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ブックレビュー
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世界各地の古書店街の中でも、東京・神田神保町は世界最大級といわれる。和本や浮世絵を扱う老舗からマンガ・アニメなどのサブカル系まで、さまざまな古本屋が軒を連ねる街を訪ねた。 パリのカルチエ・ラタン、ロンドンのチャリング・クロス・ロード、英ウェールズのヘイ・オン・ワイなど世界各地に古書街があるが、中でも神保町は世界一の規模といわれる。靖国通りと白山通りが交わる交差点を中心とした地域に、130軒もの古書店が集まっているからだ。 カレーと喫茶の街としても知られるが、カレーを食べるついでに、気軽に古本屋をのぞく本好きは、どれだけいるだろうか。特に老舗古書店は、店内に入るのに多少勇気を要するかもしれない。 春と秋の「古本まつり」は、古書街に親しむ良い機会だ。3月に開催された「春の古本まつり」に足を運び、靖国通り沿いの気になる書店を訪ねた。 「春の古本まつり」の光景。靖国通り沿いの歩道にさまざまな古本や
現在の中国から東ヨーロッパまで、ユーラシア大陸にまたがる版図を誇ったモンゴル帝国。13世紀にチンギス・ハンが創始者となった巨大帝国は、5代皇帝フビライ・ハンの治世になると、海を越え極東の島国・日本に攻め込んできた。今から750年前、日本は史上初めて海外から本格的な侵攻を受けたのである。 南下を迫られたフビライ 1206年、チンギス・ハンは武力でモンゴルの諸部族を統一。中央アジアの草原に大帝国がこつぜんと姿を現わした。2代皇帝オゴタイ以降も領土の拡大意欲は、とどまるところを知らず、最強の騎馬軍団が万里の長城を越えて華北の金を滅ぼした。さらに、ヨーロッパに手を伸ばしロシア諸侯国を支配下に入れたほか、41年には「ワールシュタットの戦い」でドイツ・ポーランド連合軍を撃破。間近に迫られた西欧キリスト教社会は大きな衝撃を受けた。 領土の広がりを今に伝えるのが、長崎県北部の鷹島(たかしま)沖海底で見つか
日本の日常にすっかり溶け込んだ異国の料理店。だが、そもそも彼らはなぜ、極東の島国で商いをしているのか──。東京・東十条にはバングラデシュ出身者が集まるコミュニティ「リトル・ダッカ」がある。この街のムスリムたちに人気の店「プリンスフードコーナー」の店主は、祖国では5つ星ホテルで腕を磨いた本格派。そんな凄腕が来日した理由とは。 知られざるエスニックフードの名店 東京都北区、万国旗がはためく昔ながらの東十条駅前商店街。この商店街には毎週金曜日になると、見慣れない服装に身を包んだ男たちがどこからともなく集まってくる。 頭にちょこんと載せた白い帽子と、首から手首、足首までを覆ったふっくらとした服装。あごひげをたくわえた人も少なくない。彼らはムスリムと称されるイスラム教徒たちで、駅から徒歩3分の小さなモスク「マディナ・マスジド東京」に吸い込まれていく。金曜日はイスラム教の礼拝が行われる、大切な一日だ。
台湾では1月の総統選挙で与党民進党の頼清徳氏が当選を果たし、政権継続が決まった。日台関係は非公式ながらも関係強化が近年進んできたが、先行きに不安がないわけでは決してない。最大の懸案事項は、日本政界で「親台湾」の立場を貫いてきた自民党の旧清和政策研究会(安倍派)勢力の弱体化である。 1月下旬、日本の国会議員でつくる台湾友好グループ「日華友好議員懇談会(日華懇)」が臨時総会を開き、台湾選挙の最新情勢について報告が行われた。総統選挙の際には日華懇の古屋圭司会長が訪台し、当選直後の頼清徳氏や蔡英文総統と会談している。その場で、古屋は蔡総統に「退任後の訪日」を呼びかけたという。 蔡英文総統は明確な回答はしなかったが「日本は大好きなのでいつか必ず訪れたい」と話したという。総統経験者の訪日といえば、思い出すのは2001年の李登輝訪日だ。当時、中国は大反対。日本政府も賛否両論割れて大騒ぎになった。当時朝日
