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産業図書の『行動分析学入門』では「60秒ルール」を以下のように解説しています。 指針:ルールによる制御 行動をしてから60秒たってから好子が与えられる時はルールによる制御を考えなさい。 この指針は、ある行動が随伴性によって直接制御されているのか、それとも随伴性を記述した言語行動(ルール)に制御されているのかを見分ける「ヒント」として提示したものです。 ところが、どうやら誤解が生じているようです。このルールを行動を変えようとするなら好子を60秒以内に提示しなさいと解釈してしまっている人がいるからです。 たとえば『行動分析学で社員のやる気を引き出す技術』(舞田・杉山, 2012)には「意識的に強化や弱化をしようとしたら、行動後の一分間でそれができるような工夫と努力をしなければならない」(p. 43)とあります。 その前の頁にはこの図が掲載されています。この図からは、強化/弱化の効果が、行動から
家庭や学校などの場面を問わず、子どもでも大人でも愛犬でも、学び手の学習を口実とした教え手による暴力行為であるすべての「体罰」に反対しています。 反対するだけではなく、暴力を使わずに教えたいことを教えることを推奨し、その方法についても情報提供しています。行動分析学の本領が発揮されるところです。 昨年度はこの声明文を策定するタスクフォースの委員長を務めさせていただき、あらためて「体罰」に関連する文献を読み直し、考え、自らの教育行動も振返る、充実した時間を過ごさせていただきました。そのような機会を与えて下さった、園山先生や、一緒に仕事をしたタスクフォースのメンバーにこの場を借りて感謝いたします。 法務省の「平成25年における「人権侵犯事件」の状況について(概要)」によると、教育職員による体罰に関する新規救済手続開始件数は887件(前年比139.7%)と増加しています。 体罰はまだまだ頻繁に行われ
Youtubeで公開されていた「日本社会心理学会 春の方法論セミナー」を観ました(発表資料がダウンロードできる学会のHPはこちら)。 「再現できない実験」という、時機にかなったテーマについて、3人の研究者が、主に統計的な手法の問題点と改善策について、わかりやすく解説してくれています。 これは心理学を学んでいる大学院生には必見のコンテンツです。十年以上前に講演やシンポジウムのネット配信をずいぶんとやった経験から、ネット講義には懐疑的なのですが(しっかり最後までみる人は本当に少ないから)、全部で3時間以上ある動画をほぼ“ながら”せず、最後まで見終えました。 社会心理学ではそもそも追試研究が軽んじられる(投稿してもリジェクトされる)ことや、統計的有意差だけを追い求める傾向(p-hacking)やその背景と、なるほどやっぱりという話もあれば、主要な研究を国際的、大規模に追試しようとするプロジェクト
使える行動分析学: じぶん実験のすすめ (ちくま新書) 島宗 理 筑摩書房 2014-04-07 売り上げランキング : 763 Amazonで詳しく見る by G-Tools 4/7(月)に書店に並ぶ予定の新刊です。 セルフマネジメントの本、というより自分にあったセルフマネジメントをみつける方法についてまとめました。 私の授業では受講生が自分で自分の行動を変えるプロジェクトに取り組みます(私も一緒に取り組みます)。本書にはそうした学生の取り組みを掲載しました(私の取り組みもいくつか紹介しました)。片づけ、ダイエット、勉強、早起き、スポーツ、音楽など、様々なテーマのじぶん実験の実例を読むことができます。 標的行動の決め方、測定方法、行動の原因推定、グラフの作成方法、解決策(介入)の立案方法など、これまでに出版された同じような本に比べると、細かすぎるほどの細部にまで突っ込んで書きました。
来月の日本行動分析学会年次大会で「『罰なき社会』を再考する」自主シンポをやります。その準備で色々な本を読んだり、資料を集めているのですが、この本は中でも勉強になりました。シンポでは紹介できないことも多いので、せっかくなのでシェアします(つか、知らないことばかりだった)。 刑務所や少年院での「暴力」(体罰など)について知りたかったのですが、本書はそういうルール違反については言及なく(そういうことがないとも書いてありませんが)、むしろ刑務所の「あるべき姿」と現状を比較して、システムとしての改善点を提案しています。 付箋をつけた数はこの5倍くらい。もっと知りたい人はぜひ本を読んで下さい。 刑罰には罪に対して応報し「応報刑」、社会に知らせて予防効果を期待する側面と、その人の再犯を予防するための「教育刑」という側面があるが、裁判官は前者を重視する傾向があるが、裁判員制度が始まってからは裁判員は後者を
