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アメリカ大統領選
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2015年05月10日20:00 カテゴリ Francesco Saraceno,「FEDは今利上げするべきか?」 (日本が世界より優れていること) Francesco Saraceno のブログ(3月23日)の翻訳です。 FEDは、今、利上げするべきか? Raise Fed Rates Now? 以下の文章は、アメリカとFED(FRB、連邦準備銀行)についての短い覚書だ。利上げしろという圧力は止むことがない。しかし、最近、その圧力はさらに強くなっている。今日、FTに掲載されたセントルイス連銀の James Bullard の意見を読んだところだ。それは、「破壊的な資産バブル」を防ぐために、ジャネット・イエレンに今すぐ金利を上げるように求めるものだ。半年前にも、量的緩和(QE)は危険である、なぜなら――ここでも理由は資産価格のインフレのためだ――それは格差の拡大につながるから、という意見
2015年04月19日08:00 カテゴリ消費税 マーシャル・I・スタインボーム、「アメリカが消費税を導入すべきでない4つの理由」 Marshall I. Steinbaum, "The hottest tax idea in Washinton is actually terrible" 要約です。 ーーーーーーーーーー 消費税は、共和党も民主党も賛成する珍しい政策になっている。ビル・ゲイツも賛成している。彼らはみんなまちがっている。理由は主に次の4つ。 1.貯蓄をするのは金持ち 消費税が望ましいとされる理論的根拠は、貯蓄に課税するので(消費税なら、消費だけに課税されるので、貯蓄には課税されない)、倹約している人に不公平というものだ。しかし、貯蓄という道楽ができるのは、ほとんど金持だけだ。 納税しているアメリカ人の下位90%は、ネットで見て貯蓄0以下(貯蓄していても、住宅ローンなど、な
2015年04月09日19:30 カテゴリ金融政策Gali, "Monetary Policy, Inflation, and Business Cycle" まだ東京でフリードマンなんか信用して消耗してるの?――フリードマンのk%ルールなんていらない このタイトルは、高知の池田氏を意識していますが、東京で消耗している池田氏も意識しています。で、東京で消耗している池田氏は、かつてツイッターでこんなことをつぶやいています。 私は、リフレ派の自称エコノミストにはLjungqvist-SargentよりGali http://t.co/hnpA9shczT をおすすめしたいですね。読める人はほとんどいないと思うけど。https://twitter.com/ikedanob/status/371862848995344384 東京で消耗している池田氏が Gali の本を読んでいるなら、同じ東京で消
2015年03月12日19:40 カテゴリクルーグマン ブログ クルーグマン、「二つの大きな不況後の需要政策」――レーガン時代のほうが政府支出が多くケインズ的だった クルーグマンの3月9日のブログの翻訳です。 二つの大きな景気後退後の需要政策 Demand Policies in Two Big Resessions 雇用の成長がやっと深刻な不況の後に期待される状態になるにつれ、すばらしいレーガン時代のようにV字回復を遂げることができなかったのは、オバマの反資本家的な政策のせいだ、という意見は聞かなくなった。しかし、回復に時間がかかったのは事実だ。なぜだろうか? もちろん、答えはずっと前からわかっている。名目金利にはゼロ付近から下がらないという限界があるおかげで、金融政策には限界があったからであり、財政赤字に対する不安と共和党の反対のために、財政政策にも限界があったからだ。しかし、単純なグ
2015年02月26日23:55 カテゴリ クリス・ディロー、「歴史によってつくられている」 クリス・ディロー (Chris Dillow) の2月11日のブログの翻訳です。 (いったん公開したのですが、翻訳があやしいところがあったので、いったんひっこめて考えていました・・・ 最後の引用のところ。) 歴史によってつくられている Created by History 格差は長期的に見ると経済にとって悪いものだ。これに関しては、新しい論文(pdf)が出ている(訳注1)。 1700年代と1800年代に大きな格差をもっていた国では、企業は若いうちに死んでしまうことが多く、多くの仕事が生まれない。 こうなるのは、格差が存在すると、多くの人が借入制約に直面することになり、事業を起こすことができない。そして、それが企業家精神をよく思わない態度を生み出す。今度は、そのような態度が世代を超えて受け継がれるか