世界最強の半導体メーカーである台湾積体電路製造(TSMC)が2月24日、日本初の生産拠点となる熊本工場(熊本県菊陽町)で開所式を開いた。その直前には第2工場の建設計画が明らかになるなど、相次ぐ日本進出の背景には何があるのか。 日本に活路を求める台湾の事情 台湾の半導体メーカーが日本で次々と工場を建設している。最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が2月に熊本県で第2工場を建設すると発表したほか、宮城県でも別のメーカーが計画を進めている。一連の工場計画では半導体産業の再興など日本側の思惑ばかりに焦点が当たるが、これは台湾メーカーにとって副産物でしかない。もちろん、台湾海峡有事とも直接関係ない。せっかくの工場を有効活用するには、日本に活路を求める台湾側の事情を理解しておく必要がある。 熊本工場の開所式であいさつしたTSMC創業者の張忠謀氏(2024年2月24日、筆者提供) 「あなたは日本の歩留ま
「ビーフンをふるまってやっと辞去した」 1973年の初めての訪台でお会いした台湾本省人の知識人の中に葉榮鐘(1900-1978)さんという方がいた。これも台湾文学研究者の河原功さんが同道してくださって、3月6日、台中市内のご自宅にうかがったのである。写真はその時に撮らせていただいた奥様の施繊繊さんとのツーショットである。もう40年以上前の写真なのですっかり変色してしまった。 葉榮鐘・施繊繊さん夫妻(筆者撮影、1973年3月6日) 日付まで分かるのは、河原さんが旅日記を付けていたからであるが、実は葉榮鐘さんの日記に私たち二人の訪問についての記載があるからでもある。葉さんの遺稿は、既刊の著書や未公刊の日記、書簡、漢詩などを含めて、没後かなりの時間をかけて遺族が整理して、『葉榮鐘全集』(全9集11冊、台中:晨星出版、2002年)として刊行された。また、これらの遺稿の原本や蔵書は新竹にある清華大学
1月29日、漫画家の芦原妃名子(あしはら・ひなこ)さんの訃報が伝えられた。自身の漫画が原作の日本テレビ系ドラマ『セクシー田中さん』を巡って、同局側の内容改変への不信感から終盤の脚本を自ら執筆する異例の事態になった経緯を公表した直後のことだった。ネット上ではドラマ関係者への批判の声が高まり、日テレや原作を出版した小学館はそれぞれ事実関係を調査中だ。クリエイターが作品を守るために行動を取らざるを得なかった悲劇の背景には、どのような問題があるのか。 芦原さんは日テレに「必ず漫画に忠実に」と要請 日本テレビ系列で2023年10~12月にドラマ化された漫画『セクシー田中さん』の原作者、芦原妃名子さん(50)が1月29日、栃木県日光市内で亡くなっているのが発見された。報道によると、自宅からは遺書が見つかっており、警察は自死とみて調べを進めているという。 芦原さんはドラマ化を許可する際、原作の版元で著作
ウクライナ戦争では対ロシアで一致結束した欧州諸国。イスラエル・ハマスの戦闘を巡っては、各国の世論は分裂し、足並みの乱れが目立つ。 ロシア・ウクライナ戦争は、ウクライナに甚大な被害を与えるとともに、これまでにない結束を欧州にもたらすことにもなった。ロシアの軍事的脅威を前にして、欧州27カ国が集まる欧州連合(EU)や英国、ノルウェーなど各国の団結と連帯意識は、侵攻開始から2年近くを経ても、大枠では揺らいでいない。ハンガリーがウクライナ批判を繰り返すなど多少の脱線や確執があるとはいえ、欧州が一致して危機に立ち向かう態勢は、曲がりなりにも維持されている。 それだけに、昨年突如勃発したイスラエルとイスラム主義勢力ハマスとの軍事衝突では、欧州各国の足並みの乱れが、逆に目立つ。どちらの立場を支持するか、それほどの危機感を抱くか。各国の世論は分裂し、それぞれの政府の対応も定まらない。 欧州は今後、この紛争