中学生の頃、実家でマルチーズを飼っていました。成犬を譲渡してもらった犬で、名前は「ルナ」。 あの頃は、行動分析学も知らなかったし、しつけの本を読みあさるってこともなくて、たまたま図書館でみかけたしつけの本に書いてあったことをやってみてました。本に書いてあることを疑うこともないナイーブな少年だったわけです(笑)。 排泄に関しては、失敗したら粗相をしたところに犬の鼻をなすりつけて「ダメ」と叱るという手続きだったと思います。 今ならこれがどれだけ間違っているか、なぜ間違っているかもわかりますが、当時は盲目的にそうしていました。それに昔の日本ではこの方法がある程度一般的だったようですね。30年近く前のことですが。 はるがうちに来る前に、犬のしつけ本をたくさん読みました。ほとんどの本に、こういう昔ながら方法は間違っているとはっきり書いてありました。子犬に対する排泄訓練法は、どの本を読んでもほぼ同じ。
4/3(水)のNHK「あさイチ」の「気になる!?“クセ”大研究」で解説した「習慣逆転法」(habit reversal)に関する補足情報です。前半は専門家向け、後半は一般向けです。 「習慣逆転法」は応用行動分析学の第一世代にあたるAzrinが開発した行動修正のための介入パッケージで、nervous habits(「神経性習癖」)、チック、吃音症、トレットなどの症状が適用対象になります。 「神経性習癖」は、爪かみや髪ひき、貧乏揺すりなど、同じ形態の行動が繰り返される、いわゆる「クセ」ですが、臨床的に問題になるのは、たとえば出血したり、組織や変形するなど、身体的な損傷が生じたり、社会的に不利になるなど、何かしらの不適用があらわれる場合です。 チック、吃音症、トレット以外にも、たとえば、顎関節症(temporomandibular disorders)という、医学的診断がついた症状に対する成
「発達障害児のためのABA早期療育の現在」でも会場から質問がありましたが、「どんな行動を教えるべきか」は発達臨床や教育において常に問題になるテーマです。徳島ABA研究会のスタッフの間でも、サマースクールの教材開発や事例研究の助言に取り組みながら、「この子に今何を教えるべきか」を考えて決められる力を先生方につけてもらうにはどうしたらいいか、ここ数年ずっと話し合ってきています。実際、教えるべきことさえ具体的な行動として決まれば、そしてそれが現実的な指導目標であれば、どのように教えるか考え、決めて、実行するのは、行動分析学を学んだ先生たちにとってはそれほど難しいことではありません(もちろん、簡単なことではありませんが)。教え方や記録による教え方の改善についてはここ10年の教材開発で「かなり教えられる」という実感が得られるようになりました。しかし、子どもたちに教えるべきことを見つける力の方は、先生
NPO法人つみきの会主催の「発達障害児のためのABA早期療育の現在」という公開講座に参加してきました。我が子が発達障害児と診断されて療育機関を探していますという親御さんからメールを月に何件かいただきます。そのたびにどこを紹介すべきか悩んでしまうので、この業界の現状を把握し、自信をもって紹介できるようにしたかったわけです。 公開講座に参加して、まずは、発達障害がある子どもたちの療育に有効なことを示すエビデンスがある様々な手法を提供できる機関が増えてきたこと、そうした機関が連携する場をこうして設けていることは、とても素晴らしいことだと思いました。ようやく日本でも、という感じです。この公開講座を共催しているのも「ABA療育エージェンシー連絡会」という同業者の組織だそうです。早々に160名の定員が締切られていましたし、会場は満員で、療育サービスや機関に対する関心や期待の高さがうかがえました。おそら
ゼミ生全員が八分咲きの卒論をしっかりと仮提出してくれました(お疲れさまでした)。それに対するコメントも書き終え、千葉県某高校での模擬授業も終わり、少々余裕ができたので、“強化と罰は「同じものの裏表」ではないと”について書いてみます。 かのスキナー先生も罰(と言わずに私たちはこの頃「弱化」と呼んでいますが、この話はまた後で)と強化は「同じものの裏表」と単純には考えていなかったふしがあります。『罰なき社会』では罰の副作用についてふれ、正の強化を使うことを奨励していますが、副作用そのものが罰の手続きが行動の頻度を下げる主因であると考える人たちもいるのです。 強化は行動の直後に環境が変わったこと—たとえば正の強化子(これも私たちは「好子」と呼んでいますが、今回の記事ではトラッドな用語を使います)が出現すること—でその行動の将来の頻度が増加する現象です。逆に、罰(弱化)は行動の直後に環境が変わったこ
