島根大学法文学部准教授 飯野公央 次世代型路面電車システム(LRT)などの導入を含む地域交通システムを検討するため、松江市が設けた新交通システム研究会の検討結果が、市長に報告された(5日付本紙に記事掲載)。これまでも研究会の内容は報道されてきたが、LRTの導入路線に関心が集まり、今なぜ「新しい交通システム」が必要なのかが、十分に伝わってこなかった。 これを一因に、ちまたでは「渋滞がひどくなる」「新たなまち壊し」「中心部が便利になるだけ。郊外は関係ない」といった意見が聞かれる。そこで、今回の報告書が、住民の皆さんに何を問い掛けているのか、研究会のメンバーとして、個人的な意見を述べたい。 研究会で最も重視したのは、自動車に過度に依存した暮らし方や、自家用車による移動を前提とした都市構造の問題点であり、そして、そのような地域社会が将来にわたって持続可能かということだ。 言うまでもなく、自