎が被災した陸前高田市役所。庁舎内に保管されていた数多くの公文書も、浸水、流出といった甚大な被害を受けた。公文書は〝市民の財産〟でもあり、これらを1ページでも多く救おうと、旧矢作小学校舎内で市役所OBやOG、専門機関の協力を得ての復旧作業が展開されている。 震災前、庁舎内や庁舎裏の書庫には、各種施策の文書、記録、市制施行前の貴重な資料などを保管。その数は10万冊以上にのぼるといわれ、津波による浸水や泥に埋まるなどの被害に遭った。 急を要し、持ち出しが可能な書類は、職員らが被災庁舎から回収。陸上自衛隊も作業を行い、書庫に保管した文書のうち約1万5000冊を取り出すことができた。しかし、浸水して汚れた文書はカビの発生が懸念され、乾燥作業が急務とされていた。 とはいえ、市職員の数が足りず、文書復旧作業まで手に負えない状態。文書内容を見た上での分別も必要なため、
ケセンきらめき大学とは ケセン(住田町・陸前高田市・大船渡市)に住む人々の充実感は、思いやり・やさしさ・礼儀・隣人愛、そして先人から受けついできた歴史、さらに安定した経済から生まれると考えます。しかし、近年は、人々の気持ちにゆとりが無く、先人への敬いが薄れ、地域経済も鈍化している現状であります。本学は、「ローカルなものこそグローカルになり得る」の発想の下で、観光立地を目指した地元学研究や地域資源を活用した食・特産品開発、友好都市交流等を授業の柱に掲げ実践することで「気仙おこし」を目的とする。 2011 2011/01/20 ◆千田氏が新年講話「特色の全国発信」提言 ケセンきらめき大学(田村満学長、30人)の平成23年第1回全体会が18日夜、陸前高田市高田町のh.イマジンで開かれた。同大学アドバイザーの千田俊章氏による新年講話では、全国発信できる特色あるまちづくりの大切さが強調され、行政職
東日本大震災で被災した陸前高田市立博物館から回収した資料のうち、古文書や学校関係文書などの吸水乾燥作業が25日、矢作町の旧生出小学校で行われた。作業には被災文化財の保全活動に取り組む専門家をはじめ、大学や県内各地の博物館関係者らが参加。資料の洗浄やパック詰めなどの救出活動≠展開した。この日応急処置がなされた文書は仙台市内の冷凍倉庫で保管後、奈良県内の専門機関で真空凍結加工がなされる。 市立博物館は大津波で建物が冠水し、所蔵資料の多くが水損。これらは今月中旬までに同館や県内の博物館関係者らが回収し、旧生出小に避難≠ウせた。 文書資料には歴史を物語る古文書、過去の日誌といった学校関係文書、小友町出身の学者・鳥羽源蔵による植物のスケッチ画などがある。多くは津波で海水や泥をかぶり、濡れた状態で回収されており、カビの繁殖が心配されている。 そこで、救出に向けて各地の専門家らが立ち上がった。歴史
住田町世田米高屋敷にある国道397号線沿いの工事看板が、「アニメ作品のイメージを踏襲しており、面白い」と全国区の話題となっている。日本で約320万人が利用するコミュニケーション・サービス「ツイッター」に掲載された写真から拡散したもので、達増拓也県知事も注目。聖地巡礼≠ニ称しファンが現地に訪れる事態を呼んでいる。 話題となっている看板は同地区の仮設道路工事現場に設置されており、工区表示と急カーブ表示の2種。オレンジ色と黒をベースにしたものがそれぞれ存在し、写真を見た人の間で「『新世紀エヴァンゲリオン』のイメージそのもの」として一時話題が沸騰した。 同作(庵野秀明監督)は、平成7年から翌8年までテレビ東京系列で放映されたロボットアニメーション。斬新な演出と、登場人物の内面に深く切り込むストーリーで社会現象を巻き起こし、放映から15年たった現在も映画が大ヒットするなど、強い影響力を保ち続けて
大船渡市教委は、来年秋に完成を予定している新大船渡市立図書館の蔵書充実に向けた「献本活動」の実績をまとめた。十一日現在で市内外の五十七人から四千七百六冊となっており、市立図書館では現在蔵書に向けたチェック作業を行っている。献本は新図書館開館まで随時受け付けている。 献本活動は市民から家庭に眠っている本などの提供を募ることで、図書館資料の充実と新図書館への愛着心の高揚を図ろうと企画。新図書館準備の一環で大規模に献本を受け付けるのは全国的にも珍しいという。 市教委は十一月十二日から五日間、市内の各小学校を窓口として、住民からの本を受け付けた。中には一人で千冊余りを献本し、職員が自宅まで出向いたケースもあったほか、陸前高田市や盛岡市などをはじめ市外からの問い合わせもあり、関心の高さをうかがわせた。 現在、破損や落書きがないか確認したあと、現在所有している図書と重複していないか調べている。さ