現在、モーレツに忙しく時間がとれないのですが、いじめ予防プログラムに関する取材の申込みをいくつか受けました。そこで提供した情報をここに書込んでおきます。 まず、米国にはいじめから子どもを守るための法律が州ごとに整備されつつあります。各州の条文へのリンク、並びに第三者機関による評価が開示されているサイトがあります。 A Watch-dog Organization - Advocating for Bullied Children & Reporting on State Anti Bullying Laws 少し古い(2001)のですが、Surgeon Generalによるレポート(Youth Violence)には、その時点でのいじめ防止プログラムの効果についてエビデンスが検証され、報告されています。ただし、いじめ防止プログラムはこのレポート全体のごく一部でしかなく、また、確実に効果のあ
元バレーボール少女の大西さんがアタックNo1.の猪熊コーチについて、こんな分析をしている。 懐かしアニメ「アタックNo.1」@徒然なる随伴性日記猪熊コーチのレシーブ練習だと,1対1でコーチが選手に向かって次々にボールを投げつけ,そのボールをレシーブします。2球連続でミスすると顔面にボールが飛んできます。顔面にボールは嫌子です。顔面にボールを阻止するためには,ミスをせず,取れそうにない難しいボールにも飛びついてレシーブしないといけません。こういう練習を続けていると結果レシーブの技術が向上するというわけです。 大西さんが分析しているように、これは嫌子出現阻止による強化を使った指導と言えるだろう。間違ったフォームで打てば、顔面にボールが飛んでくるなら、嫌子出現による弱化によるシェイピングと言えなくもない。 野球の1000本ノックなら、あと100本、あと34本、あと5本、あと1本....と、ノック
[WorkItOut!!からの引越し案内] 徳島県の特別支援学校(当時の養護学校)で応用行動分析学に基づいた事例研究や研修を始めた頃に,今では考えられないくらい豪華な講師陣に講演していただいたときの記録です。 『自閉症者の就労支援』 ---- 梅永雄二 先生 『知的障害者のための就労支援』 ---- 志賀利一 先生 『障害児教育実践を楽しむための応用行動分析学的アプローチ』---- 奥田健次 先生 『学級経営に生かす応用行動分析学』 ---- 加藤哲文 先生 『コミュニケーションの指導と自立活動・余暇活動の支援』 ---- 井上雅彦 先生 『発達障害児者の“ことば”にならない“ことば”を理解して支援する』---- 平澤紀子 先生 『自閉症児にも分かる知的障害教育』 ---- 藤原義博 先生 『「脱力系」応用行動分析と特別支援教育〜大学と学生を地域資源として今こそ『楽しい教育実践』を〜』 -
徳島県立阿南支援学校が阿南市立富岡小学校と共同で開発したクラブ活動の時間を活用した支援プログラム『チャレンジクラブ』を実施するためのマニュアルや記録用紙、チェックリストなどの各種資料です。 本研究については第48回日本特殊教育学会にて発表しました。 島宗 理・田中清章・田中敦子・島岡次郎 (2010) 小学校のクラブ活動を活用した特別支援:モデル事業から日常的な支援サービスへの展開 日本特殊教育学会第48回大会 長崎大学、長崎市。 再来週の日本特殊教育学会でも、その後の展開(特に、参加教員の協同体制づくりに関して)が下記のシンポジウムにて紹介されます。 船橋篤彦・奥田健次・田中清章 ・若林上総・喜馬久典 (2011) 特別支援教育における教育現場と研究機関の協働・連携 (2) 〜 教員のパフォーマンス・マネジメントを支える組織づくりに向けて〜 日本特殊教育学会第49回大会 弘前大学、弘
