日本の演歌を初めて耳にしたタタールは「これはどこの村(アウル)の歌だい?」と私に訊ねた。また一方で、タタールの歌を初めて聴いた日本の人も「なんだか懐かしい響きがするね」と言う。 皆さんの耳はタタールの歌に接したことがあるだろうか。日本の旋律に慣れ親しんだ耳には、きっと、どこか懐かしい響きに聞こえるであろう。 タタール民謡「わがナイチンゲール」(Ай, былбылым) Ай былбылым, вай былбылым, ああ わがナイチンゲール おお わがナイチンゲールよ Агыйделдә таң ата. アギィデル川に朝日が昇る Таңнар ата, өзелә үзәк, 日が昇り 魂は苦悩する Җырлата да елата. 歌わせもするし 泣かせもするのだ ※ 歌い手は気鋭の若手歌手ディナ・ガリポワ(Динә Гарипова)。グゼル・ヤヒナによる小説『ズレイハは目