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衆院選
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2021年総選挙に思う 11月3日は休日なので、今回の衆院選挙比例区の結果を整理してみた。 ■比例区の政党得票率・数の近年の数値をあらためて見ると、各政党の得票数・率は、実はそれほど大きな変化はないのがわかる。 ★主な衆議院比例区選挙の主要政党の投票数・率の推移表 ダウンロード - e8a186e8adb0e999a2e7b78fe981b8e68c99e5be97e7a5a8e78e872021.pdf この比例区への得票数・得票率には、有権者の政党支持の様相が素直に出る。2013年参議院選挙は抜けているが、傾向をつかむのが目的。小選挙区は各政党の候補者数等の要素で変動が激しい。有権者の政党支持数・率は出てこない。その意味では、小選挙区でどう選挙戦をたたかうかは、各政党の戦術が重要であり、各党の手練手管が見物であり、勝負どころなのだろう。 ■実は比例区では負けてない立憲民主党 上記表を見
■本書概要 社会学者の小熊英二教授(慶応大)の600頁もの分厚い新書です。「日本の社会のしくみ - 雇用・教育・福祉の歴史社会学」(2019年7月20日発行)と銘打っています。 序章で、小熊教授は「本書が検証しているのは、雇用、教育、社会保障、政治、アイデンティティ、ライフスタイルまでを規定している『社会のしくみ』である。雇用慣行に記述の重点が置かれているが、それそのものが検証の対象ではない。そうではなく、日本社会の暗黙のルールとなっている『慣習の束』の解明こそが、本書の主題」と書いています。 最後に次の質問をかかげます。 スーパーの非正規雇用で働く勤続十年のシングルマザーが「昨日入ってきた高校生の女の子となんでほとんど同じ時給なのか」と相談してきた。あなたらどう答えるか。 これへの回答は社会のしくみによって異なるということを論証するものです。 本書は各章の冒頭に「本章の要点」が記述されて
民法の債権法改正が2017年5月26日に成立(同年6月2日公布)し、公布日から3年以内に施行されます。施行日は未定ですが、おそらく2020年1月1日か同年4月1日あたりが施行日になるのでしょう。 改正によって旧民法の短期消滅時効が廃止されて、「給料の時効が1年」という定めが廃止されました。同時に、民法の消滅時効も、旧法では「権利を行使できるときから10年」だった消滅時効期間が、改正民法166条では、①「権利を行使することができることを知った時から5年」(主観的時効)又は②「権利を行使することができる時から10年間」(客観的時効)と改正されました。
弁護士業務のうちそとで感じたことを気楽に書いていこうと思います。このブログは、徹頭徹尾に個人的な独り言であり、私の所属している法律事務所、弁護士会、団体とはいかなる関係もありません。 コメント、トラックバックは承認制です。
陸軍は「本土決戦」を呼号し、他方、政府・外務省はこともあろうに既にヤルタ協定で対日参戦を密約していたソ連に和平交渉の仲介を懇請し、ソ連にはぐらかされているうちに、米国の原爆投下(8月6日/9日)とソ連の対日参戦(8月9日)で追い込まれ、8月9日の「御前会議」にて天皇がポツダム宣言受諾を決定、8月10日に連合国に通知した。これに対して、陸軍の一部は宮城でクーデターを起したが、これを抑えて15日に玉音放送で国民に敗戦が知らされた。 吉見直人 著「終戦史」(2013年・NHK出版)を昨年読みました。2012年8月放映・NHKスペシャル「終戦 なぜ早く決断できなかったのか」も観ました。これは上記通説に対して異論を提起します。終戦に至る経過を軍国主義反対というイデオロギーで裁断せず、あくまで客観的・実証的に「ファクト」ベースで事実を淡淡と検証していきます。このファクトの骨子を時系列で並べると次のとお
中央大学の長尾一紘教授が安保関連法案を合憲と明言していると知ってびっくり。私は中央大学出身で長尾教授の講義も聞いたし、同教授の教科書も読んだ。当時とまったく正反対のことを言っているのに驚愕しています。長尾教授の条文解釈や判例整理は、きわめて論理的で切れ味よく、私には非常に勉強になったし司法試験にも役だった。 東京新聞の6月11日朝刊によると長尾教授は次のようにコメントしています。 どの独立国も個別的自衛権と集団的自衛権の両方をもつ。国連憲章にも明記されている。日本国憲法は他国と対等な立場を宣言している以上、自衛権を半分放棄するという解釈が出る余地はない。法案を違憲という学者の意識は、日本の安全保障に危機感を抱く国民の意識とずれている。 私が大学時代読んだ長尾教授の「日本国憲法」(世界思想社)を昨晩読み直しました。初版1978年発行、第2版1979年発行。私が持っているのは1979年第2版。