原則、ほとんどすべてのご依頼をお断りしています。 TV番組制作や出演に関する依頼をいただくたびに返信しているメールのひな形を公開することにしました。かつ、今後は依頼メールに対し、基本的には、この記事へのリンクのみを返信することにします(そうするか、それとも一切返信しないかどちらかにしようと考え、こう決めました)。 はじめまして。こんにちは。法政大学の島宗です。 このたびは貴番組『○○○○』の制作(取材、出演)に関するご依頼をいただきまして、誠にありがとうございました。 ところが、誠に申し訳ないのですが、現在、こうしたご依頼はほとんどすべてお断りしております。 大学での授業や研究、学校や企業との共同プロジェクト、ゼミ生の指導、そして学会や大学の仕事が忙しく、時間的な余裕がないこともありますが、TVでは学問の姿が正確に伝わらないことが大きな理由です。 これまでいくつかの番組制作について、いくつ
Bell Curve: Intelligence and Class Structure in American Life (A Free Press Paperbacks Book) Richard J. Herrnstein Charles Murray Free Press 1996-01-10 売り上げランキング : 59039 Amazonで詳しく見る by G-Tools 米国では心理学の本としてかつてないほど話題になった『The Bell Curve』。パンドラの箱を開けるような内容のため批判や非難が殺到し、結局は誤解や無理解に埋没してしまった感がある。 日本ではまったくと言っていいほど取り上げられなかったようだが、気になって買ってはあった(行動分析学では大御所であるHerrnstein先生がどうしてこのような本を書かれたのかということにも興味があったし)。でも、872ペ
越智先生が取り上げている「論文の紹介(41)「犬は飼い主に似るか」研究と論争・・・」「論文の紹介(42)犬と飼い主はホント、顔が似てるんだよ」シリーズ(?)。実は日本でも研究が行われています。 関西学院大学の中島定彦先生たちのチームによる研究でも,やはり飼い主と飼い犬は(日本でも)似ているという結果。飼っているうちに似てくるのではなく,おそらくは似ている犬を飼うのだろうという解釈です(確か,この研究,JALの機内雑誌で紹介されてました)。 中島先生,2009年のブログ記事では性格の類似性についての展開にもふれていますが,その後,どうなったのかな。こないだNHKの「極める 優木まおみの犬学」見てたらそんなようなことを言っていたような。このテレビ番組は興味深いこと満載だったのでまたいずれ書きます。 自分が中学生だった頃,実家では人からもらったマルチーズを飼ってました。夏になると長い毛が暑苦しそ
TwitterとFacebookを始めて半年くらいになりますが、だんだんわかってきたこと、自分なりの使い方や感想など。 Twitter ・ちょっとした思いつきや考えたこと、後で引用したくなりそうな情報などをメモっておくのに便利。つまり私用メモ。 ・それならEvernoteでもいいじゃんってことになるが、他の人の役に立つことがたまにでもわかると(リツイートされたり、直接メッセージをもらったり)、私用メモでも公開しておこうという気になる。公開しても損はないし、逆にメモを残すために情報を探したり、いつもより考えたりするようにもなるので、自分にもメリットがあるから。 ・他の人のツイート(タイムライン)はよっぽど暇じゃないと読まない(失礼か!)。 ・Twitterでの議論は難しい(文字数の制限や文脈が残りにくいという点で)。 Facebook ・ほっとくといろんな通知が送られてきてこうるさい。 ・「
昨年度の行動分析学特講の演習の一つ「“性格”のABC分析」から、チーム「コロ助」が挑んだ肉食系女子の捕食行動のABC分析を紹介しよう。 まずは課題分析を使い“肉食系女子”とタクトされる行動群を特定する。ビデオクリップ法を用いてできるだけ具体的に、場面を限定して、具体的な行動を書き出して行く。 このとき、“肉食系女子”以外の女子(たとえば“草食系女子”)の行動と比較しながら書き出すと、このタクトを制御している弁別刺激が明確になりやすい。 演習ではコンパのときの振る舞いが具体的な状況として特定され、ボディタッチ(気に入った男子の腕や肩をさわる)という行動が焦点化された。 次にタコ足ABC分析によって、こうした行動が強化される随伴性と、強化されない随伴性を書き出して行く。 こうしてみると、肉食と草食を分けるいくつかの変数が明らかになってくる。 一つは男子との関係(メルアドを交換したり、二次会に誘
