サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
猛暑に注意を
note.com/masanoatsuko
「国内初の「廃炉ビジネス」のための基準案」で、2025年5月17日深夜(18日0時0分)締切の以下のパブコメに出そうと思っていることをザクっと書いた。 審査基準案の問題点頭を整理すると、今回の基準案には少なくとも2つの問題がある。 原子力規制委員会が、原発の解体廃棄物を扱う事業者の拡大を「廃炉ビジネス」のために、法改正を国会に提案することなく、小手先の審査基準案の一部改正ですまそうとしている。 クリアランス確認前に、本来はやってはならない放射性物質の「希釈」を防ぐと言いながら可能とする規制緩和を審査基準案の一部改正でやろうとしている。 私が投じたパブコメそこで、以下の意見を今、投じた。以下では、関連リンクに飛べるようにし、強調したいことを太字にした。関心がある方は、ドシドシ出してほしい! 参考になれば幸い。 ●意見1 クリアランスを行う「原子力事業者等」の範囲を拡大するのであれば法改正すべ
和田央子さんの「ごみから社会が見えてくる2」の情報が送られてきた。 「環境省の汚染土再利用実証事業が実施されないまま、2024年3月末で契約が終了している」という。 元情報は、環境省の「福島地方環境事務所」の入札結果等公表資料。令和5年度除去土壌再生利用技術等実証事業を見ると、確かに、2度の工期延長と減額の末に、契約が終わっている。その中身を見ると、単に契約が終了したという以上に、和田さんの表現を借りれば、除去土壌を巡る社会が見えきた。 契約者はゼネコン等31社の組合最初の契約日は2022年11月18日。 このノートで実証事業の問題を追い始めた1ヶ月前だ。まとめると、 業務名:令和4年度除去土壌再生利用技術等実証事業 契約時の工期:2022年11月19日〜2023年3月28日 契約時の契約金:5億4120万円 1回目の工期延長(2ヶ月):2023年5月31日まで 2回目の工期延長(1年):
2025年4月16日の原子力規制委員会で、原発で生じる解体廃棄物のうち、原子力規制委員会が定める基準をクリアしたものをリサイクルする制度で、新たに加える基準案が了承された。 パブコメは5月16日まで加わる基準案については、パブリックコメントを今日(4月17日)から5月16日までe-Govサイトで受け付ける。(先に書くが、政策決定過程における市民参加制度を前に進めるため、1人が同様の意見を大量投稿するアクションはご遠慮いただきたいと私は考えている)。 これまでの制度さて、新たな基準とは何か。これまでも、原発等で発生した廃棄物のうち、クリアランスレベル(たとえばセシウムなら計100Bq /Kg以下)を下回るものを再利用できる制度(クリアランス制度)は原子炉等規制法第61条の2にあった。 原子炉等規制法 第61条の2 (放射能濃度についての確認等) 原子力事業者等は、工場等において用いた資材その
「東海第2原発の再稼働に反対する茨城県自治体議員連盟」に講演を頼まれた。何を話せばいいですかと聞いたら、東海第2を巡るさまざま状況を縦横無尽に!というので、分かりました!と引き受けた。 防潮堤の不良施工(既報)、中央制御室での火災(既報)と、問題山積の46歳の老朽原発だ。全体像を整理する良い機会になった。最近、紙の浪費がないように、レジメは2、3ページにとどめてPPT資料は「地味な取材ノート」に載せますということにした。そんなわけで、以下がそのファイル。
2025年3月5日、最高裁判所は「薄っぺらい」判断を下した。第2小法廷(岡本和美裁判長)が、福島第一原発刑事訴訟の指定弁護士の上告を棄却したのだ。 東電経営陣の業務上過失致死傷罪を問う刑事裁判刑事責任を問われた被告人は、東京電力の勝俣恒久・元会長、武黒一郎・元副社長、武藤栄・元副社長の3人(勝俣被告人は2024年に死去)だ。 政府の地震調査研究推進本部が出した「長期評価」をもとに、部下に求められた津波対策を先延ばしにし、2011年3月11日の東日本大震災を迎えた。東京電力福島第一原発事故が引き起こされ、双葉病院の患者44人を死亡させ、社員や自衛官らにけがをさせた。業務上過失致死傷罪を問う裁判だったが、被告人らは無罪となった。 最高裁が下した判断は、「長期評価の見解は、10m盤を超える津波が襲来するという現実的な可能性を認識させるような性質を備えた情報であったとまでは認められない」などという