古関彰一教授は、著書の「新憲法の誕生」(中央公論社・1989年)と「『平和国家』日本の再検討」(岩波書店・2002年)の中で、日本国憲法制定過程を実証的に記述されています。特に、憲法9条の成立過程は公開記録等に基づき極めて実証的で説得的です。これに基づいて憲法9条制定過程をまとめてみました。 なお、「日本国憲法の誕生」(岩波現代文庫・2009年、「新憲法の誕生」改訂版)が必読です。 ■日本国憲法制定のスタート 1945年(昭和20)年10月にマッカーサーが近衛文麿に自由主義的な憲法改正を示唆し、当時の幣原首相は、近衛に先行されないように、10月25日に憲法問題調査委員会(松本烝治委員長)を設置しました。ここから日本国憲法制定がスタートです(後記年表)。 早くも、12月28日に、民間研究者(高野岩三郎、鈴木安蔵等)による「憲法研究会」が民主的・自由主義的な「憲法草案要綱」を発表しました。GH
1ヶ月ぶりの更新です。このところ、弁護士会の仕事が多忙で、なかなかブログの更新もできません。他方、労働法分野では、「労働者派遣法」見直しの動きが激しく、その検討状況や労働運動の動きを追う時間も持ちたいのですが、なかなかそれもできない日々が続いています。 ところで、「左翼小児病」という言葉が昔ありました。現在は死語でしょうね。 でも、このところ、たびたび「左翼小児病」という嘗ての「左翼用語」を思い浮かべます。 広辞苑によれば、「左翼小児病」とは「幼稚で極端な性向」と説明されています。知っている人は知っていると思いますが、これはレーニンが「共産主義における『左翼』小児病」という著作で論じている性向のことです。 なお、「小児病」は、「子どもに多いジフテリア・麻疹・水痘・百日咳・猩紅熱の類」だそうです。ですから、「小児病」に苦しんでいる子供とその親御さんの心情を思えば、左翼「小児病」という用語は、
■厚労省への申入れと要請に赴く 今まで幾度か、福島第1原発の下請労働者の安全対策問題と偽装請負問題について、個別に相談のあった下請労働者の代理人として、安衛法違反や職安法違反で事業者を申告や告発をしてきました。このことはブログにも載せました。 http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2012/11/post-f143.html そこで、厚労省の担当部署に日本労働弁護団として次のような申入れをしました。 原発労働は重層的下請構造のもとで原発作業員の健康に対する配慮をおよそ欠く事件が複数明らかになっています。一方で、偽装請負等違法な就労形態が横行し、原発作業員の安全衛生に対する責任の所在が不明確となっています。かかる問題は構造的なものであり、最早個別事案への対応のみでは是正できるものではないと考えております。偽装請負等違法な就労形態
■アベノミクス 日銀が政府の圧力により、なんとかインフレ目標2%をかかげる。13兆円の補正予算が衆議院では成立。2割の円安の達成。株価の上昇。 麻生財務相が、何もしないでアゴをなでただけで円安、株高だと言ったと新聞に出ていましたが、そのとおりです。民主党政権が3年たっても実現できなかったことを2ヶ月で成果をだしました。これが今年の7月の参議院選挙まで続くのでしょうか。たぶん、続くでしょう。 ■浜田宏一著「アメリカは日本経済の復活を知っている」 安倍首相のブレインの本を読みました。しかし、著名なアメリカの経済学者と著者の親密な関係にあることの披露が鼻につき、金融緩和策が有効な理屈は、経済学音痴の私にはよく分かりませんでした。唯一、ソロス・チャートの話が記憶にのこっただけ。 円・ドルレートは、日米の通貨の交換比率なので、日本の通貨量が増えれば円安になり、アメリカの通貨量が増えれば円高になる。
安倍晋三総理の経済政策は、デフレ不況脱却のための金融大幅緩和とインフレターゲット2パーセント、そして、国土強靭化と銘打った公共事業の拡大です。これってまさに、ケインズ政策であり、左派の経済政策ですよね。 ■P・クルーグマン 年末年始は風邪で寝込み、家人にノロウイルス罹患を疑われて一週間ほど自宅で隔離状態におかれておりました(幸い、ただの風邪でしたが)。その間、昨年末に購入したKindle PaperwhiteでP・クルーグマン氏の「さっさと不況を終わらせろ」をネットで購入して読みました。この本に書いてあることは、”アベノミクス”と同じじゃないですか!
