新国立競技場の建設計画について政府は「選手第一」を大前提とする基本方針を決定した。 何を今さらの感もあるが、原点に回帰したことは評価したい。当初案に決定的に欠けていた視点でもある。今度こそ愛される聖地建設の計画を急がなくてはならない。 施設は原則として競技機能に限定し、建設費のいたずらな高騰を招いた開閉式屋根の設置は取りやめる。 五輪の開閉会式も陸上競技もサッカーも、雨天下であれ、荒天下であれ、よほどのことがない限り実施される。屋根は、コンサートなどの開催対策のためだった。 完成目標を「2020年春」とし、プロセスの透明化や周辺環境への配慮なども明記した。 当初案が白紙撤回されたのは、建設費の高騰とともに、経緯の不透明さ、不自然さが大きな要因だった。その責任の所在を明確にすることが、プロセス透明化の第一歩になると指摘したい。 「選手第一」をうたうなら、最高の競技環境を整えなくてはならない。