2025年2月17日の特定原子力施設監視・評価検討会(通称「1F検討会」)の議題の1つ、HICについてメモを途中まで作り、下書き保存したままだった。 HIC(ヒック)とは何か?福島第一原発の建屋地下で地下水にあたって発生し続ける汚染水(2023年度で日量80トン程度)を東京電力は、増設多核種除去設備(以下、増設ALPS)で処理し続けている。すると、 こしとられた高濃度汚泥(以後、スラリー)が副生される。 このスラリーを「高性能容器」(HIC)に入れて保管する。 汚染水は増えるので、スラリーもドンドン増え、HICもドンドン増える。 では、地下水を止めて汚染水の発生を止めよう!となるはずが、政府・東電はそれを抑制することに留まっている。 HIC発生量を減らす対策汚染水発生を抑制すれば、スラリーの発生もその分、減るが、それでも増える。2023年6月には、増設ALPSに新たな前処理設備を加えて、ス
2024年11月21日、「巨額の原発新増設コストを国民からこっそり徴収する新たな制度の導入をやめてください」との署名2万5317筆が、経産省に提出された。 今日は、こんな署名が提出された背景を、提出後の議論を参考に記録しておく。 データセンターによる電力需要増加論現在、経産省は、総合資源エネルギー調査会に設けた基本政策分科会や夥しい数の小委員会で、第7次のエネルギー基本計画に向けた審議を進めている。 こうした審議で必ず登場するのが「データセンターの整備で電力需要が増加」する論だ。下記の経産省資料はその一つ。国際競争や設備投資のために電力の安定供給や脱炭素化が必要だという論調だ。 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第65回会合) 資源エネルギー庁資料「エネルギーに関する国際動向等について」(2024年10月)P3電力消費実績は減少現実はどうか。2011年の福島第一原発事故前から日本の
2017年に政府が改訂した福島第一原発(1F)の「中長期ロードマップ」では、2021年12月までに燃料デブリ取り出しが開始されるはずだったが、2024年11月現在、その見込みはない。 廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議 2017(平成29)年9月27日 配布資料1中長期ロードマップ改訂案について 概要資料 よりかろうじて、880トンの溶け落ちた燃料デブリのうち、3g程度が試験的に建屋から出るかどうかという段階だ。 しかし、それは中長期ロードマップで定めたように最優先すべきことなのか。 政府と東電の優先順序は?通常の原発でさえ、低レベルの放射性廃棄物から片付けを始める(既報)。 福島第一原発で、なぜ最高レベルの燃料デブリを今、取り出そうとするのか。 放射性廃棄物を増加させる地下水の止水が最優先ではないか。 常々、聞きたかったことを、福島第一原発の廃炉の最高責任者である小野明氏に2024年
トラブル続きの福島第一原発2号機燃料デブリの試験的取り出し(既報)について、東京電力は10月31日の会見で、その後の進捗を説明した。 「10月24日にカメラ交換作業が完了。28日に試験的取り出し作業を再開、30日に燃料デブリを把持。今後は、把持した燃料デブリをエンクロージャー内へ引き戻し、燃料デブリの線量を測定する予定です」と。 記者には、デブリを掴んだ記録が動画でUSBで提供された。 原子炉内部に挿入されるテレスコ装置に取り付けられた4台のカメラによる動画(東京電力ホールディングス株式会社)より(二つの黄色の円を筆者加筆)。小円中央に5mmのグリッパに挟まれたデブリが映っている。大円中央に映る異質なモノの下から取り出された。カメラ故障を起こす前に、どれを取り出すか目星をつけるためにデブリを掴んだことが分かっており、その際に目印を置いたのかと10月31日会見で尋ねた。東電は否定したが、どう
選挙戦で、「防災省の設置」が謳う権力者がいる。 今さら、何を言っているのかと思う。 高度経済成長時代から続けてきた「防災」インフラ政策に失敗し、 「減災」と言い始めた。「国土強靭化」もその類だ。 首相が率いる内閣府には特命担当大臣(防災)まで任命している。 「減災」「国土強靭化」の名で、「土建政治」「政官業の癒着」にしがみついて、 自らの権力維持のために利用していただけではないか。 グルっと回って、また「防災?」と呆れたので、以下、提案しておきたい。 提案:スフィア基準の実現明日また起きるかもしれない自然災害。 一刻も早く対応するなら、今、持っている権限で、「人道憲章と人道対応に関する最低基準(通称:スフィア基準)」<1>を満たす体制を確保すればいい。 (イタリアでこれが実現されていることは有名<2>)。 国際赤十字らのプロジェクトで策定した「紛争や災害の被害者が尊厳のある生活を送ることを