右翼と左翼の区別って、私の世代では、左右の立場の違いがあっても、一定の共通の了解事項があったと思います(軍隊=「暴力装置」と同じように)。もっとも、この常識が成立していたのは、私の世代だけなのかもしれません。 ちなみに、「右翼」や「左翼」というのは「悪口」ではないのです。政治的な傾向や思想の特徴を示す便利な用語で、世界中で使われている政治用語です。そして、左翼は「左翼」と呼ばれても、別に怒らないでしょう。右翼も「右翼」と呼ばれても、怒らないと思います。どちらも胸をはって、「そのとおり。それが何か?」って言うと思います。
2018年に日本IBMは、給与調整(賃金査定)に関して同社のAI(WATSON)をツールとして利用すると公表した。労組はどのようにAIを利用するのかを明らかにするように団体交渉を申し入れたが、会社は、あくまでツールにすぎず、最終的に所属長が決定するので社内の内部資料なので開開示しないと説明を拒んだ。そこで、労組は2020年4月に不誠実団体交渉として東京都労働委員会に不当労働行為救済命令申立をしたもの。 8月1日に都労委で和解が成立しました。 厚労記者会での記者会見関連記事(朝日) ↓ https://www.asahi.com/articles/ASS8216D8S82ULFA01BM.html 当該組合の声明は次のとおり。 ------------------ 声 明 (AI不当労働行為事件の和解成立にあたって) 2024年8月1日 JMITU(日本金属製造情報通信労働組合) JMITU
■マスコミや世論の「空気」に抗する 同調傾向の強い私たち日本人は、「みんながそう言っている」、「マスコミがそう言っている」からと「長いものに巻かれる」ことになりかねません。そんなとき基本的データを確認すると「空気」で物事を判断する傾向にブレーキをかけてくれます。 ■日本では少年凶悪犯罪は増えているのか? その手の有名な話しはマスコミや保守派が大騒ぎする「少年犯罪の増加と凶悪化」という「常識」です。少年犯罪の増加や凶悪化という「常識」は、統計的にはまったく事実に反しています。実際には日本の凶悪犯罪は減少しており、世界的に見て最も安全な国というデータあります。 少年人口1万人当たりの殺人は1960年に0.4人でピークを迎え、近年では0.1を切る年も珍しありません。強姦に至っては、4.1人/万人(1958年)から、0.2人/万人(2004年)とまさに激減しているのです。(飯田泰之著「ダメな議論ー
■海上保安庁の衝突映像の流出 日本政府が、衝突映像の公表を控えたのは、中国船の乱暴な行為に、日本世論が反発を強めて、勾留から起訴すべきとの意見が強まり、政府が中国との事を荒立てることをひかえて解決するのにマイナスになるからだったのでしょう。 しかし、国民に情報を提供すべきなのは民主主義社会にとってが当然のことです。「国民の知る権利」の尊重ということです。日本政府は、本来は公表すべきだったでしょう。 ■では公務員がDVDを公表して良いのか とはいえ、公務員が捜査資料を勝手に公表してよいかどうかは別問題です。国家公務員は国公法100条1項は、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」と定めて、違反者には一年以下の懲役又は50万円以下の罰金をかしています。 この職務上知ることのできた秘密とは、「実質秘」とされており、「形式的な秘扱の指定をしただけでは足りず、右秘密とは、非公知の
■多様な正社員と解雇規制 有期労働契約研究会の報告書につぎのような一節があります(24頁)。 無期労働契約への転換により雇用の安定を図りつつ、「勤務地限定」、「職種限定」の無期労働契約など、多様な雇用モデルを労使が選択し得るようにすることも視野に入れた環境整備を検討することが求められる。この場合、勤務地限定等の無期労働契約については、勤務場所の閉鎖等の際の雇用保障の在り方について、その契約の下で働く労働者の職務内容や勤務地等の制約の度合いに応じ、どこまで雇用が保障されるのか等について、様々な意見がある。何よりもまず、労使間での自主的な問題解決が図られるよう、契約内容についてあらかじめ明確に合意しておくことが必要であるが、これらのルールの在り方については、労使の自主的な取組、実例や裁判例の集積の状況も注視しつつ、検討が必要である。 ■多様な正社員の解雇規制緩和? 報告書は、有期労働契約の濫用