2月に授業コンサルテーションに行ってきた福島大学附属中学校が2年間にわたる研究教育活動の報告書をまとめ、webで配信を始めました。 白石豊校長先生のもと、すべての先生方がインストラクショナルデザインの考え方を学び、授業を設計、実践、改善されているという、おそらく全国的に(ひょっとしたら全世界的にも)希有で画期的な取組みです。なにしろ、School-Wide Instructional Designですから。 教科の枠を超え、先生方が自由に熱烈に意見交換し、(私のような)外部からの厳しい意見にもへこたれずに、PDCAのサイクルを回しながら、「わかって、できて、面白い」授業づくりに取り組む姿には感動を覚えます。 また、附属校にありがちな超多忙(超残業)を、パフォーマンス・マネジメント的な方法で解消したという成果も見逃せません。このあたりは白石先生の力量におうところが大きいとは思いますが、同じよ
定義 “自分自身を全体として肯定的に評価することであり、人間が心理的に充分に機能するための基盤を支えるもの”(『心理学』(有斐閣), p. 330)。 “自己に対する評価感情で、自分自身を基本的に価値あるものとする感覚。(中略)自尊感情は、その人自身に常に意識されているわけではないが、その人の意識態度を基本的に方向づける”(『心理学辞典』(有斐閣), p. 343)。 注記: 心理学研究にはよく登場する概念であるが、上の引用からもわかるように定義は抽象的で、これを測定するためだけに開発された各種の尺度(質問紙)で測定される(or 測定されていると定義される)心的概念である。何だかよくわからないものを解釈するというのも非常に困難であり、ほぼ不可能なようにも思えるので、ここでは“自尊感情”と言われている構成概念の一部分を拾い上げて、行動分析学から解釈することにした。 行動分析学からの解釈
ここ数ヶ月間の「いじめ」問題に関して、気になった新聞記事があったので紹介したい。 映画に関する伝説の授業があるという。東大総長も務めた蓮實重彦氏が東大と立教大で担当した授業で、「Shall We Dance?」の周防正行、「CURE」の黒沢清、「黄泉がえり」の塩田明彦、「リング」の中田秀夫ら、日本映画界で現在活躍中の多くの監督に影響を与えたらしい。 蓮實氏は、毎週、課題として上映中の映画を1つピックアップし、受講生に観てくるように指示する。そして、翌週の授業で「何が見えましたか?」と問いかける。少し長くなるが、この授業での典型的なやりとりを引用しよう(日経新聞, 2006.10.23)。 「勇気」「友情」などと答えると、「勇気はどこに見えたんですか」「友情は画面のどこにありましたか」と突っ込まれる。教室に困惑が広がる。春に百人を超えていた受講者はみるみる減り、二十人ほどになった。 黒沢が
まずはミスマッチ解消を?「問題なのは、就活の開始時期よりも、低迷する就職率の改善だ。大手企業に人気が集まり、中小企業に人が集まらないミスマッチの問題こそ解決すべきで、学生がもっと中小企業の求人に目を向けるよう、国が施策を講じるべきだ」 小島貴子准教授@立教大 (日本経済新聞 朝刊, 2011/01/13, p. 39) 経団連による就活の新しい指針が提示された。会社説明会を大学3年の12月から開始するよう、現状から2ヶ月遅らせる内容だ。 拘束力もないし、2ヶ月じゃほぼ変わらないのと同じ。あまりにも中途半端だけど、企業団体として現状できることはこのくらいだろう。 最近よく指摘されているように、企業の採用は改善しつつある。総募集数は総新卒数を上回っているらしい。それが内定につながらないのは、小島先生も指摘している学生の「大企業」指向、そしてあまり指摘されていないが、地域による景気回復のばらつき
財布や携帯電話をどこかに置き忘れたり、洗濯物を取り込み忘れて夕立に降られたり。飲み過ぎてひどい二日酔いになったり、下がり続ける株価に我慢できずに売ったとたんに反転したり。好きな子にいじわるなことを言ってしまったり、結婚記念日を忘れて怒られたり。 やってはいけないと思いながらついついやってしまったり、しなくちゃいけないとわかっていながらついつい忘れてしまう経験は誰にでもあるだろう。そして「また、やってしまった」と認識すると、自信を喪失したり、抑うつ的な気分になる人までいるかもしれない。 人はなぜ同じ過ちを繰り返してしまうのだろうか? 「過ち」とされる行動が起るにはそれぞれ原因がある。 財布を忘れるときには、その前に、いつもとは違う場所や時間に財布を置いていることが多いはずだし、それを取るべきときに何か他の行動をしているはずだ。たとえば何年かぶりに海水浴に行き、脱衣所で着替えようとして財布を棚