こちらで福島第一原発2号機の配管で起きたのは「流れ加速型腐食」か?と書いたが、結論から言えば、東電広報の回答として、美浜原発の配管破断とは「全く状況が異なる」ということになる。10月7日東電会見で3日の資料を使い細切れに(リンク切れするが、動画45分目あたりと1時間44分目あたりで)聞いて分かったことを箇条書きでまとめておく。 穴の大きさと水の温度は?配管に空いた穴は1センチ(先日2センチと書いてしまったが訂正) 配管の厚さは7.1ミリ(規格上の公称値)。 配管を通っていた水(スキマサージタンクから流れて、熱交換器に向かう水)の温度は→「燃料プール水を循環させるラインなので、原発稼働時でも65度以下。熱交換器で冷却してプールに戻す」。 穴が空いた腐食のメカニズムは?穴は「減肉現象」の中の「流れ加速型腐食」と分類されるものか?→「現時点ではどのようなメカニズムで穴が空いたかは確認できていない
2号機燃料デブリ試験的取り出し中断。原因不明のまま、最大10万倍高い線量空間で手袋5枚をつけてカメラ交換(予定) 8月22日に始まった福島第一原発2号機の燃料デブリの取り出しを巡るドタバタ。原子炉格納容器に入った4台のカメラのうち先端2台が、まだ何も始まっていないのに、9月17日に映らなくなり、2度目の作業中断となった。 今日は、その後、10月7日の東電会見で分かった話。 電源をオン・オフにしても問題解消とならず現在、カメラ4台は、エンクロージャー内に引き戻した状態だ。高線量の格納容器に続く隔離弁は閉めてある。 10月7日発表によれば、映らなくなった先端のカメラ2台を、本来は3g以内のデブリを取り出すためにあるハッチ(50cm四方)を使って、予備カメラ2台と交換する予定だ。 なぜなら、10月3日朝までに数日をかけて電源をオンにしたりオフにした(放射線が高いと電荷がたまってカメラが不具合を起
と、文中で後半、タイトルのように問いかけたが、答え合わせができた。10月8日に書いた「福島第一2号機配管の穴。美浜原発の配管破断メカニズム「流れ加速型腐食」とは状況違う」へと進んでください(10月8日加筆)。 福島第一原発では、水を循環させて冷却を続けなければならない場所があちこちにある。燃料デブリと使用済燃料だ。使用済燃料については3号機(566本)、4号機(1535本)はプールからの取り出しが完了したが、1、2号機はまだだ。時間が経過する中、1Fにはあちこちガタが来ている。今日の話はその一例だ。 2024年9月26日 廃炉・汚染水・処理水対策チーム会合/事務局会議 東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ進捗状況(概要版)P2 8月9日、使用済燃料の冷却システムから漏水を確認2号機では、8月9日に、使用済燃料プールから溢れる水を受け止める
911に島根原発のテロ対策が合格。飛行機が突っ込んでも1F事故の100分の1の放射線物質放出で済むのか? 9月11日の原子力規制委員会で議題となった中国電力の島根原発の特定重大事故対処施設(つまりテロ対策施設)について、18日の記者会見で山中委員長に質問した(こちらの写真キャプションに書いたように11日に質問しそびれたので)。 審査結果には、原発に大型飛行機が突っ込んでも、放射性物質の放出は100TBqを下回ると書かれている。100TBqとは福島第一原発事故の時に放出された量の100分の1だ。なぜ、それで済むのだろうか。 2024年9月18日原子力規制委員会後の会見で筆者撮影私の質問の後に、ジャーナリストの青木美希さんが、武力攻撃ではどうかと質問して、ますますこの国の原子力政策のチグハグさを感じることになった。 911のようにテロで大型飛行機が衝突したとき○記者 先週の委員会で島根原発の
今日、一番伝えたいことは、タイトルの通り。忙しい方は目次から、「事故原発だけではない「廃止措置」の不明瞭さ」に飛んでください。 燃料デブリ試験的取り出し再開、着手東京電力は9月9日(月)、中断した福島第一原発2号機の燃料デブリ試験的取り出しについて「明日(10日)再開する」と発表した。土日(7〜8日)に間違っていた「押し込みパイプ」の順番を入れ替えたという。 福島第一原子力発電所 2号機燃料デブリ試験的取り出し作業開始に向けた押し込みパイプ復旧作業の完了(2024年9月9日東京電力) 撮影日:2024年9月8日9月10日、「テレスコ式装置の先端治具が隔離弁を通過」した「廃炉の貫徹に向け、安全を最優先に緊張感を持って取り組んでまいります」とリリース。これで、燃料デブリ試験的取り出しに着手したことになった。 原子力資料情報室「意味はあるのか」これに対して、NPO法人「原子力資料情報室」は「福