ニューヨーク在住のノンフクション作家・譚璐美(たん・ろみ)氏が、このほど早稲田大学の公開講座で自著『帝都東京を中国革命で歩く』の講義を行った。20世紀初頭、中国人の日本留学がブームになった時代があったという。辛亥革命、さらには中国共産党の創設に際し、彼ら日本留学組が果たした役割は大きかった。来日中の譚氏に話を聞いた。 譚 璐美 TAN Romi ノンフィクション作家。東京生まれ、本籍は中国広東省。戦前、国共内戦の動乱で、日本に逃亡して早稲田大学で学んだ共産党員だった父親と、日本女性を母親に持つ。慶應義塾大学文学部卒、元慶應義塾大学文学部訪問教授。著書に『中国共産党を作った13人』『革命いまだ成らず』『中国「国恥地図」の謎を解く』等多数。 「強い日本」の秘訣を学ぼう 公開講座のテーマは、譚璐美氏の著書『帝都東京を中国革命で歩く』(2016年7月、白水社刊)を題材にしたものである。20世紀初頭
安定的な皇位継承に関し、岸田首相が10月の所信表明演説で国会での積極的な議論を呼びかけ、自民党は総裁直轄の検討組織を新設。国会でも約2年間棚上げされていた論議が動き出した。最大の焦点は「男系男子」に限定した皇位継承を維持するか、改正して「女性・女系」天皇を認めるのか。本格論戦を前に「男系男子」継承は金科玉条なのか、わが国本来の皇位継承について皇室研究者の高森明勅(あきのり)氏に聞いた。 高森 明勅 TAKAMORI Akinori 神道学者、歴史家、皇室研究者。1957年、岡山県倉敷市生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。専攻は神道学・日本古代史。大嘗祭の研究で神道宗教学会奨励賞を受ける。小泉純一郎内閣当時、「皇室典範に関する有識者会議」において8名の識者、皇室研究の専門家の一人としてヒアリングに応じる。著書に『「女性天皇」の成立』など。 女性だから天皇になれない 皇室典範
維新、政策活動費の使途公開せず 5千万円超支出 Newsfrom Japan 政治・外交 2023.11.24 18:16 / 2023.11.24 18:23 更新
改正入管法を問い直す:「人の支配」から「法の支配」へ、「納得感」のある入管行政を Books 社会 政治・外交 国際・海外 2023.11.22 不法滞在で名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性が2021年3月に死亡。入管への批判が高まり、当時、国会で審議中だった入管難民法改正案は廃案に追い込まれた。23年6月に成立した改正入管法は、その時のものとほぼ同じだ。18年間にわたる入管勤務で感じた違和感や疑問を基に著した『入管ブラックボックス』の中で、「根本的な問題」が解決されていないと指摘する木下洋一氏に話を聞いた。 木下 洋一 KINOSHITA Yōichi 元入国審査官。行政書士。大学卒業後、1989年4月、公安調査庁入庁。2001年、入国管理局(現・出入国在留管理庁)へ異動。以降、19年3月に退職するまでの18年間、東京局、横浜支局、羽田支局等地方(支)局において、在留審査、上陸審
「わび・さび・幽玄」は、日本文化のエッセンスだと考えられている。和歌、能、茶道、俳諧などを通じて、こうした伝統的な美意識が形成されてきたと私たちは思いがちだ。しかし、これらの言葉が日本の美意識を示す3点セットになっていくのは、東京五輪や大阪万博の時期になってからのことだ。日本美のクリシェ(常套句、じょうとうく)はどのようにして生まれたのか。 海外の日本文化研究者に「日本美の本質とは何か」と問われることがよくある。そんな時、日本の伝統文化を貫く美意識を伝える便利な言葉がある。「わび・さび・幽玄」である。もっと別の要素があることは十分に承知しているのだが、そう答えると自分でも妙に納得してしまう。まるで魔法のような言葉だ。それでいて、「わび」と「さび」はどう違うのか、「幽玄」とは何かと問われると、途端に困ってしまうのだ。 それにしても、「わび・さび・幽玄」こそが「日本的なるもの」と考えられるよう