2015年02月19日19:19 カテゴリ サイモン・レン=ルイス、「政府債務の負担 再考」 Simon Wren-Lewis のブログ(2月11日)の翻訳です。 政府債務の負担、再考 The burden of government debt, again この記事は、政府債務の問題に関するいくつかの混乱を解消するためのものだ。 1)政府債務を使って、将来の世代から現在の世代に所得再配分することができる。たとえ、各期の総消費が一定のままであってもそうである。証明:いくつかの例を見よ。例えば僕の以前の記事(あるいは、ニック・ロウ(Nick Rowe)が同じような証明をしている。それに関する彼の最近の記事はこちら)。 注: みんな混乱しているのは、この命題の最初の部分は直感的にわかるけど(政府が減税し、その財源を借金で補ったら、確かに減税の恩恵を受けた人々は出費を増やし、その結果、利益を得
2015年02月01日17:00 カテゴリ アベノミクス以前から雇用は増えていた? 「アベノミクス「以前から」雇用は増えていた」という意見に関して論争になっているようです。(こちら vs こちら、こちら vs こちら) (ニュースの社会科学的な裏側さんから) 季節調整した値では、2012年10月から増えているように見えます。しかし、そもそも季節調節した値で、1か月、2か月単位の精度で、この時期から増加している、と言うことができるのか疑問です。それと、上の図では、2012年の10月の就業者数が突出しています。就業者数の増加に転じたのが2012年の9月と判断されるのは、この10月の突出のためです。話は変わりますが、景気後退の定義は、(2四半期連続でというように)複数期連続でマイナス成長になったときです。 季節調整した就業者数の変化は次のようになっています。(以下、すべてのデータは統計局労働
2015年01月30日12:22 カテゴリデフレ Francesco Saraceno, 「労働コスト:誰が異常なのか?」――ドイツもすごいけど、日本にはかなわない フランチェスコ・サラチェーノ(Francesco Saraceno)のブログの記事の翻訳です。1月29日のクルーグマンのブログで引用されていました。 労働コスト(レーバーコスト):誰が異常なのか? Labour Costs: Who is the Outlier? 今、スペインは、ドイツと共に、イタリアやフランスの政策決定者にとって模範的モデルになっている。奇妙な模範的モデルだけど、ここではそれには触れない。よく言われる理由――こういう主張はどれだけ批判しても現れてくる――は、いつもながらの、スペインは身を切るような構造改革を実行し、それがレーバーコスト(労働コスト、人件費)を下げ、競争力を増加させた。だからスペインは成長して
2015年01月20日18:30 カテゴリクルーグマン ブログ クルーグマン、「ヨーロッパの状況」 クルーグマンの1月19日のブログの翻訳です。 ヨーロッパの状況 The European Scene 今週、ECBは新しい金融緩和策を発表すると予想されている。ドイツのメディは、もう叫び始めている。ビルト(Bild)は、予想されるドラギの行動は、スペインやギリシャやイタリアやフランスのような危機の直撃を受けた国の改革を遅らせることになる、と警告している。上の表は、昨日の時点でのヨーロッパの長期金利(10年国債)である。 まず最初に「危機の直撃を受けた」フランスを見てみよう: この数字から判断すると、投資家は、フランスに関して相当心配していて、フランスが0.64%の金利(といっても、史上最低んなんだけど)を払ってくれなければ、フランス国債を持ちたくない、と考えていることになる。でも心配する必要
2015年01月14日23:00 カテゴリ Annie Lowrey,「Fed と格差」 http://economix.blogs.nytimes.com/2013/06/03/the-fed-and-inequality/ Annie Lowrey, "The Fed and Inequality" Economix (New York Times) のアニー・ロウリー(Annie Lowrey)による記事(2013年6月3日)の翻訳です。 アニー・ロウリー、「Fed と格差」 "The Fed and Inequality" by Annie Lowrey Fed (連邦準備制度)は、大不況後の格差を推し進め力になっているのだろうか? これは、ニール・アーウィン(Neil Irwin)、ロバート・フランク(Robert Frank)らを巻き込んで大きな論争になっている話題である。
