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ブックマーク / kashino.exblog.jp (15)

  • リバタリアンの矛盾:Mat Ridleyの事例と日本の利己主義者 | wrong, rogue and log

    現在、Mat Ridleyの"The Rational Optimist"を読んでいるのだけれど、なかなか面白い。世界は大きな視点でみるとドンドン良くなっている。それは余計な規制や思想から開放されているからだ。自由市場、規制のない自由な風潮こそ、繁栄を生む土壌であり、そしてその土壌にこそ繁栄が進化していくのだ。社会が悪くなるって主張するペシミステックな意見に耳を傾けるな、多少の失敗はあっても自由で(ヤンチャな)合理的オプティミストこそが世の中を一層良くしていくんだ、ってなガンコなリバタリアンらしい主旨である。結構、影響される。著者はThe Economistの記者や編集者を何年も続けていただけあり、明解で説得力のあるテキストを紡いでいると思う。 しかしだ、そのリバタリアンが3年前まで勤めていたのが、最近のクレジットクランチで真っ先に潰れたUKのNorthern Rock銀行なのだ。2004

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  • Hadley Wickhamのggplot2ビデオ講義 | wrong, rogue and log

    ggplot2は既にRをそれなりに使っている人の標準グラフィックツールになった感がある。そのggplot2や驚愕のマルチベクターパッケージplyrのクリエイターで今はRice大学にいるHadley Wickhamのデータビジュアライゼーションのビデオ講義である。ムッチャ分かりやすい。 Hadley Wickham's Data Visualization using ggplot2 short course. http://blip.tv/file/3362248 なるほどね。今ならこういうビデオがあるからggplot2のマニュアルと首っ引きにならなくていいんだね。 マテリアルとデータ・コードは以下にある。 http://had.co.nz/vanderbilt-vis/ ggplot2はこれからの時代のデータビジュアライゼーションの文法とも言うべき体系を持っているので、コードを書いていて

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  • アントレとか起こすとか | wrong, rogue and log

    Tumblrのほうで時たまこれに関するこつぶやきを垂れ流すことがあるのだけれど、アントレプレナーを増やそうとか、起業を増やそうとか、まあそれはそれでまったく結構なことではある。 しかし、実際にやってみればわかるけれど、かなり大変だよ。多くの人は連休や土日にはきちんと休んで家族と旅行に行ったりレジャーをしたいだろうし、自分の資産がみるみる減っていくスリルとサスペンスにはなかなか耐えられないだろうし、大きな夢はもっているが1年後の自分達の姿さえあまりに分散が大きすぎて掴みにくいし、なによりそんな状況だからローンを用いた支払いなんて怖くてできないし、というカンジで多くの人間がやるようなものじゃないと思うよ。実力でヒットさせるよう努力を続けてはいるけれど、それだけではなんともならず運の巡り合わせを祈らなければならないので、気分的にはあまり気持ちがいいときばかりじゃない。まあ、僕はこれが二度目だし、

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  • Gladwell vs. Pinker | wrong, rogue and log

    Malcom GladwellとSteven Pinkerがプチ論争をしている。 まずは、PinkerがGladwellの最近出版した“What the Dog Saw”に大げさな罵倒書評を書いたのが発端である。 Malcolm Gladwell, Eclectic Detective http://www.nytimes.com/2009/11/15/books/review/Pinker-t.htm 書評はPinkerらしくない、浮ついた、超ベストセラー作家としてのGladwellを嫉妬している感も垣間見える感情的なものだ。例えば、Gladwellの高IQ値が業績にあまり結びつかないという主張を、証拠なしにそんなことはないと言ったり、"eigenvalue"を"igon value"と聞き間違えていることを取り上げ言外に嘲笑したりしている。しかし、特に後者について、この"igon va

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  • トム・ソーヤー効果と価値の転換、不可測性 | wrong, rogue and log

    Tom Sawyer and the construction of value Dan Arielyの"predicably irrational"に出てくるトピックの関連論文である。人間の財に対する価値付けなんて、最初の条件付けで操作できるし、価値の量的な判断は人間には難しいというのが結論。 トム・ソーヤー効果というのは、「トム・ソーヤーの冒険」に出てくる、トムがおばさんから壁のペンキ塗りを言いつけられた逸話による。最初トムは嫌々ペンキ塗りをやっていたのだが、友達の登場により、さもそれが楽しいまたは芸術に関係した崇高な作業のような振りをした。それがあまりに楽しそうなので、友達がリンゴだとかおもちゃなどの自分の対価を払ってまでも壁塗りをやりたがるようになって、トム自身は一切ペンキ塗りをしなくてもよくなった。つまり、トムが行った初期状態の設定により、嫌な壁塗り作業が対価を払ってまで行いたい