黒澤明監督、三船敏郎初主演の『酔いどれ天使』の酒場のシーンで、踊り歌い、強烈な印象を残す「ブギの女王」笠置シヅ子。戦後の大ヒット曲「東京ブギウギ」は、ビールのコマーシャルなどを通じて、今でもなじみ深い。作曲家・服部良一とのコンビが近代日本の芸能史に刻んだ業績を、大衆音楽史研究の第一人者・輪島裕介氏と振り返る。 輪島 裕介 WAJIMA Yūsuke 大阪大学大学院人文学研究科教授(音楽学)。1974年金沢市生まれ。専門は大衆音楽研究、近現代大衆文化史、アフロ・ブラジル音楽研究。主な著書に『創られた「日本の心」神話―演歌をめぐる戦後大衆音楽史』(光文社新書、2010年/第33回サントリー学芸賞)。最新刊は『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』(NHK出版新書、2023年8月)。 「ジャングル・ブギー」の衝撃 「ウワォ ワオウワオ」「私は雌ヒョウだ」とほえるように歌い、踊る女。黒澤
2022年後半から急速に進化し続け話題の「生成AI」とは、人工知能(AI)を用いてクリエイティブな成果物を生み出す機械学習モデルで、誰もがプロ顔負けのクオリティの画像を作成できる。だが一方で著作権などの法的問題が懸念され、クリエイターの存在意義が問われるなど、黎明(れいめい)期だけにさまざまな議論を呼んでいる。日本が誇るクリエイティブのひとつ、マンガ制作に携わる人々の声を聞き、その可能性と課題を検証する。 制作現場におけるAIの波紋 近年、AI技術がさまざまな分野に応用されるようになった。その波は「ビジュアル表現」の分野にも及び、誰でも簡単にクオリティの高い画像を生成できるサービスが各社より公開されるようになっている。 AIを使えば、高度な技術が必要だった表現が、誰にでもできるようになる。つまり「ビジュアル表現の民主化」が進む、という期待があるいっぽうで、「クリエイターの職を奪う」という危
止まらない少子化 : 23年上半期の出生数、過去最少の37万1052人―人口動態統計 社会 経済・ビジネス 政治・外交 家族・家庭 2023.08.29 「緊急事態宣言で結婚式を延期したカップルが多かった」「コロナ禍で一時的に出会いの機会が減少していたから」―― もう、そんな気休めは通用しない? コロナ禍が収束し、行動制限がなくなっても婚姻数は増えない、出生数も増えない。 厚生労働省が発表した人口動態統計(速報値)によると、2023年1~6に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は、前年同期比3.6%・1万3890人減の37万1052人だった。比較可能なデータがある2000年以降で最も少なく、40万人を下回るのは2年連続。 一方、死亡数は2.6%増の79万7716人。死亡数から出生数を引いた自然減は42万6664人で人口減に歯止めがかかっていない。 2022年に生まれた日本人の子どもは77万747
①不動産:投資利回りは2%未満と銀行金利の半分にも満たないことから、不動産価格は適正水準の2倍に達していると仮定。これにより不動産関係の負債規模(開発業者貸付13兆元、住宅ローン39兆元)が2倍に押し上げられていると仮定。 ②地方インフラ投資:地方政府のインフラ投資負債残高を、融資プラットフォームなどの隠れ債務分(71兆元)+インフラ専項債分(20兆元)として減損評価すれば、資産・負債双方を2分の1減額する必要ありと仮定。 ③企業向け貸出:直近の企業向け貸出残高138兆元から(重複回避のため)地方政府の隠れ債務のうち銀行貸出分42.6兆元を差し引いた残りは95.4兆元。一方、IMFの16年調査に基づき、金融機関の企業向け貸出のうち、重度の潜在的不良債権の規模を貸出の15%と推計。 出所:①③の与信残高等の数字は22年末時点人民銀行統計、②の隠れ地方債務残高はIMF対中国Ⅳ条協議レポート(2