今日は、2015年に起きた鬼怒川水害(国による正式名称は「平成27年9月関東・東北豪雨」)を巡る国家賠償訴訟の控訴審、第1回が東京高裁で行われる。 水戸地方裁判所の判決は2022年。この判決に、原告と被告の双方が控訴した。丸2年ぶりに第1回がようやく開かれることになった。 その年、「現代の理論 2022秋号」*(NPO現代の理論・社会フォーラム 編)に依頼され、「画期的な鬼怒川大水害訴訟判決 : 国の河川管理の瑕疵認定 :気候危機時代の治水行政の転機」を書いた。今日は残念ながら傍聴取材にいけないが、当時の地裁判決に関する論考から主要な部分を抜粋・改編しておきたい。(*2024秋号から「言論空間」と名称変更をするそうだ。) 「国の河川管理の瑕疵」判決「平成27年9月関東・東北豪雨」による利根川支流・鬼怒川の氾濫被害は、国の河川管理の瑕疵によるものだとして、2022年7月22日、水戸地裁が原告
2024年8月22日 東京電力の木曜の定例会見は、通常通り夕方5時から始まった。福島第一原発(1F)の新事務所本館から一連の説明があった後、1F会場→福島会場→東電本社の順に記者が質問。1時間45分の長い会見となった(動画はいずれリンク切れする)。記者質問が集中したのは、22日朝から始まった2号機の燃料デブリ試験的取り出しの失敗について。 2024年8月22日東電本社会見室(筆者撮影)一夜明けて、写真説明で不明な点があり、確認のために広報に電話を入れたら、「確認します」となり、折り返し、昨日の写真説明が間違っているという回答が返ってきた。ビックリしたが、説明がコロコロ変わるのは、いつものことだ。 何がどう間違っていたかを説明するためには、昨日の東電会見での説明を順不同で簡単にまとめておこうと思ったら、長くなった。目次から関心のあるところへ飛んでいただければ幸い。 2号機燃料デブリ3g試験的
お盆休み明け。2024年8月19日、東京電力は福島第一原発に関する3つの発表を行った。3つを順不同で記録する中で、原発事故でダメージを受けた多号機の原発が同時進行で劣化していくとは、こういうことなのだと感じた。 2号機 燃料デブリ3g取り出し予定8月22日1つは2号機の燃料デブリの試験的取り出しの着手について。必要な治具の使用前検査が8月16日に終了したとして、8月22日、朝6時から始めるという。 ただし、デブリから20cm離れたところで線量を測定、24mSv以下なら取り出すが、24mSv超なら原子炉に戻す(既報した通り)。 22日の予定は「燃料デブリポータルサイト」を開設したという発表のついでに、東電が「口頭」で行ったものだ。 2号機 使用済燃料プール水がどこからか漏水1つは、同じ2号機で起きている原因不明の漏水について。原子炉の横にある使用済燃料プールには、事故前に使われた615体の核
2024年6月18日、東京電力福島第一原発で、高圧線が損傷する2度目の事件が起きた。 高圧線で火傷事件 4月24日所内の電源A系が停電。原因は、所内A系の高圧線を引き直すために、コンクリートを剥がす作業を行なっていた作業員が、高圧線(ケーブル)の管路まで貫いてしまったこと。作業員は右頬右腕に「2度熱傷」を受けたが、東電は「感電ではない」と言い張り続けている。A系を電源とする免震重要棟やALPSで処理した汚染水を希釈・放出する設備が停止した(5月3日と5月13日に既報)。 高圧線で火災事件 6月18日6号機で停電。8時33分、使用済燃料プールの冷却が止まった。2分後、6号機タービン建屋地下1階で火災報知器が作動(第1報)。15時15分に消防署が「火災」と判断。停電から10時間後の18時19分、使用済燃料プールの冷却が再開(第2報)。この間、プールの水温は1.5度上昇。長期間、稼働していないた
2024年5月31日、北陸電力が能登半島地震で志賀原発の変圧器が故障した原因と対策について発表した。オンライン会見の時間に間に合わなかったので、「せめて前日までに知らせてください」と要望する一方、リリースを読んで電話取材した。 令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況について 2024年5月31日、北陸電力株式会社 北陸電力送配電株式会社 共振による「延性破壊」と「疲労破壊」1月1日に起きた能登半島地震では、1号機で3600リットル、2号機で2万4600リットルもの絶縁油が漏洩した。既報時点では、揺れで「亀裂が入った」ところまでしか分からなかった。今回はより詳しく、地震動との共振により、1号機の起動変圧器では「延性破壊」が、2号機主変圧器では「疲労破壊」が起きたと分かった。 志賀原発1号機起動変圧器の「延性破壊」とはQ:(延性破壊とは)伸びちゃって変形したということですね。 北陸電