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  • Benfordの法則 -その1- | wrong, rogue and log

    Benfordの法則と呼ばれる「経験論」的な統計ルールがある.最近は不正会計や不正な税申告を検知するためのツールとしても使われるということで,世間的にも注目を浴びている.このあたりのBenfordの法則を実社会に応用する様は次のMark Nigriniのエッセイに詳しい. I've Got Your Number 今回のエントリを書くにあたって大いに参考にしたのが,Wolfram MathWorldのBenfordの法則の項目,Julian Havilの"Gamma - Exploring Euler's Constant"のChap 14とTheodore Hillの論文である.ちなみに二番目のHavilのはEuler定数を巡る非常に面白いである.超オススメ. さて,Benfordの法則が今回のエントリのテーマであるので,その法則を述べておかないといけないだろう.今,世の中にある数字

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  • tickTodo | wrong, rogue and log

    最近、雑用が業のような職種になったので、頻繁に人に会ったり小さな事務仕事を大量にこなさなければならない。お陰で課外活動の数理科学のトラッキングや開発作業が遠のきがちであるのは遺憾の意を表明せざるをえないが、仕方がない。そもそも、あまり事務仕事が得意でないし、その価値が理解できないばかりか、それを代わりにこなしてくれる人が存在していたので、Structured Procrastinator [http://www.structuredprocrastination.com/]として、todoが大量に溜まっていてもなんとかなっていたというのはある。しかし現在は待ったなしの状況になっているので、todoをこなすためにいろいろと工夫をしなければいけなくなった。 自分のtodoとの格闘史はというと、決してライフハックスが好きというわけではないのだが、あまりにヒドイProcrastinatorであり

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  • パズルでBrute Force | wrong, rogue and log

    論理パズル関係の話題をもう少し。 論理パズルの中で、演繹論理のみを用いるものは、コンピュータと親和性がよい。それを今回示そうと思う。そのために、たとえば次のような問題があるとする(どこかで見たたことがある人は必ずいるはず ;-)。 ---------------------------------------------------------- トランプのカードを2組、計104枚用意する。一方の組は裏に犬の絵が描かれているので「犬のカード」と呼び、もう一方の組は裏にの絵が描かれているので「のカード」と呼ぶことにする。これを用いて次のようなことを行う。 この104枚のカードをよく混ぜ合わせ、その中から相手に10枚のカードを取り出してもらう。取り出した10枚がどのようなカードであるかは、それが犬のカードなのかのカードなのかということも含め、あなたにはまったく分からない。そこで、10枚の

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  • その数学が戦略を決める | wrong, rogue and log

    その数学が戦略を決める 超巨大データの多変量解析、データマイニング、機械学習を新しい用語"Super Crunching"と名付け、その"Super Crunching"の成功事例紹介とその分野をプロパガンダする。うーん、ビミョウ。 まず良い点から。 データマイニングの成功例が次から次へと文献付きで紹介される。もちろん、それらの成功例は既存の「勘と経験」に頼る専門家をはるかに凌駕するものとして描かれる。読み物としてはそれなりに面白い。 著者が目指している態度、すなわち「勘と経験」だけに頼るのではなく、科学的な(特に統計学的な)根拠にも頼ろうとエバンジェリングしている点は、全く同意する。むしろ著者はその立ち位置から、過度に科学的な根拠を強調しすぎているかも。 そしてビミョウな点。 紹介されている多変量解析の手法は、回帰分析、因子分析、ブートストラップを用いたクラスター分析、ニューラルネット

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  • Outliers: The Story of Success (4) | wrong, rogue and log

    Malcom Gladwell "Outliers: The Story of Success" [http://www.amazon.com/dp/0316017922] Outliersのブックレビューの続きである。 第一回はここ [http://kashino.exblog.jp/7771399/] 第二回はここ [http://kashino.exblog.jp/7771432/] 前回はここ [http://kashino.exblog.jp/7775674/] 意味のある仕事 10000時間の法則にあるような、継続的な努力を続けるためには、その仕事は意味のある(meaningful)ものでなければいけないのだ。Gladwellは意味のある仕事を次のように定義する。 ・自分の意志でハンドルできる自律的(autonomy)があること。 ・創造性や工夫が必要な複雑(complex)さ