2014年12月10日19:00 カテゴリクルーグマン ブログ クルーグマン、「コアな論理」 クルーグマンの2010年2月26日のブログの翻訳です。 だいぶ昔の記事で anomalocaris89 さんの翻訳がすでにありますが、今読まれるべき記事だと思ったので、このブログでも翻訳してみました。 ********** コアな論理 (注1) Core Logic 雪かきで休憩する時間ができたから(注2)、多くの人を混乱させている問題について書いてみよう。コア・インフレ率という考えだ。どうして僕らはこの指標を必要とするのか? それはどのように計測されるべきか? コア・インフレ率は、通常、物価指数から食料とエネルギーの価格を取り除いて計測される。しかし、刈り込み平均(trimmed-mean)インフレ率や中央値インフレ率(median inflation)という別の指標もあり、最近注目を集めてい
2015年01月06日20:00 カテゴリピケティ ピケティ、「マンキューに対する反論」 前回の記事で2015年1月3日のAmerican Economic Association の講演ためのマンキューのエッセイを紹介しましたが、今度は同じ講演のためのピケティのエッセイ(こちら[pdf])です。タイトルは「『21世紀の資本』について」ですが、マンキューのエッセイの後に書かれたもので、マンキューの指摘を意識したものになっています。原文4ページから9ページまでの部分訳です。ピケティがどのようなモデルで考えているかは、次のpdfが参考になるかもしれません。 http://piketty.pse.ens.fr/files/PikettyEcoIneg2013Lecture6.pdf 『21世紀の資本』について "About Capital in the 21st Century" Thoma
2015年01月03日22:30 カテゴリマンキューピケティ マンキュー、「確かに r>g になりますが、それが何か?」 2015年1月3日のAmerican Economic Association の講演のために書かれたエッセイの翻訳です。ピケティの『21世紀の資本』に関するものですが、マンキューが累進税率の消費税を提案していることが興味深いです。マンキューは簡単なモデルを使って説明しています。今回の翻訳したのはその部分だけです。 https://www.aeaweb.org/aea/2015conference/program/retrieve.php?pdfid=520 確かに r>g になりますが、それが何か? "Yes, r > g. So what?" N. Gregory Mankiw [1ページ後半から2ページ冒頭] ピケティの本は、民間資本からのリターンの割合 r
2014年12月27日21:00 カテゴリ名目賃金・実質賃金 1991年ー2014年の賃金フィリップス曲線 竹中正治氏のブログの記事(こちら。とてもいいまとめの記事になっています)に触発されて、私もフィリップス曲線を描いてみました。竹中氏は名目雇用者報酬で描いていますが、私は厚労省の毎月勤労統計の名目賃金指数(増加率)を使ってみました。データは、完全失業率が統計局(月別・四半期とも原数値、季節調整なし)から、名目賃金が厚労省の毎月勤労統計(月別・四半期とも前年同月・同期比)からです。 横軸が失業率、縦軸が名目賃金増加率(前年同期比、同月比)です。 バブル崩壊以降の1991年から1996年がオレンジの点。デフレの時代の1997年から2007年までが黄色の点、リーマンショックの年以後の2008年から2012年までが緑の点。2013年からが茶色の点です。 四半期データ(2番目のもの)で見るとよく