1979年から始まった中国への政府開発援助(ODA)は2022年3月で終了した。42年の長きにわたって続けられたODAはどのように拠出され、どう活用されたのか。その歴史と意義について総括する。 ODAは事実上の戦後賠償 日本が中国に対して行なっていたODAが2022年3月末、42年間の歴史に幕を下ろした。ODAは中国の経済発展を支えて日中の結びつきを強めた半面、援助を続ける必要性や中国政府が国民への周知を怠っていることなどを巡って批判も受けてきた。 外務省国際協力局と国際協力機構(JICA)によると、42年間で、日本が低金利で長期に資金を貸す「円借款」が約3兆3165億円、無償でお金を供与する「無償資金協力」は約1576億円。このほか日本語教師派遣などの「技術協力」約1858億円を合わせて拠出した総額は、約3兆6600億円にのぼる。円借款については、中国から予定通りに利子を含めて返済されて
破壊的な地殻変動によって日本が滅亡していく在り様を描き、空前の大ベストセラーとなった小松左京による『日本沈没』の刊行から今年で50年となる。ことに「第二次関東大震災」の描写は圧巻であり、いま読み返してみてもリアリティを失っていない。当時の担当編集者が、SF小説史上に刻む名作誕生の舞台裏を振り返る。 浜井 武 HAMAI Takeshi 光文社の元常務、編集者。1938年東京都出身。62年早稲田大学第一文学部卒業後、光文社に入社。編集者として、小松左京、森村誠一、赤川次郎、斎藤栄らを担当。光文社文庫編集長、取締役を経て2000年8月に常務取締役。05年8月退任。 最初のタイトルは『日本沈没』ではなかった 「僕が小松さんの担当になったのは、小松さんが『日本沈没』を書き始めて4、5年経った頃でした。企画段階から関わったわけではないので、担当としては3代目、小松さんの『日本アパッチ族』がカッパ・ノ
旧統一教会とニッポン スクープよりもメディアみんなで取材したかった : 孤軍奮闘で旧統一教会と自民党の蜜月を暴いたジャーナリスト・鈴木エイト氏 社会 政治・外交 家族・家庭 2023.08.22 日本の憲政史上、最も長く首相を務めた安倍晋三元首相が2022年7月8日、選挙演説中に銃撃されてから1年が過ぎた。事件を機に、自民党を中心とする政治家と旧統一教会の関係がクローズアップされるようになった。その端緒となったのが、ジャーナリストの鈴木エイト氏がコツコツと積み重ねてきた調査報道だった。長年、孤軍奮闘だった鈴木氏は、大手メディアが教団の問題を取り上げなかったことについて、どう見ていたのだろうか。 教団に対する解散命令の行方は⁉ 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の「解散命令」をめぐる動きは現在、表面上は静かだが、鈴木氏は水面下でずっと動きがあり、この夏からいよいよ本格化する可能性が高いと見て
世論調査で8割の賛成を集める「女性天皇」。天皇家の長女、愛子さまが想定され、国民の圧倒的な支持を得る。しかし、「男系男子」に限る皇位継承を定めた皇室典範の改正論議が国会で始まらず、女性天皇への道は遠い。そんな中で『愛子天皇論』と題した漫画本が出版され、「愛子さまを皇太子に」と訴えるイベントも開催された。女性天皇の誕生を目指し新しい動きが始まっている。 全国から1000人の参加応募 4時間に及ぶ公論イベント「愛子さまを皇太子に」が7月の日曜日、東京都内の会場で定員いっぱいの約500人が参加して開かれた。全国から1000人近い参加応募があったという。 「愛子さまを皇太子に」の会場入口に展示された愛子さまと歴代女性天皇を合わせた映像(主催者提供) 主宰者は漫画家で、『天皇論』などの作品があり皇室問題でも積極的な発言を続ける小林よしのり氏(69)。パネリストとして同氏のほか、この運動のオピニオンリ