日経新聞の連載『やさしい経済学』が面白い。 しばらく前までは大阪大学の池田新介先生が時間割引について解説していた。 マクロ経済学の専門家だそうだが、8回の連載中なんと3回ぶんの記事で実験的行動分析学の研究を引用されていた。 それも、ハーンスタイン、エインズリー、マツール(メイザー(Mazur)先生のことあるね)の、ハトを被験体にしたマッチング法則やセルフコントロールの実験である。 限られた紙面への掲載なので引用元の情報がないが、おそらくいずれも Journal of the Experimental Behavior Analysis に掲載された研究論文だと思われる。 80年代終盤にヒットした法廷ドラマ L.A. Law (注) のエピソードの一つで、政府が無駄に出費している研究の例として、成人男性が一日にトイレのふたを開け閉めする回数を調べる研究とハトのセルフコントロールの実験がやり玉
徳島県の国府養護学校と共同で開発してきた、個別の指導計画作成支援ツールを、試験的にですが、公開します。 先生方の努力により、実際に使われている指導目標、手だて、教材、評価の方法などが、すでに3000件以上登録されています。 このシステムは、 (1) ひとり一人の子どもの教育ニーズにあった指導計画を作成し、実行し、評価するのを支援するため、 (2) 同じようなニーズを持ったお子さんに、これまで、どのような指導が行われ、どのような効果があったか簡単に検索できるようにして、 (3) それを自分の担当するお子さんに活用したり、子どもさんの実態にあわせて改変して、 (4) さらにそれもデータベースに登録していくことで、情報の共有化をはかるものです。 インターネットで公開するにあたっては、学校内で慎重に、時間をかけて議論を進め、個人情報が秘匿されるように、新しいデータが登録され、公開される前には、担当
うちのゼミで使っている卒論/修論評価シート(2007年版)を公開することにしました。 ○ゼミ生は仮提出時にこの評価シートを使って自己チェックします。 ○ゼミ生からは「論文執筆時に役に立つ」という評価をもらっています。 ○仮提出後は私がこの評価シートを使ってチェックし、フィードバックします。 (自己評価と他者評価が一致しないこともありますから) ○よくある間違いは次の年度の演習や評価シートに取り入れて改善しています。 ○来年度からは紙ベースではなく電子的にこの作業を進める予定です。 紙ベースでは本年度版が最終になりそうなので、まだまだ改善の余地はありそうですが、公開します。 ここからダウンロードできます。
卒論の仮提出の〆切も過ぎ、ボアソ11階近辺も静かになりました。とはいえ、おそらく各自、自宅や情報カフェなどで地道に推敲に取り組んでいることでしょう(まさか、うちのゼミ生だけってことはないよね ^^;;)。 ところで、12月になってから駆け込みでデータ収集に奔走した人がかなりいたようです。私が担当している授業にも、「授業中にデータをとらせて下さい」(質問紙のヒトたち)とか、ひいては「10分くらいで終わりますから授業中に《実験》させて下さい」という強者まであらわれました。 来年以降のために宣言しておきます。私の授業では授業中に質問紙を配って回答させたり、実験をしたりという時間は提供しません。これはポリシーです。 理由は以下のとおり。 (1) 授業中、受講生には授業を受ける権利があります。授業以外のことに時間を割くのは、それが授業目的に合致しない限り、この権利の剥奪にあたります。 (2) 心理学
最近のマイブームは“視考”(Visual Thinking)というコンセプト。 スタンフォード大学のMcKim博士が“Experiences in Visual Thinking”という著書で提唱したアイディア(McKim, 1972)で、「視ること」「描くこと」「考えること」が知的生産活動を支える3つの要素であるとする思想だそうな(石井, 2006)。 行動分析学で人の行動(ココロと言ってもいいけど)を読み解くのに一番役立つと思うのは、行動随伴性ダイアグラムを描いてみることだと思う。だから、学校の先生でも、ゼミ生でも、講義の受講生でも、最もマスターしてもらいたいのが、この思考法。ところが、同時に、教えるのが最も難しいスキルだったりもする。 強化や好子や弁別や分化といった基礎概念の定義をマスターするのはそれほど難しくない。ABC分析も穴埋め完成問題ならほぼ100%正解できるように教えられる
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