2014年12月24日18:00 カテゴリ名目賃金・実質賃金 なぜ消費増税のインフレでは消費が減るのに、金融緩和のインフレでは消費が減らないのか? 現在の金融緩和に反対する意見として、名目賃金は増加しているが、インフレ率がそれ以上の割合で増加しているので、実質賃金が減っている。実質賃金が減っているから、可処分所得を減らすことになり、消費が減ってしまう! という意見があります。 インフレによって買えるものが減れば、消費が減るように思われます。しかし、2013年4月から始まった金融緩和によるインフレでは、消費は減りませんでした。4-6月期では実質賃金0.5%増、消費1.9%増(家計最終消費支出除持家のく帰属家賃)。しかし、7-9月期では、実質賃金は1.7%減でしたが、消費は2.6%増えています。10-12月期でも、実質賃金は1.3%減でしたが、消費は2.6%増です。(以下で使用しているデータは
2014年12月13日21:00 カテゴリピケティソローモデル ピケティの r>g をソローモデルで考えてみた と書きましたが、私はピケティの『21世紀の資本』を読んでいません。だからこの記事はピケティの本の解説をするものではありません。 r (資本からのリターン)が g (経済成長率)よりも大きくなるのはどういうときか? という問題をソローモデルで検証してみることが目的です。 まず、通常ソローモデルにおいて想定されているように、生産は資本と労働を生産要素として行われると想定します。生産関数は、 というかたちのものとします(これは「労働節約型」の生産関数で「ハロッド中立的」と呼ばれるものです。Y = AF(K,L) という「ヒックス中立的」の生産関数でも、以下の議論のインプリケーションは変わりません)。 Y:生産量, K:(社会全体の)資本, L:(労働)人口, A:知識(技術)です。 効
2014年12月14日16:00 カテゴリクルーグマン ブログ クルーグマン、「コアを粘着的なものに向けろ」 クルーグマンの2011年1月31日のブログの翻訳です。 ********** コアを粘着的なものに向けろ Screw Your Coreage to the Sticking Place (注1) 僕は、以前の記事(拙訳 こちら)で通常のインフレ率よりもコア・インフレ率を重視するべき理由を説明しようとしたとき、いつでも価格が変動している財と、一定期間の間に少ない回数しか価格が改定されない財とを区別しなければいけない、と強調した。インフレの慣性(inflation inertia)が従うのは後者の価格であり、インフレやデフレが出来上がった状態で経済にやってくる、と心配するとき見なければいけないのも後者のインフレであり、取り除くのが難しいのもその後者のインフレである。 コア・インフレ率
2014年12月09日00:30 カテゴリ名目賃金・実質賃金 東京新聞の雇用分析はこんなにひどい――「雇用指標 根拠に注意」(東京新聞) 12月8日(月)の東京新聞(中日新聞)の記事(「雇用指標 根拠に注意」、経済部・山口哲人、政治部・我那覇圭)から。記事前文はこちら。 安倍首相が雇用についてよく持ち出すのは「10万人増加した」というデータだ。7日の都内の遊説でも「正社員は10万人以上増やした」と強調した。 これに対し、野党側は逆に「22万人減っている」(共産党の山下芳生書記局長、7日のテレビ討論で)などと批判している。 いずれも根拠とするのは、総務省労働力調査と呼ばれる統計だ。だが、与野党が取り上げる数字は比較している時期が異なる。 首相が言及するのは、今年7~9月期と前年の同じ時期の比較だ。正規雇用の数は今年の7~9月期は3305万人で、昨年の同時期(3295万人)から確かに
2014年12月13日00:30 カテゴリ 池田信夫はソローモデルがまったくわかっていない 池田信夫『日本人のためのピケティ入門』サポートページ(こちら)にこんなことが書かれています) つまり生産性が上がると、それぞれの労働者の所得は上がりますが、国民所得は労働生産性×労働人口で決まるので――人口が増えているときは――成長率は生産性の上昇率より高くなるのです。簡単にいうと、これが資本収益の上昇率が賃金上昇率を上回る原因です。 労働者は自分の生産性の上がった分しかもらえませんが、資本家は労働者を増やせば資本収益を上げることができます。図1に生産性の上昇を加えると、国民所得は Y1 のようになります。ここでそれぞれの生産要素の限界生産性に応じて所得分配が行なわれるとすると、資本家の得る利潤と労働者の得る賃金は、資本/労働比率に等しくなります。 しかし労働人口が増えてGDPが Y2 に上がったと