【書評】「井戸を掘った人」が井戸に落とされる時代:鈴木英司『中国拘束2279日 スパイにされた親中派日本人の記録』 Books 国際・海外 政治・外交 社会 2023.06.16 日中友好の中核を担った人物が、中国訪問時にスパイ罪で逮捕され、6年の実刑判決を受け、服役を終えて今年帰国した。その全過程を赤裸々に語った本が出版された。その記述が我々に伝えるのは、習近平体制下の中国と、外国人が親しく付き合う絶望的なほどのリスクである。 意見交換が「スパイ行為」と認定 本書によって人々は、中国でいったん疑いをかけられた結果、容疑の事実関係がどうであれ、きわめて理不尽な目に遭う可能性がある、という事実を突き付けられる。そして、「中国と近いほど危ない」という逆説的な実情が浮かび上がる。 著者の鈴木氏は、議員秘書から中国での教員を経て日中青年交流協会の理事長につき、訪中歴は200回を超え、中国と日本のパ
加速する出生数減少を食い止めようと、岸田政権は「異次元の少子化対策」をうたう。過去30年間、政府は繰り返し少子化対策を打ち出したが、減少に歯止めがかからない。日本のジェンダー研究者の草分けである目黒依子氏は、「性別によって固定的な役割を押し付ける社会構造」が根本的に変わらない限り、少子化は止まらないと指摘する。 目黒 依子 MEGURO Yoriko 上智大学名誉教授。NGOジェンダー・アクション・プラットフォーム(GAP)代表。1938年生まれ。米ケース・ウエスタン・リザーブ大学大学院で博士課程修了(社会学博士)。74年に日本で初めての「女性社会学」を上智大学で開講。日本家族社会学会会長、国連総会日本政府代表代理、国連婦人の地位委員会日本代表などを歴任。2011年にGAPを立ち上げる。主な著書に『少子化のジェンダー分析』(共編著/勁草書房、2004年)、『揺らぐ男性のジェンダー意識―仕事
多くの日本人が「鬼」と聞いて思い浮かべるのは、「桃太郎」の挿絵などで目にする、角2本、ギョロ目で金棒を振り回す赤鬼、青鬼だろう。かつて鬼はリアルな脅威で、古代の歴史書にはその出現が事件として記録され、鬼とみなす対象もさまざまだった。時代が下るにつれ、妖怪の一種として、主に物語の中で語られるようになる。日本人にとって、鬼とは何者なのか。宗教史学者の小山聡子氏に聞いた。 小山 聡子 KOYAMA Satoko 二松学舎大学文学部教授。1976年生まれ。専門は日本宗教史。2003年、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科修了。博士(学術)。主な著書に『往生際の日本史―人はいかに死を迎えてきたのか』(春秋社、2019年)、『もののけの日本史―死霊、幽霊、妖怪の1000年』(中公新書、2020年)。共編著に『幽霊の歴史文化学』(思文閣出版、2019年)。最新刊に『鬼と日本人の歴史』(2023年、ち
ことし3月、台湾の総統府、防衛・外交当局までが反発する事態になった日本経済新聞のシリーズ記事「台湾、知られざる素顔」。何が問題となったのかを分析する。 「日本経済新聞」が2月28日から4日連続で掲載した特集「台湾、知られざる素顔」特集が台湾で大きな反発を引き起こした。特に問題となったのは、台湾の軍について取材した第1回目である。あまりの抗議に、日本経済新聞社は3月7日の紙面で「混乱を招いたことは遺憾です。公平性に配慮した報道に努めて参ります」という「お知らせ」を掲載、事実上の謝罪と受け止められた。 日本人が陥りやすい落とし穴 長年台湾政治を研究してきた者として、日経の特集には、台湾に関心がある日本人が陥りやすい落とし穴にはまった印象がある。それは、①特定の人の意見を聞いて「台湾全体がこうです」と描いてしまう傾向、②台湾が抱える問題を「本省人と外省人」という属性で解釈してしまう傾向、③「台湾