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  • Outliers: The Story of Success (3) | wrong, rogue and log

    Malcom Gladwell "Outliers: The Story of Success" [http://www.amazon.com/dp/0316017922] Outliersのブックレビューの続きである。 第一回はここ [http://kashino.exblog.jp/7771399/] 前回のはここ [http://kashino.exblog.jp/7771432/] 一つのことについて10000時間の努力を続けたか 能力のスレッシュホールドに達していても、生まれたタイミングがバッチリであっても、継続的努力をするエートスを持つ家庭に生まれ育ったとしても、そのような先天的+後天的環境要因だけでは、大成功するには到底届かないとGladwellはいう。じゃあ、何が必要かというと、一つのことについて10000時間の努力を続けたかどうか、ということである。これを「10000時間

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  • Outliers: The Story of Success (2) | wrong, rogue and log

    Malcom Gladwell "Outliers: The Story of Success" [http://www.amazon.com/dp/0316017922] Outliersのブックレビューの続きである。 前回のはここ [http://kashino.exblog.jp/7771399/] どのエートスを持つ集団で生まれたか、どの家庭で生まれ育ったか いつ生まれたかというファクターも大事なのだが、同じくらい大事なのはどこで生まれたか、つまりどのエートスを有する集団に属していて、どの家庭で生まれ育ったか、ということである。GradwellはChap 6, 7, 8でこれを議論している。 まずはエートスが負の方向に働く例として提示しているのが、19世紀のUSでアパラチア山系の麓で頻繁に繰り広げられた、ある家族とある家族の間の抗争である。有名なところでは、Hatfield-McC

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  • Outliers: The Story of Success | wrong, rogue and log

    Malcom Gladwell "Outliers: The Story of Success" [http://www.amazon.com/dp/0316017922] あのTipping Point [http://www.amazon.com/dp/0316346624/], blink [http://www.amazon.com/dp/0316010669], のMalcom Gladwellの新作である。面白いし、おそらく教育行政にとってかなり影響力を持つとなるだろう。今現在、NY Timesのベストセラーリスト [http://www.nytimes.com/pages/books/bestseller/]の一位である。そのうちOprah's Book Club [http://www.oprah.com/entity/oprahsbookclub]で紹介さるだろうし、そ

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  • The Black Swan | wrong, rogue and log

    The Black Swan: The Impact of the Highly Improbable 予想不可能だが、一度起きるとそのインパクトが強大で、起きた原因を後知恵解釈しかできない事象を"Black Swan"と名付けて、そのBlack Swanの例示と、Black Swanに対処できないアカデミックと経済界のセレブを揶揄しているである。著者は哲学読書趣味なので、書籍全体が衒学的なレトリックに満ちている。 これは、賛否の分かれるであり、僕の評価は、読み始めた頃は賛だったが、読み終わった今は否である。 まず賛なところは次の通り。 俗物成功哲学への批判 「となりの金持ち」などのたぐいの、「金持ちになるには一生懸命、前向きに」とか「一円を大切に」とか、「感謝の気持ちを大切に」等の俗物成功哲学を批判し、成功者になったのは単なる確率事象でラッキーだったにほかならないということを指摘し

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  • 勝者は罰しない、敗者は罰して自滅する、そして全体も。 | wrong, rogue and log

    Nature 452 20 March 2008に掲載された Dreber, A. et al.の"Winners don't punish"がムチャクチャ面白い。その紹介を。 ゲーム理論の一番有名な問題は「囚人のジレンマゲーム」であろう。囚人のジレンマゲームは、ここやここを見ると概要がわかる。簡単にいうと、囚人のジレンマゲーム自体は、東西冷戦を背景として1950年代にランドコーポレーションの研究者が問題として提示したものだけれど、1970年代に政治学者であるロバート・アクセルロッド(Robert Axelrod)が、研究者の参加を募りコンピュータ対戦実験をして、ある戦略が優位になることを発表したことが有名になったキッカケだ。その後、アクセルロッドは理論進化生物学の権威であるウィリアム・ハミルトン(Wiliam D Hamilton)とともに、進化生物学的な文脈に協力という行為が生成する旨

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