2014年11月30日18:00 カテゴリ ブロゴス(BlOGOS)の「おばかな」記事ベスト10 (ブロガーの敬称略) 第10位 「追加緩和で株価は上昇トレンドへ、格差は拡大へ」 中原圭介 http://blogos.com/article/97793/「ばかな」記事というより、これは悪質です(だから10位)。 この記事の中に次のような文章があります。先日、FRBのイエレン議長が講演のなかで、「アメリカでは所得や富の不平等がかつてないほど広がっている」と述べて格差拡大に対して警鐘を鳴らしましたが、アメリカはインフレ推進政策によって、物価を考慮した実質賃金が今では1970年代の水準を下回ってしまっているのです。物価を考慮した実質賃金って何でしょう? そもそも実質賃金が物価を考慮したものなので(実質賃金=名目賃金/物価指数)、わざわざ物価を考慮した実質賃金と言う意味がわかりません。実質賃金が物
2014年11月23日19:00 カテゴリ消費税 メンジー・チン、「世界的な停滞を防ぐために」(消費増税とリカードの等価定理) "Preventing a Global Slowdown" Menzie Chinn Econbrowser (Menzie Chinn) からの翻訳です。 (それぞれのグラフの出所、説明は、原文を見てください。) ********** 世界的な停滞を防ぐために "Preventing a Global Slowdown" Menzie Chinn アメリカ財務省によると、ユーロ圏と日本はもっと刺激策を行う必要があるようだ。 ルー長官の最近のスピーチから 手短に言って、ヨーロッパの現状は、強い維持可能なバランスのとれた成長というG20共通の目標を達成していません。ECBは適応的な金融政策によって経済をサポートする強力な政策に踏み出しましたが、最近の経済指標が
2014年11月18日20:00 カテゴリクルーグマン ブログ 日本のGDP低下を喜ぶ人々 クルーグマンの11月17日のブログに対する読者 (Doug Rife さん) のコメントの翻訳です。 日本のGDPが低下したというニュースは、ケインズ的経済政策はうまくいかない、と主張する人々によって狂喜とともに歓迎されている。実際、今朝のブルームバーグTVのマット・ミラーがはっきりとこういう気持ちを表明していた。しかし、消費税はアベノミクスの一部じゃない。消費税が需要を押し下げると予想されるのは、それが消費に対する税金だからであって、それが所得に対する税金だからじゃない[訳注1]。それに、日本の消費税は、財政赤字をやかましく叫ぶ人々をなだめるために導入されたものだ。 ケインズに反対する人は、消費税を愛し、所得税を嫌う。彼らは、消費に課税することは成長を促し、所得に課税することは、雇用をつくりだす人
2014年11月18日12:30 カテゴリクルーグマン ブログ クルーグマン、「緊縮政策をすれば経済が緊縮する」(日本の例からわかったでしょ?) クルーグマンの11月17日のブログ(部分訳)。 ********** 緊縮政策をすれば緊縮になる "Contractionary Policies are Contractionary" 日本から悲惨な数字が届いている。ただし、数値の低下を悪く受け取りすぎているように思うけど――これに関して僕はより詳細なデータを知らないが、他の指標はそれほど悪くないようだ。しかし、まったく先を見ず何も考えずに行われた今年春の消費増税が、まだ大きなダメージを与えている、ということは疑問の余地がない。 安倍が消費増税第2ラウンドをするつもりがないのは濃厚なようだ。これはいいニュースだ。 つまり、緊縮政策をすれば、経済が緊縮するのは当たり前なんだ。僕はそのように言うこ
2014年11月06日00:45 カテゴリ 金融緩和の効果は雇用の改善 金融緩和はバブルを引き起こすと言われますが、現在のような低成長の時代、長期停滞の時代にはバブルは起こりにくいです。また、中央銀行もバブルを抑制する手段を持っています。 それなのに、どうして多くの人々が、金融緩和でバブルと聞くと、その二つが自然に結びついてしまうのでしょうか?答えはこの四文字熟語が誤った文学的想像力をかき立ててしまうからでしょう。 金融+緩和 なので、お金でじゃぶじゃぶになると思ってしまうのでしょう(経済をこういう文学的想像力で解釈すると、たいていまちがった理解になります)。 お金がいっぱいになるなんて、人や社会にいい影響を与えるはずがない。だから金融緩和は悪いものだ。文学や映像文化に造形が深い人に、このように考える人が多いような気がします(ちなみに新聞やテレビなどのマスメディには文学部出身者が多い。たぶ