累積100mSv以下の固形がん死亡リスク。厚労省が国際疫学調査の検討方針を労災支援団体に約束で書いたことの続き。 山中委員長「低線量でがんが発生する云々というそういうのを聞いたという記憶はございます」米仏英の国際原子力労働者研究(INWORKS)の結果、これまで「仮説」としてしか認めてこなかった(時に無視、軽視してきた)累積100mSv以下の低線量の被ばくと固形がん死亡率との因果関係が、「証明」された。 高線量を浴びた原爆投下による広島、長崎の被爆者の研究がベースになっていた研究が、今回も、一歩進んだことになる。そこで、4月17日の会見で山中原子力規制委員長に尋ねておくことにした。 ○記者 放射線審議会でいろいろ議論があったという報告がありましたけれども、昨年の8月にフランス、イギリス、アメリカの原子力施設の労働者の国際共同研究の追加調査の成果が更新されて、被ばく労働する30万人の固形がん
原発事業がその事業の全てである日本原子力発電(以下、日本原電)の2つあるアキレス腱の1つは東海第二原発(茨城県東海村)だ。 2024年4月4日、超党派議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」が、その東海第二原発で起きた防潮堤の施行不良工事について、茨城県の江尻かな県議および原子力規制庁からヒアリングを行った。 この問題を巡っては、日本原電が設計変更申請をするとのことで、3月26日に原子力規制庁が審査会合を開いたばかりだ。 以下、重要なことが含まれており、長文となったがご容赦いただきたい。 2024年3月26日「原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」 資料2-1:東海第二発電所 設計及び工事計画に係る説明資料 防潮堤(鋼製防護壁)の設計変更 県議による防潮堤に関する問題提起これまでの経緯日本原電は、今年9月の再稼働工事の完了を目指して工事を進めていたが、昨年10月になって、防潮堤の基礎
フランス、英国、米国の原子力施設作業従事者約31万人が参加した国際原子力労働者研究(INWORKS)の調査結果が2023年8月に更新された。累積線量が0-100mGyおよび0-50mGyでも、被ばく線量と固形がんの死亡率に正の相関があることが示された。https://www.bmj.com/content/382/bmj-2022-074520 国際原子力労働者研究(INWORKS)とはINWORKSは 長期にわたる低線量被ばくが、がんのリスクに及ぼす影響を評価することを目的としている。 2023年8月、BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)に、国際がん研究機関(IARC)、アメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH)、英国保健安全保障庁、フランスの放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)、バルセロナ・グローバルヘルス研究所(ISGlobal)などの研究者によってに新たな更新結果
福島第一原発では、送電線の鉄塔倒壊が外部電源喪失の原因の一つだとわかった。今回は、変圧器の故障も外部電源喪失の原因となり得ると、ジワジワと実感した。 変圧器「壊れたと言えば壊れた」今回は、志賀原発の外部電源3系統のうち、2系統で3つの変圧器がアウトとなったが、予備の変圧器などでセーフとなった。変圧器は外部から高圧線で送られてくる電気を低圧に変えるためのものだ。それがなければ外部電源を喪失する。今回は、原発は動いておらず、非常用ディーゼル発電機も使える状態で、運が良かった。今回は。 北陸電力は2024年1月1日の第1報で、1号機と2号機の変圧器に異常をきたしていた状況を次のように発した。 志賀原子力発電所の影響について 2024年1月1日 北陸電力株式会社そこで、1月10日の原子力規制委員会の直後のブリーフィングでこう確認した。 Q:変圧器が壊れたから受電ができなくなった、という理解でよいか