「労働新聞」(北朝鮮の新聞でないですよ。念のために!)の2007年1月1日号に注目の労働市場改革専門家調査会の委員の小嶌典明教授が論考を載せています。 題して,「派遣法を”新たに制定”-求められる発想の転換」と言います。 そこに書かれているのは,「一定の派遣期間に達した派遣労働者に対して,派遣先企業に正社員としての雇用契約の申し込みを義務づける制度の廃止」ということだけです。 派遣法が最後の一線<派遣労働者による直接雇用代替をできるだけ抑制しよう>という発想を取り払おうということです。 この小嶌教授は,過去に次のようなことを言っていました。 「差をつけて意欲を高めよ 格差社会と騒がれているが,戦前の階級社会に比べれば,格差がなさすぎる。年功序列の横並び賃金がまだ主流で,その究極形が公務員だ。成果主義には評価の難しさがつきまとうが,仕事の重要度や能力で差をつけなければ,労働意欲は高まらない。
■スウェーデンの雇用保障法の制定時期 スウェーデンの雇用保障法(Lag om amstallningssdd)ですが、昔読んだ、丸尾直美教授の著作(スウェーデンの経済と福祉」中央経済社 58~60頁)では、1974年制定とされています。 一方、濱口桂一郎教授の「EU労働法政策」のブログで紹介されたスウェーデン政府の英訳(Employment Protection Act (1982:80)では、1982年制定とされています。また、「スウェーデンの今」の佐藤氏の紹介でも、『雇用保護法』(Lagen om anställningsskydd)(通称、LAS):1982年制定となっていました。 で、丸尾直美教授の著作を調べてみると、同著作193頁の「スウェーデンにおける経営参加の発展の経過ー付表」で次のような年表がありました(抜粋)。 1920年 産業民主主義委員会設立 1938年 労使の基本協
12月18日、労働者派遣法について審議をしている労政審労働力需給制度部会に、公益委員案骨子が提出されました。 各紙では、登録型派遣労働者、製造業派遣を原則禁止と報道されています。 ○労働者派遣制度の改正を議論する労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の労 働力需給制度部会が18日開かれ、公益委員が報告書の原案を提示。焦点の製造業 派遣は、長期の雇用契約を結び、雇用が安定している「常用型」に限って認め、仕 事がある時だけ雇用契約を結ぶ「登録型」は3年以内に禁止することを盛り込んだ と報じる共同通信配信記事。 http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121801000350.html 日本労働弁護団は次のように緊急声明を出しました。いろいろ注文をつけたいところですが、3点に絞って指摘をしました。12月22日、25日、28日と部会が予定されています。是非、部会審
松下PDP偽装請負事件について、2009年12月18日、最高裁は労働者敗訴の判決を言い渡しました。 最高裁HPではもう判決文が見られます。 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38281&hanreiKbn=01 原審の大阪高裁は、偽装請負として派遣されていた労働者と、派遣先企業(松下PDP・現パナソニックPDPが企業)と労働者との黙示の労働契約関係を認めていました。しかし、最高裁は、請負契約は違法は労働者派遣契約であると認定しながら、派遣先と派遣労働者との間に黙示の労働契約関係は成立しないとしたのです。 この法律論については議論百出でしょう。私には、専門的な判例評釈をする力量はありません。そこで、感想だけ述べておきたいと思います。 ■派遣先と派遣労働者の
2009年12月3日発行 2009年12月13日読了 ■それをいっちゃあ おしめいよ。おいちゃん。 「パラサイトシングル」、「希望格差」、「婚活」など現代社会の実相を一言で、あらわすキイワードをつくってきた山田昌弘教授のエッセイです。 保守化する日本の若者。既存の社会を批判し、自由で自律的な生き方を主張し行動するのが若者。終身雇用制を社畜と批判し、女性の自立、男女平等を主張するのがいつの世も若者の特権・・・のはずが、今時の若者は逆保守化している。 著者によれば、若い女性は高収入で安定した正社員男性と結婚して専業主婦になるのを望んでいる。伝統的性別役割賛成率が20代女性の40%に達している。女性の自立やフェミニズムを実践して専門職のキャリアを追求するのは、高学歴の女性の中の極少数の者でしかない。若い男性も、公務員や大企業の正社員に新卒で就職することを一番に望んでおり、転職や起業などは望んでい
■教育の自由に関する集会です ノーベル物理学賞の益川敏英さんをよんでの集会でした。九段会館で1400名を超える参加者で盛会でした。「靖国神社が近いので右翼が妨害にくるかもしれない。日の丸・君が代訴訟の弁護団も参加してくれ」と言われて、大雨のなか、スーツを着てバッジをつけて出かけました。全くの杞憂でした。 集会チラシ ↓ http://homepage3.nifty.com/yobousoshou/4_25chirashi.pdf 藤田英典さん、本田由紀さん、木附千晶さんらのパネルディスカッションが面白かったです。 ■本田由紀教授の「家族・教育・仕事の循環」論 先ず、ご存じの本田由紀教授(東京大学大学院・教育社会学)のコメントがに、るほどと思いました。 本田教授曰く、「家族→教育→仕事」の循環が日本はうまくいっていた。この循環のなかで、右肩上がりの希望と安定を享受してきた。 家族は子どもに良