大船渡市大船渡町の川口雅幸さん(35)のファンタジー小説「虹色ほたる〜永遠の夏休み〜」(発行・アルファポリス社、A5判、三百八十一ページ、千五百七十五円)が、全国的に人気が広がり、大手書店などでも大量陳列して推薦するなど、注目を集めている。先月三十日の発売開始後、十日間で発行一万部を突破。現在までにすでに四回増刷。自然と人々の優しさ、温かさなどがふんだんに描かれており、多数の読者から「感動した」の声が次々と寄せられるなど、大反響だ。川口さんは「多くの人に読んでもらい、“あのころ”を思い起こしてほしい」と話している。 川口さんは、時計や宝飾、メガネを取り扱う(株)時光堂の店長。 数年前に仲間同士のインターネット掲示板に、連載の物語を書き始めたところ、これが大好評。夢を大きく掲げて自身の小説系ホームページを平成十七年に立ち上げ、二作品目となる「虹色ほたる」の連載を始めた。十六カ月間、連載を
大船渡市赤崎町字後ノ入の漁業・金野幸平さん(66)が二十日、ナマコ漁の際に真っ白なナマコを捕獲した。「こんなの初めてです」と驚きの表情。さっそく、陸前高田市の海と貝のミュージアムに持ち込まれた。同施設職員は「きれい」「雪のような白さ」と久々の白ナマコ発見に大喜び。「純白のドレスで当施設に“お嫁入り”ですね」と話し、さっそく展示公開されることになった。 金野さんは刺し網漁などを行い、冬場はナマコ漁に励んでいる。この日は、網などを使って海底を曳く漁の解禁期間最終日。盛川河口近くの海域で漁を行った。 船に水揚げしたナマコを選別している際に、手のひらに乗るほどの小さな白い物体を見つけた。「最初はゴミかと思って捨てようとしたが、持ってみるとナマコだった」とビックリ。海水を入れたバケツに入れて持ち帰った。白ナマコの捕獲は初めてで、その姿に興味津々。「珍しいものだが飼育するのは無理なので、きちんとし
「政界は一寸先が闇」に始まり、「苛政は虎よりも猛し」など、政治にまつわる格言は多い。ネットや格言集をちょっと覗いただけでも際限がないほどで、むしろ誰でも政治に一家言持つことこそ民主主義には大事かもしれない。 明日にも衆院解散を控える時期だけに、政治や政治家絡みの格言を取り上げてみたいが、「『自己がすべてである。他はとるに足りない』――これが独裁政治・貴族政治と、その支持者の考え方である」は、フランスの警句家シャンフォールの言葉だという。 現代日本で独裁政治はありえないものの、自己がすべての言葉から“俺がスター内閣”の麻生太郎新首相をついつい連想してしまった。しかし、シャンフォールは「『自己は他者である。他者は白己である』――これが民衆とその支持者の政治である」と続けてもいる。自己を他者として国民の苦しみを理解した政治を行うかどうか、今後の仕事ぶりを拝見させてもらうこととしたい。 「下
米国初の金融危機によって、株を上げたのが日本。といっても「株価」でなくて「声価」のことだが、プライムローンで満身創痍となった米国のメガバンク(巨大金融機関)を日本の銀行、証券会社が助けるという構図をはたして誰が予想した?▼米国証券二位のモルガン・スタンレーに三菱UFJフィナンシャル・グループが出資し、筆頭株主に躍り出た。まさに事実は小説より奇なり。イワシがクジラを飲み込んだのだ。持ち株が20%に達すればモルガンは傘下のグループ会社となる(産経)▼一方破綻したリーマン・ブラザーズのアジア部門を野村ホールディングスが買収すると発表した。こちらはアジアを代表する投資銀行を目指すためにリーマンのノウハウと顧客とネットワークを手に入れることが早道と考えたようである。これは救済だからM&A(企業の合併、買収)よりは体面もいい▼三菱も野村もサブプライムローンでは少なくない損をしているが、しかし米国のメガ
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