2023年11月28日、茨城県が東海第二原発の過酷事故時に放射性物質がどう拡散するかのシミュレーションを発表した。東海第二原発では、火災や防潮堤の不良工事など問題が多発中で、メモに残さなければならないことが山積だが、まずは拡散シミュレーションについてメモをまとめておきたい。 民間企業のためになぜ茨城県が?東海第二原発は、日本原子力発電株式会社(以後、日本原電)が1978年に運転を開始した45歳の老朽原発だ。なぜ、その一企業の発電所のために県が税金と人材を投入して事故時のシミュレーションを公開するのか。それは県が次のように説明している。 東海第二発電所から30キロメートル圏内の自治体は、万が一の原子力災害時に備えて避難計画の策定が義務付けられていますが、想定すべき事故・災害は具体的に示されておりません。 このため県では、30キロメートル周辺まで避難・一時移転の対象となる区域が生じ、かつその区
3週間して初登場の東芝作業員4人と被ばく事故の発端:福島第一のあらすじと続き。 あらすじ私がこの間、質問してきたのは、作業員の被ばくリスクをどうやったら下げることができるのかという観点からの問いだ。ALPSの前処理で配管に溜まった炭酸塩を硝酸で洗い流すような作業を、粗末な仮設施設でやらずに済むことはできないのか、だ。 当初は(ヒモの)固縛位置を確定して、カッパを着るという、当たり前でしかない対策を東電が示していた。 それが、11月16日になると、東芝は、洗浄廃液を飛散させないための抜本的な設備改善を検討する、その対策が整うまでは、ホースの固縛位置を確定する(ヒモだったがボルトで止めると会見では答えている)、洗浄廃液が飛散しても汚染が拡大しないようにハウスで区画する(報告書P1)と報告し、東電はそれを妥当とした。 しかし、洗浄作業の「抜本的な設備改善」をしても、東電はそれを原子炉等規制法に基
【11月9日追記:中盤に出てくる以下の箇所につき訂正してお詫びします。】 ■誤■ Cが親方、Dも親方、A、B、Eにも親方(以後、F)がいたが、Fは(風邪でという説明もあった)欠席。朝のミーティングにはFの姿はあった。作業現場では、Fに代わって2次請の方(以後G)がA、B、Eに指示をした。 ■正■ Cが親方、Dも親方、A、B、Eにも親方(以後、F)がいたが、Fは(風邪でという説明もあった)欠席。Fに代わって2次請の方(以後G)が朝のミーティングにはいたが、作業現場にはいなかった。 FoEジャパンの依頼でオンラインセミナーでお話をした。事務局長の満田夏花さんが最近の福島第一原発における論点を整理した後、「福島第一原発事故「ALPS作業で汚染水が飛散、作業員が被ばく」が物語ることとは?」という題で話した。 私としては珍しく「憶測」から話を始めた。東京電力の公表資料「増設ALPS配管洗浄作業におけ
岸田政権が閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」(2023年2月)は、再生可能エネルギーと原発を「エネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源」であると位置づけて、「最大限活用する」とした。しかし、それは本当か? この度、「気候変動対策として原発が本当に使えるのか」を問い直す「原発の気候変動脆弱性研究会」をNPO法人原子力資料情報室が設置し、その研究会報告書「原発は気候危機に耐えられるか」について、10月31日に記者発表した。(以下は筆者メモ。報告書はこちらから)。 第1章で、 原発から排出される二酸化炭素排出量を他の電源による排出量と比較。 第2章で、 経済性な観点から、原発が気候変動対策として効果的な選択肢かを検討。原発は、計画から稼働までの期間が長く、高コスト。排出される二酸化炭素の多くがウラン採掘から燃料製造までの過程で発生する。 第3章は、 原発の安全性が、気候危機による海
統一します(お詫び)「ℓ」→「L」(2023.11.2と1.6に修正) いや、びっくりした。すみませんが長文です。 びっくりしたのは、「10月28日の日報をお配りしております」と会見担当が、会見資料の一つとして説明し終えようとした時だ。日報には次のようにある(長いが記録のために抜き出す)。 10月25日午前11時10分頃、増設ALPSのクロスフローフィルタ出口配管(吸着塔手前)の洗浄を行っていた協力企業作業員5名に、配管洗浄水またはミストが飛散した。このうち協力企業作業員1名の全面マスクに汚染が確認され、またAPD(β線)の鳴動を確認。 今後、汚染の状況確認および除染を実施する。 同日、身体汚染の可能性があると連絡があった協力企業作業員5名のうち1名は身体汚染が確認されておらず、身体汚染があった作業員4名のうち2名は除染が完了しているが、残り2名については現在も身体汚染が残っている。なお、
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『まさのあつこ 地味な取材ノート|note』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く