2014年11月05日15:30 カテゴリクルーグマン ブログ消費税 クルーグマン、「消費税上げるな」 クルーグマンの11月4日のブログから。 「崖っぷちの日本」"Japan on the Brink" 後半部分だけの部分訳です。 増税しろという人びとは、もし日本が増税しなければ、財政に対する信認を失って、ただちに経済を危険にさらすと心配する。つまり、国債自警団(bond vigilantes)が攻撃するだろう、というやつだ(注1)。どうして僕がこういう考えに賛成しないのかだって? ひとつの理由としては、そのように言われている信認の危機というものがどのようにして起こるのかが理解できないからだ。これについては昨年、IMFのマンデル-フレミングの講演で指摘した:自国の通貨で借金している国では、インフレ圧力に直面しない限り(今の日本は逆だ)、ギリシャ型の危機が起こるとは考えられないからだ。短期の
2014年10月29日15:15 カテゴリクルーグマン ブログ消費税 クルーグマン、「アベノミクス沈む」 クルーグマンがブログ(10月28日)で日本について書いています。 "Notes on Japan" その最後のほうにこういう文章があります。 When I see, say, the IMF inserting into its latest Japan survey (pdf) a section titled “Maintaining focus on fiscal sustainability” my heart sinks (and so, maybe, does Abenomics); 最近のIMFの報告書で、IMFが「日本は財政健全化にも傾注せよ」というセクションを入れているのを見ると、気分が沈んでしまうよ(もしかすると、アベノミクスも沈むかもね)。 日本では、この文章だけ
2014年10月19日17:00 カテゴリマンキュー ブログ マンキュー、「ルールに従うべきか、従わないべきか?」 Follow or Break the Rule? http://gregmankiw.blogspot.jp/2014/09/follow-or-break-rule.html マンキューの9月17日のブログの翻訳です。 更新:すでに himaginary さんの翻訳がありました。最近インターネットをあまり見ていなかったので、気づいていませんでした。以下は、Reis のコメントの翻訳だと思ってください。 ********** ルールに従うべきか、従わないべきか? Follow or Break the Rule? ラース・クリステンセンが、僕が数年前に提唱したテイラールール(こちら、収録された本はこちら)の最新のデータを紹介している(下の図)。このルールは、アラン・グリーン
2014年10月05日18:00 カテゴリ がんばれ民主党 最近、民主党の議員が、実質賃金が低下していることを挙げて、安倍政権が進める経済政策を批判する議論をしているのをよく見かけます。民主党が、単に短期的に国民の支持を得ることを目指すのではなく、本当の意味で「まともな政治家集団」を目指すのなら、こういう議論は止めるべきです。嘘をつくことで政敵批判ができる場合――そして多くの国民はその嘘に気づかないだろう、とわかっている場合――その嘘を採用するかどうか、というのがここでの問題です。「まともな政治家」ならこういうことはやりません。嘘をつくこと――あるいは、データや根拠を歪めること、原因と結果を切り離して議論することは、政治家として、というよりも人間として、やってはいけないことだと考えます。しかし、日本の政治家のほとんどは(おそらく他の国でも)、嘘や正確でない情報を利用することで、自分の主張が
2014年09月02日20:30 カテゴリ インフレで実質賃金が下がれば企業の利益が増える、って本当?――企業が価格を上げるのはまだ先かも たぶん本当。 でもよく考えてみてください。インフレ率が上がって、企業が価格を据え置いていたら、実質価格は下がります。とすると、企業が価格を変更しないなら、その企業の実質的な利益は減りそうな気がします。はたしてそうでしょうか? 1.最も単純なモデル(当てにならないモデル) 労働者は1時間に1個、製品をつくるとします。その製品の価格は 2000 円で、労働者の時給は 1000円 です。製品1個当たりの利益は、1000円です。ここでインフレ率が0%から2%に上がったとします。実質賃金は、1000/1.02 = 980円 に下がります。しかし、価格を変更しなければ、実質的な利益は減ります(実質的な利益980円 )。したがって、価格を変更しない場合、名目賃金が
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