外から戻ってきたチコ兄は、ユッチにとっては、周辺環境における情報の一部である。媒体は主に「匂い」であり、それによってレンポウや見かけぬ情報のない他個体や獲物などを検索する。 チコ兄にグルーミングするでもなく、単に無礼ににおいをかぐだけである。彼女にとってはチコの存在それ以上の同居人の意味はなかったりする。チコはそれでも、公陳丸にケアしてもらっていたので、彼女たちでなかったらもう少し違ったかもしれないが、誠に猫というのは人間同様、個性の強い複雑な関係性が現れる生き物だと思う。 よく猫をモチーフにしたドラマや映画でかいま見られる、全員が主人公の前でのほほんとした空間を見せるようなのは、我が家ではあまり期待できない。公陳丸を失ってから、室内飼いの猫達が見せるようなほのぼのとした関係性は、彼らの間には構築されなかった。かなりシビアな話。