一年一組一番と二組一番は、長雨の夏に渡り廊下のそばの植え込みできのこを発見し、 卒業して二年後に再会したあと、十年経って、二十年経って、まだ会えていない話試し読みあり 角のたばこ屋は藤に覆われていて毎年見事な花が咲いたが、よく見るとそれは二本の藤が 絡まり合っていて、一つはある日家の前に置かれていたということを、今は誰も知らない 逃げて入り江にたどり着いた男は少年と老人に助けられ、 戦争が終わってからもその集落に住み続けたが、ほとんど少年としか話さなかった試し読みあり 〈娘の話 1〉 駅のコンコースに噴水があったころ、男は一日中そこにいて、パーカと呼ばれていて、 知らない女にいきなり怒られた 大根の穫れない町で暮らす大根が好きなわたしは大根の栽培を試み、 近所の人たちに大根料理をふるまうようになって、大根の物語を考えた たまたま降りた駅で引っ越し先を決め、商店街の酒屋で働き、配達先の女と知