新国立劇場合唱団員(不当労働行為)事件について、極めて残念なことに、東京高裁は、東京地裁と同じく、合唱団員の労組法上の労働者性を否定しました。 判決全文 「shikoukritukousai090325.pdf」をダウンロード 声明 「seimei09325.doc」をダウンロード ■東京高裁判決の特徴 東京高裁の理由付けは、原審東京地裁判決とも異なります。抜粋を紹介します。以下のⅠ、Ⅱ…、①、②…の数字は引用者が付けました。 Ⅰ「①契約メンバーの歌唱技能という債務の提供はオペラ公演における各メ ンバーの持ち場(合唱団におけるパート等)が自ずと決まっており、被控訴人が契約メンバーの労働力を事業目的の下に配置利用する裁量の余地があるとは考えられないところである。そして、…、②契約メンバーが個別公演出演契約を締結してひとたび当該オペラ公演に参加することとした場合においては、オペラ公演のもつ集団
■不正競争防止法の一部改正案 先週土曜日大阪で開催された労働弁護団の全国幹事会に久しぶりに参加しました。そこで、2009年2月27日、「不正競争防止法の一部を改正する法律案」が今の通常国会に提出されていることを聞きました。同改正案の内容の要点は次の二点です。 ①現行法の「不正競争の目的」(2条7号、21条1号等)から「図利・加害目的」(「不正の利益を得る目的」又は「保有者に損害を与える目的」)に改める ②現行法が営業秘密の「開示」・「使用」行為の時点で処罰するとした原則(法21条1号)を改め、その前段階での「不正取得」ないし「不法領得」の時点で処罰する ■労働者の権利行使に萎縮効果を与える 「営業秘密」(秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう)を取得して、権利行使として使用する場合は、けっこうあります
■政治資金規正法の虚偽記載って? 民主党の小沢一郎議員の公設秘書の逮捕について新聞では次のように被疑事実が記載されています。 調べによると、大久保秘書は、実際は西松建設の政治献金であることを知りながら、03~06年分の陸山会の政治資金収支報告書に、西松建設のOBが代表を務めていた政治団体「新政治問題研究会」(95年設立、06年解散)と「未来産業研究会」(98年設立、06年解散)から計2100万円の寄付を受けたとする虚偽の記載をしたという。(朝日新聞3月4日) 罰則は政治資金規正法25条1項3号の12条違反ということなのでしょうか?
■経済学者によると、北欧は「解雇自由の国」だそうです 著名な経済学者である方が、スウェーデン・モデルを論じて次のように書かれているそうです。 北欧の労働生産性が高いのは、解雇自由で労働移動がすみやかなことが原因といわれている。 ■スウェーデンは社民党とLO(全国労働組合総連合)が作り上げた福祉国家 スウェーデンは、1928年には労働裁判所がつくられているそうです。ケインズなきケインズ政策といわれたミュルーダルのマクロ経済政策が有名です。また、スウェーデンの労働者の90%を組織する全国労働組合総連合(LO)のエコノミストだったレーンが推進した積極的雇用政策(レーン・モデル)も有名です。 そして1974年に、【雇用保護法】ができあがりました。こっちはあまり有名でない。LOの法律家であったオーメンの名をとってオーメン法と呼ばれるそうです。(なお、現在のスウェーデンは穏健党などの非左派系政府(20
■非正規雇用者の雇用保護のための賃金抑制 新聞報道を読んでいると、経営側は、雇用維持のため賃金を抑制、ないし賃下げするべきだとの意見を強く主張しているようです。マスコミの一部には正社員労組は、非正規労働者の雇用を守ってこなかったとして、賃下げをせまる意見もあるようです。 正規と非正規の利害の対立をあおるやり口は、小泉的手法ですね。 2000年以降の統計を見れば、正規労働者が既得権を維持するどころか、労働者全体の所得が減り、株主と企業経営者が大幅な利益を得ているのは明白です。 ■統計結果に見る格差 「得しているのは誰か」 内閣府国民経済計算を見ると http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#kakuho 2000年の労働者の所得(雇用者報酬)は271兆円。2007年は265兆円に減少しています。 財務省の法人企業統計を見ると http://ww
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