パリとマンチェスターで学び映像人類学の博士号をもつ異色の映像作家、太田光海。アマゾン先住民の生活を記録した『カナルタ 螺旋状の夢』で2021年にデビューし、多くの観客に未知の世界への扉を開く。その一人が音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」脱退を発表したばかりのコムアイだった。パートナーとなった二人は、アマゾン先住民の村での出産に向け、胎児との旅を映画化することを計画。前代未聞のプロジェクトに挑む二人に話を聞いた。 コムアイ KOM_I 1992年生まれ、神奈川県出身。2012年、音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」に加入、デモ音源「オズ」「空海」をYouTubeで公開し、本格的に活動を開始。2016年、「UMA」(ワーナーミュージック・ジャパン/Atlantic Japan)でメジャーデビュー。2021年9月、水曜日のカンパネラ脱退。北インドの古典音楽、能楽、アイヌ音楽にインスパイアされた音楽
2022年12月中旬まで約2カ月にわたり開催された「国宝 東京国立博物館のすべて」は、動員35万人超の大盛況だった。「国宝」とはそもそも何か。その制度と歴史を振り返り、インバウンド推進にも活用される国宝や重要文化財を巡る今後の課題について考察する。 「たぐいない国民の宝たるもの」 私が勤務する大学がある上野公園には、多くの美術館・博物館が並ぶ。最近では、修学旅行生や、海外からの観光客の姿も再び増え始めている。 インバウンドという言葉が日本の文化政策の中心で使われるようになったのは、コロナ騒動以前のことだった。当時は文化施設への来館者をいかに獲得するかが国の政策課題の中心にあり、解説などの多言語化が一気に進められたことは記憶に新しい。その際、外国人にアピールしやすく特別感を示すのが “National Treasures” の表示である。もちろん、日本人にとっても「国宝」の表示は「ありがたさ
民主主義と権威主義のイデオロギー対立が国際社会で激化する中、筆者は「今こそ足元にある『自分たちの民主主義』を見つめなおすべきだと指摘する。実は鎖国体制にあった江戸時代、支配体制の末端にあった村で民主的な自治のシステムが生まれていた…。 揺らぐ民主主義の正当性 普遍的な価値とされてきた民主主義の正統性が揺らいでいる。米国のトランプ大統領はじめデマゴギー(扇動)政権の相次ぐ誕生、「中国式の民主主義」を自任する習近平国家主席率いる権威主義国家中国の著しい台頭。日本でも国政選挙の投票率が5割近くをさまよい、政権交代の兆しもない。バイデン大統領が、中国、ロシアを念頭に唱える「民主主義によって権威主義に対抗する」というスローガン自体、欧米型民主主義が劣勢に陥りかねないことへの危機感の裏返しであろう。 深刻なのは、「自国を民主主義国家、他国を権威主義国家と定義すること自体が非民主的だ」という習氏の反論に
日韓両国は懸案だった「元徴用工(旧朝鮮半島労働者)」の訴訟問題で、韓国側が日本企業の賠償を肩代わりする解決策を発表したことにより、関係改善に動き出した。今回のケースとよく似た事例が、戦中期、日本軍の捕虜となった英国将兵への補償問題である。元捕虜は反日の抗議活動を続け、東京で裁判を起こしたが、英国政府が2000年に国内問題として特別慰労金を支給することで決着を図った。この和解で良好な日英関係を築いた両国の知恵を検証する。 雪解けを迎えた日韓関係 第2次世界大戦中に日本に渡った韓国人の元徴用工が日本企業に賠償を求めた裁判で、韓国大法院(最高裁)は2018年、1人当たり8000万ウオン~1億5000万ウオン(約800万円~1500万円)の支払いを命じた高裁判決を確定させた。 日本政府は、元徴用工らの個人請求問題は日韓国交正常化を果たした1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決したと主張し、被告
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